【し】尚円(しょうえん) | 公辞苑(ハムじえん)【第二版】

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尚円・・・

1415年~476年。

琉球王国の第二尚氏王統の開祖。

伊是名島の百姓出身であり、即位前は金丸と称する。

各地を放浪するうちに第一尚氏王統の王家の要人に見いだされ重用さる。

第一尚氏王統の尚徳の薨去後、人臣たちによるクーデターが起き、次期王として金丸が招かれ、金丸は即位の際に尚円と名乗る。

ここから始まった第二尚氏王統は、初代国王尚円から数えて19代目の国王の尚泰時代まで約400年続いた。

 

 

 

 

この尚円を取り扱った歴史小説を読みました。

矢野隆さんの『琉球建国記 尚円伝』という作品です。

 

 

琉球の歴史って あまり知らないので、購入して呼んでみた次第です。

 

琉球と言えば・・・

琉球を統一した第一尚氏の尚巴志の名前は、子供の頃に読んだ歴史人物事典で知っていましたが・・・

あとは、大河ドラマで『琉球の風』が放送されていたのを知っていた・・・知っていただけで、見てなく・・・

漫画『花の慶次』で琉球編があったのを知っていたくらいで・・・

ほとんど知らなかったというのが現状です。

 

実際に、第一尚氏と第二尚氏という二つの尚氏があったのを知らず・・・

お触り程度に知った後も、第二尚氏は第一尚氏の傍流だと思っていたら、全然血縁ではないと・・・後から知った次第です。

 

 

 

 

この小説を読むにあたって、尚円を少し知っておこうと思い、関連サイトを見てみますと・・・

 

 

もともとは伊是名島という島の農民で、金丸という名前だったそうで・・・

旱魃の時も金丸の田だけ水が枯れなかったことから、村人たちから水泥棒と疑われ、島から脱し・・・

沖縄本島へ移り、紆余曲折の末に越来王子(後の第一尚氏 第6代国王 尚泰久)に仕え、頭角を表し・・・

越来王子が国王 尚泰久になると、更に重用されたそうです。

尚泰久の死後、その子の第7代 尚徳は暴君で、金丸は隠遁することになるわけですが・・・

第7代 尚徳の死去の際に、その世子を即位させようとしたところ、世は重臣たちに国王としての資質を問われ・・・

金丸を次期王に推す声が大きくなり、金丸が王位につき、尚円と名乗り、第二尚氏の時代へ移ったようです。

 

こういう経緯を見ますと、尚円は徳の高い人物のように思えますが・・・

こういった伝記は、国王となった勝者による歴史伝記であり・・・

本当のところは、よく分からないはずです。

第二尚氏は幕末まで続き、明治時代には華族となってるくらいですから、悪く書かれるはずがないですよね。

 

 

 

『琉球建国記 尚円伝』という小説では、金丸(尚円)は好人物としては描かれておらず、暗部の多い人物として描かれ・・・

何となくスッキリしない・・・モヤモヤっとした形で、成功者となって終わります。

この小説の紹介文には、尚円を「ダークヒーロー」としていましたが・・・

個人的には、「ヒーロー」ではなく、ただの「ダーク」にしか思いませんでした。

 

あとがきで知りましたが、作者の矢野隆さんは、この作品の前に『琉球建国記』という作品を執筆しており・・・

『琉球建国記 尚円伝』では金丸(尚円)の目の上のたん瘤だった再度が、『琉球建国記』の主人公サイドであり・・・

『琉球建国記』では、金丸(尚円)の方が悪役だったようです。

 

 

 

いずれ、『琉球建国記』も読んでみたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

<参考>

玉陵(たまうどぅん)

第二尚氏の歴代国王の墓。

第3代王 尚真が父 尚円の遺骨を改葬するために築いた。