
(キハ391-1・大宮総合車両センター・2015年3月20日)
キハ391形はガスタービン動車の試作車で、1972(昭和47)年に製造されました。この頃は在来線特急列車の最高速度を130km/hに引き上げ、なおかつ曲線通過速度を向上させるために自然振り子装置の開発が行なわれていました。電車では1970(昭和45)年に591系が試作されましたが、キハ391形はその気動車版ともいえるでしょう。
気動車特急はキハ181系で120km/h運転を実現していましたが、キハ391形では130km/hへの速度向上を狙い、1,100PS出力のガスタービンエンジンを搭載しました。
キハ391形は3車体4台車の連接構造を採用しましたが、車体間に台車はありません。ガスタービンエンジンを搭載した全長6mの中間車に台車をふたつ装着し、両端の先頭車は先頭台車と中間車に支持される片持ち構造となっています。そして中間車には客室がありません。しかも先頭車は振り子装置付ですが、中間車は非振り子車となっているなど、いろいろな面で特殊な車両になっていました。
試験運転の結果、キハ391形は最高速度130km/hを達成し、振り子性能も591系と同等以上であることを確認しましたが、メカニカルトラブルが発生して信頼性に不安が残ったことと、オイルショックが発生したこともあり、開発は中止。ながらく米子客車区に留置された後大宮工場に移されました。
2000(平成12)年ごろに大宮総合車両センターの一般公開に展示されることがありましたが、その後も放置荒廃が進んでしました。そして2月頃に解体された模様です。
カットボディになってしまったのは残念ですが、今年の「おおみやふれあいフェア」で一般公開されて注目を集めそうですね。