
(「光のページェント号」クハネ583-8・福島・2005年12月30日)
ここまできれいに復元したのは、青森の583系がATS-Pを搭載していて首都圏への乗り入れが可能だったこと。
そして座席にも寝台にも使用できる万能性をアピールして様々な需要に対応しようと考えたからです。
また、この「光のページェント号」のように臨時列車にもよく使用されていました。ちなみにこの時久しぶりに583系に乗車して仙台まで行き、東北本線の峠区間の力走を堪能しました。
583系の活躍はそれだけではなく、磐越西線の快速「あいづライナー」にも時折使用されました。

(「あいづライナー」クハネ583-17・広田~会津若松・2007年8月26日)
この頃には床下機器がグレーに塗装されています。ちょっと国鉄のオリジナル感が損なわれてしまいましたが、個人的には嫌いではありませんでした。
これは「あいづライナー」用の485系が1編成しかないためで、485系を検査している時や、他の運用に充当しているとかは、代走として583系を使用したわけです。そのためにヘッドマークもちゃんと用意されていました。

(「あいづライナー」クハネ583-8・磐梯町~東長原・2007年8月26日)
磐越西線は短い路線ながら撮影しがいのある路線。意外にも583系が馴染んでいるように見えました。
リバイバル列車にも度々使用されていました。583系「ひばり」は5年ぶりの走行。

(「ひばり」クハネ583-8・越河~白石・2007年12月15日)
編成は6両とすっかり短くなってしまいましたが、やはり東北本線を走る姿が一番似合います。このときは上野方をイラスト入りマークとしていました。
下り列車は文字マークが先頭。

(「ひばり」クハネ583-17・豊原~白坂・2007年12月16日)
ここは有名な撮影ポイントで、上下線の間にあるコンクリートスペースから撮影できたのですが、現在は立ち入り禁止になっています。
一方JR西日本京都総合車両所の583系は10両編成6本が「きたぐに」や波動用で活躍していましたが、2007年にB01編成、2010年にB02、B03編成が廃車されて半減。残ったB04~06編成も車両の組み替えを行なった結果2両のみ存在したクハネ583が消滅。JR西日本の先頭車はクハネ581のみとなしました。

(「きたぐに」クハネ581-37・長岡・2008年3月30日)
そして2012年3月のダイヤ改正で「きたぐに」は臨時列車に格下げ。583系もサロネ581を含む3両が減車されて7両編成に短縮されてしまい、運転区間も湖西線経由に変更するなどの大きな変化を迎えました。
そんな京都の583系と裏腹に、定期運用を持たないものの多彩な活躍を見せたのはやはり仙台の583系。

(「ふくしま花見山号」クハネ583-8・槻木~岩沼・2008年4月5日)
毎年春には「ふくしま花見山号」を福島~仙台間に運転していました。

(「ふくしま花見山号」クハネ583-17・福島~東福島・2008年4月6日)
引き続き「あいづライナー」の代走にも使用されていましたが、2009年にはリバイバル列車「はつかり」として上野~青森間を運転しています。

(「はつかり」クハネ583-17・尾久~赤羽・2009年3月20日)
しかしヘッドマークがステッカーだったのが残念でしたが、盛岡~八戸間が第3セクター化されて以来のリバイバル運転となったのは注目に値します。
南秋田運転所(現・秋田総合車両センター)に転属した583系は、青森時代のままの9両編成で使用されていましたが、車体の痛みが激しくなったため、2006~2007年にかけて6両編成化と共にリニューアル工事を実施しました。

(「ワクワクドリーム号」クハネ583-5・東川口~南越谷)
きれいになった秋田車ですが、貫通扉も埋められたままの姿でした。
2009年12月にはリバイバル列車「なつかしのはつかり」が八戸~青森間で運転されましたが、こちらには秋田車が使用されています。

(「なつかしのはつかり」(回送)クハネ583-20・野辺地・2009年12月5日)
こちらもヘッドマークはステッカーでした。今の583系は昔の特急のマークが用意されていないのかもしれませんね。
秋田の583系と言えば年に1度、正月にだけ運転されていた「かもしか」代走が有名でした。これは正月の「かもしか」を6両編成に増結する際、1運用は485系3両編成を2本併結して6両編成化し、もう1運用に583系を代走させるというものです。
2009年に撮影しに行った時は485系新潟車が代走の代走に入って空振り。リベンジを期した2010年正月でしたが、この時が豪雪に見舞われました。

(「かもしか」クハネ583-5・秋田~土崎・2010年1月1日)
かろうじてヘッドマークが確認できたのは幸い。しかし、この年の12月の東北新幹線新青森開業で「かもしか」は「つがる」に統合されてしまったため、この姿を見ることはもうできません。
そればかりかこの583系秋田車の姿も今は見ることができません。

(クハネ583-20・青森・2010年3月19日)
秋田車は老朽化が著しく、2011年9月に廃車解体されてしまいました。
その秋田車が廃車となる1ヵ月前の2011年8月に583系仙台車が秋田に転属しています。これは「日光」「きぬがわ」に使用していた485系小山車が253系1000番代に置き換えられて仙台に転属したことによって「あいづライナー」用485系が2編成となり、583系による代走の必要性がなくなったこと。そして秋田では583系の需要があったためです。

(「あいづライナー」クハネ583-17・喜久田~安子ヶ島・2011年8月6日)
583系「あいづライナー」もこの時が最後だったので、乗って撮って楽しませてもらいました。
「きたぐに」の臨時化で見る機会が激減したJR西日本の583系ですが、2012年の吹田総合車両所一般公開では元気そうな姿を見せていました。

(クハネ581-33・吹田総合車両所・2012年10月27日)
しかし噂では臨時「きたぐに」の設定はこの年末年始が最後なのだとか? 真相は不明ですがJR西日本583系の今後の動向が気になります。
なおJR西日本が発表した鉄道博物館にはクハネ581が入りそうですので、こちらには期待したいところです。
結局最後まで残るのは2代目秋田車N1、N2編成ということになりそうですね。

(「津軽」クハネ583-17・新青森・2012年11月24日)
2代目秋田車は「ワクワクドリーム号」の他、リバイバル列車「津軽」や臨時「あけぼの81、82号」に使用されています。今しばらくは東京にも元気な姿を見せてくれそうですね。
583系の寿命を縮めた昼夜兼用構造が、結果的に延命の要因となっているのは皮肉とも言えます。