尾久車両センターのオロネ25 7 | はやこま すていしょん!

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更新頻度は遅めですが、日々の出来事や趣味的なことを書いていこうかなと思っています。若干鉄分は濃い目の予定(笑

JR東日本尾久車両センターには現役を引退しながら車籍を有し、構内で留置されている車両が何両かあります。オロネ25 7もその中の1両です。

(オロネ25 7・尾久車両センター・2015年3月18日)
オロネ25形0番代は、1976(昭和51)~1978(昭和53)年に製造されたA寝台1人用個室車です。
A寝台1人用個室は14系以来製造されず、開放式2段A寝台車のみが製造されていました。しかし1974(昭和49)年に関西ブルートレイン用に新製された24系25形はB寝台を従来の3段式から2段式に変更してサービスアップを図りました。そしてA寝台との格差が少なくなったため、A寝台車の製造をしませんでした。
1976(昭和51)年に「はやぶさ」「富士」「出雲」が3段式の24系24形から2段式の24系25形100番代に置き換えられることになりましたが、ブルートレインの代表格である3列車にはやはりA寝台車が必要であり、2段式B寝台車との差別化を図って1人用個室が復活。オロネ25 1~10が製造されました。余談ですがA寝台1人用個室は20系「あさかぜ1・2号」のナロネ22形で残存していたので、設備自体は消滅はしていませんでした。その「あさかぜ1・2号」も1978(昭和53)年に24系25形100番代に置き換えられ、その際にオロネ25 11、12を増備しています。なお1978(昭和53)年10月2日のダイヤ改正で列車の号数を下り=奇数、上り=偶数に改めたため、「あさかぜ1・2号」から「あさかぜ1・4号」となっています。

12両のオロネ25形はブルートレインブームの象徴的存在として活躍してきました。
1986(昭和61)年11月1日のダイヤ改正でオロネ25 1~6が鹿児島運転所に転属し「はやぶさ」「富士」用となりました。これは1987(昭和62)年4月1日に発足したJR九州が「はやぶさ」「富士」の車両を承継することになっていたからです。

一方、品川客車区に残留したオロネ25 7~12のうち、8、11、12は「あさかぜ1・4号」用グレードアップ改造を受けてオロネ25形700番代701~703となりました。内装がグレード アップされたほか、外観でも金帯3本となったのが特徴で、後にJR東日本、JR北海道の「北斗星」の外装に影響を与えています。
そして未改造のオロネ25 7、9、10は「出雲」に使用されました。

ちなみにいつ頃から「シングルDX」と呼ばれるようになったのかは覚えていませんが、「あさかぜ1・4号」のグレードアップ改造や、A寝台2人用個室「ツインDX」が登場した1987(昭和62)年ごろだったと思います。

品川客車区に残留した6両は1987(昭和62)年4月1日にJR東日本に承継されました。そして1994(平成6)年には品川客車区の配置車両を尾久客車区に移管しています。しかし 1994(平成6)年12月3日のダイヤ改正で「あさかぜ1・4号」が臨時化。オロネ24形700番代は青森運転所に転属して「はくつる」用となりました が2002(平成14)年12月1日のダイヤ改正で「はくつる」が廃止され、オロネ25形700番代は廃車となりました。
また「出雲」も2006(平成18)年3月18日に廃止。オロネ25 9、10は廃車となりましたが、オロネ25 7はご覧のとおり現存しています。

JR九州に承継されたオロネ25形のうち、3は1996(平成8)年に廃車。熊本県内でカラオケルームに利用されていましたが、後に解体されています。
残った1、2、4~6の5両は2005(平成17)年に14系化改造を受け、オロネ15形3000番代3001、3002、3004~3006となり、2009年3月14日のダイヤ改正で「富士」「はやぶさ」が廃止になるまで活躍しました。

(オロネ15 3004・熊本・2009年3月14日)
14系化されていますが、外観はオロネ25形のまま。個室側に並んだ狭窓が特徴的です。
子供の頃に憧れた「シングルDX」ですが、2008(平成20)年に利用することができました。すでにオロネ15形3000番代となっていますが、車内設備は変わりません。
個室は枕木方向に設置されていました。

寝台の幅は70cmで、実はB寝台と同じ幅です。床面積的にも「ソロ」と大差ないように感じますが、全域で天井が高いので圧迫感はありません。

これが座席使用状態。

肘掛けを降ろして、転落防止策を格納するとソファシートに転換する構造です。
なお肘掛けに連動して背ずりも可動します。これが座席状態。

背ずりが傾いていて、座り心地が良くなるように工夫しています。
肘掛けを跳ね上げると、背ずり部分が連動して垂直に可動。

寝台部分のスペースを最大限有効に活用することができます。こういった配慮はB寝台にはありませんね。
そして空調は自分で好みに調整可能。

これは20系以来の伝統でした。

そして窓側にテーブルを設置。

このテーブルを跳ね上げると洗面台になります。

コップやティッシュペーパーも標準装備でした。
JR時代になってさまざまな「シングルDX」が登場しましたが、ブルートレイン用は2014(平成26)年までに全て引退しました。
そんななか原型を保ったまま9年も留置されているオロネ25 7。今後が気になるところですが、イベント列車用に整備して1編成用意してくれないかな。それが無理でもせめて鉄道博物館に入れてもらいたいものです。