【国鉄形電車の思い出】Part82 381系投入線区3線3様 | はやこま すていしょん!

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更新頻度は遅めですが、日々の出来事や趣味的なことを書いていこうかなと思っています。若干鉄分は濃い目の予定(笑

381系が投入されたのは中央西線、篠ノ井線の「しなの」と阪和線、紀勢本線の「くろしお」、そして伯備線、山陰本線の「やくも」の3線区。「しなの」には乗り機会が何度もあり、「やくも」に至っては瀬戸大橋を渡る姿まで見ていながら、なぜか写真を撮っていないという、悔やんでも悔やみきれない思い出がありました。そして気がつけば381系JR東海承継車は6両編成2本が臨時「しなの」運用を中心に残るのみとなっていました。
そしてなんとかJR東海381系をカメラに納めることができたのは2004年のこと。出張に出向いた際、名古屋での乗り換え時間に白馬から名古屋へ戻ってきた381系と出会うことができました。
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(「しなの」クロ381-13・名古屋・2004年7月19日)
クロ381形10番代は1988年にサロ381形3両にパノラマタイプの運転台と展望室を設置する改造を実施したもの。この時は12と13が現役でした。
なお「しなの」用サロ381形10両は、全車運転台取り付け改造を実施してクロ381形となりましたが、1987年に改造した0番代7両は簡易型貫通構造の高運転台を取り付けています。また1988年にはクハ381形0番代5両をクロ381形50番代に改造しています。
つまり「しなの」は9両編成10本から6両編成15本に組み替えられたわけですね。

名古屋側先頭車はクハ381形で揃えられました。0番代13両は2001年までに全車廃車となり、それ以降残存していたのは非貫通形のクハ381-121と122です。この2両は「くろしお」編成登場後の1978年に新製されたため、「しなの」編成としては異端でした。
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(クハ381-121・名古屋・2004年7月19日)
新製時は長野側に連結されていたクハ381-121ですが、長野側がクロとなったため方向転換しています。なおクハ381形は両渡り構造なので方転自在です。

続いて381系と出会いというか再会したのが「やくも」。といってもこの頃は岡山駅での乗り換えの合間に見かける程度でしたが。
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(「やくも」クハ381-129・岡山・2005年3月28日)
1982年の伯備線、山陰本線電化に際して登場したのが「やくも」編成。折しも国鉄は財政難だったため、上越新幹線開業で余剰となる183系1000番代の転用を検討したようですが、地元の猛烈な反対にあって、381系投入となった経緯があります。新設された出雲電車区に9両編成9本が投入されました。また「やくも」編成は側面の非常口が廃止されたのも特徴となっています。

そんな「やくも」編成は、1986年11月1日のダイヤ改正で単編成化を実施。その内容は9両編成9本からからクハ381+モハ381+モハ380を抜き取り、残った編成のモハ381形9両を先頭車化してクモハ381形とするものでした。
抜き取られたクハ381+モハ381+モハ380のうち18両は日根野電車区に転属して485系「くろしお」編成を置き換えました。そして残った3ユニットは増結用としたため、クモハ381形は簡易型貫通構造となりました。
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(「やくも」クモハ381-5・岡山・2005年3月28日)
381系の先頭車化改造はこれが最初。またアルミ車体に普通鋼製の先頭部を結合する改造もこれが最初です。貫通扉に取り付けられている特急シンボルマークは、連結時に邪魔にならないよう平面なものになっているのは、簡易型貫通構造共通の特徴です。
なお「やくも」編成はリニューアル改造に伴ってこの塗色に変更されていました。

この年「くろしお」編成とも初めて出会いました。
「くろしお」編成は1978年の紀勢本線電化にあわせて日根野電車区に9両編成12本が投入されています。また「くろしお」編成からクハ381形が非貫通構造の100番代となりました。1985年3月14日ダイヤ改正からは7両編成に季節減車するようになりました。
1986年11月には出雲電車区から381系モノクラス6両編成3本が転入して485系を置き換えています。

「くろしお」は阪和線天王寺駅始発でしたが、1989年7月22日から新大阪、京都駅への乗り入れが始まりました。
時を同じくして381系のグレードアップ改造を実施して「スーパーくろしお」が登場。1991年までに6両編成5本、3両付属編成3本が改造されました。
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(「スーパーくろしお」クハ381-112・高槻~山崎・2005年9月17日)
有名な山崎のカーブですが、381系は車体を傾斜させていません。実は381系が車体を傾斜させた場合、パンタグラフがカーブの内側にずれるため、架線の貼る位置をカーブ内側にオフセットしないと架線からパンタグラフが外れてしまう可能性があるため、対策していない路線では振り子をロックして走行しています。同様の理由で「しなの」は名古屋~大阪間では振り子を作動させていません。
ちなみに中央西線、篠ノ井線、紀勢本線、伯備線、山陰本線は381系対策で架線をオフセットさせて貼っています。

「スーパーくろしお」編成は新宮側にグリーン車を備えた6両編成とし、グリーン車はサロ381形を先頭車化したパノラマグリーン車クロ380形が連結されました。
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(「スーパーくろしお」クロ380-5・高槻~山崎・2005年9月17日)
なお「スーパーくろしお」編成登場時は白地にオレンジと赤帯を巻いていましたが、その後再度塗色を変更して現在の塗色となっています。

1998年には「くろしお」編成のリニューアル工事が始まり、その際にクハ381形100番代をグリーン車化したクロ381形100番代が登場。同時に塗色も現在の塗色となり、またサロ381形は普通車に格下げしてサハ381形となりました。
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(「くろしお」クロ381-124・高槻~山崎・2005年9月17日)
この編成はアコモ編成と呼ばれています。

阪和線での振り子作動区間は鳳~和歌山なのだそうです。
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(「くろしお」クハ381-111・紀伊中ノ島・2005年12月3日)
たしかに381系のパンタグラフ中央に架線が来ていて、223系ではパンタグラフの左側に架線がずれているので、この区間は381系対応区間といえそうですね。

2006年3月で「スーパーやくも」は「やくも」に統一されました。
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(「やくも」クモハ381-6・岡山・2006年4月1日)
その結果塗色はそのままながらSUPERのロゴが消されています。

JR東海の381系ですが、事実上383系に置き換えられたも同然となっていました。そんななかなんとか白馬行きの臨時「しなの」を捉えたのがこの写真。
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(「しなの」クロ381-13・洗馬~塩尻・2006年10月9日)
車体傾斜している姿を撮ることができなかったのは残念です。
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(「しなの」クハ381-121・洗馬~塩尻・2006年10月9日)
JR東海の381系は2006年、2008年に廃車となり、中央西線から消滅しました。

JR東海381系は消滅しましたが、クハ381-1+モハ380-1+モハ381-1+クロ381-11の4両が美濃太田車両区で保管されていました。
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(クハ381-1・美濃太田車両区・2008年8月6日)
同所には165系やキハ58系、キハ80系、キハ181系など多数の車両が保管されていましたが、状態はいいとは言い難かったのも事実。
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(クロ381-11・美濃太田車両区・2008年8月6日)
この4両のうち、クハ381-1とクロ381-11はリニア・鉄道館で保存されることになり、きれいに整備されました。
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(クロ381-11・リニア・鉄道館・2011年4月4日)
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(クハ381-1・リニア・鉄道館・2011年4月4日)
この2両は今後とも振り子特急の生き証人として歴史を語り継ぐことでしょう。しかしモハユニットはまだ美濃太田にあるらしいのですが、こちらはそのうち解体されるのでしょうか?