【に】ニホニウム(にほにうむ;nihonium) | 公辞苑(ハムじえん)【第二版】

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113番元素・・・Uut(ウンウントリウム)

2003年9月に理研グループが113番元素の合成実験を本格的にスタート。
実は、同年の8月にドイツの研究グループも113番元素の合成に着手していたが、同年中には113番元素はできず、ドイツのグループは諦めてます。
2004年7月23日18時55分に、理研にて113番元素の合成に成功。
2005年4月2日に2個目の113番元素を合成、3個目は2012年8月12日に合成。
2015年12月31日に、113番元素が正式に新元素として認定されることとなり、理研グループにその命名権が与えられました。

ちなみに、「Uut(ウンウントリウム)」というのは正式な名称が決まるまでの、暫定的な名称です。
「ウン(1)」+「ウン(1)」+「トリ(3)」+「イウム(国際規則で語尾に付けるもの)」です。

そして、2016年6月8日にIUPACによるパブリックレビューが開始され・・・
元素名案としてnihonium(ニホニウム)、元素記号案としてNhが提案されました。

http://www.riken.jp/pr/topics/2016/20160608_1/



元素とは原子の種類のことです。
原子の中心には原子核があり、原子核は陽子と中性子からできてます。
原子に含まれる陽子の数のことを原子番号と呼び、113番元素は原子番号113であり、陽子が113個ある元素になります。
また、陽子と中性子の数の合計を質量数とよんでます。

自然界に存在する元素は、原子番号92のウランまでの92種類になるそうです(正確には93、94番元素もごく微量に存在)。
宇宙誕生直後に存在した元素は、原子番号1の水素がほとんどで、他には原子番号2のヘリウム、原子番号3などがわずかに存在するくらいだったようです。
恒星の内部、超新星爆発、中性子星(中性子が主成分である星)どうしの衝突・・・こういった環境により、ある原子核と別な原子核が衝突・融合し(核融合反応)、別な大きな原子核ができていき、いろいろな種類の元素が増えていったそうです。

原子番号93以降の元素は人工的に合成することで発見されてきてます。
ただ原子番号が大きくなると、陽子の数が多くなり、不安定な状態になります。
原子核中の陽子と中性子は核力でつなぎ留められてますが、プラスの電気を帯びてる陽子がおおくなると、電気的な反発が強くなるため、核分裂(原子番号の小さな複数の元素に分かれる)してしまうそうです。
実は、113番元素の半減期は1000分の2ミリ秒程度で、ほんの一瞬しか存在しないそうです。



理研グループが行ったのは、原子番号30で質量数70の亜鉛(Zn)の原子核を加速させ、現番号83で質量数209のビスマス(Bi)の薄膜にぶつけて核融合を起こさせるといったものでした。
1秒間当たり約2.5兆個の亜鉛ビームをぶつけっていったそうですが・・・
総照射時間が約80日に達した時に、113番元素の合成・検出に成功したそうです。

113番元素は一瞬しか存在せず、あっという間により原子番号の小さな元素へと変わっていきます。
113番元素が合成されたことを確認するため、その崩壊過程を観察するという手段をとり、証明していったそうです。

2個目の113番元素は約30日の照射、3個目は約443日の照射で合成・・・やはり崩壊過程を観察。
その崩壊過程をより強固に証明するために、別な実験なども行ったようです。
(それは端折ります)

実は、ロシア・アメリカの合同研究チームも113番元素の発見を主張していたそうです。
こちらは、115番元素の合成に成功し、その崩壊過程で113番元素になったというもの・・・
また、117番元素の合成に成功し、やはり崩壊過程で113番元素になったというもの・・・です。

理研グループの手法の方がより厳密に存在を証明できたと判断されたようで、113番元素の命名権を与えられたようです。
(ちなみに、ロシア・アメリカの合同研究チームは115番、117番、118番元素の命名権が与えられてます)


今後、120番元素もしくは119番をつくる計画を考えてるそうです。