
(「やくも」クハ381-133・豪渓~日羽・2009年5月6日)
半径400m以上のカーブ区間で本来の制限速度=本則よりも20km/h速い速度で通過するためにコロ式自然振り子機構を搭載しています。ちなみに振り子機構がなくても本則+20km/hで走行することはできるのですが、乗客が感じる横G=超過遠心力が、運輸省が定めた「乗客が不快に感じない乗り心地である0.08G」を上回ってしまうため、この超過遠心力を低減させるために振り子機構が必要だったわけです。
振り子機構をスムーズに作動させるために車体はアルミとして軽量化、空調を含めて重量物はすべて床下に搭載して重心を下げています。そして床下機器が遠心力でカーブ外側に投げ出されることを利用して車体をカーブ内側に傾けます。この外的要因で車体を傾斜させる機構を自然振り子装置と呼びます。屋根上にはベンチレーターとパンタグラフしかありません。本来は運転台も低運転台の方が好都合なのですが、最初に登場した0番代は当時のトレンドに倣い高運転台貫通構造を採用しています。

(クハ381-1・リニア・鉄道館・2011年4月4日)
しかし、低重心化のために床面高さは181系と同等の1,105mmとなっています。屋根高さは3,383mで181系の3,350mmよりは高いですが、183、485系の3,475mmよりは低く、空調を床下搭載としたためにより一層低く見えます。なお空調を含めて床下に搭載機器が集中しているため、全長は21,300mmと181、183、485系の20,500mmよりも長くなりました。
車体の傾斜角度は5°。そのため車両限界に抵触しないように車体の上下を絞り込んでいるのも381系の特徴です。

(クハ381-1・リニア・鉄道館・2011年4月4日)
また車端ダンパの取り付け位置も連結器下にあり、その関係でジャンパ連結器は妻面部に移動。そのため、妻面を窪ませてジャンパ連結器を備えているのも特徴となっています。
台車も特殊で動力台車はDT42、付随台車TR224を装着。

(クハ381-1・リニア・鉄道館・2011年4月4日)
台車枠上に円筒形のコロを搭載して、その上に円弧状の振り子はりを乗せています。そして振り子はり上に空気バネを搭載。空気バネは車体を直接支えるダイレクトマウント構造となっています。

軸箱支持装置もゴム支持平行両板バネ式を採用するなど、新性能電車の標準品とは仕様がかなり異なります。

(クハ381-1・リニア・鉄道館・2011年4月4日)
主制御器はCS15の後継となるCS43をいち早く採用。主電動機はMT54よりも200kg軽量化したMT58を採用。高回転形なので歯車比は急行形電車と同じ4.21なのも特徴的です。
車体が傾斜するため、立ち乗り客がよろけないようにシートにはグリップがつきました。

(クハ381-1・リニア・鉄道館・2011年4月4日)
また583系以来のベネシャンブラインドが装備されました。

(クハ381-1・リニア・鉄道館・2011年4月4日)
381系はモハ380+381のユニットとクハ381もしくはサロ381で3両1ユニットを構成していました。これは電動発電機(MG)をクハ381とサロ381に、電動空気圧縮機(CP)をモハ380に搭載したためですが、これも他の特急形電車とは異なっていました。
そんな381系ですが、初めて見たのは1993年ごろ。そして初めて乗ったのはいつだったか忘れましたが名古屋~大阪で乗車。その後中央西線でも乗車しているのですが、振り子酔いには全然見舞われませんでしたが、なぜか写真を撮っていなかったようでした。
結局最初に写真を撮ったのは、米子駅で見た「やくも」。

(「やくも」クハ381-100・米子・1998年4月)
リニューアルされてカラーリングが一新されていましたが、多分これが初めて撮った381系の写真の様です。
そして新見から米子まで乗車したのが「スーパーやくも」。

(「スーパーやくも」クハ381-100・新見・1998年4月)
1994年12月から速達列車を「スーパーやくも」とし、これに合わせて普通車のリクライニング角度が深くするなどのグレードアップ改造が実施されていました。
しかしこのあとまたしばらくご無沙汰状態で、次に出会うのは6年後になります。