●伎芸天(ぎげいてん)
(※画像は文化遺産オンラインより、東京芸術大学 大学美術館所蔵品)
(シカゴ万国博覧会出品 竹内久一作 「伎芸天」)
天部の一尊。大自在天(シヴァ)が楽器を奏でている際に、
その髪の生え際から誕生したとされる天女。
仏教に於ける『摩醯首羅天法要』(摩醯首羅天は大自在天の
別名)などには名があるが、インド神話やヒンドゥー教には
認めることが出来ない。
容姿端麗にして舞踏・器楽に優れて、速やかに芸を上達
させるとされることから芸事に従事する者の信仰を集めたが、
日本に於いては広まらず、祀られている寺社は希少である。
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初めて名を聞く方も多いのではないかと思う天部です。
私もほぼほぼ初めてと言ってよいくらいです。
それもその筈、wikipediaによると、日本では奈良市の
秋篠寺に仏像があるのみなのだそうです。しかも、本当に
伎芸天の像なのか疑念もあるとのこと・・・。
日本で広まらなかった理由として、自論ですが、
日本での芸事は当初、公家や武家の嗜み程度のものでしかなく、
本業としているのは室町時代までは能役者くらいであること、
戦国時代に入ってようやく民間に、歌舞伎の原型である
「かぶき踊り」が誕生したものの、それ以降の民間に於ける
芸事の神は、より有名な弁財天が担っていたこと、また
弁財天には芸の上達のみならず金運の御利益もあること、
などの所為ではないかと思われます。
広まらなかった分、神格的には高くないかも知れませんが、
逆に、祀っている先が秋篠寺の一ヶ所だけであった分、分散
されず信仰を集めたことで、秋篠寺に於ける伎芸天の神格は
相当高いものになっている可能性は大いにあります。
せめて一度は秋篠寺に参詣し、その御神徳を賜っておいた方が
より伎芸天の御利益を得られ易くなるのではないかと思います
(その方が観念しやすくもなりますし)。
で、御利益ですが、
「技芸上達」・「芸道守護」・「福徳円満」
真言は
「ノウボウ・マケイジンバラヤ・ウシマ・ボウシキャヤ・ソワカ」
印は、吉祥天印と同型です。
人差し指と小指は先端同士を合わせて、中指と薬指は
反対側の手の指の股に置きます。