
(723-9001/723-27・東京・2012年10月27日)
そう700系の量産先行試作車C1編成が入線していました。量産先行試作車はJR東海とJR西日本の共同開発によって1997(平成9)年にC0編成として落成。
JR東海は300系と同じ車両定員、座席配置、扉配置として効率的な運用を図りつつ、製造コストダウンと軽量化を目標とし、一方JR西日本は500系の300km/hに及ばないまでも300系の270km/h以上の最高速度が出せることと、500系の台車を装着できることを要望していました。

(「ひかり」722-9001・静岡・2012年2月4日)
製造コストダウンと軽量化のためにアルミダブルスキン構造を採用。また4両1ユニット構成や、新ボディマウント構造と呼ばれた床下機器搭載方法などは500系の技術をベースとしています。
登場当初は下枠交差式パンタグラフと大型パンタグラフカバーを搭載していましたが、程なくして低騒音シングルアームパンタグラフを開発し、500系の碍子オオイをベースとした碍子カバー+2面側壁を新採用。また500系で実用化されたセミアクティブサスペンションを先頭車とパンタグラフ搭載車、グリーン車に搭載するなど、文字通り300系と500系のいいとこ取りをして開発されたのが700系でした。
JR西日本が要望した270km/h運転に関してはエアロストリーム形状と呼ばれる先頭部形状を開発し、285km/h運転を可能としました。このエアロストリーム形状は、最後尾車となった際には空気の流れを整流することで尻振りを低減させる効果も狙っています。
こうして登場した700系C0編成の試験結果を反映させて登場したのが700系量産車。では量産先行試作車と量産車の違いってなんなのでしょう?
実は先頭部の長さが違います。

(723-9001/723-27・東京・2012年10月27日)
量産先行試作車の先頭部長さは8.5m。対する量産車の先頭部長さは9.2mで実に0.7m(70cm)も長さが違います。これは量産先行試作車の空力性能が目標値に届かなかったわけではなく、運転室の面積を拡大して乗務環境を改善したため。といっても写真ではわかりにくいですね。
でも乗務員扉と乗降扉上の雨樋の位置が全然違のがわかると思います。
この先頭部の長さの違いに対して、客室の寸法は変わっていません。従って70cm分の寸法差は、1号車では便洗面所部分の寸法を変えて対処しています。

(723-9001・東京・2012年10月27日)
この部分が量産車は70cm短くなっているわけですね。
16号車は、公衆電話を15号車に移設してスペースを確保しました。

(724-9001・東京・2011年4月9日)
その他、量産先行試作車の先頭部下部には手すりがついています。

(723-9001/723-27・東京・2012年10月27日)
アップにするとこんな感じ。

(723-9001・大井車両基地・2010年11月21日)
このほかに11号車の多目的スペースなど配置を変更しています。これは車体強度確保の観点からなのですが、量産先行試作車も量産化改造されたため外観上の違いはなくなったようです。

(726-9701・東京・2011年4月9日)

(726-715・東京・2010年10月23日)
このほかにも細かい違いがあります。このような先行(試作)車と量産車の違いは各形式にもあるのですが、先頭部の長さが明らかに違うのは700系だけです。
さて、N700系1000番代「N700A」の投入が近づいて来ると、JR東海700系の廃車がいよいよ本格化すると思います。700系9000番代量産先行試作車C1編成がいつ廃車になるかはわかりませんが、予断を許さなくなるのも時間の問題と言えるでしょう。