●安底羅大将(あんていらだいしょう/あんてらだいしょう)
(※画像は「文化遺産オンライン」より)
(東京藝術大学大学美術館所蔵、 「安底羅大将像(興福寺像の模)」)
『妙見神呪経』での名は「甲申尅軍」。
『陀羅尼集経』での名は「安陀羅」。
薬師如来の眷属にして、薬師如来を信仰する者を守護
する「薬師十二神将(十二薬叉大将)」の一尊。
それぞれに干支と本地仏があり、安底羅大将の干支は
「申」、本地は観音菩薩。
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今回も薬師十二神将です。
これ以上の詳細が分からないのは相変わらずです。
御利益は、
薬師如来の眷属なので、同じご利益を頂けるというのは共通、
で、ネットで調べると更に、
「衆生の邪心を祓い健全とする」とのこと。
コロナやらウクライナのことやら、政情不安の今には必要な
尊かも知れません。
だって、こんな乱れた世になると人を騙そうとする人間とか、
不安に付け込んでの宗教やらスピリチュアル系やら
根拠にも乏しい陰謀論を唱える人が増えますからねぇ・・・。
実際、
ここのところ陰謀論やデマを目にする機会のなんと多いことかと。
陰謀論とは概して証明性に乏しい根拠に根差したものであり
(故に「デマ」なのですが)、それを妄信するのは、何かしらで
満たされない心の故でしょう。
心の隙間は或る意味 欲求不満であり、常態や常識的なもの
では、当人が考え方を変えでもしない限り容易に埋まらない
ものでしょう。
逆に、何かしらイベント性(自身の中になかった意外性や
サプライズ感)のある情報でこそ埋まった気になる――
心が満たされない度合いが強い人ほど、陰謀論やデマを
妄信しやすいものです。
普段、自分を押し殺してる人ほど、陥りやすいように感じます。
でも、
妄信は、執着してなければ起こり得ません。
執着は無我の境地から遠い行為で、つまりは悟りからも遠い。
陰謀論の真実如何は兎も角も仏教的な観点からすれば、
そんなものは真理には値しないと言えるでしょう。
何より、仏尊の志とはまったくの逆位相です。
仏尊は「聖」や「光」、
その逆位相ということは「邪」や「闇」ですしね。
逆に、
「捉われ=執着」を捨てさえすれば、
「中立(調和)⇒宇宙の中心⇒真理」に至って、心が健全となる
と言えるかと、少なくとも仏教的観点では。
故に、
妄信に陥った健全でない心の方々にとって、この尊の御利益は
必須であろうかと思う次第です。
さて、真言は――
「オン・アンテイラ・ソワカ」
または
「オン・アンチラ・ソワカ」
印は、施無畏印っぽいです。