2016年春の開業が予定されている北海道新幹線新青森~新函館間。JR北海道は秋にH5系を落成させ、開業までに4編成40両を揃えることになっています。
(JR北海道プレスリリースより)
そんな北海道新幹線ですが、JR北海道によると今年
10
月から土木構造物、軌道、電車線、信号設備などの機能を確認するために車両を用いた設備検査を開始するそうです
。設備検査そのものはどこの新幹線でも新規開業時に行なうものですが、北海道新幹線に関しては、従来の新幹線と異なることがあります。それが青函トンネルの存在です。
北海道新幹線は青函トンネル区間とその前後の区間となる新中小国信号場~木古内間を在来線である津軽海峡線を共用します。共用区間は新幹線用の1,435mm軌間と在来線用の1,067mm軌間が混在する3線軌条となります。
また、電化方式は新幹線の交流25,000Vとなり、保安装置も東北新幹線と同じDS-ATCを使用します。一方在来線の電化方式は交流20,000Vなので、在来線区間と共用区間の間には電圧を切り換えるためのデッドセクションが設けられ、在来線の電気機関車は複電圧仕様のEH800が使用されます。
(EH800-901・東福島・2013年1月23日)
これらの設備をH5系やEH800形で検査するわけですが、ここでひとつ問題が生じます。それは青函トンネルは営業路線だということです。
津軽海峡線は、日中は特急列車、深夜は夜行列車が通過するほか、終日多数の貨物列車が通過します。ですので、通常は
在来線の交流20,000Vが流れている状態です。また保安装置も
ATC-Lを使用しています。もしかすると保安装置は上手く併用できるかも知れませんが、電化方式は混在させることができませんので、H5系やEH800形が設備検査をする際には交流20,000Vを止めて、交流25,000Vを流さないといけません。
もちろん日中に通過する特急「スーパー白鳥」や「白鳥」は本州と函館を結ぶ重要な役割を果たしていますので、むやみに運休させることはできません。
(「スーパー白鳥」クハ789-202・中小国~津軽今別・2012年12月4日)
ですから、まずは深夜時間の列車が運行しない時間帯を利用して検査を実施する模様。しかし検査内容によっては運行しない時間帯を拡大する日があるそうで、その場合は貨物列車や夜行列車の運休、時刻変更、運転日変更などが発生する場合があるそうです。
この設備検査ですが、今年10月から新中小国信号場~木古内間でEH800形を使用した検査を開始。12月からは奧津軽(仮称)~新函館(仮称)間でH5系を使用した設備検査が始まります。そして2015年度からは新青森~奧津軽(仮称)間での設備検査を開始するそうです。
以降、北海道新幹線開業までH5系やEH800の試運転が実施されると思いますが、当然、昼間の試運転をする必要もあると考えられるわけで、そうなってくると津軽海峡線の運行にどんな影響が出て来るのか、いろいろと気になるところですね。