今日は最高なリサイタルに出会えました。終演時に終わってからすぐに立とうという気も起きず、でも出なきゃなと思い立ち上がったは良いけど、足がガクガクしてふらつきました。それくらい感動というか興奮して高揚しました。ほんとにほんとに最高でした。ほんとに美味しい物を食べると、「うまっ」とか「おいしい」という言葉しか出なくなるものですが、まさにそんな感じ。最高でした。隆盛は西郷でした。
今回の公演は、浜離宮朝日ホールで開催された「浜離宮ベルカント・シリーズ」の第2弾。
第1弾はこちらです。
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こちら先日NHKFMで再放送されたばかりの公演ですが、選曲がなかなか攻めていたのに高水準な内容で、世界の脇園彩さんと小堀さんだったから可能だった公演でした。ちなみに少なくとも本日はまだラジルラジルの聞き逃しで聴けました。
今回はこんな感じ。
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どうですか!!この曲目のライナップ!
『セヴィリアの理髪師』と『チェネレントラ』をガッツリやりました。
かなり内容濃くないですか?
もう抜き出しのガラコンですよね。
ロッシーニ扱って、このメンバーでの演奏で、曲目充実してて、朝日ホールでってもうそりゃあなた絶対行くやつなわけですよ。これが発表された瞬間に絶対行くと決めてこの日を待ちました。そういう方も多かったのではないでしょうか。
席はかぶりつきは無理でしたが後輩達の分含め、2列目のセンターやや上手側の通路から3席を確保したので、久々にかなり前で観賞しました。東京プロムジカがあった頃は最前列でかぶりつくの習慣だったなぁ。あの頃が懐かしい。在原さーん。
内容ですが、一応もう一度ここで申し上げておきます。最高でした。忘れてませんよねみなさん。最高でした。大事なことなので3回言っておこうかな。最高でした。しつこいか。チラシでも内容分かりますが会場でもらったパンフレットでも掲載しておきます。
リサイタルは、池内さんの「私は街の何でも屋」からスタート。ピアノの前奏が始まってから、下手側の扉をずっと見てましたが、そろそろ出てこないとタイミング的に限界だと思うラインを超えたら、後方より「ラララレーラ」と聴こえてくるじゃありませんか。そう、会場からの登場だったんです。気合が入りまくったからなのか歌詞がいきなり飛びましたが、人によっては何の違和感も感じないんじゃないかというくらいの感じで普通にやり抜けてそのまま最後までいきました。このあともいくつかあったけど、池内さん歌詞飛んでも動じずにそれっぽくやれるところがやっぱプロだよなと思った。これすごく必要なことだと思う。素人とか腕ない人だとやっぱ明らかにおかしくなっちゃうからね。アリアでは終始明るく溌剌とした声で実にフィガロらしいフィガロを聴かせてくれたのですが、ほんといい声ですなぁ。初めて聴いたんですよね。こんだけ大人気だけど初体験。癖のない明るく瑞々しい、ただただいい声でした。声の層が厚くしっかりと詰まってるけど、重くなくて上の方で鳴るのでベルカントにぴったり。そら引っ張りだこだよね。ロッシーニも素晴らしかったけど、ベッリーニなんかも良さそうだなと思った。あとはヴェルディなんかもガンガンやってくんだろうなぁ。イタリア語も上手い。今月レナートやるんだった。いきてえええええ。
また、今回ステージ上だけでなく会場をところ狭しと動き回り演技をしてくれました。おかげでリサイタルというかセミステージ形式のような仕上がりに。そして、フィガロのアリアからお金の2重唱まではレチタティーヴォで繋いでいたのもあって、全部聴き終えたらオペラ2本観たような気になりました。お得感満載。
2曲目は小堀さんで「私の名前を知りたいのなら」でした。この最初を聴いた瞬間に、今日調子バリ良いぞと確信。何度この曲聴いたことかという感じではありますが、もうね、ホントいいわ。惹き込まれる。小堀さんって否が応でも会場のお客さんを惹き付けてしまう声と表現力を兼ね備えているんよ。なので、みんな固唾をのんで聴いてしまう。会場と一体となる小堀勇介。そらあんた無敵やで。お客さんと呼吸が合っちゃうんだもの。あと、この曲ってセヴィリア聴こうとした時に結構な確率で飛ばしちゃうんだけど、小堀さんのは絶対飛ばしたくならない。やっぱり同じ曲でも生かすも殺すも歌手次第だなと思いますよね。
前半3曲目は、小堀&池内さんで「金を見れば知恵が湧く」、いわゆる「お金の2重唱」でした。長い2重唱なのですが、2人が芸達者だったので飽きることなく楽しめました。つい先日、小堀さんは加耒徹さんともこの曲やってましたが、相手が変わるとちょっと印象変わりますね。面白い。池内さんが後半の早口のとこをサラッとやっててかっこよかった。
お次は、山下さんの「今の歌声は」でした。完璧。マジで言うわ。完璧。ヴァリエーションもしっかりと付けてそれがハマってて、センスも良くて、永遠と聴いていたかった。表情豊かで、それが表現と結びついてるので観てても飽きない。これは推すしかないって。マコモ湯厳しいって。マジでやばい。実演にも触れてるから前から凄いと思ってたけど、今回推すぞという気持ちが強固なものとなったよね。もうそれはそれは群雄割拠の時代ですが、こんなに素晴らしい歌唱を聴かせてくれるメゾはそうはいない。アジリタ入る前に何の準備もせずに、そのままスッと入っていくのがすごい。喉がずっとカッパーって開いてるみたい。最高音に上がりきった音がこうなんというか、デヴィーアの様というか。きれいにまとまってスッといい響きで出てるんですよねぇ。気持ちいよねぇ。決して叫ばない。細かいパッケージも粒が立ってる。Bravaとか1回くらいしか言わないんだけど、多分3回くらい言ってますね。もうラブです。これはもうラブです。ブーン、チクッ、痛っ、やだ膨れてきた〜。これはアブです(何の関係もねぇじゃねぇか)
さぁ次は、山下&池内さんで「それじゃ私なのね!」の2重唱でした。あーもうこれも同様にすんばらしかったです。この2重唱前もしっかりとレチタティーヴォがあったのでもう嬉しくて嬉しくて。しかも取ってつけたようなものではなくて、全曲上演のオペラを切り抜いたような実にしっかりとしたもの。ロジーナがフィガロへ食い気味に自分の名前の頭文字を言っちゃうとこ大好きでした(笑)それだけで山下さんのロジーナ像が良くわかる。歌の部分では山下さんのアジリタが超絶気持ちいい。すべてが輝いていて、ロジーナの喜びとかを音楽からダイレクトに感じることができました。重唱の最後の方はヴァリエーションも素敵で、最後のところでこれでもかと音楽のシャワーを浴びせてくる感じが凄すぎて笑ってしまった。池内さんは比較的真面目に演じられていましたが、やりすぎないことでロジーナを少し目立たせるような感じがありました。声がほんとノーブルで素敵だよなぁ。アジリタはヌッチの様な感じで個人的にはとてもラブ。ラブと言えば、ロジーナの書いた手紙の内容ですが、「リンドーロ ラブ」と書いてあったのは爆笑でしたね(笑)しかも毛筆でかなり丁寧にハネとかハライとかを意識して書いてあったのでより面白かったし、それを丁寧に巻いてる池内さんにも爆笑(笑)(笑)
ロジーナの手紙が巻物だったんですよ。え?カッパか?カンピョウか?…そっちの巻物じゃねぇよ!
次は、2幕の「思いがけないこの衝撃に」の3重唱。嵐の音楽が終わりかけるあたりからピアノが弾き始めてレチタティーヴォからの重唱と、まぁこういう流れでした。ここのレチタティーヴォですが、ロジーナがガチギレしててかなり怒ってるのも多いけど、山下さんはそこまで怒りを露わにはしてませんでしたが、怒ってる理由が良くわからないというアルマヴィーヴァ伯爵とフィガロの会話はとても面白くて笑ってしまいました。特にフィガロ(笑)ちなみに小堀&池内さんは会場からの登場。この3重唱ってフィガロは最高音が出てくるのもあって密かに大変で、しかも奥の方でよろしくやってる2人に脱出を早くしないとやばいっすよと言い続けるのに色々な表現を入れないと面白くならないということでフィガロの力量が試されると思っていますが、ここは俺のおいしいところだぜと言わんばかりに面白おかしくやってくれたのが良かった。あまりやり過ぎると下手な人だと音楽全体が壊れるんですけど、そんなことはなく楽しめました。
前半最後は小堀さんの「もう逆らうのはやめろ」です。いわゆる、アルマヴィーヴァ伯爵の2幕最後の大アリアというやつです。初演のガルシア以降難しくて歌える人がおらず、眠ってしまった曲。そのため、『セヴィリアの理髪師』は、副題に『アルマヴィーヴァ伯爵』というのが付いてるのに、フィガロの方が目立つので主役として見なされてきたという歴史があります。しかーし、そんなのは過去の話。ロッシーニルネサンス以降これが歌えないとロッシーニ歌いとしてはどうなんでしょうという曲になってしまっているんですね。歌唱法の進歩というものは実に凄いなと感じるわけです。ちなみに欧州ではこれ歌う歌わないで契約金が変わるとか変わらないとか。
で、小堀さん今回ロッシーニ歌手として素晴らしいよねってことにはなりましたね(笑)
素晴らしかったわ〜。こぼちゃん最高や!!
久々に小堀さんでこのアリアを聴いたけど、めっさ良かった。小堀ワールドが炸裂なんだよね。耽美的な。
とりあえず、賞賛すべきはまずは最後のアクートですよね。バチコーン、キーンと決まったあの突き刺さるような感じ。マジで凄かった。やりやがったな!!って感じ。それからアジリタの数々が速くて正確。チョー気持ちいいどうも北島康介です。そして唯一無二の小堀勇介のフィルターを通した大アリアは技巧的な部分だけでない音楽全体のの美しさも感じさせる。私は合唱部分を共に声こそ出さないけど歌ってましたよ。テンション上がって(笑)
で、この曲まで聴いて思ったのは、これまではキャラクターのイメージに小堀さんが寄せるみたいな感じがあったとおもうんですが―もちろんそれはそれで当然でいい悪いじゃないけど―実演もたくさんやってきた結果、キャラクターの方が小堀さんに寄ってきたというのかな。うまくいえないけど、咀嚼しまくった結果、アルマヴィーヴァ伯爵(とラミーロも含めて)と小堀さんが=を目指さなくても、小堀さんがもはやアルマヴィーヴァでありラミーロであるので寄せなくても良いみたいな。ほんとにうまくいえないけどそんな感じ。勝手にもうなっちゃってるという。歌舞伎の守破離でいうと離というか。そういう境地に来ている感じがしましたね。とても分かりにくくてすみません。
そんなわけでようやく後半。
まずは、山下さんによる「むかしむかしある王様が」でした。アンジェリーナが暖炉のそばで歌う小アリアみたいなもので、前後半と2回歌いました。ともすれば暗くなりそうな曲ですが、山下さんは希望をどこか胸の奥底に秘めているような感じで歌っていました。
お次は、山下&小堀さんで「何かわからぬ甘美なものが」の2重唱。これはさ、これはさ、文句無しのまた出ますよ。また出ちゃいます。最高。2人の声が溶け合っちゃうのよね。相性いいわぁ。山下さんのアンジェリーナは常に声は明るいってのがほんとに良い。高い音もふわっと出すし大好き。小堀さんはそれこそ前回の脇園さんとも歌っていましたが、今回の方が良かったように思います。第一声でお客さんの全ての耳を小堀せんに向けさせるあの感じはほんと凄い。なんならお客さんも凄いね。今日はマナー悪い人誰も居なかったように思う。ガチ勢ばかりだったんじゃないかね。内容が内容だけに。で、前半のそれこそ甘美さからの後半の気持ちが盛り上がって音楽がズンズンと前に前に向かっていく所は気持ち持っていかれました。腸が歌うたびに段々エレベーターの様に上に上に登っていく感じ。そのまま飛んじゃいそうな。惹き込まれましたねぇ。
3曲目は、小堀&池内さんで「静かに!声をひそめて!」の2重唱。序盤小堀さんが言葉で精彩を欠いたけど、それ以外はそういうことはなくて、むしろノリノリで掛け合いを楽しんでいるかのようで、ロッシーニクレシェンドも相まってテンポ感も心地よく楽しめました。
4曲目は、レチタティーヴォ「あの美しい面影は」でした。これはラミーロのアリアの前のシーン。恐らく物語の都合上ここをあえてプログラムとして入れたのだと思います。腕輪を見つけてもらうんだよって。そこからの5曲目「からなず彼女を見つけ出すと誓う」を小堀さんが歌いました。これは今リサイタルの白眉とでも言いましょうか。最高中の最高中の最高。わかりましたか?最高中の最高中の最高です。完全に喉が覚醒してました。らーりとろーゔぇーろーって言った後にもちろん続くのわかってたけど、Bravo言いたくな、ったもん。ヴァリエーションも含めて、マジで激アツでした。こんなすげーもんやりやがってこんちきしょーです。手も叩きまくって痛くなったし、Bravoも叫んだりして高揚感やばしでした。汗かいてた。ちなみにこちらも合唱部分を心と目で口ずさんでました(笑)
歌い終わりで下手に颯爽と駆け出す時の小堀さんの顔が明らかに、「俺やったったで」っていう嬉しそうな感じが満載でこちらも嬉しくなりました。めっちゃオーラ出てた。喜びの。
次が、「テンポラーレ〜嵐〜」(ピアノ独奏)でした。ここのシーンをピアノで聴いたことなかったのですが、なかなか面白い。ピアノ1台でもオケの表現をするというよりは、ピアノで嵐を表現していたように感じました。ちなみに、今回のピアノ、スタンウェイ初のお披露目だったそうですが、いい音出してました。
さ、今回の公演のプログラム最後は、山下さんによるアンジェリーナの2幕最後のロンド「哀しみと涙から生まれて」でした。一応らラミーロとダンディーニも有りだったので豪華というか、こういうパターンは初だなと思います。これも白眉です。白眉パート2。なんという優しさでしょう。ロジーナの時とは違う山下さんのもう少し深い表現が胸を打ちます。善良がやっぱ勝利するんだよなってなる。とにかく優しくて声に喜びが満ち溢れてる。そして休符で聴かせてくるのもさすが。最後ののんぴゅめすたからの怒涛のアジリタですが、速さも十分でかつ正確。声をよくコントロールされてます。コントロールというと強制性が出ちゃうか。んーなんというか、そうじゃなくて、とても自然で流れるようにアジリタをやってるんですよね。でも粒はそれぞれしっかり立ってるんですよ。素晴らしい新米で炊いたお米みたいな。中身もギッシリ詰まっててキラッキラしてる。単純に声が良すぎよ。こんなチェネレントラ絶対聴きに行きたいもん。
全曲やってくれ!!誰か!!!!
なんかそういう権力ある人!!!!!!(笑)
今日のメンバーで頼む!!!!!!!!!!
なんか私も協力するから。お茶汲みとか。焼きそばパン買ってくるとか(いらねぇよそんな協力)
なななんと、アンコールもございました。
何だと思います?
僕もずっと何やるのかな、やんないのかなと、考えてて分からなかったのですが、やってくれました。それは、『セヴィリアの理髪師』の2幕フィナーレでした!!!感動!!!!自分の団体でも前回の本公演でこれやったのでピアノでガチプロの方々がやってるのを聴いてテンション上がりまくり。
やっぱさ、こっちのセヴィリアもさ、今日のメンバーで全曲やろうよ。絶対お客さん来るし。
ね、たのむって。
ほら、その、権力ある人頼む(笑)
とりあえず、焼きそばパンなら買っ(権力ある人ほぼほぼ焼きそばパンいらねーんだわ)
と、まぁこんなわけで長々と書きましたが、また言いますよ?今日出まくってる単語よ。ね?わかるよね?さ、みんなも続けて言ってみてね。せーの、最高音〜!!ということで最高なリサイタルでした。もうこれ以上のものに出会えるのかしらって感じ。
あと、このベルカントシリーズは次回もお願いします。ほんとに。よろしくお願いします!!
朝日ホールさん。焼きそばパンなら(もうやめとけ)
やっぱ、ロッシーニは良いね。
ロッシーニ愛が溢れちゃうわ。
ほんとに最後、Viva Rossini!!って最後に叫ぼうかと思ったけど、ただの悪目立ちデブって感じで白い目で見られそうなのでやめておきました。
今日の白眉ならぬ白眼になっちゃいましたなんてね。やかましいわ。
エスカレーター前
スタンウェイ、本日お披露目
サインとかいつも貰わないけど貰っちゃった。凄すぎたし、お土産も渡したかったし。
今日お披露目のスタンウェイ。