精神科医の井上智介先生のブログ「たたかう産業医!」

は、とてもわかりやすい言葉でスーッと入ってくるので、いつも読ませていただいているのですが、この記事は特に考えさせられました。


医師の過労自殺について書かれています。
深く共感しました。
記事を読んで私なりに考えたことを書いてみます。

人の命に直結する医師という仕事は特にだと思いますが、お医者様だけに限らず、どんな職業でも勤務時間外で「インプット」をする時間を取る必要が出てくると思います。

井上先生も記事の中で
自分にインプットされた知識やスキル以外はアウトプットできません」
と書かれている様に、クライアントの要望に応える仕事を提供(アウトプット)するためには、まず自分が知識や技術を習得(インプット)する必要があります。
その「インプット」する時間を勤務時間内に取れればいいのですが、そんな職場なんてあるのでしょうか。
あれば私がそこで働きたいです。

また、この「インプット」の時間は個人によると思います。
責任感の強い人ほどこの時間は長く濃密になると思われます。
どこまでも自分を高めようと探究し出すとキリがなく、限界を超えてしまうこともあるでしょう。

反対に「仕事は仕事、勤務時間以外は仕事のことは考えない!」と割りきる人が、その日の仕事の内容を全く振り返らず、復習予習もなく次の日に仕事に来たとして、その人にどんな働き方ができるのか…これが経験の浅い新人だったら、上司やクライアントにこっぴどく注意を受けるのではないでしょうか。

でも本当は
「仕事は仕事、勤務時間以外は仕事のことは考えない!」
この考え方は、心身の健康を保つためにも、しあわせな人生を送るためにも、私は正しいと思うのです。
勤務時間が終わったら、自分の趣味などに時間を使いリフレッシュし、次の日の活力にできたら…朝の通勤風景、顔色悪くうな垂れている人が減るのではないでしょうか。

実際の業務、知識や技術の習得(予習復習)、その他の雑務(準備、片付け)を勤務時間内で終わらせる。
でも現実にはそれができる職場はなく、前残業、サービス残業と呼ばれるものが「個人の判断」つまりは上司の指示ではないものとして、当たり前に行われている。
それに声をあげられる人はいない。

この状況に疑問すら持たないか、疑問を持っていても
「自分が未熟だから仕方ない」
「これは自分のために自分がやっているだけだから」
「みんなもやっているから」と
自分を納得させているか。

保育士さんの行事の準備なども、ほとんど持ち帰りで家で作業をしていると聞きますが、これも立派な「仕事」であり、本来なら勤務時間内にするべきだと思うのですが、子どもたちが園内にいる時間には作業などできないのですよね。
学校の先生も同じかと思います。

私は看護師ですが、病棟勤務時代の職場ミーティングや委員会、看護研究などがこれらに当てはまると思います。
職場の寮に入っていたので「緊急カテの時などは呼び出すよ、でも待機手当は出ないから別に取らなくてもいいけどね(と言いつつ、圧がすごい)」と言われていて、帰ってからも心が休まりませんでした。

今は派遣看護師をしていますが、色んな職場に行き、仕事の内容もその都度違うので、新しい職場に行く度に帰ってからの復習と次の勤務のための予習は欠かせず、家でもずっと仕事をしている感覚です。

でもこの状況はどうすることもできず「これは自分の判断でやっていること、嫌なら辞めればいい」となります。
でも私は「あーもう限界だ!もう辞めちゃえ!次に行こう!」と思えたので、ここまで来られているのかもしれません。

このニュースのお医者様の背景は私にはわからないことですが、例えばこんな人だったら(こんな風に思ってしまって)逃げる場所を見失ってしまうのではと考えます。

・とても責任感が強い人(辞めたら迷惑がかかる)
・今まで血の滲むような努力を重ねてきた人(今までの努力は何だったのだろう)
・自分の気持ちより周りやご家族の気持ちを考える人(支えてくれた人たちに申し訳ない)
・環境を変えることを考える気力がないほど疲弊している人(もう他の仕事はできない)

こうやって書いてみると、クライアントにとって良い仕事を提供できる人ほど、人に対しても仕事に対しても境界線が脆く、自分自身が壊れていってしまうのかも、と思いました。

長くなってきたので、続きは次回書こうと思います。
ここまで読んでくださりありがとうございました。

私は忙しい日々が続いたり気持ちが沈んだ時は、暗い部屋に籠ってペルチカに話を聴いてもらっています。


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