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おだわらぐらし

縁あって暮らす事になった相模の国 小田原
一杯見て 一杯歩いて 一杯味わいたいと思います

秦野の曾屋神社へ行ってみました。

↑いくつもの湧水地を持つ秦野盆地。社が建つ場所のそばにも昔から水の湧く場所があったそうです。
土地の人々はそこに古くから「水の神」を祀り『井之大明神』と崇めていたそうですが、明治5年「一村一社」制により 曾屋村内の複数の社が集められたため 現在の祭神は_
「・水波能売命(ミズハノメノミコト)井之大明神に祀られていた(漠然とした)「水の神」の代表として この女神様が選ばれた のでしょうか?
 ・事代主命 加羅古神社(上乳牛(カミチュウシ)鎮座)
 ・誉田別命 八幡神社(下乳牛(シモチュウシ)鎮座)
 ・伊弉那美命 熊野神社(才ヶ分(サイカブン)鎮座)
 ・加茂別雷命 加茂神社(山谷(サンヤ)鎮座)
 ・菊理比売命 白山神社(中野鎮座)」
_の六柱 だそうです。
(御門(ミカド)にあった 素戔嗚を祀る牛頭(ゴヅ)天王社 も一時合祀されていたそうですが 現在は分祀されているとの事。)


_というところまでを頭に入れて来たのですが、
神社の駐車場を探して くるくる回っていたら
(やっと見つけた)駐車場内にあった この小さな祠 からお参りする事になりました_。

↓駐車場に背を向けて建つ祠_。昔から変わらず この向きで祀られてきたのでしょうか?

結界が張られ 大切に祀られている事がわかります。


↓手前に流れ下る水は 祠の下から湧き出しているようです・・・。


↑木漏れ日が水路に不思議な赤い模様(?)を浮かび上がらせていますね?
↓この赤い色は 陽が当たる所 にのみ見られるようです。

色の正体は「タンスイベニマダラ」という藻~ だそう。後で近くに設置されていたパネルでそうと知る事になるのですが 話がとっ散らかるので ここでは一旦スルー いたします。

祠に向き直ります。

↓あ、水盤横の立て札に「井之明神水」と書かれています!

もしかしたらここは この地に古くから祀られていたという「水の神」『井之大明神』の聖地? この水も「湧水」だったり?


横の竹塀に パネルがありました。

↑写します_「御神水 『井之明神水』
 湧出する御神水「井之明神水」は、日本の近代水道の歴史上、特筆すべきものです。
 往時の「曾屋村」地域では井戸を掘っても水を求めづらく、湧き出ていた「井之大明神・井之明神社」(曾屋神社の旧称)の水と、現在の水神町の水神様(石の祠が現存)の二か所の湧水を、生活用水として利用していました。現在でも一部、古い水路が残されています。
 当時は、ウナギや小魚なども生息していたそうです。古い絵図を見ても、高い位置に鎮まる神社のもとに街並みが形成されているのがわかります。およそ150有年余り前、安政五年には氏子の佐藤安五郎氏が巨費を投じて隧道を完成させ、水源の増水に成功しました。その後、生活用水の汚染等の問題が起こり、梶山良助氏を中心に、氏子住民の手により、明治23年、近代水道では、横浜、函館に次いで、全国で三番目となる「曽屋区水道」が敷設されました。県からの技術指導はあったものの、民間による「簡易陶管水道」としては全国初のことでありました。この水道水源が、神社湧水と、隣接する乳牛(ちゅうし)地区の湧水でした。
 生活様式も上水道にたよる形となり、神社湧水も境内地の湿地化など、事情により一旦埋められることとなりました。しかしながら、平成になり、と祭神ゆかりの水が復活されることが望まれるなか、平成16年に旧湧水出口発見に至り、見事「御神水復活」の日の目をみました。そこで旧社名「井之明神社(いのみょうじんしゃ)にちなみ、「井之明神水」と命名されました。
 平成29年、現存する「旧曽屋配水場跡」「ロ(ろ)号水源・ハ(は)号水源」等が、遺構として「曽屋水道」として遺跡関係の「国登録記念物」に登録されました。

↓ロ号・ハ号水源の位置。


↓パネルに左上。「現在の駐車場埋め立て以前の湧水マスを掘り当て、「井之明神水」を復活・復元した。」とあり 写真も載っています。

↑なるほどー、これは「復活」した湧水だったんですね?

改めて見ると_ 水盤はナチュラルにくぼんだ自然石で 左手に「女石」と書かれた札が置かれています。


↓更に、 その左側に 又別の石_。

↓「男石」だそうです。

神社によくある陰陽石かなと思ったのですが・・・
↓パネルに詳しく書かれていました。

↑写します「妹背石(いもせいし)
妹背とは夫婦・男女の意味です。御神水復活にあたり、受鉢を探していたところ、縁あって珍しい石に出会いました。真鶴で採石された「小松石」です。元は「楕円形」であり、石工さんが石を割ろうと矢を一回打ったところ、中が綺麗な凹凸状になっていたそうです。矢の跡が残っています。この雌雄一対の、珍しく縁起のよい形状から「妹背石」と命名し、しれじれうぃ男石」「女石」と呼びます。」
へー 元々は一つの石だった、んですね。それは珍しい。


続いては 「タンスイベニマダラ」について書かれたパネルを読んでいきます。(パネルの後ろに花頭窓のついた建屋が見えますが 後で訪ねたところ「秦野護国神社」でした。)

↑「タンスイベニマダラ
 淡水紅斑 ベニマダラ目/ベニマダラ科/ベニマダラ族 見頃/通年
 学名/Hildenbrandia rivularis
 環境省レッドリスト「準絶滅危惧(NT ←Near Threatened)」
 神奈川県レッドリスト2020「準絶滅危惧(NT)」
令和5年7月7日、「藻類研究分析センター長 福島 悟先生」による分析の結果、「タンスイベニマダラ」であることが判明しました。
「良好な水質、水温、適度な日差し・木漏れ日」の状況が整っていることが、生育条件であり、まさに「井之明神」の御神水、水場が適っていたようです。「コバンケイソウ」、「マガリケイソウ」、「フナガタケイソウ」なども同時に生育していることも判明しました。いずれも良好な水質や栄養分の豊富な流れを好む藻類だそうです。
この貴重な藻類を、「曾屋の水神様」にお守り頂きながら、この環境を大切に伝え、残していきたいです。」
_だそうです。
↓そうかー 条件が整わないと生きていけない・・・珍しい藻だったんですねー。

この環境が長く守られますように。


さて、駐車場からは このスロープを上がればすぐ社殿がありそうでしたがー・・・

こっちは帰りに歩く事にして_
↓表からお参りいたしましょう。

(↑神社敷地の向こうに見えているのは市の消防団の建屋)
↓境内北の「井之明神水」のポイントから 境内を囲む道を歩いて 鳥居のある参道を目指します。

↑境内の 道を挟んで南にあるのは 「曽屋水道記念公園(旧曽屋配水場)」。ここへも後で行ってみます。 / つづく