「はやぶさ」「さくら」「みずほ」復活前夜(その2)九州ブルトレの終焉と新幹線時代へ | はやこま すていしょん!

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更新頻度は遅めですが、日々の出来事や趣味的なことを書いていこうかなと思っています。若干鉄分は濃い目の予定(笑

ブルトレブームに沸いた1970年代後半でしたが、実は国鉄の赤字問題はかなり深刻な状況になってきていて、しかもブルートレインも航空機にシェアを奪われて衰退している時期でもありました。実際1980年10月1日のダイヤ改正で「富士」の運転区間を東京~宮崎間に短縮して、24時間以上運転する最長距離列車は消滅。この時「はやぶさ」が日本最長距離の特急となりました。
 国鉄ではブルートレインの復権をかけてあの手この手の作戦を展開し始めます。1983年から「さくら」「みずほ」の14系B寝台を2段化する改造が始まり、1984年7月には「さくら」「みずほ」の基本編成にB寝台4人用個室「カルテット」を連結しています。また前回のブログに書いた通り、1984年2月1日からの九州内でのブルトレヘッドマークが復活するなどこの時期のブルトレは話題性も豊富でした。その一方で「みずほ」の食堂車の営業を簡易化するなどの合理化も行なっています。
 そして1985年3月14日、「はやぶさ」編成にロビーカーの連結を開始しました。この結果「はやぶさ」編成は15両となり、EF65PFでは牽引定数をオーバーするため、なんと牽引機が高速貨物機のEF66に変更されるという歴史的出来事が起きました。もちろん「はやぶさ」のみでは運用効率が悪いため、他の九州ブルトレもEF66牽引に変更となり、これに合わせて「さくら」「富士」はヘッドマークもモデルチェンジしました。
 国鉄分割民営化を控えた1986年11月1日。「はやぶさ」と「富士」編成は共通運用化の上、基本編成を鹿児島運転所持ちに、付属編成は熊本客車区に運用移管しました。また「さくら」「みずほ」も基本編成が熊本客車区、付属編成が従来どおり品川客車区の受け持ちに変更されています。この時に向日町運転所から転属した14系15形が「さくら」「みずほ」にも充当されることになりました。

 1987年4月1日、JRが発足しましたが、ブルトレの合理化はさらに進みました。1989年3月11日に「はやぶさ」「富士」にB寝台1人用個室「ソロ」連結したものの、1991年5月31日には「みずほ」の食堂車営業を廃止して売店化しています。1993年3月17~18日には「はやぶさ」と「さくら」の食堂営業も相次いで廃止して売店化。
 さらに1994年12月3日には「さくら」の長崎・佐世保編成を基本編成のみに完全共通化し、車両を熊本から長崎に転属させました。この結果品川受け持ちの14系編成は消滅したわけですが、同時に「みずほ」が廃止されました。これが九州ブルトレの本格的撤退の始まりとなります。

 この当時、僕は会社員として駆け出しだったこともあって鉄道写真を撮影する機会が激減してしまい、そのためこの時期は鉄的ブラックホールになっています。そんな中で1996年頃、新しいカメラを導入したのを機に久しぶりに鉄道を撮影しました。この時早川~根府川に行って撮ったのがこの「はやぶさ」と「さくら」です。
ぬまっちのヲタクな日常(仮)ぬまっちのヲタクな日常(仮)
すでに「みずほ」は廃止されていましたが、「はやぶさ」の食堂車オシ24の白い帯が目立ちますね。

 このあと1997年11月29日には「はやぶさ」編成からオシ24が外されると共に、運転区間が東京~熊本間に短縮されました。この結果日本最長距離特急の座は「さくら」長崎編成が受け継ぐことになりましたが、「カルテット」の連結が廃止されています。
 さらに1999年12月4日には「さくら」の佐世保編成を廃止して、長崎編成は東京~鳥栖間を「はやぶさ」用24系25形と連結するという、異形式併結という全く新しい運行形態が始まることになりました。長崎所属の14系「さくら」編成は食堂車とA寝台車を外し、「はやぶさ」編成のソロを14系化改造して連結して6両編成を仕立てました。熊本所属の24系「はやぶさ」編成はソロを外した9両編成となり、「富士」はこの両編成を連結した15両編成で運転されました。「はやぶさ」「さくら」の東京~熊本・長崎間という運転区間はまさに廃止前の「みずほ」の運転区間そのものです。
 2002年3月23日には「さくら」の5両編成化と「はやぶさ」の7両編成化を実施。なお「はやぶさ」「さくら」合体ヘッドマークはJR西日本デザインとJR九州デザインは全く異なります。九州では全区間合体ヘッドマークを使用するという合理化徹底ぶりでしたが、晩年はヘッドマークなしの列車も走っていたようです。2005年ぐらいになってようやく仕事的余裕ができたため、再び鉄道写真を撮り始めるようになりまいした。またデジタル一眼レフに移行してたので撮影可能枚数が飛躍的に増えたことも行動しやすくなった要因ですね。そして9年ぶりに早川~根府川に行って撮影したのがこの列車です。
$ぬまっちのヲタクな日常(仮)$ぬまっちのヲタクな日常(仮)
 しかし2005年3月1日でとうとう「さくら」が廃止されてしまいました。日本最長距離を走る定期列車の称号は「はやぶさ」に戻りましたが、同時に24系「はやぶさ」も消滅することになり、この姿は2005年限りでみる事ができなくなりました。
ぬまっちのヲタクな日常(仮)ぬまっちのヲタクな日常(仮)

 九州ブルトレ最終章は「はやぶさ」と「富士」の併結による東京~熊本・大分間の運転となりました。これは「みずほ」の初期の運行形態と同じです。編成は24系が完全撤退し、長崎から熊本に転属してきた14系B寝台車に、オロネ25を改造したシングルデラックスオロネ15-3000を組み込んだ6両編成とされ、ロビーカーが消滅しています。そして2009年3月13日、「ふじぶさ」こと「はやぶさ」「富士」が廃止されて九州ブルトレは完全消滅しました。
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 この頃は仕事として鉄道に関わるようになっていたので、多くの写真を撮る事ができるようになりましたが、それゆえにブラックホールがある事を悔やんでしまいますね。

 それから2年後の3月5日、東北新幹線を「はやぶさ」が走り始めます。まずは300km/hで足慣らししますが、最終的には最速の320km/h運転を実施し東京~新青森を3時間程で結びます。また超豪華なグランクラスも話題を呼びそうです。
ぬまっちのヲタクな日常(仮)ぬまっちのヲタクな日常(仮)

 その1週間後の3月12日には九州新幹線が全通し、新大阪~鹿児島中央を4時間で結ぶ「さくら」、3時間45分で結ぶ速達タイプの「みずほ」が走り出します。
ぬまっちのヲタクな日常(仮)ぬまっちのヲタクな日常(仮)
 今まで一番地味な印象だった「みずほ」が最上位列車になるのは違和感がありますけど、まあそれはそれということですが、この3列車の新時代に期待したいと思います。