前回「トワイライトエクスプレス」の機関車交換を撮影した五稜郭には、五稜郭車両所が隣接しています。この敷地内にはキハ56 211が留置されています。

(キハ56 211・五稜郭車両所・2014年9月2日)
キハ56系は国鉄の急行用気動車キハ58系の北海道向け派生形式です。広義的にはキハ58系の派生形式はキハ56系の他に信越本線碓氷峠用のキハ57系も存在しました。いずれも混結は可能で、実際混結されていました。派生形式の方が若い番号になっているのは、北海道と信越本線用の急行形投入が急務だったからです。
北海道向けと言うことでキハ56系は車内保温性を高めるため、側窓の高さがキハ58系よりも100mm小さくなっています。その関係で窓周りの赤いラインもキハ58系より細くなっていて、乗降扉の窓が赤いラインよりも飛び出しています。
またエンジン冷却用ラジエターと並行して客室温水暖房器を設置して暖房能力を強化しました。温水暖房器はキハ58系にも装備されましたが、キハ58系ではラジエターと温水暖房器が直列配置されているので暖房能力が劣ります。また普通車の床は木製となっているのも特徴です。
キハ56系は2エンジン搭載車のキハ56形、1エンジン搭載車のキハ27形、グリーン車のキロ26形が存在しました。そして基本0番代、長大編成対応の100番代、冷房準備車の200番代が製造されています(ただしキロ26形200番代は新製冷房車)。
キハ56 211はキハ56系としては最末期の1968年に富士重工業で新製されました。富士重工業製のキハ56系はキハ56 210~214とキロ26 201~203のわずか7両のみです。
キハ56 211は新潟鐵工製の202、204とともに2002(平成14)年まで活躍していましたが、引退後は3両とも五稜郭車両所に留置されていました。その後2006(平成18)年11月に202が解体、204も先頭部を残して解体されています。211は痛みが進行しながら、もうかれこれ12年も留置されているわけです。
キハ56形200番代はこれが現存唯一。なんとか保存できないものですかね。