
(「マリンライナー」クハ711-901・小樽・1989年8月)
電化開業以来ずっと活躍し続けてきた711系900番代試作車S901編成。廃車された後も苗穂工場構内で保管されています。
711系は1967年に試作された900番代、1968年の滝川電化にあわせて登場した0番代、1969年の旭川電化に備えて登場した50番代(クハ711形は0番代継続)。そして1980年の室蘭本線、千歳線電化で増備された100番代が登場。

(クハ711-209・小樽・1989年8月)
721系、731系の増備で900番代、50番代、0番代は消滅。現存する711系はすべて100番代のみ。3扉化改造車や冷房改造車も登場しましたが、引退の日が近づいてきています。
1977年に登場したキハ40形100番代は、老朽化したキハ10系を置き換えるために登場した一般形(近郊形)気動車で、1982年までに150両が製造され、以後北海道非電化線区の主役となりました。220ps出力のDFM15HSAを搭載。また新製時より全車首都圏色で登場しています

(キハ40 230・小樽・1989年8月)
キハ40系北海道向けに車は両運転台のキハ40形100番代150両の他に、片運転台トイレ付きのキハ48形300番代が4両、トイレなしのキハ48形1300番代が3両製造されています。711系と同様小型二重窓と空気バネ台車を持っていました。
キハ40形100番代は1988年に9両が急行形キハ400形100番代に改造され、残った141両も1990~1994年にかけてワンマン化されて700番代となったため区分代消滅しましたが、その後も再改造されるなどして、現在も北海道非電化線区の主役として活躍しています。
北海道国鉄電化発祥の地、小樽は北海道鉄道発祥の地でもあります。これは幌内炭鉱から石炭を小樽港から船積みしていたからで、小樽港に隣接した手宮駅(現在は廃止)には、ヤードと機関庫、工場などが設置されていました。
この手宮機関庫とホームを活用して1963年に開館したのが北海道鉄道記念館。その後手宮線の廃止に伴い手宮駅のヤードに国鉄の車両を搬入、展示されました。
開館当初は7100形しづか号、7150形大勝号などの古典蒸気機関車や、キ600形ロータリー車、キ800形マックレー車などの除雪車を機関庫に展示。そして国鉄形蒸気機関車をホームに横付けして展示していました。

(C55 50・北海道鉄道記念館・1989年8月)
C62 3もここで保存されていました。
新たにヤードに展示された車両は国鉄時代末期を彩ったディーゼル機関車、電気機関車、気動車、客車、貨車が集められ多種多彩となっていました。ここではそのなかから一部を。
北海道の特急列車のパイオニア、キハ80系。

(キハ82 1・北海道鉄道記念館・1989年8月)
食堂車、キシ80形も保存されていました。
急行形気動車キハ56系。

(キハ56 23・北海道鉄道記念館・1989年8月)
キハ27形、キロ26形も保存されています。その他キハ20系キハ22形やキハユニ25形もありました。
北海道電化のパイオニアED75形500番代。

(ED75 501・北海道鉄道記念館・1989年8月)
雪害対策のため、全サイリスタ方式を採用しましたが、誘導障害が発生したため1両だけの試作に終わりました。もっとも蒸気発生装置を積んでいないため、全サイリスタ方式が実用化されたとしてもED75形にはならなかったと思いますが。
量産型電気機関車であるED76形500番代。

(ED76 509・北海道鉄道記念館・1989年8月)
客車も多数保存されています。

(スハフ44 1・北海道鉄道記念館・1989年8月)
まだまだあるのですが、ここでは一部だけご紹介。ほとんどは現役時代を知っていた車両なので、保存されているのが嬉しくもあり、引退していることが信じられなくもあったのを覚えています。
手宮鉄道記念庫は、その後展示スペースを整備して小樽交通記念館となりましたが、現在は小樽市総合博物館に編入されています。ただ、痛みが目立つ車両が多くなってきているのが気掛かりです。