国鉄形新性能電車第2世代。MT54世代の近郊形、急行形電車は平坦線区用と勾配線区用の2系統での増備が計画されました。
平坦線区用は113系、163系、403系、415系、423系、453系、473系。
そして抑速ブレーキ装備の勾配線区用は115系、165系、455系、457系、475系という感じなのですが、そんな平坦線区向け直流急行用として計画されていたのが163系です。
平坦線区向けということで、MT54向けに容量を拡大したCS12主制御器を搭載し、抑速ブレーキを持たないわけですが、問題となったのは163系の投入先でした。
そう、直流の平坦区間って実は意外と少なかったんです。
1964(昭和39)年に開業した東海道新幹線によって平坦線区向けの153系が活躍の場所を失っている一方で、新規に電化した平坦線区は房総線ぐらいしかない状況。こうなれば勾配線区用の165系を増備した方が経済的という結論に達したようでした。
その結果163系は、153系の増備名目でサロ163が7両製造されたにとどまりました。

(サロ163-3・東京・1982年8月)
第2世代新性能電車の平坦線区向け急行形電車は453系が21ユニット製造されたのが最大で、473系は1ユニット2両と、少数派に終わっています。
そのなかで中間車しか存在しない163系のレア度は際立っていました。
1969(昭和44)年にはサロ163-7がサロ112-51に改造され、最後まで活躍したのは1~6の6両。この6両も1983(昭和58)年までに廃車になりました。
もの凄く地味ですが、もの凄く印象に残っていたのが163系でした。