【に】ニッポニウム(にっぽにうむ;nipponium) | 公辞苑(ハムじえん)【第二版】

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特にテーマもなく、徒然なるままに書き綴ってます。

前回の記事に書きましたが・・・
113番元素の元素名案としてnihonium(ニホニウム)、元素記号案としてNhが提案されました。

実は、20世紀の初頭・・・
一部の周期表には、nipponium(ニッポニウム)Npと言う名の元素が載っていたそうです。



ニッポニウムは、1908年(明治40年)に小川正孝博士によって発見されたものです。
小川博士は、ロンドン大学のラムゼイの研究室に留学し、ラムゼイから新種の鉱物「トリアナイト」の分析を任されます。
そのトリアナイトから新元素らしき物質を分離。
さらに、日本に帰国後に「モリブデナイト」という鉱物を分析して、同じ特徴を持つ物質を分離。
この新物質を43番元素に当たると考え、雑誌に発表し、ニッポニウムとの名前をつけたそうです。

しかし、小川博士が発見したのは43番元素ではなかったそうです。
43番元素は半減期が短く、地球上にほとんど存在しないことが後に判明し、ニッポニウムは取り消されてしまいます。
ちなみに、43番元素は1937年にイタリアの研究グループによって人工合成され、テクネチウム(Tc)と名付けられてます。

小川博士の発見した物質は、75番元素だったようです。
75番元素は、周期表で行くと43番元素の一つしたの周期にあり、同じ第7族元素になります。
こちらの75番元素は、1925年にドイツの研究グループにによって発見され、レニウム(Re)と名付けられてます。

ちなみに、小川博士はニッポニウムの再解析を行いたかったようですが、当時の日本では正確な解析できなかったそうで・・・惜しかったですね。