どえらい演奏会に行ってきましたよ。
全てがメインディッシュの演奏会。しかも私の大好物しか出てこないというありがとうシェフ的な企画。
そう、日本ロッシーニ協会の演奏会でございます。
コロナ禍を経て6年ぶりの開催とのことで、前回の演奏会も聴きに行ってるのですが、あれからもうそんなに経つのかと思い驚愕。そんなに前なのねぇ。時が経つのは早いわぁ。
今回の出演者は、テノールの糸賀 修平、小堀 勇介、渡辺 康、それから、メゾソプラノの富岡 明子というあざーすな方々。あざーすじゃねぇな。もとい、心より御礼申し上げますな方々でした。
想像しただけでも生唾モノでしょ?
僕は楽しみでよだれが垂れすぎた結果溺れそうになりましたよまったく(んなわけあるかい)
今回のプログラムは、日本ロッシーニ協会だから実現したというか、普通それらでプログラム組まないよねという内容でしたが、だからこそ嬉しいというか、好事家としてはありがたいところなわけでして。
プログラムは以下の通り。
【第一部】
1.《オテッロ》より ロドリーゴとイアーゴの二重唱「いや、恐れてはならぬ」
Otello (1816) N.3 Duetto Rodrigo・Iago(No, non temer)
渡辺康/糸賀修平
2.《オテッロ》より ロドリーゴのアリア「なんですと!ああ!何をおっしゃるのですか!」
Otello (1816) N.6 Aria Rodrigo(Che ascolto! ahimè! che dici!)
小堀勇介
3.《リッチャルドとゾライデ 》より ゾライデとリッチャルドの二重唱「リッチャルド!…私はなにを感じているの…」
Ricciardo e Zoraide (1818) N.11 Duetto Zoraide・Ricciardo(Ricciardo!… che veggo…)
富岡明子/渡辺康
4.《湖の女》より ロドリーゴのカヴァティーナ「我はお前たちと共に、我が勇者たちよ」
La donna del lago (1819) N.6 Cavatina Rodrigo(Eccomi a voi, miei prodi co fra)
糸賀修平
5.《湖の女》より エレーナ、ウベルト、ロドリーゴの三重唱「どうか分別をもって」
La donna del lago (1819) N.9 Terzetto Elena・Uberto・Rodrigo(Alla ragion deh rieda)
富岡明子/小堀勇介/渡辺康
【第二部】
6.《グロリア・ミサ》より 二重唱「クリステ・エレイソン(キリストよ、憐れみたまえ)」
Messa di Gloria (1820) N.1-2 Duetto Tenore I・II(Christe, eleison)
糸賀舜平/渡辺康
7.《グロリア・ミサ》より テノール独唱「クィ・トリス(世の罪を除き給う主よ)」
Messa di Gloria (1820) N.6 Tenore solo(Qui tollis peccata mundi)
小堀勇介
8.《湖の女》より エレーナとウベルトの二重唱「あなたは既に人妻ですか?」
La donna del lago (1819) N.2 Duetto Elena・Uberto(Sei gia sposa?)
富岡明子/糸賀修平
9.《エルミオーネ》 より オレステのカヴァティーナ「憎むべき王宮よ!」
Ermione (1819) N.4 Cavatina Oreste(Reggia abborrita!)
渡辺康[ピラーデ・糸賀舜平]
10.《アルミーダ》 より リナルド、カルロ、ウバルドの三重唱「その臆病な顔つきの」
Armida (1817) N.14 Terzetto Rinaldo・Carlo・Ubaldo(In quale aspetto imbelle)
小堀勇介/渡辺康/糸賀修平
※ 小堀勇介/糸賀修平/渡辺康が当日訂正されたプログラム
11.《ゼルミーラ》より 第2幕フィナーレ【ゼルミーラのアリア】『玉座へお戻りください、怒れる星は』
Zelmira (1822) N.11 Finale II [Aria finale Zelmira](Riedi al soglio: irata stella)
富岡明子[助演:渡辺康/糸賀修平]
いかがでしょうか。
重くね?(笑)
いや、声がじゃなくてよ?もちろんプログラムがね。なんて素敵な演奏会かしら。さいこー。
しかもね、今回はロッシーニ協会からお知らせ来た瞬間に予約したら、最前列のど真ん中4席を確保出来たのでしっかりとかぶりつけました。うふふ。メインディッシュをかぶりつきまくりでお腹いっぱい。パンシロン欲しいくらい。
さあでは前半から振り返りましょう。
1曲目の《オテッロ》より ロドリーゴとイアーゴの二重唱「いや、恐れてはならぬ」
Otello (1816) N.3 Duetto Rodrigo・Iago(No, non temer)
ですが、もうそれは。それはそれは。それはそれはそれはすんばらしかったですよ。のっけからこんなに素晴らしいかとテンション爆上がり。冗談抜きに。マジで良かった。なんか魔笛で言うと鎧武者のようなめちゃくちゃ強そうな2人。技術と声の無双感。いきなりこんな凄いのをドーンやられちゃって否が応でもその後の演奏会への期待が高まりましたね。CDで販売して欲しいレベル。マジで良かった。後半のアジリタ祭が気持ち良すぎました。独白になったり掛け合いになったりその度お互いの醸し出す声の空気感が絶妙でした。糸賀さんのガチなロッシーニ実は初だったかもしれないんですが、やっぱね、兼ね備えてるよね。持ってる声自体がベルカント聴くにはもってこいですし、鍛錬された技術とそれだからこそ可能などこのポジションでも同じ様に響く艷やかなまさにイタリアの響きが聴いていて喜びに変わる。さすがです。それと、驚いたのは渡辺さん。こんなにロッシーニ良いとは思ってなかった!!渡辺さんは、ロッシーニが凄いんだよってイメージが無かったのですが、今回聴いてむちゃくちゃ良くて、え?こんな感じだった?ってなりました。元々上手い歌い手さんですけど、ロッシーニがこんなにハマってるというイメージがなかったんですよね。キャリアの中でこつこつ努力されて、揺るぎない今を得た、(勝手に)そんな感じもして好印象甚だしい。安定感もさることながら、声もノーブルで伸びやかそれでいて転がる。むちゃくちゃ良かった。これはもの凄い2人の二重唱を聴いてしまったぞいきなりニヤニヤが止まらない。
2曲目は、同じく《オテッロ》より ロドリーゴのアリア「なんですと!ああ!何をおっしゃるのですか!」
Otello (1816) N.6 Aria Rodrigo(Che ascolto! ahimè! che dici!)
でしたが、我が盟友小堀勇介が歌いました。間違えた。親友だった(やめとけ)。
何度もこの曲は小堀さんで聴いてるので、また聴けるなんてやったーってな感じでした。今回いきなりのやはりメインディッシュ的な曲で、準備も無い中でいきなりということもあったからなのか、ちょいとばかりアクートがきつそうなとこはありましたが、これまで聴いてきたどの演奏会よりも、表現力が増しまくっていました。小堀系ラーメン表現力マシマシ(ワオおいしそう)。出てきてお辞儀して顔が上がってくる時にスイッチ入ったのが分かるくらいの全集中の顔つきでロドリーゴの色んな感情がひしひしと伝わってくる。以前もそういう風に感じることはありましたが、今回は明らかに何個か更に上に行った感じ。内面をえぐる感じが歌に乗ってました。まさに舞台上に見えるはロドリーゴ。前半の悲しそうなところからの後半怒りで復讐の鬼となりまくし立てていく様は圧巻。私も聴いていて煮えたぎってしまい、終わってから暑くてね。若干乾燥していたホール内でも汗ばんだわよ。あと、1カ所は歌い方変わってました。やっぱ進化していくなぁって思ったよ。
3曲目は、《リッチャルドとゾライデ 》より ゾライデとリッチャルドの二重唱「リッチャルド!…私はなにを感じているの…」
Ricciardo e Zoraide (1818) N.11 Duetto Zoraide・Ricciardo(Ricciardo!… che veggo…)
こちらは、全体的に富岡さんと渡辺さんが非常に高い集中力で歌われていてヴァリエーションも凄くてグイグイ惹き込まれました。富岡さん久々に聴きましたがアジリタがやべぇっすよ姉さんって感じ。どんだけ転がるのかしら。下降も上昇も気持ちよすぎ。しっかりメゾなんだけど上も楽々出るし理想ですね。渡辺さんはこれまたずっと声が美しくて、聴き惚れました。アクートも鳴りまくり。1曲目よりもより喉が開いた感じで更に更に素晴らしい歌唱でした。この曲が聴けるなんてそれこそロッシーニ協会だからですね。嬉しい。しかもこんなに素晴らしい2人で聴けて。ロッシーニだなぁと思わせる変化に富んだ二重唱、全く飽きずに前半中盤後半と聴けました。拍手。
4曲目は、《湖の女》より ロドリーゴのカヴァティーナ「我はお前たちと共に、我が勇者たちよ」
La donna del lago (1819) N.6 Cavatina Rodrigo(Eccomi a voi, miei prodi co fra)
でしたが、まさかの糸賀さんがこれを歌ったんですよ。おいマジかってなりましたよね。これ糸賀さんの範疇よやつちゃうやろと。でも逆にどんな感じになるのだろうとこの木なんの木くらいきになっちゃったわけで。でね、やっぱりそこは糸賀修平なわけですよ。しっかりやれちゃうという。確かにやっぱりもっと重めというかパワフルやんちゃ系な感じは欲しいなとか少し思いましたけど、そもそも糸賀さんにこの曲振ってるからそれを求めるのは酷な話で。すごく大変だと思うんです。低いとこからの跳躍もあるし、低めなとこで転がしたりとか、ただ、それでも型崩れしないで形式的にも綺麗に仕上げてきていて、かつ、血気盛んな雰囲気を損なわず歌っていた糸賀さんにマジで拍手です。ほんとにすごいなと思う。やっぱこの人凄いやって感心しながら聴いてました。
5曲目、1部最後はこちら。
《湖の女》より エレーナ、ウベルト、ロドリーゴの三重唱「どうか分別をもって」
La donna del lago (1819) N.9 Terzetto Elena・Uberto・Rodrigo(Alla ragion deh rieda)
とてもロッシーニっぽいなと思う前半二重唱から、後半がのヴェルディで言うとトロヴァトーレの三重唱のような燃える系のやーつに移る曲ですが、まずは富岡さんのアジリタがやばすぎるということを全面に押し出していきたいですよね。喉?どうなってるん。どこの位置で転がっても全て粒ぞろいであまりにも美しい。耳福。耳に残るはあなたの美しく音色。そして小堀さんが爆発ですわ。前半も後半も申し分ない歌唱。以前、ロドリーゴをやられていたことがありましたが、やはりウベルトが合ってますな。アクートもキンキンです。やっぱこう刺さる感じで鳴ってくれると正直心弾みますな。で、ここでまた渡辺さんに驚いたのですが、こちらはロドリーゴを歌われていて、これまでのイメージではないダイレクトに刺さる感じのアクートがビシビシきました。いろんな面持ってるやん。聴かせてくれるぜ。3人の白熱の三重唱で1部が盛り上がって休憩となりました。そういえば曲終わりはけるときに小堀さんガッツポーズしてました(笑)やったったでってことでしょうかね。やられましたよぐふっ。
さぁ、2部はどんなんだったでしょうか。
2部1曲目は、
《グロリア・ミサ》より 二重唱「クリステ・エレイソン(キリストよ、憐れみたまえ)」
Messa di Gloria (1820) N.1-2 Duetto Tenore I・II(Christe, eleison)
でした。こちら糸賀さんと渡辺さんの2人による歌唱でしたが、もうこれは美です。美。美しさしかなかった。上を歌っていた糸賀さんがあまりにも美しかった。耽美というのでしょうか。綺麗〜にずっとハモっていて、王子ではなく天使が舞い降りてきそうな、そんなホールになっておりました。もちろん下も寄り添っていかないと美しくハモらないので、結局2人共素晴らしかったです。普段あまり聴かないのでこれを機に聴いてみよう。
2曲目は、
《グロリア・ミサ》より テノール独唱「クィ・トリス(世の罪を除き給う主よ)」
Messa di Gloria (1820) N.6 Tenore solo(Qui tollis peccata mundi)
でしたが、なんなんこれ。むずすぎでしょ(笑)
グローリア・ミサはもちろん聴いたことあるけども、忘れてましたこの曲。で、改めて思う、なんなんこの曲(笑)大迫半端ないってくらいの感じでこの曲半端ないって、ですよ。むずいよね。宗教曲っぽくもないし、かといってめちゃオペラっぽいかと言われたらそんな感じもないし、掴みどころがないぜ。ロッシーニさんよ。ただ、後半は完全にオペラのアリアのようではありましたね。ヴェルディの亡命者を思い出しました。歌曲だけどもう後半オペラアリアやん的な意味で。いやぁ面白い。この曲もっと聴きたくなった。で、小堀さんこれを暗譜で歌いきっていてまずそこが凄い。しかもヴァリエーションもしっかりと入れてる(と思う)。これは白眉ですな。すげぇとしか言えない。お口あんぐりです。素晴らし過ぎて天にも昇る気持ち。それにこの曲が小堀さんの声に合ってね。協会のチョイスも素晴らしいです。安いギャラでこれを歌わせて申し訳ない的なことを会長が言ってましたけど(笑)
続いて3曲目は、
《湖の女》より エレーナとウベルトの二重唱「あなたは既に人妻ですか?」
La donna del lago (1819) N.2 Duetto Elena・Uberto(Sei gia sposa?)
富岡さんと糸賀さんが歌いましたが、ここでお気付きだろうか。糸賀さんは、ロドリーゴもやってこのウベルトもやってたんです。すごっ!!そしてやはり糸賀さんはウベルトだよねということに落ち着く。明るく若々しい声が会場を包む。シラグーザを彷彿。あくまでも彷彿。声若いなぁ。凄いわ。20代くらいの若さあふれる声よ。努力しまくってるんだろうなと思う。尊敬。そっちに集中して富岡さんの方があまり記憶がないけど、後半のヴァリエーションの応酬みたいなとこから最後まではソプラノかと思うくらい上が鳴りまくってて圧倒されました。
4曲目はこちら。
《エルミオーネ》 より オレステのカヴァティーナ「憎むべき王宮よ!」
Ermione (1819) N.4 Cavatina Oreste(Reggia abborrita!)
個人的にはフローレスのイメージが強い曲なのですが、今回歌った渡辺さんは渡辺オレステをしっかりと打ち出してくれていましたね。普通にうまくてただただ聴いてしまった。で、合間合間に入ってくる糸賀さんがこれまた上手くて、この曲をこんな高水準に聴けるなんて嬉しいという気持ちがぐわーっと芽生えてきました。糸賀さんの煽りというか後半の音楽的な煽りというのか、相乗効果でどんどん盛り上がっていきました。良かった!!
5曲目は、
《アルミーダ》 より リナルド、カルロ、ウバルドの三重唱「その臆病な顔つきの」
Armida (1817) N.14 Terzetto Rinaldo・Carlo・Ubaldo(In quale aspetto imbelle)
でした。いわゆるアルミーダの三重唱と言えばの曲ですね。前半のハモリが他では感じたことないくらい美しくて、この曲こんなに美しかったのかと思いました。後半はテンポ的にはもうちょい早い方が好きでしたが3人のこれでもかという応酬が凄くて、燃えまくりでした。小堀さんよくそこから上出ますねって感じに更にヴァリエーションでアジリタも駆使しまくって凄かったし、他の二人もそれぞれがこれでもかと出しまくってて、うん、ほんと、燃えたわ。燃焼。痩せたと思う。燃焼して。
6曲目は、
《ゼルミーラ》より 第2幕フィナーレ【ゼルミーラのアリア】『玉座へお戻りください、怒れる星は』
Zelmira (1822) N.11 Finale II [Aria finale Zelmira](Riedi al soglio: irata stella)
富岡さんのアリア。もうこれは超絶凄すぎて神でした。何の無理もないアジリタ。人間業じゃないですよ。何であんなことが可能なのか。訓練の賜物なんだと思いますけど、ルチアーナ・セッラのフォルヴィルとか聴いた時に思うような気持ちになりましたよ。思い出しただけでも鳥肌立つ。富岡さんもっと色んな機会で聴きたいなぁ。日本が誇るロッシーニ歌いですよね。すごすぎるー!!!!!!!!!
そしてそして、アンコールが1曲。
曲目は《4人のソプラノの為の無限カノン》ちなみに副題は一番下にある画像をご覧ください。
で、なにこれ?(笑)
となりましたが、猫や犬ニワトリの鳴き声なんかが入って輪唱していくとても面白くも綺麗な重唱でした。最初にじゃんけんしてましたが、最初に誰が歌い始めるかのじゃんけんだと思いますが、小堀さんスタートとなりました。メインディッシュだらけのなかで最後に、デザートとして出してくれましたこの曲。こちらかわいい曲で楽しくて良かったです。
終演後、男性の方々には最前列にいたやろということでバレてましたが、おかしいな。小さくなってたつもりだったんだけど。あ、顔がでかいからバレたのかな(体も態度もな)。
ということで、素晴らしい演奏会でした。
燃えまくり。みんな素敵。マジで最高。
こういう演奏会をもっともっと日本でやってほしいなと思います。だって、好きなのだもの。
演者の皆様、関係者の皆様、ありがとうございました。
VIVA ROSSNI !!




































