【た】武田勝頼(たけだかつより) | 公辞苑(ハムじえん)【第二版】

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ちょっと前に、新田次郎 作の小説「武田信玄」を読みましたが・・・

http://ameblo.jp/numach-team/theme-10063124592.html

引き続き、同作者の小説「武田勝頼」を読んでみました。
もともと「続武田信玄」というタイトルで連載してたようですので、本当に引き続きの作品のようです。



武田勝頼と言うと・・・
長篠の合戦の敗者、武田家が滅びた時の当主ということもあり・・・
カリスマ信玄の後を継いで、そのコンプレックスのため信玄色を払しょくするため、老臣の言うことも聞かずに独断なことばかりしてるイメージが強いかと思います。

この小説では・・・
三年間は信玄の死を秘匿せよ、との信玄の遺言に縛られた家臣・親族衆に振り回され・・・
思うが儘に行動を起こせないという逆の形で書かれてます。

皮肉なことに思うが儘に動けるようになったのが、長篠の合戦の後・・・
早期戦線離脱により長篠の敗戦の原因をつくった親族衆の影響力が弱まり・・・
老臣が長篠の合戦で戦死したことにによってです。



この小説では、長篠の合戦について、かなり力を入れて書かれており、なかなか面白いです。
世間一般の織田・徳川鉄砲隊vs武田騎馬軍団という単純な図式では書かれておらず・・・
伯仲した戦いの最中、穴山信君(親族衆の筆頭のような存在)の勝手な行動で、敗れ去っていきます。



穴山信君(梅雪)は最後に勝頼を裏切って、徳川に離反した人物だけあって、この小説では物凄く嫌なキャラクターとして描かれてます。
勝頼と信君の対立や妥協を軸にストーリーが進んでると言っても過言ではないです。

親族衆としては・・・信玄の弟の信廉、勝頼のいとこの信豊と言った人物は、「武田信玄」と時には優れた武将として描かれてましたが、「武田勝頼」の後半では全くと言ってもいいほど、良いところがありません。

また、敵の信長や家康は残虐な君主として描かれており・・・
どうも作者は、この両人が嫌いだったのではないかと思わせるくらいです。

キャラクター的に良い人物として描かれてるは、真田昌幸くらいでした。




武田勝頼は長篠の合戦後、結局は盛り返すことができず、最後は雪崩式に武田家崩壊・・・
読んでて、モヤモヤっとした感じで終わってしまいます。
まぁ、実際に滅んだわけですから、書きかえれず、どうしようもないのですが・・・。