
(クハ207-901・代々木上原・1987年1月)
この編成は試験的意味合いが強かったため900番代として登場しました。
SC20形と呼ばれるVVVFインバータ主回路装置は、1台のインバータで4個のMT63形三相交流かご形誘導電動機を駆動する、いわゆる1C4M方式で、各電動車に1台搭載されました。このSC20形は比較検討のため5メーカーが製造しましたが、設計に関してはインバータユニットを東芝が、ゲート部分を日立製作所が担当し、励磁音の差もほとんどありませんでした。その磁励音は東急9000系に似ていました。
モハ207形900番代にはパンタグラフと電動空気圧縮機(CP)を搭載。

(モハ207-901・松戸・2009年1月7日)
901と903は東芝製のインバータを搭載し、902は富士電機製を搭載しています。
モハ206形900番代には電動発電機(MG)を搭載。

(モハ206-901・松戸・2009年1月7日)
インバータは3両ともメーカーが異なり、901は三菱電機、902は日立製作所、そして903は東洋電機製造のものを搭載していました。
車体は205系の軽量ステンレス構造をベースとして、地下鉄千代田線乗り入れ対策を施しています。

(クハ206-901・代々木上原・1987年1月)
207系900番代は1987年4月にJR東日本に承継され、前面あったJNRマークはわずか3ヶ月ほどでJRマークに変わっています。

(クハ206-901・我孫子・2009年1月7日)
元々試験的要素が強かったことと所要数が1編成のみで足りたこと、さらに製造コストなどの問題もあって207系が量産されることはありませんでした。なおJR西日本が207系を製造していますが国鉄207系とは全く無関係です。
製造以来常磐線緩行と千代田線で活躍を続けてきた207系900番代ですが、同僚の203系共々E233系2000番代に置き換えられることが決まり、2009年9月に営業運転から引退。12月5日にさよなら運転を実施後2010年1月5日に長野総合車両センターに配給輸送されて廃車されてしまいました。
保存されることがなかった207系900番代ですが、東京総合車両センターにMT63形主電動機が保存されていて、一般公開で見ることができます。

(東京総合車両センター・2009年8月29日)
学生時代は結構お世話になった207系900番代。

(クハ207-901・松戸・2009年1月7日)
この励磁音は今も耳に残っています。