しかし車両基地の設備改良が歩調を合わせていたわけではなく、車庫の長さの関係で長編成のまま検修することが困難な場合も多かったり、頻繁に編成の組み替えを行なう場合は運転台のない中間車は不便だったようです。その結果、72系の中間電動車、モハ72の一部には簡易運転台を装備して基地構内で運転を行なっていました。
新性能電車時代に入ってから登場した151系特急形電車は、サロ151に簡易運転台を装備。同様に153系サロ152、165系サロ165、169系サロ169にも簡易運転台が装備されました。

ちゃんと前照灯と尾灯がついていてちょっと可愛い感じですね。なお485系、489系、583系では食堂車に簡易運転台を設けていました。
また東京メトロにも簡易運転台を備えた車両があります。
その後国鉄の電車は単編成化が進んだので簡易運転台付車両は登場しませんでしたが、1996(平成8)年にJR北海道が増解結をスムーズにして柔軟な運用を組むことを目的に、キハ283系の中間車に簡易運転台を備えたキハ282形2000番代を製造しました。

この簡易運転台にはATSなど保安装置が搭載され、本線走行が可能なのが大きな特徴でした。そのため、かつては札幌~札幌運転所間の回送列車の先頭に立っていたこともあるそうです。しかし現在はそのような運用はありません。
同様の目的でキハ183系の中間車、キハ182に簡易運転台を取り付け改造したキハ182形100番代もありましたが、こちらは2007(平成19)年までに全車廃車となりました。
2002(平成14)年に登場した789系も増解結が頻繁に行なわれるため、HE-100編成のモハ788形100番代の青森方とHE-200編成のモハ789形200番代の函館方には簡易運転台が備わっています。

こちらは函館駅が函館運輸所に隣接しているため本線走行を考慮していないようです。
2005(平成17)年にHE-100編成が3両に増結された際に増備されたサハ789形100番代にも簡易運転台が備わっています。
2001(平成13)年に登場したJR東日本E257系の付属編成は、クハE257+クモハE257の2両編成となっていますが、クモハE257には簡易運転台を装備。

ご覧の通り前面デザインも簡易的ですが、クモハと名付けられているとおり本線走行は可能な様です。新宿でこの顔を見ることはできませんが、松本に到着したE257系はホーム停車中に基本編成と付属編成を切り離すみたいで、クモハE257を先頭に走行する姿を見ることができます。
この顔を先頭に本線を走ったら、Nゲージ的でさぞ面白いだろうな~て思っちゃいますね。