たっぴーのムジカしくない日記 "Incominciate!!"

たっぴーのムジカしくない日記 "Incominciate!!"

主にオペラの感想等を亡備録として書き連ねていこうかなと思ってます。
その時感じたことをそのまま書くようにしてますので、文筆がおかしいことは多々ありますが、良ければご覧下さい。


オペラ観賞の感想などを手記してきます。大好きなオペラ歌手はレオ・ヌッチ。

すいやぁ、良かったわぁ。ものすごく良かった。最高。はっきり言って語彙力の欠如ですがそれしか言えない。ガチで神戸まで行った甲斐がありましたよ。静岡から神戸ですからねこちとら。良すぎてね、終演後の充足感たるや。さらには自分も一緒に舞台に立っていたのではないかと思うくらいの高揚感と体の火照り、そして疲れがどわっと溢れ出ました。終わってからポーっとしてしばらくあまり何も考えられないような感覚に。

 

東京公演と比較することにあまり意味はないですが、東京と比べて神戸は「ノーストレスと解放感」という表現が合うかなと思います。変な緊張感は無くてより自由度の高い演奏が楽しめたように思います。但し、それだからなのか歌詞が飛んだり、入れなかったりが散見されたということにも触れておきましょう。結構あったんよ(笑)でもね、まぁそういうこともあるじゃん的な感じで受け入れられたのは、演奏自体が非常にレベルが高くて楽しめたから。そうなってくるともうそんなことは小さいことで気にもならないんだなと思わせてくれましたよ。そうじゃないと「どんだけ飛ぶねん、集中せぇや」となるんですけど、全然そういう気持ちにならなかったんですね。これほんとに1ミリも思わなかった。あとは、会場の違いで言うと、浜離宮はかなり響きがあって残響感を感じるのに対して神戸はあまりそれを感じなくて、ストレートな声をそのままダイレクトに受けるような印象でした。神戸は会場はかなり狭かったなぁ。今回の演奏を聴けた人はラッキーだけど、満席になっていて然るべきなんだけどなぁとちょっとそこは残念。もっと多くの人に聴いてほしかったな。

 

プログラムですが、東京公演は後半にベッリーニが入ったりしましたが、神戸はオールロッシーニ。オールロッシーニです。大事なことなので2回言いました。さ、そんなプログラムは以下の通り。

≪プログラム≫ 
G.ロッシーニ
歌劇《ブルスキーノ氏》より
「お金はきっと払います」/小堀・池内
歌劇《アルジェのイタリア女》より
「ひどい運命よ!」/山下
「美しい人に恋焦がれ」/小堀
「運命の悪戯には」/山下・池内
「すごい重さを頭に載せられ」/池内
歌劇《ランスへの旅》より
「私にどんな咎があるのですか?」/山下・小堀
       休憩
歌劇《セビリアの理髪師》より
「私は街の何でも屋」/池内
歌劇《ラ・チェネレントラ》より
「何か分からぬ甘美なものが」/山下・小堀
歌劇《セビリアの理髪師》より
「あの金貨の効能は」/小堀・池内
「それじゃ私なのね」/山下・池内
歌劇《ラ・チェネレントラ》より
「彼女を再び見つけだすと誓う」/小堀
「哀しみのうちに生まれ」/山下・小堀・池内
 
≪アンコール≫
歌劇《セビリアの理髪師》より
「この素晴らしい結びつきを」(2幕フィナーレ)/池内・山下・小堀
 
小堀さんがナレーションで『チェネレントラ』の2重唱の前に「ベルカントの真ん中をひた走る」という表現をしていましたが、後半はまさにその言葉がすべてに当てはまります。『セビリアの理髪師』に『チェネレントラ』だもの。ディズニーランドで言えば「ビッグサンダーマウンテン」と「イッツアスモールワールド」みたいな感じ。いや、人によっては「カリブの海賊」とか「スペースマウンテン」とかになるのかもしれないか。いや、でも「スペースマウンテン」は今無くなってるからそこに入れるのはどうだろう。そうだな、もう開演当時からある「オムニバス」とかにしとくか(ディズニーでの例えとかどうでもいいんすよ、ただ言いたいのは、オムニバスはそこに入らねぇだろ)。という具合で、まさにロッシーニの王道の2作品を後半に据えてのオールロッシーニのコンサートでした。
 
実際の演奏についてですが、一応もう一度ここで言っておきましょうかね。とっても良かった!!
既に東京公演でも聴いた前半は簡単にみていきましょう。
まずは、歌劇《ブルスキーノ氏》より、2重唱「お金はきっと払います」ですが、2人の声を聴いた瞬間に「あれ、なんか声に変な圧がかかってない」というもので、特に池内さんの声の鳴り方は東京公演に比べて明るさを増して、全く無理のない発声が素晴らしかったです。細かい音符の処理もとても良かったですね。また、小堀さんも池内さんもイタリア語がより流暢に音楽に乗っていて流れるように歌っていました。更に、全体的に2回目の本番ということもあってかとても息が合っていて、楽しく聴くことが出来ました。
 
次は、歌劇《アルジェのイタリア女》より、「ひどい運命よ!」でしたが、相変わらず素敵!!もうありがとうって感じ。山下さんは「ここはこういう風に表現してほしい」って思う所をその通りに歌ってくれるからいいね。安心して聴ける。絶対良いんだもの。東京公演と全体的なテンポは変わってはいないと思いますが、終盤の畳みかけは前のめりにはならずに、しかし速度を落とすことなくアジリタを駆使していたように思います。言葉が粒だっていてイタリア語が美しい。また、イザベッラって結構強い女というか、ドS感みたいなもので突き進む人もいる中で、山下さんは声に温かみがあるのでキツ過ぎない印象を受けるのも良い。キツ過ぎるとそれが声にも出てちょっと嫌なんですよね。あと、東京公演を違う白いドレスを着られていて素敵でした。
 
3曲目は、同じく歌劇《アルジェのイタリア女》より、「美しい人に恋焦がれ」でした。東京公演で大絶賛だったこちら、今回更に良くなっていました。まずね、小堀さんの声が明らかに私が小堀さんを知ったころの今よりもっと若いころの小堀さんのあの感じになってたんですよね。これはなかなか活字にできないわよね(笑)なんだろそのー、声が若々しくて、甘くて、優しくて、聴いてて眉毛が全部上に上がってしまう感じとでも言いましょうか。頭の上で物凄い薄いガラスがやさーしく共鳴して音が波状をなしていて、ともすればそのガラスが割れてしまうんではないかというような繊細さがあって、四季が音楽になったとしたら春が優しくやってくるような、そんなね、素敵な声。わからないかこれじゃ(笑)もちろん、会場が違ったので会場に合わせた調整とか喉に合わせた調整とかかもしれないんですけど、僕的にはなんとなくなつかしさも感じたりして良かった。もちろん、最近の小堀さんと比較した時に昔より重くなったなとかそういう感じはないんですけど、なんだろね、なんかちょっと出し方が違ったのか、はたまたむちゃっくちゃ調子良かったのか。より艶々してたんですよね。そしてのびのびと歌ってたのもあって非常に良かった。間合いも小堀さんの間合いにピアノの矢野さんがガッチリ合わせていて極上でしたね。矢野さんのピアノを聴いてピアニストって大事だなぁとほんと思う。

ここで気付いたのが、小堀さんが曲の間にナレーションを担当されてたのですが、ずっと東京公演から録音だと思ってたんですけど、その場でナレーションやってるやんと気づいたわけで。まじすごいわ。驚き。絶対録音だと思ってた!!!!
 
4曲目は、歌劇《アルジェのイタリア女》より、2重唱の「運命の悪戯には」でした。この曲でも山下さんはアジリタを随所にヴァリエーションで入れていてそれがどれも美しくて良かったし、池内さんは面白おかしくやりながらもタッデーオの性格描写がしっかりとしていたので楽しめました。そしてその全てに矢野さんのピアノの下支えがあり、特に後半の盛り上がってくるところは3人の息がぴったりと合っていて、イタリア語の響きの美しさや面白さが非常に効果的に表現されていたように感じました。芸達者でロッシーニが歌える2人が揃っててピアノもいいっていうこの状況当り前じゃねーからな(誰が極楽とんぼのめちゃイケでのやりとり覚えてんだよ)。
 
5曲目も同じく、歌劇《アルジェのイタリア女》より、「すごい重さを頭に載せられ」で、一連のアルジェ祭は終了となったわけですが、歌の前に小堀さんと山下さんにティアラと頭に、そしてタスキを掛けられて、そのタスキには「ムスタファ命」と書いてあったのですが、曲の後半になったらひっくり返して「祝カイマカン」(だったかな、こっちちょっとうろ覚え)になったのですが、一連の流れがやはり面白くて笑ってました。この曲は東京公演でも思いましたが、ピアノの矢野さんがこれでもかと煽っていくのがむちゃくちゃ最高で、これぞライブ、これぞセッション、これぞ舞台の醍醐味、みたいな感じがして燃えました。東京公演よりもっと速くなってたんじゃないかと思いましたね。矢野さんも池内さんがノッてきた感覚を感じてニヤニヤしながらマシンガンの様に弾いていく様は見ていて物凄く熱くなるものを感じましたね。プロたちが音楽で遊んでる感じがめちゃくちゃ良かった。
 
さ、前半最後は、歌劇《ランスへの旅》より、2重唱「私にどんな咎があるのですか?」でしたが、これも素晴らしくてまた聴けて良かったなと思わざるを得ない完成度の高さ。世界に輸出したい国産ロッシーニです。これだけ歌われたらシャルル10世も喜ぶだろなと思います。2人の掛け合いが溶け合っていくようになっていくのが実に素晴らしくて燃えまくりました。この2重唱は色々な場面があるので表現するのも大変だとは思うのですが、その大変さを微塵も感じさせない凄みがありますし、高音もアジリタも早めのテンポ感も何もかも、ロッシーニを聴いていて楽しいと思えるすべての要素がカッチリとはまって、いや、それ以上に表現されていて最高中の最高でしたね。マジで良かったわ。ロッシーニの音楽にハートマークです。もうこれはメロメロッシーニですな。この曲は前回のブログに結構書いたのでこれはこのへんで。
 
 
さ、後半。これが東京公演とは違うところ。内容的には去年の浜離宮ベルカントシリーズの凝縮版みたいな感じで、
                ↓その時のブログ

 

 

既述してありますが『セビリアの理髪師』と『チェネレントラ』のいいとこどり。楽しくないわけがない。
後半1曲目は、歌劇《セビリアの理髪師》より、フィガロのアリア「私は街の何でも屋」を池内さんが歌いました。客席の下手後方から登場し、そのまま後方の通路を歩き上手側に移動してそこから前に出て上手側の階段から舞台へ。僕は腰が痛くてほとんど振り向けなくて残念でしたが、後方からむちゃくちゃ良い声が鳴り響く。あ、これは良いぞと。明るい響きと爽やかさ。そして爽快感。池内さんにめちゃくちゃ合ってる。独特の歌い回しだけどピアノも良い感じに共鳴し合ってる。終盤はこれでもかとPrestississississimoでまくし立てていて、これは伴奏なのかはたまた歌手への挑戦というかバトルなのかというくらいの熱量を感じましたね。うおおお、よくあれでいけるな、すげーなと。池内さんも矢野さんもブレないのが凄いなと思いましたね。そして本番にあのスピードをもってこれるのもすごい。全然保守じゃない。マジで最高。ミスるかもしれないけどやったれみたいなくらいの気迫とリスクを負ってでもやっぱその刹那の音楽にかける感じが良いですね。しかもそれを楽しんでるのが分かるので拍手よね。
 
2曲目は、歌劇《ラ・チェネレントラ》より2重唱「何か分からぬ甘美なものが」を、小堀さんと山下さんで聴くことが出来ました。いや~これも良かったね。小堀さんが下手の方からしっかりラミーロとして登場してそこからは舞台装置も衣装もないけどオペラの1幕が始まりました。そういう空気感に会場を一気に変えることが出来るのが小堀勇介という男。"Tutto è deserto. Amici?Nessun risponde."のこの"Tutto è deserto."だけでもう良いよね。素敵。矢野さんのピアノもそこに至るまでがオケの感じをめちゃくちゃ出してて、まさに一人オーケストラ。良い感じでトスを上げてくれたのも良かった。和音も優しかったなぁ。でね、ずーっと最後まで良かったですわ。小堀勇介が一番美味しく味わえる時間って感じ。シェフを呼んできてくれたまえって感じですわ。声も王子だしね。でも近寄りがたい王子でないのがまた良いんだよな。高嶺の花のアイドルみたいな感じではなくて、私たち、今会えるアイドル~こぼ色クローバーぜええええっと、ってなもんよ(なんやねんそれ)。小堀さんが役と一体化してると思っています。アンジェリーナの山下さんもずっと良い。アジリタも気持ちいいくらいにハマってるし、息遣いが真実味を感じさせてくれる。目線1つ取ってももうそこにはアンジェリーナしかいない感じ。そして『ランスへの旅』とは違うけど、同じく声が溶け合っていく様が実に耽美的でキラキラと輝いていて、恋に落ちた瞬間を音楽で表現するとこれがイデアとなるのではないかと思うような美と胸の高鳴りを感じました。でさ、歌がずっとさ2人共優しいのよ。舞台上には温かな愛の空間がずっと広がっていましたね。あとそうだ。山下さんがオレンジのドレスに衣装チェンジで、目にも鮮やか。素敵でした。
 
3曲目は、歌劇《セビリアの理髪師》より、2重唱「あの金貨の効能は」を小堀さんと池内さんで聴けたのですが、歌前のレチタティーヴォからやってくれて個人的には嬉しい限り。ロッシーニのレチタティーヴォは全体的に好きだし、それも含めて歌にいくと自然に聴ける。いわゆる「お金の2重唱」ですが、ここでも池内さんの美声が鳴り響いていて、やっぱりフィガロは合ってるなと再確認。小堀さんはアルマヴィーヴァ伯爵はいつもは結構コミカルに演じるイメージがあるのですが、今回も可愛らしく愛嬌溢れる感じで演じられていました。で、フィガロの早口に店を紹介する所"Numero quindici a mano manca…"で確か”cinque parrucche ”が抜けちゃったんだったと思うんですけど、そこからある意味では無傷に元に戻した池内さんの頭の良さとカウントの正確さに度肝を抜かれました。ミスってもそれをミスと感じさせないって凄いと思う。僕なら多分「ん~~あ~」とかなっちゃうもん。まぁそれは素人だからかもしれないけど、今回のリカバーは見事なものだったと思う。
 
4曲目も同じく、歌劇《セビリアの理髪師》より、2重唱「それじゃ私なのね」を、山下さんと池内さんで聴けましたが、こちらもレチタティーヴォからやってくれたので拍手。この2重唱はやるならレチタティーヴォがマストだと思うんですよね。「エッレ・オ…ロ…エッセ・イ…スィ…」はやらないとね。この時の山下さんのテンション上がっていくロジーナの様子がとても愛らしくて好感が持てました。あまり強めな女を出すのではなくて、ワクワクと恋する乙女感を出していたので、曲にもその雰囲気は合っていたと思います。ここは2人共アジリタが粒だっていて素晴らしく、感情も伴っていて爽快でした。フィガロの色とロジーナの色が明確にあるんだけど、それが合わさって一番いい状態の音楽になるみたいなそんな感じが欲しいのですが、そのあたりもしっかりと打ち出していたように思います。また、イタリア語も美しくて聴いていて思わずニコニコしてしまいました。あぁそうだ、後半の山下さんのアジリタには舌を巻くといいますか、こんなに流れるように、しかし言葉が美しく聴こえるように転がるものかと思い嬉しくなってきてしまいました。
 
5曲目は、歌劇《ラ・チェネレントラ》より、ラミーロのアリア「彼女を再び見つけだすと誓う」を小堀さんで聴いたのですが、これが本日の白眉。えっとね。ちょっと行変えますね。
さいこおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお...ぜえぜえ...。最高だったぜ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
何だよマジで良いじゃねぇか。「うおおおおい」って言って肩パンとかしたい。超絶良かった。小堀さんが歌い出してから「やったるから聴いといてくれよ」って目で訴えていたような気すらしているのですが、やってくれました。私ね、Bravoも言いましたけどもね、Grandeも叫びましたよ。もうこれはやばかった。本人も歌い終わってやったぜってな感じで満面の笑みよ。いやそうだろうなと思う。歌の技術的な部分の破綻も無かったと思いますし、高音はバチコーンとハマるし、アジリタは完璧だし、内に秘める思いを出す表現はキラキラと輝いているかのようで素敵だったし、ヴァリエーションも入れまくって、これがロッシーニの最前線じゃという気概も見せてくれて、褒めたたえたいとにかく。俺はこの人を知ってからこれまで何度となく足を運んできたが、こんなすごい歌を聴かせてくれて感謝しかない。それと、ピアノもまた良かったんよ。前奏、そして"Pegno adorato e caro"に入る前の静けさの中に愛する純粋な気持ちが浮かび上がるようなピアノの音色が素晴らしかったし、"Noi voleremo, domanderemo,…"と本来合唱の入る部分はロッシーニクレッシェンドを丁寧に演奏していて、まるで合唱がいるかのような雰囲気を音で表現されていたのがもう素晴らしいのなんの。小堀さんとも呼応して後半ぐわあああああっとうなぎ上りにテンション上げてくれました。それはそれは極上でしたわ。終演後手を握って「すっっっっっっごい良かったです!!!!!」と伝えてきましたよ。「目で分かった」と言われました(笑)多分出てたと思う。顔に。良すぎたもん。思い出しただけでもシナプスが結合されていくわ。いでよドーパミン!!

最後も同じく、歌劇《ラ・チェネレントラ》より、「哀しみのうちに生まれ」でした。最後のロンドですね。もちろん歌は山下さん。それと合唱的な感じで小堀さんと池内さん。多分小堀さんが男声合唱のテノールの方で、池内さんはダンディー二を歌ってたのではないかと思います。マニフィコならすぐわかったのですが、多分ダンディー二かな。これも白眉と言う感じでしたね。今年のNHKニューイヤーオペラコンサートでも山下さんが歌ってましたが、その時とはヴァリエーションが少し違ったりしてそういう楽しみもありましたが、なによりアンジェリーナの気持ちを歌で表現しようとしているのが胸アツで伝えってきて涙が出そうになりましたね。このアリアは後半のアジリタの妙技みたいな部分が燃えるんで、そこ待ちみたいに昔はなっていましたが、いや、そうじゃないと。前半部分の彼女の心の優しさが見える部分がやっぱりとっても大事でここを丁寧に表現してほしいんですね。"Perché tremar, perché?"の最後の"perché?"は「そんなに震えないでいいんだよ。私はずっと娘であって妹じゃない」っていう心根の優しさ、そして善が視覚的には暖色で色づくように表現してほしいってのが僕の中にあって、まさにそのように表現されていました。そして、"Figlia, sorella, amica.Tutto trovate in me."となるわけで、感動しかないじゃないですか。音楽的にも花が開くように感動するように出来てるし。もうこの辺だいっすきなんですよ。世の中ほんとはこんな風にはいかないけど、この物語の中だけでも、平和で憎み合うことをやめて、嫌なことをしてきた相手を赦すことで、愛によって世界を変えていければいいのになって毎回思うんです。ものすごくいい音楽をロッシーニは作ったと思います。で、山下さんですが、言うてもアジリタの技術は度肝を抜くくらい凄いです。今さながら。ひとつも潰れてない。正確に階段を上がったり下がったりしている。ピッチも良いから聴きやすい。世界に輸出したいアンジェリーナ。技術も表現もここまで磨かれたアンジェリーナはなかなかいないです。なかなかというか、いないですよ。山下さんにはずっとロッシーニで活躍してほしいですね。
 
アンコールは、歌劇《セビリアの理髪師》より、「この素晴らしい結びつきを」(2幕フィナーレ)を3人で歌ってくれました。東京公演とは違って完全にこれで最後の最後までオールロッシーニで終幕となったわけです。『チェネレントラ』が2幕フィナーレで本編が終わり、アンコールで『セビリアの理髪師』も2幕フィナーレで幕を閉じたのねと。最後もまさかここをやるとは思わずで、ハッピーな気持ちになって良かったな。Danzaとかなんかそっちをやるのかなとか予想してたら、ガッツリとオペラで締めくくりでした。
 
そんなわけで、神戸朝日ホール、行った甲斐がありまくり。もうすんばらしかった。東京公演をは違った雰囲気の中で肩ひじ張らずに演者がのびのびと持てるすべての力を出しきってくれた感じ。こういう公演をこれからもぜひぜひよろしくお願いいたします。全国各地どこでもいきますぜ!北海道でも行きます。韓国でも行きます。アメリカでも...アメリカならちょっと考えます(誰もわからない古畑みたいなボケやめろ)。
こういう公演が出来るのは必ず運営、スタッフさんなどなどがいて成り立つものです。みなさまのご尽力に心から感謝申し上げます。私は聴いて拍手して声掛けるくらいしかできませんが、これからもこういう公演を楽しみにしていますので継続のほどどうぞよろしくお願いいたします。
 









本日は待ちに待ったベルカントの祭典、

【 浜離宮ベルカント・シリーズ第3弾 】
山下 裕賀&小堀 勇介&池内 響 with 矢野 雄太

に行ってきました。

いやぁ、素晴らしかったね。うん、こりゃたまげた。たいしたもんだ。

 

出演者が、タイトルにもあるように、歌手が山下 裕賀さん、小堀 勇介さん、池内 響さんの3名。まぁ言うならばベルカントビッグ3、要するにお笑いならタモリさん、たけしさん、さんまさんみたいな豪華さ。そしてピアノが矢野 雄太さんときまして、そこに所さんみたいな話で。

そりゃこの面々が集まって面白くないわけがない。白熱した饗宴となりました。

 

プログラムの詳細は以下の通り。

《Program》

G.ロッシーニ:
歌劇《ブルスキーノ氏》より「お金はきっと払います」(小堀・池内)
歌劇《アルジェのイタリア女》より「ひどい運命よ!」(山下)
歌劇《アルジェのイタリア女》より「美しい人に恋焦がれ」(小堀)
歌劇《アルジェのイタリア女》より「運命のいたずらに対しては」(山下・池内)
歌劇《アルジェのイタリア女》より「重たいものを頭に載せられて」(池内)
歌劇《ランスへの旅》より「私にどんな咎があるのですか?」(山下・小堀)
******
G.ロッシーニ:歌劇《アルミーダ》より「愛とは!(力強い名だ)」(山下・小堀)
G.ドニゼッティ:
歌劇《ラ・ファヴォリータ》より「来たれ、レオノーラ」(池内)
歌劇《ラ・ファヴォリータ》より「この地において」(山下・池内)
V.ベッリーニ:
歌劇《清教徒》より「愛するあなたへ」(小堀)
歌劇《清教徒》より「待て、奪おうとしても無駄だ」(山下・小堀・池内)
G.ロッシーニ:歌劇《アルミーダ》より「私は一体...あの人は逃げたのね!」 (山下)
 
《 Encore 》
モーツァルト:6曲の三重奏曲集 より 第6曲「ああ、なんて辛い瞬間が」
 
どうでしょうこのプログラム。
本気と書いてマジと読むとはよく言ったもので、どちらかというと好事家向きの選曲!!
ではそれぞれを聴いた感想ですが、
 
まずは、歌劇《ブルスキーノ氏》より2重唱「お金はきっと払います」を、小堀さんと池内さんが歌って幕明けとなりましたが、超絶楽しい。これが聴けるというのがひっじょーに楽しみで、プログラムが分かってからというものこれをこの2人で聴けるのかと胸高鳴る日々を過ごして参りました。この曲はロッシーニのブッフォの楽しさが散りばめられたような曲で、≪アルジェのイタリア女≫の「もし妻を娶る気になったら」のような早口と疾走感が満載の、ロッシーニが好きな人は皆好きな曲です(と言い切る)。ただし、この2重唱をロッシーニ好きが好きだと思えるには、速めなテンポ感に掛け合いの重なっていく感じの正確さ、言葉が粒だって均等に聴こえることや、テノールとバス・バリトン(僕のイメージはバス)の声の色合いの違いなんかが的確に表現されてこないと面白くないので、そういうことが出来て初めて好きと感じることが出来ると思っているのですが、今回そのどれも網羅されていて、素晴らしかったです。1曲目に一気にテンションを上げてくれました。
 
2~4曲は、歌劇《アルジェのイタリア女》から4曲が披露されました。山下さんの歌ったアリア「ひどい運命よ!」、小堀さんの歌ったリンドーロのアリア「美しい人に恋焦がれ」、山下さんと池内さんの歌った2重唱「運命のいたずらに対しては」、池内さんの歌ったタッデーオのアリア「重たいものを頭に載せられて」。
正直どれもめちゃくちゃ良くて大満足。
 
イザベッラは、オラオラなドスを効かせてくる系ではなくて、低い方も強くて俊敏に転がりますという人が歌ってくれると最高なのですが、山下さんはまさにそんな感じでした。最高でした。しかも声が明るく曇りがなくイタリア語が美しいので非常に聴きやすかった。後半のアジリタが何と気持ち良かったか。こういうものを多くの人に聴いてもらいたいと思いましたね。そうすればみんなロッシーニ好きになる。また、ピアノの煽りというのでしょうか。後半寄り添うようにけしかけるようにというか、それに山下さんもしっかりとノッていくみたいなセッションがあってすごく良かった。
 
リンドーロも、まああああああああああああああああああああああああじで良かった!!!これ聴けただけであとがどうなっても満足して帰れると思ったくらい。"Languir per una bella,E star lontano da quella"の最初のとこだけで、「あ、もう良いわこりゃええわい」という感じでハートがわしづかみね。美しい!とにかく。声に魅力しかないんよ。マジで。この曲は小堀さんの良さがビシバシと出るなと思った。かと思えば"Ma non lo speeee  ro ancor."での高音。鳴りまくり(笑)声が肉に刺さるかと思ったよ。いやぁ、これぞベルカントのテノール。後半に入るとバリエーションの巧みささに驚かされました。前半も既に結構変えてましたが、後半は特に凄かった。"Sol trova la calma.Pensando al suo bene"のセンスの良さ。そして終盤にかけてピアノがまた煽ってスピード増してくるなかでのアジリタの妙技。しっかりと美しい声のままで、よくあの速さで歌えるなと感心でした。あまりにも凄くて口があんぐり開いて閉まらなくなっちゃったかと思いましたよ。何より嬉しいのは小堀さんがまだリンドーロを歌えるということ。しかも進化しまくっている状態でね。ベルカントに特化してブレることなく自分の声と見つめ合ってレパートリーに慎重になってきた結果ではないかなと思います。この人を知ることが出来て本当に良かったなと妙に感動してしました。
 
2重唱はその前のレチタティーヴォからやってくれたので内心「っしゃ!!」とガッツポーズ。この2重唱はやっぱいレチタティーヴォからやってほしいです。で、やっぱり山下さんのイタリア語むっちゃ良いね。ずっと美しいしイザベッラがしっかり宿ってる。歌に移行しても。この曲でも縦横無尽に声を転がして楽しませてくれました。曲の後半に移行するひとつ手前の"Che ve ne par?"というところの"ne par"をドス効かせてこもる感じの響きになる人が一定数いるのですが、その感じがあまり好きではないのですよ。でも山下さんはとても軽く美しく歌ってくれたので良かった(ちょっとだけ細かい話ですが)。やっぱなんか変に場所によって声の鳴り方が変わるのはいただけないかなと思うんですけど、山下さんは上も下も同じ位置でずっと美しい。池内さんはタッデーオにしてはちょっとかっこよすぎる感じもしましたが、他の2人と同じように聴きやすくて美しいイタリア語が無理なく流れるように聴こえてきて良かった。心配性で臆病な?タッデーオが存分に表現されていて、後宮の中にいる情景が見えるかのようでした。2人で上手下手と歩きながら歌っていくのも楽しかったです。
 
タッデーオも良かった。もう褒めるかない。小堀さんと山下さんが持ってきたカイマカンセット(ティアラ、キラキラのファー)を付けられて歌い始めたのですが、「重いものを頭に載せられて」の割にはめっちゃかわいいティアラがちょこんと頭の上に載ったので思わず笑ってしまいました。あれはずるい。前半はコミカルに面白ろおかしく表情たっぷりに歌い、後半の早口もめちゃくちゃ良かった。後半は畳みかけるように早口でマシンガンを連打するように歌ってくれると燃えるのですが、まさにそのように歌ってくれてテンション爆上がり。嚙むともなくだーーーーーっと歌っていく様は爽快でしたね。終演後池内さんにも矢野さんにも言いましたが、ピアノで煽りまくってそれに負けじと劣らずさらに歌がけん引してるんじゃないかと思うくらい二人の静かなるバトルの様なセッションが熱かった。素晴らしかった。

前半最後は、歌劇《ランスへの旅》より、山下さんと小堀さんによる2重唱「私にどんな咎があるのですか?」でした。これはつい最近藤沢市民オペラで小堀さんの同役を聴いたばかりでしたが、その時よりもむしろもっと解放されていた感じがして、むちゃくちゃ良かったです。そして改めて言いたいのは声がやっぱ良い。”Qual sublime parlar!"の響きの美しさたるや。他にも‟con insensato ardoooooor.‟の伸ばしていた高音の一点の曇りもない響き。素晴らしくて感動です。声の品とでもいいましょうか。美しい声のイデアとでも言いましょうか。そういうことを思わさせられます。この曲は全体的にそういうものにあふれていました。
最近歌っていたのもあってか、完璧中の完璧でしたね。山下さんもめちゃ良かったなぁ。確かなアジリタの技術と強さだけじゃない声優しさが見える温かみのある声。2人最高だわ。普通にね、大好きだわ。こんなに良いものを聴かせてくれて感謝でしかない。中盤の結構聴かせどころかと思っている"Qual barbaro rigore!Dubbioso e incerto io resto…Di speme e di timore.palpita in seno il cor."からの"Già cessa il mio rigore,per lui mi parla amor."のあたりが極上でしたね。小堀さんはむちゃくちゃ声出てて、この日一番の破壊力のあるアクートもバッチーン決まってたし、2人が寄り添って動いていく辺りもまぁじで良かった。こういうところほんと力量が出ると思う。二人の声が完全にひとつになってたし溶け合っていたと思う。"Ah! regger non poss'io,ecco la desta e il cor."からの"O gioia incomparabile! O fortunato ardor!"はピアノも良くて高揚感半端なかった。そこからの"Ah! no, giammai quest'anima"のところに入っていき盛り上がりが最高潮に。これまた2人息の合った応酬が見事。すごく大変だろうけど微塵も感じさせない山下さんと小堀さん。これはもう1回聴きたい。あ、聴けるんだった神戸にて。ぐふふ。
 
と、こんな感じで前半が終了しましたが、ガチで最高なコンサートに来れて良かったと大満足。
 
後半は、まずは、G.ロッシーニ:歌劇《アルミーダ》より、山下さんと小堀さんによる2重唱「愛とは!(力強い名だ)」でした。この曲小堀さんで以前聴いたことあるなと思って調べたら、2019年の日本ロッシーニ協会の演奏会で歌っていました。お相手は但馬 由香さんでした。その時に比べて小堀さん声に輝きが増したように感じました。この曲は前半のリナルドの"Misero! più speranza Di libertà non ho."とアルミーダの”Vacilla a questi accenti, Manca la sua costanza."のあたりの2人の溶け合う声がまた素敵だったんですけど、やっぱ≪ランスへの旅≫とは全然違う表現をされていて、小堀さんは何となく夢心地みたいな感じが常に付きまとっていたし、山下さんはもっと自信満々のような印象を受けました。"後半の"Cara/Caro, per te quest'anima.Prova soavi palpiti,Ch'io esprimere non so."が耳に残りますが、すっごく速くはないけど、これくらいがちょうどいいくらいの速いテンポ感でピアノと一気に最後まで登って行った感じが爽快でしたし、リナルドとアルミーダの愛が増幅していく様が見事に表現されていたように感じました。2人共に...特に山下さんは表情が曲ごと全然違うのでそこにも注目してしまいました。素晴らしかった。
 
続いて、G.ドニゼッティの歌劇《ラ・ファヴォリータ》から2曲。池内さんによるアルフォンソ11世のアリア「来たれ、レオノーラ」と山下さんと池内さんによる2重唱「この地において」でした。
池内さんはこの日一番良かったのがこのアリアでした。この曲は私の最も好きなバリトンであるレオ・ヌッチのイメージで脳裏に焼き付いているのですが、声の感じは全然違うのに、ヌッチを彷彿する歌いまわしみたいなものをとっても感じてしまいテンションがぐわ~っと上がっていきました。ヌッチでしか聴かないからそう思っただけかもですが。池内さんの本日の白眉と言う感じで徹頭徹尾ずっと良いところで声が鳴っていて聴いていて気持ち良かったですし、とてもイタリアでした。
 
2重唱は、アルフォンソも苦悩しているような感じだけど、結局お前が悪いやないかという感じで、なんやねんと思いながら聴いてしまいました(笑)なんかレオノーラ可哀そうだなと思ってしまって。で、これはまぁどうでもいいのですが、私この作品あまり聴いてこなかったなと。ちょっと勉強しますわ。ちなみに勝手に「清らかな天使よ」があると思い込んでたらなかった。
 
お次は、V.ベッリーニの歌劇《清教徒》より2曲。小堀さんの歌うアルトゥーロのアリア「愛するあなたへ」と、山下さんと小堀さんと池内さんによる3重唱「待て、奪おうとしても無駄だ」でした。
多分小堀さんのこのアリアは初めて聴いたような気がしていますが、当たっているのだろうか。歌い出しから少し不安定な感じでスタートして大丈夫かなと祈ってはいたのですが、一番の聴かせどころの高音は割れてしまったからか拍手にそれが反映したようではありましたが、それでも僕は全体的には良かったと思っています。それ以外のところは小堀さんの声の良さがめちゃくちゃ出ていたと思います。ずうううううううううっと集中してある一点に向かって声をコントロールしながら圧をかけつう常に甘美な雰囲気と明るさでもって聴衆を魅了していくみたいな感じはめちゃ得意なとこだと思うんですね。で、その世界に沼のように聴衆がずぶずぶ入って行ってしまうという。事実曲始まってからピアノと小堀さんの息遣いしか聴こえないような、聴衆も集中して聴いていました。雰囲気も良かったしね。テノールは大変なんすよ。ここに至るまでにどれだけの難曲を歌ってきたと思ってんねん(誰向けやねん)
 
3重唱に関しては、なかなかマニアックな所を抜粋したんだなと思いましたが、ごめんさいちょっと記憶があまり...。とりあえず小堀さんが"Vien, vien, vieni!"の高音を伸びやかに輝かしく出していて、「良かった!!」と安心。そのあと何の破綻もなく白熱して歌い続けていたので流石ですと思いました。ベッリーニになるとロッシーニとは違ってちょっと重くなる感じ。でもやっぱベルカントですね。品が合って美しい。個人的に好きなのは、リッカルドが歌う最後の"È già al ponte, passa il forte,È alla porta, già ne andò."のところ。逃げていく姿を見ている彼の高潔さが良く出ていたと思いますし、声的にも合っていたと思います。
 
最後は、G.ロッシーニ:歌劇《アルミーダ》より、山下さんの歌うアルミーダの「私は一体...あの人は逃げたのね!」 でした。コーラスを小堀さんと池内さんが歌いました。この最後のアリアというか聴いて思ったのは、山下さんの声は高いというのもあるのでしょうが、明らかにこれまでの曲の中で一番突き刺さるような歌い方をされていて、特に終盤のアルミーダの復讐心みたいなものが存分に表現されていたように思います。ピアノの同じ感覚で刻まれていく打鍵がより恐怖感も演出していて聴いていて目の前に魔法使いのアルミーダがいるような、そんな感覚になりました。めちゃくちゃ良かったわ。で、同時にこの人も感情としては人間以上に人間だなとも思い、初めて親近感がわきました。
 
アンコールは、軽くてかわいらしくも美しい曲でした。聴いたことあったような気がしただけで恐らく初めて聴きました。おもたーいフルコースの後に爽やかなくちどけのシャーベットを食べたようなそんな感じ。
 
やっぱりこのシリーズは素晴らしい!!
今回も最高でした!!!!!
企画された方やホールの関係者の方にはぜひこのシリーズを続けていってほしいなと思います。
また、出演者の皆様、ありがとうございました。わたくしまた神戸にも出向く予定となっております。
今回2列目のセンターの席で、何故か最前列のセンターが空席だったので実質最前列になってたから、多分それだからだと思うんですけど、目立ってるとかなんとか言われましたので今度は気を付けますね。また素敵な音楽をよろしくお願いいたします。あ、ちなみに神戸での僕の前に席はありません。それだけ補記しておきますね。うふふ。








VIVA ROSSINI ‼

思わず会場で叫んでしまったよあたしゃ。

何なら、VIVA SONODA‼  VIVA FUJISAWA‼

とも叫びたかったけど悪目立ちしたいだけにも見えそうで堪えた(笑) 

いや~こんなに、こんなにさ、こんんんんんんなに素晴らしい『ランスへの旅』が聴けて最高よ。

ずっと良かったもんね。ほんとずっと。で、全員良かったんよ。テンション爆上がり。

その興奮状態で頭の中で一緒に歌いながら最初から最後まで聴き続けたら、つっかれ果てました。最後立てなくなるのではないかと思うくらい燃え尽きちゃった。あしたのジョーみたいに真っ白になってないか心配になりましたよ。

そんなアホなことを言ってますけども、ほんっとに、このオペラに関わったすべての方に言いたい。感動しました、ありがとうございましたと。

今回楽屋口で40分くらいは待ったけど、皆様なかなかお出になられず。時間も迫ってきてたので会場を去った結果、直接感謝の言葉は言えませんでした。本当なら直接言いたかったね。もうこうなったら何とか調べ上げて、明日になったら一人一人のご自宅に伺って、ピーンポーンって鳴らして、「あ、あの、藤沢のランスありがとうございました」って言って回りたいですよね(お前もうたぶん速攻警察な)。

 

今回、オペラの始まる前にまずは市長からの挨拶があり、その後に園田隆一郎マエストロからのお話がありました。とても共感したので記憶してる限り書いておきます。

「このオペラは内容がないとかくだらないとか言われるけどだからなんですか?自分とは違う他人、自分とは違う個性を持った人。つまり多様性をお互い認め合うということをひとつのテーマとして、それを表現しようとこのオペラをやる場合いつも思っている。そうすることで世界が平和になる」という様なことを仰っていました。その例として、第2番のファッション狂のフォルヴィル伯爵夫人のアリアで大事なファッションのアイテムである帽子が届かなくて一喜一憂している、後半で帽子が届き安堵して歌い始めると、トロムボノク男爵がそれを見てあの人はほんとに変わった人だと思わず笑ってしまうんだけど、でも待てよ。人は誰しも自分と違ったところ、ちょっと変わった所があるではないか。この世の誰もが狂気の一枝を持っているのではないか、それを考え、それに続く第3番の6重唱の序盤で「こうじゃなきゃだめだという四角い考えで物事を考えてもだめ。地球は丸いんだから、丸くて柔らかい考えを持っていかなきゃだめだ」ということをに言う所が大好きで、オケも合唱も会場のお客さんもみんな狂気の一枝を持っているはず。それを認め合うことで平和に生きていける。今日のソリストだと、ファッションのフォルヴィルや音楽マニアのトロムボノク男爵、骨董大好きなドン・プロフォンド、人よりも怒りっぽいリーベンスコフ伯爵、好きなことを打ち明けられずいじいじしてるシドニー卿などみんな変わったひとばかりで、それが全員国が違う人たちであって、その人たちがお互いを認め合うということがオペラで表現されていて素晴らしいというようなことを仰っておられました。(口述筆記じゃないので園田さんの言ったこと100%ではないです)。

で、うん、確かにそうだと思いました。色々ないざこざや紛争って自分と違うことを認められないことから生じるケースが良くあります。逆言えばそれを認められれば平和に生きていけるんです。それをロッシーニはさらっと1825年に音楽という形で残していたのかと思うと感動して泣きそうになりました。また、うちの祖母が生前、「世の中四角四面に生きていてもだめだ。丸く角を落とさにゃ」と言っていたことも思い出しました。うむうむ、よーし、丸く生きていくぞ!今日は牛丼メガ盛りだ(ダメだ、園田さんこいつ全然わかってないっすわ)

 

藤沢市民オペラで毎回驚くのは合唱です。市民オペラのレベルじゃないんですよ。聴こえてくる音楽に違和感がなくて、欲しい感じでずっと聴こえてくる。この違和感ってのはあくまで感覚なので表現しにくいのですが、やっぱりガチのプロでないと「ん?」と思う場合も演奏会によってはあります。私も専門家じゃないのでそれは違和感としか表現できないのですが、藤沢にはそれが一切ない。むしろグッドボタンを押しまくりたい。YouTubeなら高評価チャンネル登録って感じ。かなり練習されてるのではないかな。さらに、みなさんすごく楽しそうに歌ってらっしゃって、見ていてこちらも楽しくなります。音楽って素晴らしいみたいな感じが溢れてます。また、合唱としてのまとまりはあるけど、個々人の表情や動き方はみなさん個性的で、ただの合唱で立っている瞬間がありません。オペラの合唱ですので、そういうところはウェルカムというか最高ですよね。

また、オーケストラの藤沢市民交響楽団さんもコンサートマスターの塩貝みつるさんを筆頭に、ここはこういう感じできてほしいなという僕の感覚とはとても合っていました。楽しかったり、燃える部分だったり、ロッシーニクレシェンドで盛り上がっていく所も実に良くて、これぞロッシーニだぜっ!!って思いながら聴きました。シドニー卿のアリアではフルートも素晴らしかった。また園田マエストロとの息もぴったりだった2幕のバレエ音楽も素晴らしかった。毎回思うのですが、園田マエストロのロッシーニを聴くと、丸みを帯びた優しい音色で溢れている印象なんですね、今回もそれをすごく感じたし、オケにもその感覚がスッと入っているような気がしています。ロッシーニから感じる園田節とでも言うのでしょうか。

 

さぁでは今回の配役を見ていきましょう。こんな感じでした。

 

【コリンナ】光岡暁恵

【メリベーア侯爵夫人】杉山沙織

【フォルヴィル伯爵夫人】小川栞奈

【コルテーゼ夫人】砂田愛梨

【騎士ベルフィオーレ】山本康寛

【リーベンスコフ伯爵】小堀勇介

【シドニー卿】伊藤貴之

【ドン・プロフォンド】小野寺光

【トロンボノク男爵】大沼徹

【ドン・アルヴァーロ】大西宇宙

【ドン・プルデンツィオ】デニス・ビシュニャ

【ドン・ルイジーノ&ゼッフィリーノ】加護翔大

【マッダレーナ&デーリア】小林由佳

【モデスティーナ】石田滉

【アントーニオ】小林由樹

 

指揮:園田隆一郎

合唱指揮:浅野深雪

合 唱:藤沢市合唱連盟

管弦楽:藤沢市民交響楽団

 

フォルテピアノ:星和代

副指揮:柴田慎平/松川智哉

稽古ピアノ:黒澤美雪/小南雅世

日本語字幕:本谷麻子

 

豪華過ぎて思わず文字のフォントも大きくなっちゃったよね。

やばない?マジで。豪華過ぎるやろ。

これまでの園田さんの振った藤沢市民オペラの集大成かつ新しいこれからの新進気鋭の混合のような激アツな面々。

今回は曲ごとに思い出して書いていこうと思います。

 

〇第1曲:導入曲とコルテーゼ夫人のアリア「麗しい光に飾られて」

オケが鳴り始めて「金の百合亭」が朝を迎えてバッとカーテンを開けて従業員たちが動き出して朝の準備を始めていく感じの導入部は昔から大好きなんですけど、オケが良かったのでニンマリ。マッダレーナの小林由佳さんが出てきて後ろの合唱に指示して立たせてから歌い始めて、もうこの段階で楽しくってしょうがかなかった。小林さんの歌いまわしも良かったし、何より合唱が楽しそうったらありゃしない。あまりにも言葉に表現を入れすぎると崩れちゃいそうなんだけどそれもなく"La pazienza! ah! ah! ah!…Oh! niente, niente."の所はただ楽しそうでしっかり枠内に収まってて素晴らしかった。オケも煽ってきて良かったし、この冒頭って僕が『ランスへの旅』を聴くときにすごく大事で、ここによってテンションが上がらないと嫌なんですよね。今回めちゃめちゃアガりましたわ!自分がこのオペラを生で聴いた中で過去1かも。で、ここが盛り上がるから、デニス・ビシュニャさん演じるドン・プルデンツィオにバトンタッチするとこが活きるんですよね。ここもドン・プルデンツィオ筆頭に合唱とロッシーニクレシェンド的に盛り上がっていくのですが、実に音楽が楽しいです。ちなみに脇役ですが、ここで出てくる小林由樹さん演じるアントーニオ、声も所作も良かったです。アントーニオの"Ah! si esamini, s'informi,
tutto in regola vedrà."からのドン・プルデンツィオの"Si dispongono a partire;
ma non cal, quest'oggi ancora,”に繋がり合唱も入って盛り上がっていく部分も大成功。

 

そのあと続いて、砂田愛梨さん演じるコルテーゼ夫人の登場。2025年の日本音楽コンクール1位を受賞した彼女の歌唱はラジオで聴きましたが明らかに格が違いました。コルテーゼ夫人もそれはそれは圧巻の歌唱でした。素晴らしすぎた!!この役が砂田さんによって覚醒しました。レベルアップ。コルテーゼ Level 2ndです。セルで言うと18号を吐き出して自爆する第2形態みたいなものです(全然違うわ)。アリアになると急に音楽が変わって優しく光の差し込んだようなのんびりとした雰囲気の曲調になるわけで宿屋の女主人にしては旋律美というのか技巧的な美しさのみが前面に出てくる印象がありますが、今日はどちらかと言うともっと実存的な血のほとばしる人間的な魅力そして力強さを感じるように歌いあげてくれました。。音の厚みがありつつもしっかりとベルカントな歌唱。最後はアクートをしっかりと決めていました。で、そのあとがまたすごかった。早口でまくし立てていくところの言葉が粒だって揃っていて爽快。イタリア在住なだけあり、言葉の処理がひっじょーに上手かった。ここでも最後の方はかなりヴァリエーション豊富に超高音を出していて度肝を抜かれました。この曲こんなに超絶技巧みたいな感じだっけ?みたいな。砂田さんの歌唱はこの役に風穴を開けた感じがしました。もうずっと気持ち良かった。ニッコニッコしながら聴いてましたよ。ロッテのトッポだわ。やっぱこれだねって(いつのCM出してきてんだよ)。早くまた聴きたいな砂田愛梨さん、Brava‼

 

〇第2曲:レチタティーヴォとフォルヴィル伯爵夫人のアリア

フォルヴィル伯爵夫人は過去に生で聴いて凄かったのは光岡暁恵さんでしたが、今回その光岡さんにフォルヴィル伯爵夫人の歌い方を伝授されたという小川 栞奈さんがキャスティング。ここでちょっと嬉しかったのは、モデスティーナが石田滉さんで、藝大の同期で仲良しの2人が藤沢の舞台上に乗ったということです。いつもSNSで仲良さそうな様子を見るので良かったなと。そういやここの同期ということで言うと私の高校の後輩とかそこ経由で一緒にオペラやった子とかなんやかんやでリンクするなぁ。まぁそれは良いとして、小川 栞奈さんは白のドレスに赤の丈の長い手袋姿(あとで青の帽子、3色合わせてフランス色)、石田 滉さんは黄色のドレス。色のコントラストが良くて目にも鮮やか。肝心のアリアですが、めっちゃ良かったです!!前半の馬車の転覆で衣装が来ないと知って失望しながら歌う所も、後半の帽子が届いてハイテンションで喜んで転がりまくる所もとても良く歌われていました。長いし難しい曲だと思いますが、あんなに歌えて、しかもヴァリエーションもそうだけど、曲でしっかりと遊んでるのがまたすごいなと思う。あたくし的にはこの曲はルチアーナ・セッラの呪いがかかってるのもあって、欲を言えば言葉の粒がそれぞれ立ってくると尚良いなと思いましたが、ないものねだりでしょう。前半も後半もヴァリエーションを豊かに、これでもかと装飾を入れて煌びやかに調節技巧を駆使。しかも途中でルチアの狂乱の場を放り込んできたのは面白かった。誰のアイディアなんだろう。最初違和感なくてスッと入ったのでルチアを知っている人でも分からないんじゃないかと思うほど自然でした。で、ここの部分だけはめちゃくちゃグルベローヴァでした。フォルヴィル伯爵夫人は小川 栞奈さんの歌唱でしたが、ルチアはまっじでグルベローヴァの歌いまわしと声色になっていました。唯一無二のグルベローヴァを再現できるなんて。以前ラジオでグルベローヴァのツェルビネッタを学生の頃に聴きまくったと言っていたので、これも影響受けてるのかんな(唐突にやめろよ)。ということで、サプライズもありつつ非常に高度なテクニックで大満足させていただけました。Brava‼

 

〇第3曲:6重唱

例の園田さんが好きだと言っていた場面"Ma ognuno al mondo ha un ramo di pazzia.Sì, di matti una gran gabbia ben si può chiamar il mondo;forse appunto, perché tondo,testa quadra non vi sta.”が冒頭に出てくる6重唱ですが、こちらも大興奮で聴かせてもらいました。曲が進むにつれて人がどんどん増えていく重唱ですが、まずはトロムボノク男爵役の大沼 徹さんが明るい響きで喋るように歌い始め、ドン・プロフォンド役の小野寺 光さんが登場。こちらも同様で聞き取りやすい。この段階でなかなか適材適所だぞと。お二人のように喋って歌えるみたいな感じはとてもいいですよね。声は大きいけど響きのみで何言ってるのかわからないみたいな感じより。続いてドン・アルヴァーロ役の大西 宇宙さんが登場。拍手。その存在感たるや(笑)ドン・ジョヴァンニでもやってらっしゃいますか?というオーラというか。声も肉厚でマッチョな感じ。でもしっかり細かい音符も余裕という素晴らしさ。ああなんて豪華な。蘇演の時のヌッチの様な実にパワフルな歌唱。そしてそしてメリベーア侯爵夫人役の杉山 沙織さんが登場。沙織さん、いや、いつも呼んでるさおりんと呼びましょう。さおりんはこれが本格的なオペラの日本デビューでした。学生の頃から知ってるだけにそれは嬉しくて嬉しくて。ただ、第一声目ちょっと色彩を欠く感じで始まったので、心臓止まるかと思いました。私は胸を押さえながら「頑張れ!!!」と祈ってました。そのあと持ち直してくれたので良かったですが、恐らく本調子ではなかったのだと思います。彼女の歌唱は何度も聴いてるのでもっとすごいです。とは言え今回の面々の中で堂々たる舞台姿はアッパレでしたし、さおりんと言えば豊かな響きだけどアジリタが超絶という印象ですが、今回もそれを感じつつ、並の歌い手では届かないくらいの歌を届けてくれたので全然OK。現在はミラノ・スカラ座のアカデミアで勉強中なので、それを終えた時はどんなに進化するんだろうと楽しみ。デビューおめでとうさおりん。そしてそして、リーベンスコフ伯爵役の小堀 勇介さんが出てくるわけですが、私の大好きな2人が同じ舞台に乗っていて、しかも対になっているという最高の瞬間。小堀さんはなんだかんだで久々に聴いたような。いつぶりだろう。静岡のオペラコンクールの関連事業ぶりな気がする。相変わらずのカルメンの作曲家って感じで、あ、ビセイです(くだらねぇよ)。聴いていて惹き込まれますな。"per lei fido avvampa il core e il mio ardor sprezzando va.”の所の高音もしっかり決まってました。そしてコルテーゼ夫人役の砂田 愛梨さんが出てくるというわけでですが、いや待てよ、舞台上どんだけ豪華やねんと(笑)そしてやり取りの応酬が続いて行きますが、さおりんの"Troppo ingiusto è un tal furore.”がめちゃいい感じに下も鳴ってバッチーンとハマってよっしゃとガッツポーズ。そこからの小堀さんの"Non pavento alcun periglio…D'ira avvampa in seno il core;e il tremendo mio furore no, non posso più frenar.”と続く部分全部良かったよね(笑)小堀さんは高音...はもちろんそうだし強みだと思うけど、こういうとこが良いんよ。自分の中に入れ込んだ感情の部分というか。そういうことがほんとめちゃくちゃ好き。お客さんの空気感ももってっちゃうんですよね。聴いてて眉毛上がっちゃう感じ。そこに他の皆さんの声がどんどん乗っていって、さあお待ちかね。コリンナが出てくるわけですね。コリンナ役は日本が誇るベルカント界の女王光岡暁恵さん。いやぁもう聴き惚れました。素晴らしい「優しい竪琴よ」のアリアでした。この曲は陶酔感でどっぷり曲に浸かるという印象ですが、今回光岡さんはかなりヴァリエーションにもこだわりを持たれていて、これでもかというくらいバリエーションを豊富に入れていて、この曲の新しい楽しみを教えてくれたという印象で、いつもとは違う楽しみ方が出来ました。凄かったね。綺麗に歌ったよ~だけじゃない光岡さんにしか出来ないコリンナを堪能出来ました。ハープの宮原 真弓さんも実に美しく、流れるように寄り添うように光岡さんと共鳴していました。ちなみに、コリンナのアリアの合間にその他の人たちが歌う部分で絶対にリーベンスコフ伯爵のSiが他よりしっかり目に聴こえてほしいなと思ってたところ、小堀さんがまさにその様に聴かせてくれたのでそこも良かったです。コリンナのアリアが終わると稲妻でも落ちたんかという勢いで"Simbol di pace e gloria
la Croce splenderà.”と歌われ、最後のクレシェンドでぐわあああああっともってくとこマジで最高でした。燃えましたよ。なんかもう宇宙的だった。いや、大西的ということじゃなくて、銀河系とかそういう宇宙ね。トライアングルとも相まって"felice ognun sarà.”のとこ全ての毛穴が開いた感じ。素晴らしかった!!Bravi‼

 

〇第4曲:シェーナとシドニー卿のアリア

何度も聴いている伊藤 貴之さんのシドニー卿。今回これまで以上に素晴らしかった!!歌い始めの"Ah! perché la conobbi?”を聴いた瞬間に、おいおい伊藤の兄さん、あなた...調子いいですね~!!!とニンマリしましたよ(笑)そして優しくてなんていい声なんだと。聴き進めるに連れて嬉しくなってきました。このアリアめちゃ大変だと思うんですけど全然そういうことを感じさせず、最後まで疲れも知らない子供のように、時が2人を追い越してゆく...いや待て。何故か布施明になってしまった。そうではなくて、全く喉の疲れを見せずに最後までいってしかも最後"palpiterà.”もしっかり上に上げて余裕で伸ばしていたのでもうラブです。兄さん一生ついていきますです。なんなら今回のシドニー卿は伊藤さんの過去一ヴァリエーションも入れまくっていてほんとに楽しくてしょうがなかった。どっちかと言うと音楽的には合唱入った後が好きなんだけど前半も楽しくて最高でした。ほんと色眼鏡とか無しにめっちゃ良かった!!あのー、そのー、良かった!!もともと無い語彙力が無くなる(笑)

あと、間に入る女性合唱がまた素晴らしかったのもめっちゃくちゃ言いたい。そこはオケも入りから素晴らしくて日本の市民オペラのレベルを優に超えていました。それは後半も同様に素晴らしくて伊藤さんも歌いやすかったんじゃないかなと思います。‟per lei d'amore - palpiterà.”の2回目のヴァリエーションがオシャレで英国紳士な感じでしたね。また園田さんも結構煽っていてオケがかなり速めなテンポで流れるように進んで行きましたが余裕で全く音楽の破綻がなかった。はっきり言って世界に輸出したくなりましたよ。いろんなものがメイドインジャパンが良いと言われていたころの復活ですわ(何の話や)。伊藤さんのリサイタルないかなぁ。マジでありがとうございました。シドニー卿と言えば、サミュエル・レイミーと伊藤貴之と。Bravo‼

 

〇第5曲:レチタティーヴォ、コリンナと騎士ベルフィオーレの二重唱

ここでようやくベルフィオーレが登場です。配役は山本康寛さん。山本さんのベルフィオーレも藤原で聴いたことがありましたが、あれが2015年だそうで、もう10年以上も経っているんだなぁ。時の流れの早さってのものは残酷よね。私もあの頃はまだギリギリ20代だったか30代入ったかみたいな。と、まぁそんなことはいいんですけども、山本さんの好きなところの1つは愛する気持ちを表現する時の力強い声の爆発力が魅力だと思います。攻めは最大の防御みたいな。"Regger non posso oh Dio!Voi siete l'idol mio…Per voi smanio e sospiro,e se pietà negate,io qui voglio morir.”の所だったり"Dunque non v'è speranza?”から"Martire di costanza,io l'alma esalerò.”のところだったり。こういうところはうまいですねぇ。あとは声のしなやかさも素敵な所。

あとは、光岡さんと"Un tal eccesso è pegno del più vivace amor./Un tal eccesso è indegno d'un cavalier d'onor.”と歌う所のヴァリエーションと二人の息の合ったやり取りも良かったです。最後の方独り言のようにコリンナが自分の手に落ちることはわかってるんだとまぁある種ニヤニヤしながら歌う部分はかわいらしさがあって良かったね。何となくこの騎士ベルフィオーレってどこかかわいらしさが欲しいんですよね。そいう意味ではとても合ってますね。光岡さんはこの2重唱だけではないけど、高音を決して叫ばないのがお見事です。ずっと若々しいベルカントな声が聴こえてきて安心して聴いてられます。

 

今回はやはりバリエーションをみなさんすごくこだわって入れていましたね。それこそ10年前だったら少しヴァリエーションを取り入れるという感じだったようなものが、これでもかとヴァリエーション込みが普通の時代に突入したんだなとそれを強く感じました。しかも結構こだわっていましたね。10年前は小堀さんが結構率先して1歩前に出てヴァリエーションでの楽しみ方みたいなものを打ち出していた印象。それから10年、日本のロッシーニは進化してます。それもこれも園田マエストロが貢献してきたことで可能になったことかと思います。

 

〇第6曲:ドン・プロフォンドのアリア

めちゃ楽しかった!!!!小野寺さんのドン・プロフォンドは骨董マニアみたいな部分でのオタクみたいな感じをとても出していいたんですよね。そういえばこの役ってドン・プロフォンド自体のキャラクターをしっかりと確立して歌ってる人あまりいないなと気づきました。要は「類のないメダル」で色々やるんだけどそれ以外はそこまでキャラクターとしての濃さがないというか。一貫したキャラクター作り素晴らしかったです。一枝をしっかりと感じました(笑)また、常に喋るように歌っていて、アリアでは言葉を立ててマシンガンのようにダダダダダダと並べ立て歌ってくれると楽しいので、まさにという具合でとても合っていました。とにかく言葉がしっかりと立ってないと面白くないんですよね。見事でした。また、それぞれの国の言葉っぽくイタリア語で歌うのもうまかったし、一緒に行った英語を普通に話す後輩は英国人で結構ウケてました。但し、この曲は声の消耗も凄いと思うのでとても難しい歌だなぁと改めて思いました。

 

〇第7曲:十四声の大コンチェルタート

なんやこの隅から隅までずずずい~っと好きしか並んでいない光景は!!!興奮しましたねぇ。あの人もあの人もあの人も…みんな好き!!というよくわからない状況。いやあ、まぁじですごすぎっしょ。紅白歌合戦みたいなもんですよね。しかも全員美空ひばりみたいな。まさに歌芸の人生一路。なんというかオールスターですわ。海老・いか・とり天・まいたけ・れんこん・なす、ですわ(てんやのオールスター天丼なそれは)。最強な面々ですわ。14人いるけどなんというか四天王的な。クリカン、清水アキラ、コロッケ、ビジーフォーですわ(80年代後半に活躍したモノマネ四天王!)。要は、激やば激アツな光景が広がってたわけよ!!!

もう言うことないです。というか「わ~すご~い」って見入ってしまって細かいこと覚えてないです。花火観てるみたいな感じだった。覚えてるのは繰り返しする前の所で女性陣が夜の女王の旋律をみんなで歌いつないでいて、最後メリベーア侯爵夫人のさおりんで落とすんだと思ってウケたところね。あと、伊藤さんを中心にただ単に楽しそうだったそっち側の男たちね。笑っちゃってたし(笑)大西さんの入ってくるとことかも最高でした。みなさん当然ですけど一流です。演奏会形式だったので余計に良かったかも。音楽が一切ずれることもなく速めなテンポでぐわあああああああああああああああああああああああっと最後まで走り抜けてくれて感動以外の何物でもないとう状態でした。終わってからちょっと立てなかったもん。凄すぎて。

 

〇第8曲:シェーナ、メリベーア侯爵夫人とリーベンスコフ伯爵の二重唱

やってきましたこのオペラの中でも最も好きな二重唱。小堀さんの歌うこの二重唱は色々な機会で聴いていますが、今回は特に良かった。"Qual sublime parlar! confuso io sono…Eccomi ai vostri piè… Pietà! perdono.”のレチタティーヴォ終わりから曲が葉人るわけですが、歴史的な背景を私が知ったからなのか特にそういう思いを持たれて表現されたからなのか、ただの色恋ごとに聴こえなかったんですね。これまではもっと男女間の話のみに聴こえてたのですが、何となくもう少し深みが出ていたというか。もうちろんストーリー的には関係ない部分ですけど。さおりんは前半とは明らかに変わって声がかなり出てました。いやぁ良かった。ここに焦点合わせてたのかもですけど、声は鳴るし終始アジリタが凄くて一気に喜びで満たされました。高揚感です。声に品があって伸びやかで耳福。"Qual barbaro rigore!Dubbioso e incerto io resto…Di speme e di timore palpita in seno il cor.”からの2人の声の重なり合いは白眉でした。もうそれは美しくて「あ~!!いいっ!!!これだよな!!すげ~」って心の中で叫んでました。もう最高でしたよ。お互いの呼応がもう愛を呼んでいました。さおりんが"Ah! regger non poss'io,ecco la desta e il cor.”と言い、小堀さんが喜びに高揚して"O gioia incomparabile!O fortunato ardor!”と感嘆する。これぞオペラというか。オケもそれに合わせて盛り上げっていくみたいな。これぞオペラですわ。こういう心の躍動感を求めているんです。ほんっとに良きです。それで曲の後半ですよ。ずっちゃずっちゃずっちゃAh! no, giammai quest'anima,più cari e dolci palpiti non ha provato ancor.といくわけですけど、園田さんのオケの速さも音楽も良かったし、小堀さんも良かったし、さおりんも良かったし。生で聴いたこの曲では過去一番良かった。繰り返しの前小堀さんめちゃくちゃ高いアクート出してた(笑)あれ何の音だったんだろう。で、そこだけが特筆してどうこうというか、曲としてヴァリエーションも含めてもうそれは調整が取れていて、もともとそういう曲なのかなと思うくらいの完成度だったので、アクートすげーとかそういうレベルじゃなくて、この音楽をやめないでください、ずっと聴かせてくださいという感じでした。二人とも凄すぎてね。凄すぎて。ほんとこれよ。小堀さんもさおりんもオケもみんな過ごすぎて。俺2回言ったもんBraviって。燃えまくりでした。これぞオペラ。これぞロッシーニ。ありがとうみんなです。

 

〇第9曲:フィナーレ

11,000字を超えてきたので簡単に。大沼さんのドイツ賛歌はプラティコかと思うくらいの明るい声で聴きやすかった。さおりんのポラッカはここでもヴァリエーション豊かにアジリタを詰め込んでいて素晴らしかった。小堀さんのロシア賛歌はアクートもばっちりで印象深く歌いきってくれました。大西さんのスペイン民謡は、こんなにこの曲で目立つのかと思う感じ。マジで声色はちがうにしてもヌッチみたいでした。すごく良かった。歌合戦では一番良かったと思う。最後もアクート金管のように鳴り響いてましたもんね。凄かったわ。伊藤さんの英国国家はやはりお決まりの最後のえええええええええの繰り返しが楽しかったし、歌う前のちょっと恥ずかしそうな感じも良かった(笑)。山本さんと栞奈さんのフランス民謡は二人の声が合っていてまとまりのある感じで聴けました。チロルの歌は砂田さんと小野寺さんで歌われてこれまたお決まりのヨーデルとのやり取りが楽しかった。

コリンナのアリア「金の百合の陰で」は前半のアリアよりも更に声の美しさを感じるもので、光岡さんの輝きのある声が優しく会場中に降り注いでいるかのようでした。こちらもヴァリエーションをたっぷりに歌っていて光岡さんにしかできないコリンナだなと改めて感じました。真に技術的な部分がないとこんなに美しくも明瞭に歌うことはできないだろうなと思いました。コリンナのこのアリアが最後にあるのでオペラとしても締まるし、格調高いものになるように思います。光岡さんの声はまさにそれを叶えるものでした。最後はフランスの伝統化歌「アンリ4世万歳」で終わりましたが、14声の大コンチェルタートと同様に、好きな人たちが一斉に歌っていて、こんなに幸せなことはないなと思って感動しまくりで胸いっぱいになって終わることが出来ました。

 

もうね、ありがとうです。それだけ。

最高でした。

藤沢市民オペラよ永遠なれと心の底から思います。

関係した全ての方に感謝を申し上げます。

本当にありがとうございました。

そしてこのオペラを成功に導いてくれた、マエストロ園田さん、お疲れさまでした。

ありがとうございました。

園田さんの指揮姿からは愛しか感じられなくて、もう大好きなんだなって思います。

それを見ながら僕もロッシーニ大好きって思ってました。

おかげでVIVA ROSSINIと叫んでしました。

今後もいろいろ企画があるということで、また伺わせていただければと思っています。

もっと書きたいこともあるけど、このへんで。

Ci vediamo presto‼















いやぁ昨日は本当に良いものを観て聴かせていただけて大満足でしたよ。

表題にもあります、それいけ!クラッシックが贈るアルティメットプロダクション、オペラ「ラ・ボエーム」を鑑賞させてもらったわけですが、わたくしまさかこんなに泣くとは思ってもいなかったです。涙の海で溺れるんじゃないか、誰か浮き輪とか用意してもらえる?それくらい号泣して没入して観聴き入っておりました。

 

まず、そもそも、それいけ!クラッシックってなんやねんということですが、以下HPから抜粋。

それいけ!クラシック

「クラシックって、超面白い!」をコンセプトに活動する現役オペラ歌手3人組のユニット。

YouTubeにてクラシック・エンターテインメント・チャンネル【それいけ!クラシック】を好評配信中!

動画配信やコンサートを通して、広くクラシック音楽界を盛り上げていくための活動を展開。国内外で活躍するオペラ歌手の本格的な演奏はもちろん、飾らない和やかなトークが話題を呼び、クラシックファンだけでなく多方面から人気を得ている。

2020年9月より発足。(2021年9月より任意団体)

 

というオペラ歌手3人で構成された団体なんですね。メンバーは、バリトンの大川 博、同じくバリトンの又吉 秀樹、テノールの吉田 連で構成されています。みなさん有名なオペラ歌手ばかりですね!!

YouTubeで映像を見たことはありましたが、生で触れるのは今回が初めてでした。

 

さあ、ボエームという輝かしい青春の物語で、しかもアルティメットプロダクションと冠している今公演、そうか、若い男女がフリスビーの試合に向かって必死に部活を駆け巡る青春物語なのか!そんな読み替えも楽しいわねなんて、夕日に向かってあーもーーるあーーーーもーーーる言うてな、って思ったらそうじゃないんですね(作演出山下真司か)。究極の青春物語というこでございまして、ええ、もうそれはそれはその名に恥じない素敵なお話になっていました。

 

今回の演出は塙 翔平さん。本編、まぁ最初から本編なわけですが、オペラの曲が始まる前の寸劇では、それいけ!クラッシックのYouTube撮影?をしています。その内容はボエームの1幕でベノワが退場するまで。そこが全部アドリブなのではないかというくらいのノリで、ちょこちょこ先輩後輩関係が見えたり、先輩をいじったりみたいなノリで男5人で楽しそう。自分もよくやるんでうすけど、誰かが言ったことを自分でもう1回言って、そこにいる他の人がその流れてそれを聞いてないかのようにもう1回同じこと言って、誰かが「さっき聞いたよ」みたいにつっこんでのやつ(これなんて表現すりゃいいんだ)をやってたので、これ部活の男が集まった時のノリやんみたいなところもあって共感度も高く、曲が始まるまでのわちゃわちゃした男子のいつまで経っても大人になれない感じが物凄くしっかりと提示されていて、ああなるほどこれはすごいなと唸っていました。そういうことがしっかりと表現されていたのでこれから始まる物語と現実の彼らとの相関関係の強さを強烈に感じました。ここの最初のシーンマジでうまかったなぁ。何も考えなければいつものメンバーが面白おかしくノリで遊んでる感じにしか見えないけど、実に意味のあるシーンとして作られていましたね。ボエームってこういう女子が「ねぇ、ちょっと、何やってんの男子」みたいに冷ややかな目で見てきそうな男子特有のノリがあるから、それがより感情の起伏を生むのでかねてからすごく大事だと思っていたのですが、それが完成形のように舞台で表現されていて塙さん天才だと思いましたね。YouTube撮影を終えてそのまま呑みに行く流れも自然だったし、ロドルフォがSNSにポストするからと一人残る部分も全くもって自然でした。素晴らしいと思うほんと。「気分が乗らない」と言ってから暗転した...かなちょっと記憶がないのですが、また、この時は分からなかったけど、そこからロドルフォの夢の中の話。夢落ちは何でもありなんで若干ご法度な感じはしますが、すべての流れが自然で全く嫌じゃなかったです。素直にそういくことかとやられたぜみたいな感じで観てました。

また、プロジェクションマッピングもとても効果的で、ゴッホの描いたようなパリの街並みやカフェ・モミュスの絵画的なものも素敵でしたし、3幕の降りしきる雪は美しくも悲しく、それがミミとその耳の音楽と重なり、自分もその場にいるかのような臨場感もあり非常に効果的で感動しました。さらにその3幕から4幕への移行も実に見事。ロドルフォの中で3幕は思い出だったのかと思わせるスムーズな展開は僕は好きでした。最終的に寝落ちみたいなとこには繋がるのですが、ここにおいてロドルフォの視点で描かれているということもよくわかりました。最後オペラの本編が終わるとまだ何かあるみたい。ロドルフォが実は寝落ちしてたのが分かり、「吉田連~」とメンバーに呼ばれ起きるんですね。で、急いで飲み会に向かおうとする中で鍵を探すと、ミミの歌声で「冷たい手を」が舞台下手から聴こえてくる。声のする方向へ歩き出すロドルフォ。ここで幕となるのですが、この最後はいったいどういうことなんだろう!!男たちだけでワイワイやってる時ってすごく楽しいんだけど、急に「俺、〇〇と付き合うことになったんだよね」みたいな感じでその輪から離れていくみたいなことってあるじゃないですか。学生の頃とかよくあったんだけど。そういう感じで最終的にロドルフォは大人の階段を上り始めたみたいなことなのかな。なんなんだろうなぁ。現実と夢とが混同してしまったのか。はたまた『火垂るの墓』の清太のように、自分の貧乏によって音質の花である耳を殺すような結果を招いてしまったことを無限ループのように回想していくという実はホラーだったのだろうか。それはないか。

ということで、フランスはパリの物語だけに、フランス映画の様なオチのテイストも残しつつ?塙さんの演出がとっても見事でした。素晴らしかった!!!

 

長くなりましたが、ここで主な配役などを見ていきましょう。以下詳細。

 

【キャスト】   ミミ(ソプラノ)  鈴木 玲奈

       ムゼッタ(ソプラノ) 七澤 結

       ロドルフォ(テノール) 吉田 連(「それいけ!クラシック」メンバー)

       マルチェッロ(バリトン) 又吉秀樹(「それいけ!クラシック」メンバー)

       ショナール(バリトン) 大川 博(「それいけ!クラシック」メンバー)

       コッリーネ(バス) 松中哲平

       べノア/アルチンドロ(バス) 三戸大久

 

【 ピアノ】  河原忠之

【 演出 】  塙 翔平

 

【衣裳提供】  TOSHIKO NAKANO 

【装置提供】  WOKA

【ヘアメイク】  徳田智美

【プロジェクションマッピング】  荒井雄貴(株式会社アライ音楽企画)

 

豪華ですね~!!いやぁ豪華な面々!!実力ぞろいの旬の歌手たちが揃いました。

では演奏の方はどうだったのか。

まずは「それいけ!クラシック」メンバーの3人から。

 

ロドルフォ役の吉田 連さんはロドルフォは適役でした。まず見た目がロドルフォっぽい。さわやかな青年にぴったり。今更そこに触れてもなという感じでしょうけど、私は初めて生で拝見しましたので普通にそう思いました。また、玲奈さんと美男美女のカップルだったので、物語が違和感なく見れました。結構この辺で「おい、嘘だろ(笑)」と軽くつっこみたくなっちゃう場合もあります。オペラに興味ない人は特にそういうことで観る気がしないみたいに言う人もいますが、連さんにおいてはそういう心配はなさそう。まぁ僕は声が良ければ何も気にならなくなっちゃいますけどね。で、連さんの持つ甘く煌びやかなで明るい声はずっと若々しく瑞々しかったなぁ。1幕のアリア「冷たい手を」では歌が進むに連れて魅力の増す歌唱で、高揚感の中聴くことが出来たハイCも難なく歌っていました。3幕の"Marcello. Finalmente!"からが僕は好きなシーンなのですが、ピアノの河原さんとの相性もばっちりで泣けた泣けた。"Ebbene no, non lo son. Invan nascondo.la mia vera tortura.Amo Mimì sovra ogni cosa al mondo,io l'amo, ma ho paura, ma ho paura !"の歌い方や表現がとても心を揺さぶられました。その後も良かったけど、なんか今書いてて思い出したら泣けてきました。ロドルフォの4幕の最後「ミミ~」の後は、それまで涙を我慢していたものが崩壊するように、大号泣していましたが、私も大号泣でした。ミミと出会ってからのいろんなことが脳裏を巡りその思い出は涙に変わったわけで。素晴らしいロドルフォでした。

 

マルチェッロ役の又吉 秀樹さんは、ちょっとマッチョな感じの声がとても好きで良かった。有名な方だけど実演触れたのは初かも。テノールの頃に聴いていたような気もするけど、多分バリトンでは初じゃないかな。なんかね、声量もあるし、普通に良い声なんだよなぁ。何でもいけそうな声というのか。声が似てるとかではないけど、ところどころヌッチをも彷彿するような感じもして耳福でした。又吉さんは歌う役者といった感じで全編通して演技派でしたね。2幕のムゼッタのアリアの後にムゼッタと抱き合った時のイイ男な表情や、3幕冒頭の"O Mimì tu più non torni."では自分の恋が終わったことも引きずっていて嘆くんだけど、ロドルフォに目を向けた時に見せる彼を気遣う仕草や表情、4幕最後の必死に"Coraggio !"と言った時の表情、挙げればきりがありあませんが、いちいちかっこよかったんですよね。で、それがより物語に真実性を与えていたし、観ている方も惹きこまれていきました。歌唱では、2幕のムゼッタのワルツの最後の方"Gioventù mia,tu non sei morta,né di te morto è il sovvenir!"がめちゃくちゃ迫力あって心の奥底から湧き上がってくる彼女へにあふれ出る愛情みたいなものがバチコーンと感じられ素晴らしかったです。3幕の4重唱もロドルフォとミミ、マルチェッロとムゼッタでしっかりと対比が出ているんだけど、まとまりのある音楽になっていました。さすがです。関係ない2つが調和取れてないと面白くないので。面白いといえば4幕でわちゃわちゃダンスしてるとこでの高音は笑えました(笑)このあともちょっと触れますけど、ちょこちょこ高音出してくるんですよね(笑)でも、しっかり層の厚いバリトンなんですよね。素晴らしいぜ又吉さん。

 

ショナールの大川 博さんは、出だしの"La Banca di Francia.per voi si sbilancia."の声が明るいイタリアという感じの響きで、爽快で声いいなってなりました。そこからずっと明瞭で聴きやすくて、誰よりもイタリアがやってきたという印象。大川さんも初めて聴いたような気がしています。ショナールはあまり出番がないからなのか、大川ファンの為になのか、2幕の冒頭カフェ・モミュスにて「闘牛士の歌」を歌ってました(笑)又吉さんが「Viva エスカミーリョ」って声掛けてたので、やっぱそれは定番なのねなんて思いながら(わが母校焼津中央高校のオペラ公演最多公演がカルメンで、やはりこちらでも声を掛けるので)。そして、"L’amour! "を急にテノール的な感じで歌い始めたのは爆笑しました。ほんでうまいのよ(笑)それに負けじとめっちゃダンディな感じで言い寄る大川さん、最後はひっくい声で松中さんの"L’amour! "と「闘牛士の歌」めちゃ楽しかったです。ふっつーに歌自体も良かったです。うまい、大川さん。『カルメン』全曲聴いてみたくなりましたし、ホセとの2重唱も同時に聴いてみたくなりました。オケというよりはピアノで。いや、河原さんのピアノが良いですね!コッリーネから「各々が自分にできることをしよう。君は二人にさせてやることじゃないか」みたいに言われて立ち去る時の感じとても良かった。あまり多くを言わないけど「大丈夫だって」みたいに応援する気持ちが顔に出ていて感動しました。絶対人良いもん。そして最後の"Marcello, è spirata…"ですよね。マフから出たミミの手をマフの中に戻してあげようとするもまた出てしまう。そこで気づくわけですね。そして息多めの感じで言うわけです。マルチェッロに駆け寄って。良い芝居してました。それを受けて脈を測りに行くマルチェッロ。あぁ泣けます。

 

ミミ役の鈴木 玲奈さんは、今回がミミのデビューということでデビューおめでとうございました!!10年前くらいでしょうか日生劇場でブロンデをやられたくらいから応援していることもあって今回そのミミのデビューを見届けようとチケットを購入しました。忖度なしに言いますが、最高でした。もうほんと素晴らしかった。わたしゃぼろっぼろ泣いたよね。ミミってお針子だったり、プッチーニが全カットした幻の中庭のシーンからも分かるように、やはりちょっと狙ってきてるというか、いつか親元へ戻ってそれなりの地位に就く若い男と今のうちに良い仲になっておくことで、ファッション貧乏でないガチの貧困層のミミはそこから抜け出す糸口にしたいという裏側の気持ちがあって、ろうそくも全部芝居みたいな作り方をするのが結構あるんですけど、今回は僕が観て聴いた感じだとそれとはまったく違っていて、プッチーニが好んだ純粋な女性としてミミが描かれていました。で、それは演出的なところよりもむしろ、玲奈さんの持つ声と雰囲気から感じました。また、玲奈さんと河原さんのピアノがむちゃくちゃ合っていて、優しいのよお互い。だめだ。思い出しても泣ける。マリア様というか天使のようでした。1幕の「私の名はミミ」では息を呑んで聴き惚れました。ずっと「すごいすごいすごい」って思ってました。ミミやる人って少しばかり声が重くなってきてみたいな感じがあるんですけど、玲奈さんはムゼッタでも全然違和感ない感じで、なおかつ、上の音が丸みを帯びて決して缶切り声を上げるような歌い方をされないので、そういう響きが純粋さの音色となって会場に降り注いだのではないかと感じます。既出してますがほんとに天使のような歌声でずっと聴けました。後半の盛り上がっていくとこはピアノとプロジェクションマッピングとも相まって得も言えぬ美しさを放っていました。声も全くブレない。ミミのデビューだという気合も感じました。で、あまりに素晴らしくてしっとりと聴き入ったので、Bravaaaaa‼‼‼とかそういう気分にもならず、「良かったねぇ」という田舎の家族みたいな感覚になりました。会場のお客さんもみんな感動したんだと思います。歌終わりで拍手の起きそうなタイミングより少し経ってから拍手が起きました。個人的にはもっとあっていいという気はしましたが、会場の方々はそこまでBravoとかいう感じの方々ではなかったので(ここに限らず、「冷たい手を」や1幕の終わり、2幕の終わり、3幕のミミのアリアなんかももっと拍手あってええやんでした)ちょっとリアクションが薄かった感じはありますが、それと評価は全然イコールにはならないと思います。あくまで私の主観ですが。あt、別にね、お客さんのリアクション悪いんだよもっと盛り上げろよって言いたいわけじゃなくね。そういう感じのノリの人が多かったんだなぁってことで。

あとは、2幕の"Io vedo ben.ell'è invaghita di Marcello!"の所では逆にミミも今ロドルフォを愛しているからそう思えるんだなという気がしたし、そういう風に玲奈さんが表現していたように思います。結末を知っているのでこういう所はさらっといくとこでしょうが、グッときてしまいます。3幕のミミのアリアの序盤"Addio, senza rancor."に入る前の前奏のピアノが何と優しいのか。そのあとのアリアもずっとミミの気持ちと完全に呼応していた。歌い手の邪魔にならないように、でもしっかり河原さんの思い描くミミの気持ちに寄り添った音をオケのようにずっと集中して表現し続けていて、もう完全ノックアウト。ずっと泣いてました。凄いわやっぱ河原さん。

4幕のミミが担ぎ込まれてからはもう多くは言いませんが、もうね、素晴らしかった。語彙がないよ。で、今回のブログ全然ふざけてないやん自分みたいな。いや、だってさ凄かったもん。この時のメイクも良かったなぁ。髪型も含めてめちゃ弱ってる感じした。もう今にも死にそうみたいな。ミミが気付いて"Buon giorno, Marcello,Schaunard, Colline… buon giorno.Tutti qui, tutti qui.sorridenti a Mimì."の所は多分私「うう」とか言ってたかもしれない。すっごく言い方うまかったし、優しかった。まわりのみんさんもすごくいい顔してて、あの瞬間の舞台上って善しかないというか、人が人を思いやる気持ちだけが優しく舞台全体を包んでいるような感じがしました。これ書きながらまた泣いてるんですけど。搔い摘んだつもりがどんどん長くなっちゃうのでとりあえずこの辺で。玲奈さんのミミ最高でした。感動をありあがとうございました。

 

ムゼッタ役の七澤 結さんは、前回は藤沢のパパゲーナを聴いたのが最後かと思います。ムゼッタは、となると2幕の「ムゼッタのワルツ」となるわけですが、高音も伸びやかで申し分なかったです。端正かつパワフルに歌っていた印象。3幕で4重唱の時にマルチェッロと喧嘩して舞台から降りて客席を通って去っていったのですが、その時に隣を通ったので分かりました。気の強そうなムゼッタですが、別れたこと自体なのか喧嘩したことなのか、原因ははっきりとはわかりませんが泣きながら退場していました。怒りながら退場させなかったのは、人間的な厚みを持たせたかったのかな。人間外で見せる顔と本当の顔って違ったりしますもんね。ムゼッタだって本当は弱いのかもしれません。4幕であそこまでいい人で終わるのはやはりベースとして人の痛みが分かるような弱い人間だからなんだと思います。強い人間にはわからなんです。弱いからこそ寄り添えると僕は思っているので、そういう部分も表現していたのかもしれないなと思ったら、本当に魅力ある人間だなと感じましたね。

 

コッリーネ役の松中 哲平さんは、新国研修生の頃に聴いて以来だったと思いますが、とても成長されていたと思います。明るめのバスで下も良く鳴るし、アリアの「古い外套よ」も哲学者らしく真面目に歌われてました。声が明るいので暗い曲に聴こえなくてとても良かったです。冒頭に三戸さんとの「お前は近いんだよ」っていうやり取りが個人的に好きでした(笑)

 

べノア/アルチンドロ役の三戸 大久さんは、とにかく最初の冒頭の寸劇が最高。暖炉の火を担当してやってくれって言われてからの流れ良かったです(笑)人の良い兄貴っぽい感じが前面に出ていて見ていて後輩に頼まれて出たのかなとか色々考えながら観ていました。だとしたら、なんかとても素敵です。

 

ピアノの河原さんについては既にたくさん触れていますので簡単に。いつもはオケの音色をよくピアノ一つでこうも出せるもんだと感心するのですが、今回はそれよりも登場人物の気持ちとピアノの音色がリンクしているという方を特に感じて聴いていました。それは同時並行でもそうだし、ピアノが先行する場合もあるしまたその逆も然りという具合で。河原さんのピアノだったからここまで感動することが出来たと思います。感謝感謝です。

 

長くなってしまったのでほぼ強制終了気味にブログを終わりますが、こんなに素敵で素晴らしいボエームは初めてでした。どのボエームが良い?と言われたら、ゼフィレッリか塙さんのものだねって答えたいくらい。

あ!!!あと、衣装も良かった!!!ニット素材の衣装が完全に映えてました。カラーもそれぞれに合っていましたし、柔らかい印象がなんとも目に心地よかったです。ここにも触れておかないとでした!!

最後に、出演者のみなさま一人一人に感謝したいです。また、こういう公演は多くの裏方様のお力添えで成り立ちますよね。そういったすべての方に感謝を致します。本当に素敵な経験をさせていただきました。ありがとうございました。

 




カーテンコール撮影可 以下↓

























 


今日はね、マジでいい日になったわよ。ぜーんぶロッシーニだけで構成されたコンサートに行ってきたんです。いわゆる、オール ロッシーニ プロってやつ。ぐふふ。ロッシーニが好きな人にとっては盆暮れ正月一緒に来たぜってなもんでして、このコンサートをむちゃくちゃ楽しみに、私は今日まで生きてきました、どうも吉田拓郎ですというわけで(どういうわけやねん)
でね、でね、ちょっとこのプログラム見なさいよ。


なんやねんこのメインディッシュだらけのコースは。前菜とかさ、スープみたいなやつないやん。いきなりどーもー、牛フィレとフォアグラとトリュフのやつでーす、ロッシーニだけにー、みたいな感じなんよ。で、その次も、どーもー、牛フィレとフォアグラとトリュフのやつでーす、ロッシーニだけにー。で、その次もどーもー、牛(やかましいわ、もうわかったから)
…っていう感じでして、これはもう否が応でもワクワクさんです。

ムジカーザというホールは内装を見たことは有りましたがお客さんとしては初めてでした。120人収容のサロン的なホールで個人的にはとても好きな感じ。2階席やバルコニー席もあって素敵でした。なんかいいなーって思いましたね、都会は。私なんて静岡は焼津ですからね。なんもないのよそんなホールは。しかも今全国的なホールの改修もあって、結構公演したくても場所が取れなくて出来ないみたいなことも起きてるんですよね。都会はうらやますぃぜ!!僕自身は東海にはいるんだけど!!ちぇっ!!(全部オヤジギャクやん)

ちなみにですね、今回の公演はなんと無料公演だったんですよ。しかも抽選に当たれば聴けたというね。あの内容で無料だった…なんてこった。たっかいお金を払ってもなんなんこれみたいなものもたくさんあるけど、無料でこんなすごいコンサートに出会えてしまった。これも全ては、主催の公益財団法人 光山文化財団様のおかげです。ありがたや〜ありがたや〜。本当に当選してよかった〜。地球に生まれて良かった〜。

ではではプログラムを見ていきましょう。
まずは、『セヴィリアの理髪師』から3曲。最初は阿部泰洋さんのソロでフィガロのアリア「私は街の何でも屋」でした。多田さんの前奏が品よくまとまりそうな雰囲気だったのですが、弾き始めたら結構オラオラ情熱系でうりゃーといきなりテンションマックスな感じ。阿部さんは「ララララーラ」と2階から登場して階段を降りてきて、ピアノの前で歌いました。ロッシーニ歌いのテノールは日本にもたくさんいると思うんですが、正直バリトンってあまりイメージがないんですよね。そりゃフィガロを上手く歌える人はいるんですよ、いるんですけど、様式に合ったロッシーニの国産バリトンというとなんとなーくあまりピンとこないというか。じゃあ阿部さんはどうなんだと言われると、ベルカント歌いという感じ印象で、ロッシーニ歌いというかはちょっと分かりませんが、(勝手に)想像していたより声に張りと厚みがあって若々しくて艷やかな声。だからといって朗々と歌い上げることはなく、しっかりとベルカント。しかも結構特徴的な声で歌の節々に色気も感じさせてくれる。なんだろ、ヘルマン・プライ感がちょっとあるというか。まぁそうなると好きな部類の声なわけで。ベルカント系だと、ベルコーレとかエンリーコとかそれこそアルジェのタッデーオなんかはとても合いそう。僕はなかなか面白く成長してくれそうだなと思いましたね。ペーザロのアカデミーにも行かれるということなので、本場の感じを入れ込んだら凄いロッシーニ歌いになるのではないだろうか。

2曲目は、石田滉さんが歌うロジーナのアリア「今の歌声は」でした。はい、絶品。もうね、それは素晴らしかったですよ。前奏が流れると彼女の醸し出すロジーナの雰囲気が会場中に蔓延するんですよ。なんでしょう、歌唱は言うことないくらい良いんですよ。素晴らしいいんです。アジリタも粒が立っててしかも流れるようだし、高音もめちゃくちゃに良いポジションで鳴ってるから美しいし、言葉も明瞭で爽やか。テンポ感とかそこはこれくらい伸ばしてくれるのかなとか、期待してるポイントも漏れなくそれそれって思わせてくるように歌い上げていく。ドスの効いたメゾはそんなに趣味ではないだけにそうでないから余計に良い。まぁこれはあくまで自分の好き嫌いですが。で、そこにロジーナの雰囲気とかロジーナの人間性とかがしっかり乗ってくるので、凄く楽しいんですよね。思わずこちらもにこにこしてしまうというか。まさに歌う女優です。満足。

3曲目はフィガロとロジーナの2重唱「それじゃ、私ね。私を騙したりしない」でした。ここで特筆すべきだったのは終盤の2人の声が重なり合ってる所で、多分普通はフィガロの"Donne, donne, eterni Dei,
chi vi arriva a indovinar?"がよく聴こえてくるんですけど、今回はロジーナの"Ah, tu solo, amor, tu sei
che mi devi consolar!"がよく聴こえてきました。で、それは明確な理由があって、言い方汚くてすみませんね、あの、クッソうまかったんよ。転がりまくってて。思わずそっちを耳が拾っちゃうというか。私だとまぁほんとに下の下の下の鬼太郎かお前はというくらいゲゲゲのバリトンの私は、フィガロの方に耳が集中するはずなんですけどそうではなかった。阿部さんがどうこじゃなくてね。阿部さんもヴァリエーション変えて歌われてたのでさすがやとは思ったけども、ロジーナに耳が結構いってましたね。うーんこれは脇園さん依頼かもしれない。

ここでトークが入りましたが結構グダグダでおいおい大丈夫か!!と思ったのですが、その後のトークも含めしっかり者のおねえさんとなんとかなるっしょの弟みたいなコンビの感じが、果たして噛み合っているのか?という感じもして、見てるこっちとしてはそれが喜劇的で面白かったですね。最後の方は結構爆笑してました(笑)

さ、話を戻しますと、次はロッシーニの書いた歌曲でした。同じ詩で違う曲を何曲も書いたロッシーニの「何も言わずに嘆こう=

 Mi lagnero' tacendo」を2曲。前半は「憎しみ」(何も言わずに嘆こう)で石田滉さん、後半は『老いの過ち』第13集より第6曲の「何も言わずに嘆こう」で阿部泰洋さんによる歌唱。同じ歌詞なのに曲によってこうも印象が変わるのかという面白さと、ある意味ではロッシーニの真骨頂というか、逆ロッシーニ?という感じ。同じ旋律なのに表現によって状況や心境が変わるようになるみたいなね。それの逆バージョン。多分前半の方は聴いたことがあると思うんですけど、後半の方はあまりピンとこなかったので初かも。バリトン版が初なのかな。うーん。まぁいいや。にしても、ロッシーニの書簡なんか見てると結構ひねくれてる俺様みたいな感じがあるので、一つの歌詞でこんなに作れるんだぜ凄いんだよ俺はってのを密かにその曲をプレゼントしながらほくそ笑んでいたのではいだろうかなんて思ったり。すべては歴史のなかに埋もれて分からない…とおもふ。

この曲での石田滉さんの一切ブッフォ要素なくなった声や息の使い方が心を打ちました。阿部泰洋さんの方はこの曲は多分テノールの方がイメージ的には合いそうだけど、かわいくまた美しく歌っておられたので色んな引き出しがありますなと拍手でしたね。

ここで休憩。

後半1曲目は『試金石』からマクロービオのアリア「近づくあの女性は誰?」でした。阿部さんこれ歌うんだって思って曲目が公開された時にテンション上がったんですよね。今回のコンサートで楽しみにしていた曲の1つでした。『試金石』自体は時々聴くので好きですけど生は初でした。で、めっっっっっっっっちゃ良かった!!!!阿部さんにとても合ってました。活き活きしていて曲全体を活力で覆われていて、スターマイン的な花火がバンバン上がってるような感じ。本人も言ってましたけど、試金石は阿部、これは全く問題ないですね(笑)フィガロより全然解放されていて無敵な感じでした。マリオならスター取ってる感じ。どこかで阿部さんマクロービオで『試金石』やんないかなぁ。

次の曲は『セミラーミデ』よりセミラーミデのアリア「麗しい光が」でした。石田滉さんによる歌唱でした。いやぁーこれもすんごく良かったです。この曲はソプラノのイメージが強いんですけど、今日を期に一変したかもわかりません。セミラーミデってなかなかな女性なわけで、ソプラノだとなんか凄く天使とお友達みたいな純粋さの塊みたいな感じがするんですけど、メゾの方が彼女の中にある何か狂気な部分も少し感じるというか。なんかそういう意味においては合ってるかもしれないと初めて思いました。滉さん技術的にもものすごく高度なテクニック持ってて、それこそ後半のコロラトゥーラ的な部分とか1音1音潰れることなくしかも滑らかなフレージングでとても耳が幸福で気持ちいいのよ。で、さらにセミラーミデはセミラーミデに声が変わるんですよ。声色と言ったらいいのかな。とにかく変わるんですよね。意識的にそうするんでしょうけど、もう意識的じゃなさそうに見えて、あたしは滉が怖いわよ。もしかして何人かいます?サンリオのキャラクターみたいに。あ、あれはキキとララだったわ(そろそろ怒られようか)

さ、後半3曲目と4曲目は『チェネレントラ』から。まずはダンディーニのアリア「4月の蜂のように」を阿部泰洋さんが歌いました。この曲は低かったり高かったりしてなかなか難しいと思うんですけど、さっきのマクロービオでブーストしている阿部さんはまだまだスターを手にしていました。こちらもとても良かった。無敵やわ。非常にロッシーニ的なダンディーニが聴けました。ここにきて、ちょっと待てよと思い始めましたよね。さっきのマクロービオといい、あれ、様式的にもしっかりロッシーニやんと。そらアカデミーいくよなって。失礼しました(笑)アジリタもめちゃくちゃ良かったし、歌いまわしも全然日本人って感じがしなくてこれぞロッシーニのブッフォという感じがしましたし、めちゃイタリアでした。生で聴いたダンディーニでは過去1良かった。ピアノも素晴らしかったのですが、もうちょっとなんだろ、阿部さん、いや、阿部ちゃん、ラブです(にげてー、阿部さんにげてー)

お次は、アンジェリーナのロンド「悲しみと涙のうちに生まれ」でした。もおね、これもね、最高でしたわ。他のものに比べると前半部分技術的な部分に固執して滉さんにしては気持ちというのか表現の幅が若干狭かったように少し感じましたが、後半の畳み掛けてきたアジリタの嵐とそこに乗せてきた表現で私しゃ大満足でした。燃えました。うおーすごいすごいって。お客さんも1番沸いてたんじゃないかな。何で新国は黙ってんだ。早くこの人で『チェネレントラ』を再演しなさいよって思いましたね。外国から呼んでこなくていいから。いるんや、日本にもしっかりやれる人が。で、今回初めてこの曲下ろすって言ってたような気がしますが、初であんなに歌えるなんて驚き。当たり前だけどやっぱプロだわねぇ。尊敬するわ普通に。アンジェリーナのこのロンドをここまで歌える人が日本にいる時代なんだなぁとしみじみ。早くどこかのプロダクションでアンジェリーナ聴きたいです。アンジェリーナお願いします。トゥームレイダー(ジョリーの方じゃねぇよ)

プログラム最後は、『アルジェのイタリア女』からイザベッラとタッデーオの2重唱「運命の気まぐれに」でした。てかさ、何でこのオペラ全然やんないのかね。ずっと待ってるんだけど。新国でもうやるかもうやるかと待ってたら次のシーズン『イタリアのトルコ人』やるんですよね。なんでやねん。まずはその逆バージョンやりなさいよ。ゼエゼエ。そんなことは置いといて、この2重唱も2人でよく構成を練られたのかなと思う演出も込みでとても楽しめました。イザベッラって結構低めなんですな。滉さんの声だと軽めなのでイメージするイザベッラではなかったけど、逆に若々しくてキャピキャピなイザベッラという感じがしたので、そりゃタッデーオも好きになっちゃうよねって妙に納得。なんか結構ドスの効いた系がやってたりするから、イザベッラっておばさんっぽい感じを纏うんですよね。なんとなく。今回は気の強いギャル(ただし、所々の演技でじつはそんなに気が強くもなくて優しそう)と気弱な陰キャ的な雰囲気で見れました(笑)

アンコールは「踊り」を2人で披露。いや、待て待て。違うんですよ。分かってますよね?2人でダンスしてアンコールて意味分からんやん?ちゃいますよ?ロッシーニ作曲のね、「踊り」。要はDanzaね。これをアンコールで歌ってくれたということね。輪を描いて踊る様が見えるかのように、また、それが徐々に小さくなって早く回る様が見えるかのように、アンコールでしたが手を抜かずにしっかりと歌ってくれました。最後のアクートも結構伸ばして盛り上がりました。

もうね、ほんと最高のコンサートでした。
マジで早速今年1のコンサートに出会ってしまったような気がしてますよ。2人の今後が気になりすぎて夜しか眠れないですよ(普通じゃねぇか)というのは冗談で、若い2人のこれからが本当に楽しみになりました。凄い歌手になってくれそうです!!もうなってるのかな。
そんなわけで、演者の御三方ご苦労さまでした。ありがとうございました。また、光山文化財団の方々に厚く御礼申し上げます。素敵な機会をありがとうございました。