旧山崎家別邸(国の重文)_亀屋の隠居所 | (又)おだわらぐらし はじめました

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 背広を脱いだ夫と 結婚以来ずっと専業主婦の私との
「新しい日常」を綴って参ります

去年の川越旅行の折_
(時系列的には「川越散歩-7」の続き)

老舗和菓子店亀屋の当主にして第八十五銀行副頭取も務めた-山崎嘉七(カシチ)の隠居所である 旧山崎家別邸を訪ねております。 今頃・・・ではありますが絵を貼りたいと思います。



この奥、ですね。


向かいの事務所建屋でチケットを買って、


(↑リーフレット 表/裏)
別邸へ向かいます。





「内玄関」からおじゃまします。(尚、洋風の棟側の入口が 正式な「玄関」になるそうです。)

玄関の先に書院造りの「客間」。

素晴らしいお部屋です。

(↑写真ではわかりませんが、お庭がとても広く「奥行」があるのです。)

(↑書院窓には葭障子。細部にまでこだわり  をもって 作りこみ がなされています。)

私邸でありながら 町の迎賓館の役目も果たしていたようで、地袋の上には梨本宮様と李垠(リ-ギン/イ-ウン)殿下の写真が飾られていました。(大正14年の写真ですから殿下はもう梨本宮の方子(マサコ)様と結婚なさってたはずですが、写真には方子様は写ってらっしゃいませんでしたー)↓


(↑座敷から北の「内玄関」を見たところ_)
↓東の内壁に下地窓風の小窓。

↓南の縁には網代や竹で 変化をつけた天井。

この縁から庭に降りると その先に茶室が。(さすがお菓子屋さんの御隠居さんのお住まい、ですね。)

(↑京都仁和寺の「我前庵」を写したと言われる二畳半台目(ダイメ)の茶室、との事。/尚、我前庵は織田有楽斎(ウラクサイ←信長の弟で Joanのクリスチャンネームを持つ御仁)の茶室「如庵(ジョアン)」を写した~ といわれており こちらにもどこか如庵の香りが・・・)


↑右に目をやると、食堂の前のテラスの石がチラと見えますが、とりあえずここ までは「和風」で一貫した部屋と庭、です。

が、館の西側は洋風になります。

↓(座敷のすぐ西隣の)食堂、の入口。

(↓食堂のステンドグラス)

(↓食堂内部。)

(↑テーブルの上に置かれているのは この家の模型。)
(↓振り返って ステンドグラスの方を見たところ_)

↓壁に建築家の紹介が。

↑この別邸の建屋及び庭の設計を手掛けた保岡勝也について。
↓保岡さんはかの辰野金吾の弟子で、三菱合資会社(現・三菱地所)に入社し、多くの銀行やオフィスの建設を手掛けます。 川越の一番街のランドマークとなっている「旧八十五銀行(現・りそな)」も保岡さんの設計。

山崎嘉七さんは 旧八十五銀行副頭取でしたから、この 銀行建屋の建築の折に 保岡さんを知って 隠居所の建設依頼をしたのでは~? だそうです。


↓食堂の西の「客室」。(当時は 洋風の応接間が流行していたんですね?)

↓このドアを開けると 南のバルコニーに出ます。


客室の北に 西向きの正玄関がありました。

玄関の北に 二階へ通じる階段。

(↑奥の壁には 非公開の蔵への扉。)
踊り場の窓にはステンドグラスが嵌められていました。

(二階は非公開でした。)
↓階段下の明り取りにもステンドグラス_。




玄関ホールから東へのびる廊下。

その途中、食堂の向かいを北へ折れると、正面がトイレ。


↓トイレの手前左手が洗面所、

↓右手がお風呂、でした。


廊下に戻りー
↓内玄関から東へ進むと、

五畳半程の「児童室」。


その南は床張りの「ベランダ」(←設計図ではベランダとなっていますが、屋根があるので説明板には (括弧/サンルーム)と書かれていました。「室内ではあるが窓を開け放った半屋外的な使い方が想定されていた~」ようです。)

(↑籐の子供用木馬とか似合いそうな部屋。/きっと亀屋の御隠居は 孫たちがこの家を訪ねてくれるのを楽しみにしていたのだろうなあー)

「ベランダ」と広間の間には八畳の「居間」がありました。

これは造り付けの仏壇でしょうか?

居間の南側。(半分縁側つき、半分は濡れ縁、という造りです。)

「ベランダ」との境は「茶道口」風のアーチになっていました。

(↓壁の レトロ なスイッチ)

(↑実用品である事を忘れるレベル^^)


庭を歩かせて頂きましょう。


↓内玄関から外に出て東へ回ったところ_。
「児童室」の裏手は 洋風の庭になっていました。

(↑大正13年の「配置図」に_「児童室」周辺は「芝生」と書かれています。左手前は「田」の字形の花壇、その先(南)の四角い柴地あたりには「温室」があったようです。)

(↑左_児童室の北の窓。奥の明かりが灯っている所が内玄関です。)


(↑児童室の東の窓は 引き戸でもあって、当時は直接柴の庭に出られるようになっていたようです。)

竹垣の向こうに茶室。





_ と この先は歩けなかったので、 庭の絵は ここまで。

(↑洋間前のベランダ。↓和室の縁側。)


引き返して、正門から玄関の方を見ます。



ドア。

階段のステンドグラス部分。


南の庭へは立ち入れなかったので、絵はここまで、です。



ありがとうございました。

_と帰ろうとして、門柱脇に待合があるのに気づきました。


↑で、なんとこの「腰掛待合」も 主屋・茶室とともに川越の「市指定有形文化財」になっているのでしたー。(お茶に招かれた方は ここで待って、どうぞ と言われたら 南のお庭を通ってお茶室へ向かわれた~ のかな?)


静かな隠居所 あたたかでくだけた家族との集いの場 華やかかつフォーマルな接待場~・・・

旧山崎家別邸は 色んな顔を持つ、面白く 素敵な建物でしたー。