【国鉄形電車の思い出】Part113 国鉄形最初で最後のVVVFインバータ車207系900番代 | はやこま すていしょん!

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更新頻度は遅めですが、日々の出来事や趣味的なことを書いていこうかなと思っています。若干鉄分は濃い目の予定(笑

現在の電車では当たり前の制御方式であるVVVFインバータ制御は、1982年頃から私鉄、地下鉄での実用化が始まりました。国鉄でも北陸新幹線の急勾配区間を走行するためにはVVVFインバータ制御が妥当との判断がなされ、研究開発が進められて来ました。その結果を反映させて1986年11月に10両編成1本が製造されました。
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(クハ207-901・代々木上原・1987年1月)
この編成は試験的意味合いが強かったため900番代として登場しました。

SC20形と呼ばれるVVVFインバータ主回路装置は、1台のインバータで4個のMT63形三相交流かご形誘導電動機を駆動する、いわゆる1C4M方式で、各電動車に1台搭載されました。このSC20形は比較検討のため5メーカーが製造しましたが、設計に関してはインバータユニットを東芝が、ゲート部分を日立製作所が担当し、励磁音の差もほとんどありませんでした。その磁励音は東急9000系に似ていました。

モハ207形900番代にはパンタグラフと電動空気圧縮機(CP)を搭載。
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(モハ207-901・松戸・2009年1月7日)
901と903は東芝製のインバータを搭載し、902は富士電機製を搭載しています。

モハ206形900番代には電動発電機(MG)を搭載。
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(モハ206-901・松戸・2009年1月7日)
インバータは3両ともメーカーが異なり、901は三菱電機、902は日立製作所、そして903は東洋電機製造のものを搭載していました。

車体は205系の軽量ステンレス構造をベースとして、地下鉄千代田線乗り入れ対策を施しています。
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(クハ206-901・代々木上原・1987年1月)
207系900番代は1987年4月にJR東日本に承継され、前面あったJNRマークはわずか3ヶ月ほどでJRマークに変わっています。
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(クハ206-901・我孫子・2009年1月7日)
元々試験的要素が強かったことと所要数が1編成のみで足りたこと、さらに製造コストなどの問題もあって207系が量産されることはありませんでした。なおJR西日本が207系を製造していますが国鉄207系とは全く無関係です。

製造以来常磐線緩行と千代田線で活躍を続けてきた207系900番代ですが、同僚の203系共々E233系2000番代に置き換えられることが決まり、2009年9月に営業運転から引退。12月5日にさよなら運転を実施後2010年1月5日に長野総合車両センターに配給輸送されて廃車されてしまいました。

保存されることがなかった207系900番代ですが、東京総合車両センターにMT63形主電動機が保存されていて、一般公開で見ることができます。
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(東京総合車両センター・2009年8月29日)

学生時代は結構お世話になった207系900番代。
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(クハ207-901・松戸・2009年1月7日)
この励磁音は今も耳に残っています。