客車を改造したディーゼルカー | はやこま すていしょん!

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更新頻度は遅めですが、日々の出来事や趣味的なことを書いていこうかなと思っています。若干鉄分は濃い目の予定(笑

先日JR東日本が釜石線のSL列車用にJR北海道からキハ141系を購入するというお話しをしました。このキハ141系は50系51形客車をディーゼルカーに改造したものですが、今まで客車をディーゼルカーに改造した事例はいくつかありましたが、成功したのはこのキハ141系ぐらいだと言えます。
なぜキハ141系が成功したのかは過去の事例を見ると明らかだったりします。

キハ40系(キハ08系)
現場からのディーゼルカー要望に応えるために国鉄が1960(昭和35)~1963(昭和38)年オハ60系客車にDMH17Hを搭載してディーゼルカーに改造したものです。
両運転台のキハ40形はオハ62を種車にデッキを移設する大がかりな改造が行なわれました。のちにキハ08形に形式変更。加悦鉄道に譲渡されたキハ08 3が現在も保存されています。
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(キハ08 3・加悦SL広場・2010年4月2日)
片運転台のキハ45形はオハフ62を種車として車掌室を運転台に改造しました。後にキハ09に改番されています。
その他にオハフ61形を改造した制御車キクハ45形とオハ62形を改造した中間付随車キサハ45形もありましたが、いずれも短命に終わっています。
結果的には重い客車に非力なエンジンを搭載したことが致命的で、改造が大がかりとなったことも問題となりました。当然ながら扱いにくい付随車は論外ということになりました。

キハ33形
JR西日本が50系客車、オハ50形を種車として1988(昭和63)年に2両が改造されました。
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(キハ33 1001・鳥取・2009年5月21日)
エンジンはDMF13HS(250ps)を1台搭載し、台車はキハ58系のDT22、TR51を装着しました。
両端に半室運転台が新設されましたが、その部分の乗降扉が移設するという大がかりな改造が必要となりました。JR西日本はキハ08系の教訓が全く活かされなかったわけです。さらに種車がトイレなしだったため運用面でも不便だったようです。
結局2両だけの改造に終わり、2010(平成22)年引退。1001は津山で保存されています。

このほかJR西日本では12系を改造したディーゼルカーが存在しましたが、いずれも付随車で、オハ12形1000番代改造のキサハ34形0番代とスハフ12形1000番代改造のキサハ34形500番代は氷見線でキハ58系に挟まれて使用されました。
またジョイフルトレイン「セイシェル」の中間車としてスハフ12 701を改造したキサロ59 501も存在しました。
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(キサロ59 501・後藤車両所・2005年3月28日)
これらは簡易的改造の範疇を出ないためディーゼルカー改造とはちょっと違う気がしますね。

そして
キハ141系
JR北海道が1990(平成2)年に札沼線(学園都市線)向けに、余剰となった50系51形オハフ51を改造したディーゼルカーで、全部で44両改造されました。車内はロングシートを増やし、クロスシートは1+2列に変更。客車(PC)にエンジンを搭載したディーゼルカー(DC)ということでPDCと呼ばれていました。

キハ141形は14両改造されました。
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(キハ141-10・札幌~桑園・2010年5月6日)
250ps出力のDMF13HSを1台搭載。台車はキハ56系の廃車発生品のDT22、TR51を装着しています。最高速度は95km/hです。
2005(平成17)年に1が廃車され、2012(平成24)年に6両がミャンマーへ売却、7両が廃車されました。

キハ142形はDMF13HSを2台搭載した車両です。
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(キハ142-12・あいの里公園~石狩太美・2010年5月6日)
トイレは撤去されました。基本的にキハ141とペアを組んでいました。やはり非冷房車。114はキハ143形、キサハ144形の半自動ドアを制御する機能を追加し、201は改造当初から同機能を備えていました。
キハ141形同様、2005(平成17)年に1が廃車され、2012(平成24)年に6両がミャンマーへ売却、7両が廃車されました。

キハ143形は1994(平成6)年から改造され、100番代(101~104)がトイレなしで150番代(151~157)がトイレ付きです。
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(キハ143-103・札幌・2009年3月28日)
エンジンは460ps出力のN-DMF13HZDを1台搭載、台車はキハ150形の空気バネ台車N-DT150A、N-TR150Aを装着し最高速度も110km/hに向上しました。デッキを撤去し、ボタン式半自動ドアに改造。後に冷房装置を搭載しています。
現在室蘭本線でのワンマン運転用改造などが実施されています。

キサハ144形は1994(平成6)年に改造された中間付随車。
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(キサハ144-103・札幌・2010年6月2日)
中間車ですが種車はオハフ51形を用いていました。台車はTR51。トイレなしの100番代3両とトイレ付きの150番代1両が存在しましたが、151もトイレを撤去して104に改造されています。冷房装置と冷房用発電セットを備えています。
現在は廃車されたようです。

なおJR東日本へ売却されるの廃車となったキハ141、キハ142、キサハ144のどれかのようです。

このキハ141系の特徴は種車が全車緩急車のオハフ51だったということ。種車となったオハフ51は両端に車掌室を備えていましたが、スペースが広いトイレ側の車掌室を運転台に転用。乗務員扉もそのまま流用しました。反対側の車掌室は撤去されましたが、乗降扉や窓はそのままとして改造費を抑制しています。
キハ08を改造したのが苗穂工場だったため、当時の教訓が活かされたのかもしれませんね。
いずれにしてもこのPDCは当分活躍するようです。