札幌市電A830形を求めての想い出話(その2)「A830形と初対面」 | はやこま すていしょん!

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更新頻度は遅めですが、日々の出来事や趣味的なことを書いていこうかなと思っています。若干鉄分は濃い目の予定(笑

 どうやらA830形を見るためには車庫へ行く必要がありそう。でも小学校中学年の頃はおいそれと一人で外出することもできず、それが自宅から遠くにあればあるほどなおさらなわけです。でもようやくチャンスが巡ってきました。従兄弟が北海道旅行でウチに立ち寄った際に連れて行ってもらったのです。というわけで市電に乗って電車事業所前停留所に行きました。電車事業所というのが車庫なわけです。あの頃の様子はあまり覚えていませんが、現在と大差なかったような気がします。確か入り口から見るとA830形の姿は全く見えず「もう廃車になったのかな?」と思いながら周囲を歩いてみたところ、塀の向こうにA830形らしい姿が見えたんですよねぇ。で従兄弟が職員の方に頼んでくれて、A830のところに連れて行ってもらえました。それがこの写真。
$ぬまっちのヲタクな日常(仮)
 1965年製のA830形と御対面です。車庫の一番奥に留置されていたため、全体を撮ることはできませんでしたが、この前面スタイルは明らかに鉄道友の会ローレル賞を受賞した、あのヨーロピアンスタイルですね。と子供の頃はただ単によろこんでいましたね。で、Wikiで調べてみたら、1976年5月に東急車両製のA837~842が名鉄に譲渡されてモ870形になり、日本車両製のA831~836は1976年6月の連接車運行休止後、1977年より長期休車となって1984年に廃車された模様。なるほど僕が札幌に引っ越ししたのは1976年7月だから、A830形の走行シーンを見ることができなかったわけですね。うん納得。

 前述のようにA830形は名鉄に譲渡された車両があったのですが、名鉄の軌道線廃止の直前の2005年にようやく会いに行くことができました。
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 モ870形はスカーレットレッドにカラーリングされ、窓は開閉式に、さらに1996年から冷房装置を搭載するなどのかなりの改造は受けたものの、あの流麗なイメージは残していてくれてたので嬉しかったり。この写真を撮った直後に美濃町線は廃止されて、モ870形も廃車となりましたが、モ875のカットボディが美濃駅跡に保存されているようなので、一度見に行きたいな。


 さて、札幌市電といえばA830形連接車というイメージが強かったのですけど、実際のところはどうだったのかな? と思い調べてみました。すると連接車の前身は1961年に日本車両で製造された親子電車M101形+Tc1形になるようです。
これがM101形(親)
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そしてこれがTc1形(子)
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 親となるM101形は日中は単行で運用し、ラッシュ時はTc1形を連結する運行形態を採用したようですが、実際には増解結が面倒だったらしく常時連結状態で運行していたらしいです。そうなると非貫通構造で運転士1人+車掌2人が乗務する運行形態も不便だということで、以後は連接車貫通編成が増備され、M101形は1970年に単行運転専用化とワンマン化されて使用。大型の側扉が好評だったのか、今も現役で活躍し、塗色も昔のままです。一方Tc1形は1971年に廃車となり、しばらく幌北車庫で保管された後に1975年に開館した交通資料館に保存されています。
 

 連接車の最初は1963年に登場したA800形で日本車両で3編成製造されました。2車体3台車の連接構造を採用し、先頭部を絞り込んだスタイルで登場しました。
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 以後改良型のA810形2編成が1964年に登場。同年にはヨーロッピアンスタイルを初採用したA820形が2編成導入され、A830形に続いて行ったようです。これらは廃車後に譲渡された車両もあったようですが、ほとんどは解体されA801+802が交通資料館で保存されています。この他A821の先頭部が教材として保存されているらしいです。連結車は前回のブログに上げたA870形の他に、570、580形を1965年に連結車化したA850形が存在したようですがいずれも現存しません。

 こうしていろいろ調べて行ったら、実はヨーロッピアンスタイルはA820形が元祖ではなく、その1カ月前に登場したD1040形が元祖だったことがわかりました。これが交通資料館に保存されているD1041号車。D1040形のDとはディーゼルを意味していて、その名の通り世界的にも珍しい路面ディーゼルカーです。
$ぬまっちのヲタクな日常(仮)
 札幌市交通局は非電化区間用として1958年にD1000形を試作。以後D1010形、D1020形、D1030形と製造して運用されましたが、最終的には鉄北線も電化されて、路面ディーゼルカーの大部分は電車化。でもなぜかD1040形は電車化されずに廃車になってます。なんでだろう?

 そして不可思議なのはA820、A830が札幌で保存されていないこと。で、交通資料館に保存されている電車を改めて見るとその理由に気付けるかな?

10形22号
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札幌市電の前身である札幌電気軌道開業時に名鉄から購入。

600形601号(現役時は615号)
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1948年に登場した運輸省企画形で初のボギー車500形に続く、日車標準型ボギー車。大量生産されて札幌の主力となるとともに、初めて電気暖房を装備したらしいです。

320形321号
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札幌市電気局開局30周年となる1957年に製造。

Tc1形
初めての連結車

A800形
初めての連接車

D1040形
初めてのヨーロッピアンスタイル

 う~ん多分エポックメイキング的な車両を厳選したということなのでしょうか? とはいうもののA830形はローレル賞受賞車でもあるわけだし、保存してくれれば良かったのに。もしくは名鉄から引き取れば良かったのにと思うわけです。