たっぴーのムジカしくない日記 "Incominciate!!"

たっぴーのムジカしくない日記 "Incominciate!!"

主にオペラの感想等を亡備録として書き連ねていこうかなと思ってます。
その時感じたことをそのまま書くようにしてますので、文筆がおかしいことは多々ありますが、良ければご覧下さい。


オペラ観賞の感想などを手記してきます。大好きなオペラ歌手はレオ・ヌッチ。

VIVA ROSSINI ‼

思わず会場で叫んでしまったよあたしゃ。

何なら、VIVA SONODA‼  VIVA FUJISAWA‼

とも叫びたかったけど悪目立ちしたいだけにも見えそうで堪えた(笑) 

いや~こんなに、こんなにさ、こんんんんんんなに素晴らしい『ランスへの旅』が聴けて最高よ。

ずっと良かったもんね。ほんとずっと。で、全員良かったんよ。テンション爆上がり。

その興奮状態で頭の中で一緒に歌いながら最初から最後まで聴き続けたら、つっかれ果てました。最後立てなくなるのではないかと思うくらい燃え尽きちゃった。あしたのジョーみたいに真っ白になってないか心配になりましたよ。

そんなアホなことを言ってますけども、ほんっとに、このオペラに関わったすべての方に言いたい。感動しました、ありがとうございましたと。

今回楽屋口で40分くらいは待ったけど、皆様なかなかお出になられず。時間も迫ってきてたので会場を去った結果、直接感謝の言葉は言えませんでした。本当なら直接言いたかったね。もうこうなったら何とか調べ上げて、明日になったら一人一人のご自宅に伺って、ピーンポーンって鳴らして、「あ、あの、藤沢のランスありがとうございました」って言って回りたいですよね(お前もうたぶん速攻警察な)。

 

今回、オペラの始まる前にまずは市長からの挨拶があり、その後に園田隆一郎マエストロからのお話がありました。とても共感したので記憶してる限り書いておきます。

「このオペラは内容がないとかくだらないとか言われるけどだからなんですか?自分とは違う他人、自分とは違う個性を持った人。つまり多様性をお互い認め合うということをひとつのテーマとして、それを表現しようとこのオペラをやる場合いつも思っている。そうすることで世界が平和になる」という様なことを仰っていました。その例として、第2番のファッション狂のフォルヴィル伯爵夫人のアリアで大事なファッションのアイテムである帽子が届かなくて一喜一憂している、後半で帽子が届き安堵して歌い始めると、トロムボノク男爵がそれを見てあの人はほんとに変わった人だと思わず笑ってしまうんだけど、でも待てよ。人は誰しも自分と違ったところ、ちょっと変わった所があるではないか。この世の誰もが狂気の一枝を持っているのではないか、それを考え、それに続く第3番の6重唱の序盤で「こうじゃなきゃだめだという四角い考えで物事を考えてもだめ。地球は丸いんだから、丸くて柔らかい考えを持っていかなきゃだめだ」ということをに言う所が大好きで、オケも合唱も会場のお客さんもみんな狂気の一枝を持っているはず。それを認め合うことで平和に生きていける。今日のソリストだと、ファッションのフォルヴィルや音楽マニアのトロムボノク男爵、骨董大好きなドン・プロフォンド、人よりも怒りっぽいリーベンスコフ伯爵、好きなことを打ち明けられずいじいじしてるシドニー卿などみんな変わったひとばかりで、それが全員国が違う人たちであって、その人たちがお互いを認め合うということがオペラで表現されていて素晴らしいというようなことを仰っておられました。(口述筆記じゃないので園田さんの言ったこと100%ではないです)。

で、うん、確かにそうだと思いました。色々ないざこざや紛争って自分と違うことを認められないことから生じるケースが良くあります。逆言えばそれを認められれば平和に生きていけるんです。それをロッシーニはさらっと1825年に音楽という形で残していたのかと思うと感動して泣きそうになりました。また、うちの祖母が生前、「世の中四角四面に生きていてもだめだ。丸く角を落とさにゃ」と言っていたことも思い出しました。うむうむ、よーし、丸く生きていくぞ!今日は牛丼メガ盛りだ(ダメだ、園田さんこいつ全然わかってないっすわ)

 

藤沢市民オペラで毎回驚くのは合唱です。市民オペラのレベルじゃないんですよ。聴こえてくる音楽に違和感がなくて、欲しい感じでずっと聴こえてくる。この違和感ってのはあくまで感覚なので表現しにくいのですが、やっぱりガチのプロでないと「ん?」と思う場合も演奏会によってはあります。私も専門家じゃないのでそれは違和感としか表現できないのですが、藤沢にはそれが一切ない。むしろグッドボタンを押しまくりたい。YouTubeなら高評価チャンネル登録って感じ。かなり練習されてるのではないかな。さらに、みなさんすごく楽しそうに歌ってらっしゃって、見ていてこちらも楽しくなります。音楽って素晴らしいみたいな感じが溢れてます。また、合唱としてのまとまりはあるけど、個々人の表情や動き方はみなさん個性的で、ただの合唱で立っている瞬間がありません。オペラの合唱ですので、そういうところはウェルカムというか最高ですよね。

また、オーケストラの藤沢市民交響楽団さんもコンサートマスターの塩貝みつるさんを筆頭に、ここはこういう感じできてほしいなという僕の感覚とはとても合っていました。楽しかったり、燃える部分だったり、ロッシーニクレシェンドで盛り上がっていく所も実に良くて、これぞロッシーニだぜっ!!って思いながら聴きました。シドニー卿のアリアではフルートも素晴らしかった。また園田マエストロとの息もぴったりだった2幕のバレエ音楽も素晴らしかった。毎回思うのですが、園田マエストロのロッシーニを聴くと、丸みを帯びた優しい音色で溢れている印象なんですね、今回もそれをすごく感じたし、オケにもその感覚がスッと入っているような気がしています。ロッシーニから感じる園田節とでも言うのでしょうか。

 

さぁでは今回の配役を見ていきましょう。こんな感じでした。

 

【コリンナ】光岡暁恵

【メリベーア侯爵夫人】杉山沙織

【フォルヴィル伯爵夫人】小川栞奈

【コルテーゼ夫人】砂田愛梨

【騎士ベルフィオーレ】山本康寛

【リーベンスコフ伯爵】小堀勇介

【シドニー卿】伊藤貴之

【ドン・プロフォンド】小野寺光

【トロンボノク男爵】大沼徹

【ドン・アルヴァーロ】大西宇宙

【ドン・プルデンツィオ】デニス・ビシュニャ

【ドン・ルイジーノ&ゼッフィリーノ】加護翔大

【マッダレーナ&デーリア】小林由佳

【モデスティーナ】石田滉

【アントーニオ】小林由樹

 

指揮:園田隆一郎

合唱指揮:浅野深雪

合 唱:藤沢市合唱連盟

管弦楽:藤沢市民交響楽団

 

フォルテピアノ:星和代

副指揮:柴田慎平/松川智哉

稽古ピアノ:黒澤美雪/小南雅世

日本語字幕:本谷麻子

 

豪華過ぎて思わず文字のフォントも大きくなっちゃったよね。

やばない?マジで。豪華過ぎるやろ。

これまでの園田さんの振った藤沢市民オペラの集大成かつ新しいこれからの新進気鋭の混合のような激アツな面々。

今回は曲ごとに思い出して書いていこうと思います。

 

〇第1曲:導入曲とコルテーゼ夫人のアリア「麗しい光に飾られて」

オケが鳴り始めて「金の百合亭」が朝を迎えてバッとカーテンを開けて従業員たちが動き出して朝の準備を始めていく感じの導入部は昔から大好きなんですけど、オケが良かったのでニンマリ。マッダレーナの小林由佳さんが出てきて後ろの合唱に指示して立たせてから歌い始めて、もうこの段階で楽しくってしょうがかなかった。小林さんの歌いまわしも良かったし、何より合唱が楽しそうったらありゃしない。あまりにも言葉に表現を入れすぎると崩れちゃいそうなんだけどそれもなく"La pazienza! ah! ah! ah!…Oh! niente, niente."の所はただ楽しそうでしっかり枠内に収まってて素晴らしかった。オケも煽ってきて良かったし、この冒頭って僕が『ランスへの旅』を聴くときにすごく大事で、ここによってテンションが上がらないと嫌なんですよね。今回めちゃめちゃアガりましたわ!自分がこのオペラを生で聴いた中で過去1かも。で、ここが盛り上がるから、デニス・ビシュニャさん演じるドン・プルデンツィオにバトンタッチするとこが活きるんですよね。ここもドン・プルデンツィオ筆頭に合唱とロッシーニクレシェンド的に盛り上がっていくのですが、実に音楽が楽しいです。ちなみに脇役ですが、ここで出てくる小林由樹さん演じるアントーニオ、声も所作も良かったです。アントーニオの"Ah! si esamini, s'informi,
tutto in regola vedrà."からのドン・プルデンツィオの"Si dispongono a partire;
ma non cal, quest'oggi ancora,”に繋がり合唱も入って盛り上がっていく部分も大成功。

 

そのあと続いて、砂田愛梨さん演じるコルテーゼ夫人の登場。2025年の日本音楽コンクール1位を受賞した彼女の歌唱はラジオで聴きましたが明らかに格が違いました。コルテーゼ夫人もそれはそれは圧巻の歌唱でした。素晴らしすぎた!!この役が砂田さんによって覚醒しました。レベルアップ。コルテーゼ Level 2ndです。セルで言うと18号を吐き出して自爆する第2形態みたいなものです(全然違うわ)。アリアになると急に音楽が変わって優しく光の差し込んだようなのんびりとした雰囲気の曲調になるわけで宿屋の女主人にしては旋律美というのか技巧的な美しさのみが前面に出てくる印象がありますが、今日はどちらかと言うともっと実存的な血のほとばしる人間的な魅力そして力強さを感じるように歌いあげてくれました。。音の厚みがありつつもしっかりとベルカントな歌唱。最後はアクートをしっかりと決めていました。で、そのあとがまたすごかった。早口でまくし立てていくところの言葉が粒だって揃っていて爽快。イタリア在住なだけあり、言葉の処理がひっじょーに上手かった。ここでも最後の方はかなりヴァリエーション豊富に超高音を出していて度肝を抜かれました。この曲こんなに超絶技巧みたいな感じだっけ?みたいな。砂田さんの歌唱はこの役に風穴を開けた感じがしました。もうずっと気持ち良かった。ニッコニッコしながら聴いてましたよ。ロッテのトッポだわ。やっぱこれだねって(いつのCM出してきてんだよ)。早くまた聴きたいな砂田愛梨さん、Brava‼

 

〇第2曲:レチタティーヴォとフォルヴィル伯爵夫人のアリア

フォルヴィル伯爵夫人は過去に生で聴いて凄かったのは光岡暁恵さんでしたが、今回その光岡さんにフォルヴィル伯爵夫人の歌い方を伝授されたという小川 栞奈さんがキャスティング。ここでちょっと嬉しかったのは、モデスティーナが石田滉さんで、藝大の同期で仲良しの2人が藤沢の舞台上に乗ったということです。いつもSNSで仲良さそうな様子を見るので良かったなと。そういやここの同期ということで言うと私の高校の後輩とかそこ経由で一緒にオペラやった子とかなんやかんやでリンクするなぁ。まぁそれは良いとして、小川 栞奈さんは白のドレスに赤の丈の長い手袋姿(あとで青の帽子、3色合わせてフランス色)、石田 滉さんは黄色のドレス。色のコントラストが良くて目にも鮮やか。肝心のアリアですが、めっちゃ良かったです!!前半の馬車の転覆で衣装が来ないと知って失望しながら歌う所も、後半の帽子が届いてハイテンションで喜んで転がりまくる所もとても良く歌われていました。長いし難しい曲だと思いますが、あんなに歌えて、しかもヴァリエーションもそうだけど、曲でしっかりと遊んでるのがまたすごいなと思う。あたくし的にはこの曲はルチアーナ・セッラの呪いがかかってるのもあって、欲を言えば言葉の粒がそれぞれ立ってくると尚良いなと思いましたが、ないものねだりでしょう。前半も後半もヴァリエーションを豊かに、これでもかと装飾を入れて煌びやかに調節技巧を駆使。しかも途中でルチアの狂乱の場を放り込んできたのは面白かった。誰のアイディアなんだろう。最初違和感なくてスッと入ったのでルチアを知っている人でも分からないんじゃないかと思うほど自然でした。で、ここの部分だけはめちゃくちゃグルベローヴァでした。フォルヴィル伯爵夫人は小川 栞奈さんの歌唱でしたが、ルチアはまっじでグルベローヴァの歌いまわしと声色になっていました。唯一無二のグルベローヴァを再現できるなんて。以前ラジオでグルベローヴァのツェルビネッタを学生の頃に聴きまくったと言っていたので、これも影響受けてるのかんな(唐突にやめろよ)。ということで、サプライズもありつつ非常に高度なテクニックで大満足させていただけました。Brava‼

 

〇第3曲:6重唱

例の園田さんが好きだと言っていた場面"Ma ognuno al mondo ha un ramo di pazzia.Sì, di matti una gran gabbia ben si può chiamar il mondo;forse appunto, perché tondo,testa quadra non vi sta.”が冒頭に出てくる6重唱ですが、こちらも大興奮で聴かせてもらいました。曲が進むにつれて人がどんどん増えていく重唱ですが、まずはトロムボノク男爵役の大沼 徹さんが明るい響きで喋るように歌い始め、ドン・プロフォンド役の小野寺 光さんが登場。こちらも同様で聞き取りやすい。この段階でなかなか適材適所だぞと。お二人のように喋って歌えるみたいな感じはとてもいいですよね。声は大きいけど響きのみで何言ってるのかわからないみたいな感じより。続いてドン・アルヴァーロ役の大西 宇宙さんが登場。拍手。その存在感たるや(笑)ドン・ジョヴァンニでもやってらっしゃいますか?というオーラというか。声も肉厚でマッチョな感じ。でもしっかり細かい音符も余裕という素晴らしさ。ああなんて豪華な。蘇演の時のヌッチの様な実にパワフルな歌唱。そしてそしてメリベーア侯爵夫人役の杉山 沙織さんが登場。沙織さん、いや、いつも呼んでるさおりんと呼びましょう。さおりんはこれが本格的なオペラの日本デビューでした。学生の頃から知ってるだけにそれは嬉しくて嬉しくて。ただ、第一声目ちょっと色彩を欠く感じで始まったので、心臓止まるかと思いました。私は胸を押さえながら「頑張れ!!!」と祈ってました。そのあと持ち直してくれたので良かったですが、恐らく本調子ではなかったのだと思います。彼女の歌唱は何度も聴いてるのでもっとすごいです。とは言え今回の面々の中で堂々たる舞台姿はアッパレでしたし、さおりんと言えば豊かな響きだけどアジリタが超絶という印象ですが、今回もそれを感じつつ、並の歌い手では届かないくらいの歌を届けてくれたので全然OK。現在はミラノ・スカラ座のアカデミアで勉強中なので、それを終えた時はどんなに進化するんだろうと楽しみ。デビューおめでとうさおりん。そしてそして、リーベンスコフ伯爵役の小堀 勇介さんが出てくるわけですが、私の大好きな2人が同じ舞台に乗っていて、しかも対になっているという最高の瞬間。小堀さんはなんだかんだで久々に聴いたような。いつぶりだろう。静岡のオペラコンクールの関連事業ぶりな気がする。相変わらずのカルメンの作曲家って感じで、あ、ビセイです(くだらねぇよ)。聴いていて惹き込まれますな。"per lei fido avvampa il core e il mio ardor sprezzando va.”の所の高音もしっかり決まってました。そしてコルテーゼ夫人役の砂田 愛梨さんが出てくるというわけでですが、いや待てよ、舞台上どんだけ豪華やねんと(笑)そしてやり取りの応酬が続いて行きますが、さおりんの"Troppo ingiusto è un tal furore.”がめちゃいい感じに下も鳴ってバッチーンとハマってよっしゃとガッツポーズ。そこからの小堀さんの"Non pavento alcun periglio…D'ira avvampa in seno il core;e il tremendo mio furore no, non posso più frenar.”と続く部分全部良かったよね(笑)小堀さんは高音...はもちろんそうだし強みだと思うけど、こういうとこが良いんよ。自分の中に入れ込んだ感情の部分というか。そういうことがほんとめちゃくちゃ好き。お客さんの空気感ももってっちゃうんですよね。聴いてて眉毛上がっちゃう感じ。そこに他の皆さんの声がどんどん乗っていって、さあお待ちかね。コリンナが出てくるわけですね。コリンナ役は日本が誇るベルカント界の女王光岡暁恵さん。いやぁもう聴き惚れました。素晴らしい「優しい竪琴よ」のアリアでした。この曲は陶酔感でどっぷり曲に浸かるという印象ですが、今回光岡さんはかなりヴァリエーションにもこだわりを持たれていて、これでもかというくらいバリエーションを豊富に入れていて、この曲の新しい楽しみを教えてくれたという印象で、いつもとは違う楽しみ方が出来ました。凄かったね。綺麗に歌ったよ~だけじゃない光岡さんにしか出来ないコリンナを堪能出来ました。ハープの宮原 真弓さんも実に美しく、流れるように寄り添うように光岡さんと共鳴していました。ちなみに、コリンナのアリアの合間にその他の人たちが歌う部分で絶対にリーベンスコフ伯爵のSiが他よりしっかり目に聴こえてほしいなと思ってたところ、小堀さんがまさにその様に聴かせてくれたのでそこも良かったです。コリンナのアリアが終わると稲妻でも落ちたんかという勢いで"Simbol di pace e gloria
la Croce splenderà.”と歌われ、最後のクレシェンドでぐわあああああっともってくとこマジで最高でした。燃えましたよ。なんかもう宇宙的だった。いや、大西的ということじゃなくて、銀河系とかそういう宇宙ね。トライアングルとも相まって"felice ognun sarà.”のとこ全ての毛穴が開いた感じ。素晴らしかった!!Bravi‼

 

〇第4曲:シェーナとシドニー卿のアリア

何度も聴いている伊藤 貴之さんのシドニー卿。今回これまで以上に素晴らしかった!!歌い始めの"Ah! perché la conobbi?”を聴いた瞬間に、おいおい伊藤の兄さん、あなた...調子いいですね~!!!とニンマリしましたよ(笑)そして優しくてなんていい声なんだと。聴き進めるに連れて嬉しくなってきました。このアリアめちゃ大変だと思うんですけど全然そういうことを感じさせず、最後まで疲れも知らない子供のように、時が2人を追い越してゆく...いや待て。何故か布施明になってしまった。そうではなくて、全く喉の疲れを見せずに最後までいってしかも最後"palpiterà.”もしっかり上に上げて余裕で伸ばしていたのでもうラブです。兄さん一生ついていきますです。なんなら今回のシドニー卿は伊藤さんの過去一ヴァリエーションも入れまくっていてほんとに楽しくてしょうがなかった。どっちかと言うと音楽的には合唱入った後が好きなんだけど前半も楽しくて最高でした。ほんと色眼鏡とか無しにめっちゃ良かった!!あのー、そのー、良かった!!もともと無い語彙力が無くなる(笑)

あと、間に入る女性合唱がまた素晴らしかったのもめっちゃくちゃ言いたい。そこはオケも入りから素晴らしくて日本の市民オペラのレベルを優に超えていました。それは後半も同様に素晴らしくて伊藤さんも歌いやすかったんじゃないかなと思います。‟per lei d'amore - palpiterà.”の2回目のヴァリエーションがオシャレで英国紳士な感じでしたね。また園田さんも結構煽っていてオケがかなり速めなテンポで流れるように進んで行きましたが余裕で全く音楽の破綻がなかった。はっきり言って世界に輸出したくなりましたよ。いろんなものがメイドインジャパンが良いと言われていたころの復活ですわ(何の話や)。伊藤さんのリサイタルないかなぁ。マジでありがとうございました。シドニー卿と言えば、サミュエル・レイミーと伊藤貴之と。Bravo‼

 

〇第5曲:レチタティーヴォ、コリンナと騎士ベルフィオーレの二重唱

ここでようやくベルフィオーレが登場です。配役は山本康寛さん。山本さんのベルフィオーレも藤原で聴いたことがありましたが、あれが2015年だそうで、もう10年以上も経っているんだなぁ。時の流れの早さってのものは残酷よね。私もあの頃はまだギリギリ20代だったか30代入ったかみたいな。と、まぁそんなことはいいんですけども、山本さんの好きなところの1つは愛する気持ちを表現する時の力強い声の爆発力が魅力だと思います。攻めは最大の防御みたいな。"Regger non posso oh Dio!Voi siete l'idol mio…Per voi smanio e sospiro,e se pietà negate,io qui voglio morir.”の所だったり"Dunque non v'è speranza?”から"Martire di costanza,io l'alma esalerò.”のところだったり。こういうところはうまいですねぇ。あとは声のしなやかさも素敵な所。

あとは、光岡さんと"Un tal eccesso è pegno del più vivace amor./Un tal eccesso è indegno d'un cavalier d'onor.”と歌う所のヴァリエーションと二人の息の合ったやり取りも良かったです。最後の方独り言のようにコリンナが自分の手に落ちることはわかってるんだとまぁある種ニヤニヤしながら歌う部分はかわいらしさがあって良かったね。何となくこの騎士ベルフィオーレってどこかかわいらしさが欲しいんですよね。そいう意味ではとても合ってますね。光岡さんはこの2重唱だけではないけど、高音を決して叫ばないのがお見事です。ずっと若々しいベルカントな声が聴こえてきて安心して聴いてられます。

 

今回はやはりバリエーションをみなさんすごくこだわって入れていましたね。それこそ10年前だったら少しヴァリエーションを取り入れるという感じだったようなものが、これでもかとヴァリエーション込みが普通の時代に突入したんだなとそれを強く感じました。しかも結構こだわっていましたね。10年前は小堀さんが結構率先して1歩前に出てヴァリエーションでの楽しみ方みたいなものを打ち出していた印象。それから10年、日本のロッシーニは進化してます。それもこれも園田マエストロが貢献してきたことで可能になったことかと思います。

 

〇第6曲:ドン・プロフォンドのアリア

めちゃ楽しかった!!!!小野寺さんのドン・プロフォンドは骨董マニアみたいな部分でのオタクみたいな感じをとても出していいたんですよね。そういえばこの役ってドン・プロフォンド自体のキャラクターをしっかりと確立して歌ってる人あまりいないなと気づきました。要は「類のないメダル」で色々やるんだけどそれ以外はそこまでキャラクターとしての濃さがないというか。一貫したキャラクター作り素晴らしかったです。一枝をしっかりと感じました(笑)また、常に喋るように歌っていて、アリアでは言葉を立ててマシンガンのようにダダダダダダと並べ立て歌ってくれると楽しいので、まさにという具合でとても合っていました。とにかく言葉がしっかりと立ってないと面白くないんですよね。見事でした。また、それぞれの国の言葉っぽくイタリア語で歌うのもうまかったし、一緒に行った英語を普通に話す後輩は英国人で結構ウケてました。但し、この曲は声の消耗も凄いと思うのでとても難しい歌だなぁと改めて思いました。

 

〇第7曲:十四声の大コンチェルタート

なんやこの隅から隅までずずずい~っと好きしか並んでいない光景は!!!興奮しましたねぇ。あの人もあの人もあの人も…みんな好き!!というよくわからない状況。いやあ、まぁじですごすぎっしょ。紅白歌合戦みたいなもんですよね。しかも全員美空ひばりみたいな。まさに歌芸の人生一路。なんというかオールスターですわ。海老・いか・とり天・まいたけ・れんこん・なす、ですわ(てんやのオールスター天丼なそれは)。最強な面々ですわ。14人いるけどなんというか四天王的な。クリカン、清水アキラ、コロッケ、ビジーフォーですわ(80年代後半に活躍したモノマネ四天王!)。要は、激やば激アツな光景が広がってたわけよ!!!

もう言うことないです。というか「わ~すご~い」って見入ってしまって細かいこと覚えてないです。花火観てるみたいな感じだった。覚えてるのは繰り返しする前の所で女性陣が夜の女王の旋律をみんなで歌いつないでいて、最後メリベーア侯爵夫人のさおりんで落とすんだと思ってウケたところね。あと、伊藤さんを中心にただ単に楽しそうだったそっち側の男たちね。笑っちゃってたし(笑)大西さんの入ってくるとことかも最高でした。みなさん当然ですけど一流です。演奏会形式だったので余計に良かったかも。音楽が一切ずれることもなく速めなテンポでぐわあああああああああああああああああああああああっと最後まで走り抜けてくれて感動以外の何物でもないとう状態でした。終わってからちょっと立てなかったもん。凄すぎて。

 

〇第8曲:シェーナ、メリベーア侯爵夫人とリーベンスコフ伯爵の二重唱

やってきましたこのオペラの中でも最も好きな二重唱。小堀さんの歌うこの二重唱は色々な機会で聴いていますが、今回は特に良かった。"Qual sublime parlar! confuso io sono…Eccomi ai vostri piè… Pietà! perdono.”のレチタティーヴォ終わりから曲が葉人るわけですが、歴史的な背景を私が知ったからなのか特にそういう思いを持たれて表現されたからなのか、ただの色恋ごとに聴こえなかったんですね。これまではもっと男女間の話のみに聴こえてたのですが、何となくもう少し深みが出ていたというか。もうちろんストーリー的には関係ない部分ですけど。さおりんは前半とは明らかに変わって声がかなり出てました。いやぁ良かった。ここに焦点合わせてたのかもですけど、声は鳴るし終始アジリタが凄くて一気に喜びで満たされました。高揚感です。声に品があって伸びやかで耳福。"Qual barbaro rigore!Dubbioso e incerto io resto…Di speme e di timore palpita in seno il cor.”からの2人の声の重なり合いは白眉でした。もうそれは美しくて「あ~!!いいっ!!!これだよな!!すげ~」って心の中で叫んでました。もう最高でしたよ。お互いの呼応がもう愛を呼んでいました。さおりんが"Ah! regger non poss'io,ecco la desta e il cor.”と言い、小堀さんが喜びに高揚して"O gioia incomparabile!O fortunato ardor!”と感嘆する。これぞオペラというか。オケもそれに合わせて盛り上げっていくみたいな。これぞオペラですわ。こういう心の躍動感を求めているんです。ほんっとに良きです。それで曲の後半ですよ。ずっちゃずっちゃずっちゃAh! no, giammai quest'anima,più cari e dolci palpiti non ha provato ancor.といくわけですけど、園田さんのオケの速さも音楽も良かったし、小堀さんも良かったし、さおりんも良かったし。生で聴いたこの曲では過去一番良かった。繰り返しの前小堀さんめちゃくちゃ高いアクート出してた(笑)あれ何の音だったんだろう。で、そこだけが特筆してどうこうというか、曲としてヴァリエーションも含めてもうそれは調整が取れていて、もともとそういう曲なのかなと思うくらいの完成度だったので、アクートすげーとかそういうレベルじゃなくて、この音楽をやめないでください、ずっと聴かせてくださいという感じでした。二人とも凄すぎてね。凄すぎて。ほんとこれよ。小堀さんもさおりんもオケもみんな過ごすぎて。俺2回言ったもんBraviって。燃えまくりでした。これぞオペラ。これぞロッシーニ。ありがとうみんなです。

 

〇第9曲:フィナーレ

11,000字を超えてきたので簡単に。大沼さんのドイツ賛歌はプラティコかと思うくらいの明るい声で聴きやすかった。さおりんのポラッカはここでもヴァリエーション豊かにアジリタを詰め込んでいて素晴らしかった。小堀さんのロシア賛歌はアクートもばっちりで印象深く歌いきってくれました。大西さんのスペイン民謡は、こんなにこの曲で目立つのかと思う感じ。マジで声色はちがうにしてもヌッチみたいでした。すごく良かった。歌合戦では一番良かったと思う。最後もアクート金管のように鳴り響いてましたもんね。凄かったわ。伊藤さんの英国国家はやはりお決まりの最後のえええええええええの繰り返しが楽しかったし、歌う前のちょっと恥ずかしそうな感じも良かった(笑)。山本さんと栞奈さんのフランス民謡は二人の声が合っていてまとまりのある感じで聴けました。チロルの歌は砂田さんと小野寺さんで歌われてこれまたお決まりのヨーデルとのやり取りが楽しかった。

コリンナのアリア「金の百合の陰で」は前半のアリアよりも更に声の美しさを感じるもので、光岡さんの輝きのある声が優しく会場中に降り注いでいるかのようでした。こちらもヴァリエーションをたっぷりに歌っていて光岡さんにしかできないコリンナだなと改めて感じました。真に技術的な部分がないとこんなに美しくも明瞭に歌うことはできないだろうなと思いました。コリンナのこのアリアが最後にあるのでオペラとしても締まるし、格調高いものになるように思います。光岡さんの声はまさにそれを叶えるものでした。最後はフランスの伝統化歌「アンリ4世万歳」で終わりましたが、14声の大コンチェルタートと同様に、好きな人たちが一斉に歌っていて、こんなに幸せなことはないなと思って感動しまくりで胸いっぱいになって終わることが出来ました。

 

もうね、ありがとうです。それだけ。

最高でした。

藤沢市民オペラよ永遠なれと心の底から思います。

関係した全ての方に感謝を申し上げます。

本当にありがとうございました。

そしてこのオペラを成功に導いてくれた、マエストロ園田さん、お疲れさまでした。

ありがとうございました。

園田さんの指揮姿からは愛しか感じられなくて、もう大好きなんだなって思います。

それを見ながら僕もロッシーニ大好きって思ってました。

おかげでVIVA ROSSINIと叫んでしました。

今後もいろいろ企画があるということで、また伺わせていただければと思っています。

もっと書きたいこともあるけど、このへんで。

Ci vediamo presto‼















いやぁ昨日は本当に良いものを観て聴かせていただけて大満足でしたよ。

表題にもあります、それいけ!クラッシックが贈るアルティメットプロダクション、オペラ「ラ・ボエーム」を鑑賞させてもらったわけですが、わたくしまさかこんなに泣くとは思ってもいなかったです。涙の海で溺れるんじゃないか、誰か浮き輪とか用意してもらえる?それくらい号泣して没入して観聴き入っておりました。

 

まず、そもそも、それいけ!クラッシックってなんやねんということですが、以下HPから抜粋。

それいけ!クラシック

「クラシックって、超面白い!」をコンセプトに活動する現役オペラ歌手3人組のユニット。

YouTubeにてクラシック・エンターテインメント・チャンネル【それいけ!クラシック】を好評配信中!

動画配信やコンサートを通して、広くクラシック音楽界を盛り上げていくための活動を展開。国内外で活躍するオペラ歌手の本格的な演奏はもちろん、飾らない和やかなトークが話題を呼び、クラシックファンだけでなく多方面から人気を得ている。

2020年9月より発足。(2021年9月より任意団体)

 

というオペラ歌手3人で構成された団体なんですね。メンバーは、バリトンの大川 博、同じくバリトンの又吉 秀樹、テノールの吉田 連で構成されています。みなさん有名なオペラ歌手ばかりですね!!

YouTubeで映像を見たことはありましたが、生で触れるのは今回が初めてでした。

 

さあ、ボエームという輝かしい青春の物語で、しかもアルティメットプロダクションと冠している今公演、そうか、若い男女がフリスビーの試合に向かって必死に部活を駆け巡る青春物語なのか!そんな読み替えも楽しいわねなんて、夕日に向かってあーもーーるあーーーーもーーーる言うてな、って思ったらそうじゃないんですね(作演出山下真司か)。究極の青春物語というこでございまして、ええ、もうそれはそれはその名に恥じない素敵なお話になっていました。

 

今回の演出は塙 翔平さん。本編、まぁ最初から本編なわけですが、オペラの曲が始まる前の寸劇では、それいけ!クラッシックのYouTube撮影?をしています。その内容はボエームの1幕でベノワが退場するまで。そこが全部アドリブなのではないかというくらいのノリで、ちょこちょこ先輩後輩関係が見えたり、先輩をいじったりみたいなノリで男5人で楽しそう。自分もよくやるんでうすけど、誰かが言ったことを自分でもう1回言って、そこにいる他の人がその流れてそれを聞いてないかのようにもう1回同じこと言って、誰かが「さっき聞いたよ」みたいにつっこんでのやつ(これなんて表現すりゃいいんだ)をやってたので、これ部活の男が集まった時のノリやんみたいなところもあって共感度も高く、曲が始まるまでのわちゃわちゃした男子のいつまで経っても大人になれない感じが物凄くしっかりと提示されていて、ああなるほどこれはすごいなと唸っていました。そういうことがしっかりと表現されていたのでこれから始まる物語と現実の彼らとの相関関係の強さを強烈に感じました。ここの最初のシーンマジでうまかったなぁ。何も考えなければいつものメンバーが面白おかしくノリで遊んでる感じにしか見えないけど、実に意味のあるシーンとして作られていましたね。ボエームってこういう女子が「ねぇ、ちょっと、何やってんの男子」みたいに冷ややかな目で見てきそうな男子特有のノリがあるから、それがより感情の起伏を生むのでかねてからすごく大事だと思っていたのですが、それが完成形のように舞台で表現されていて塙さん天才だと思いましたね。YouTube撮影を終えてそのまま呑みに行く流れも自然だったし、ロドルフォがSNSにポストするからと一人残る部分も全くもって自然でした。素晴らしいと思うほんと。「気分が乗らない」と言ってから暗転した...かなちょっと記憶がないのですが、また、この時は分からなかったけど、そこからロドルフォの夢の中の話。夢落ちは何でもありなんで若干ご法度な感じはしますが、すべての流れが自然で全く嫌じゃなかったです。素直にそういくことかとやられたぜみたいな感じで観てました。

また、プロジェクションマッピングもとても効果的で、ゴッホの描いたようなパリの街並みやカフェ・モミュスの絵画的なものも素敵でしたし、3幕の降りしきる雪は美しくも悲しく、それがミミとその耳の音楽と重なり、自分もその場にいるかのような臨場感もあり非常に効果的で感動しました。さらにその3幕から4幕への移行も実に見事。ロドルフォの中で3幕は思い出だったのかと思わせるスムーズな展開は僕は好きでした。最終的に寝落ちみたいなとこには繋がるのですが、ここにおいてロドルフォの視点で描かれているということもよくわかりました。最後オペラの本編が終わるとまだ何かあるみたい。ロドルフォが実は寝落ちしてたのが分かり、「吉田連~」とメンバーに呼ばれ起きるんですね。で、急いで飲み会に向かおうとする中で鍵を探すと、ミミの歌声で「冷たい手を」が舞台下手から聴こえてくる。声のする方向へ歩き出すロドルフォ。ここで幕となるのですが、この最後はいったいどういうことなんだろう!!男たちだけでワイワイやってる時ってすごく楽しいんだけど、急に「俺、〇〇と付き合うことになったんだよね」みたいな感じでその輪から離れていくみたいなことってあるじゃないですか。学生の頃とかよくあったんだけど。そういう感じで最終的にロドルフォは大人の階段を上り始めたみたいなことなのかな。なんなんだろうなぁ。現実と夢とが混同してしまったのか。はたまた『火垂るの墓』の清太のように、自分の貧乏によって音質の花である耳を殺すような結果を招いてしまったことを無限ループのように回想していくという実はホラーだったのだろうか。それはないか。

ということで、フランスはパリの物語だけに、フランス映画の様なオチのテイストも残しつつ?塙さんの演出がとっても見事でした。素晴らしかった!!!

 

長くなりましたが、ここで主な配役などを見ていきましょう。以下詳細。

 

【キャスト】   ミミ(ソプラノ)  鈴木 玲奈

       ムゼッタ(ソプラノ) 七澤 結

       ロドルフォ(テノール) 吉田 連(「それいけ!クラシック」メンバー)

       マルチェッロ(バリトン) 又吉秀樹(「それいけ!クラシック」メンバー)

       ショナール(バリトン) 大川 博(「それいけ!クラシック」メンバー)

       コッリーネ(バス) 松中哲平

       べノア/アルチンドロ(バス) 三戸大久

 

【 ピアノ】  河原忠之

【 演出 】  塙 翔平

 

【衣裳提供】  TOSHIKO NAKANO 

【装置提供】  WOKA

【ヘアメイク】  徳田智美

【プロジェクションマッピング】  荒井雄貴(株式会社アライ音楽企画)

 

豪華ですね~!!いやぁ豪華な面々!!実力ぞろいの旬の歌手たちが揃いました。

では演奏の方はどうだったのか。

まずは「それいけ!クラシック」メンバーの3人から。

 

ロドルフォ役の吉田 連さんはロドルフォは適役でした。まず見た目がロドルフォっぽい。さわやかな青年にぴったり。今更そこに触れてもなという感じでしょうけど、私は初めて生で拝見しましたので普通にそう思いました。また、玲奈さんと美男美女のカップルだったので、物語が違和感なく見れました。結構この辺で「おい、嘘だろ(笑)」と軽くつっこみたくなっちゃう場合もあります。オペラに興味ない人は特にそういうことで観る気がしないみたいに言う人もいますが、連さんにおいてはそういう心配はなさそう。まぁ僕は声が良ければ何も気にならなくなっちゃいますけどね。で、連さんの持つ甘く煌びやかなで明るい声はずっと若々しく瑞々しかったなぁ。1幕のアリア「冷たい手を」では歌が進むに連れて魅力の増す歌唱で、高揚感の中聴くことが出来たハイCも難なく歌っていました。3幕の"Marcello. Finalmente!"からが僕は好きなシーンなのですが、ピアノの河原さんとの相性もばっちりで泣けた泣けた。"Ebbene no, non lo son. Invan nascondo.la mia vera tortura.Amo Mimì sovra ogni cosa al mondo,io l'amo, ma ho paura, ma ho paura !"の歌い方や表現がとても心を揺さぶられました。その後も良かったけど、なんか今書いてて思い出したら泣けてきました。ロドルフォの4幕の最後「ミミ~」の後は、それまで涙を我慢していたものが崩壊するように、大号泣していましたが、私も大号泣でした。ミミと出会ってからのいろんなことが脳裏を巡りその思い出は涙に変わったわけで。素晴らしいロドルフォでした。

 

マルチェッロ役の又吉 秀樹さんは、ちょっとマッチョな感じの声がとても好きで良かった。有名な方だけど実演触れたのは初かも。テノールの頃に聴いていたような気もするけど、多分バリトンでは初じゃないかな。なんかね、声量もあるし、普通に良い声なんだよなぁ。何でもいけそうな声というのか。声が似てるとかではないけど、ところどころヌッチをも彷彿するような感じもして耳福でした。又吉さんは歌う役者といった感じで全編通して演技派でしたね。2幕のムゼッタのアリアの後にムゼッタと抱き合った時のイイ男な表情や、3幕冒頭の"O Mimì tu più non torni."では自分の恋が終わったことも引きずっていて嘆くんだけど、ロドルフォに目を向けた時に見せる彼を気遣う仕草や表情、4幕最後の必死に"Coraggio !"と言った時の表情、挙げればきりがありあませんが、いちいちかっこよかったんですよね。で、それがより物語に真実性を与えていたし、観ている方も惹きこまれていきました。歌唱では、2幕のムゼッタのワルツの最後の方"Gioventù mia,tu non sei morta,né di te morto è il sovvenir!"がめちゃくちゃ迫力あって心の奥底から湧き上がってくる彼女へにあふれ出る愛情みたいなものがバチコーンと感じられ素晴らしかったです。3幕の4重唱もロドルフォとミミ、マルチェッロとムゼッタでしっかりと対比が出ているんだけど、まとまりのある音楽になっていました。さすがです。関係ない2つが調和取れてないと面白くないので。面白いといえば4幕でわちゃわちゃダンスしてるとこでの高音は笑えました(笑)このあともちょっと触れますけど、ちょこちょこ高音出してくるんですよね(笑)でも、しっかり層の厚いバリトンなんですよね。素晴らしいぜ又吉さん。

 

ショナールの大川 博さんは、出だしの"La Banca di Francia.per voi si sbilancia."の声が明るいイタリアという感じの響きで、爽快で声いいなってなりました。そこからずっと明瞭で聴きやすくて、誰よりもイタリアがやってきたという印象。大川さんも初めて聴いたような気がしています。ショナールはあまり出番がないからなのか、大川ファンの為になのか、2幕の冒頭カフェ・モミュスにて「闘牛士の歌」を歌ってました(笑)又吉さんが「Viva エスカミーリョ」って声掛けてたので、やっぱそれは定番なのねなんて思いながら(わが母校焼津中央高校のオペラ公演最多公演がカルメンで、やはりこちらでも声を掛けるので)。そして、"L’amour! "を急にテノール的な感じで歌い始めたのは爆笑しました。ほんでうまいのよ(笑)それに負けじとめっちゃダンディな感じで言い寄る大川さん、最後はひっくい声で松中さんの"L’amour! "と「闘牛士の歌」めちゃ楽しかったです。ふっつーに歌自体も良かったです。うまい、大川さん。『カルメン』全曲聴いてみたくなりましたし、ホセとの2重唱も同時に聴いてみたくなりました。オケというよりはピアノで。いや、河原さんのピアノが良いですね!コッリーネから「各々が自分にできることをしよう。君は二人にさせてやることじゃないか」みたいに言われて立ち去る時の感じとても良かった。あまり多くを言わないけど「大丈夫だって」みたいに応援する気持ちが顔に出ていて感動しました。絶対人良いもん。そして最後の"Marcello, è spirata…"ですよね。マフから出たミミの手をマフの中に戻してあげようとするもまた出てしまう。そこで気づくわけですね。そして息多めの感じで言うわけです。マルチェッロに駆け寄って。良い芝居してました。それを受けて脈を測りに行くマルチェッロ。あぁ泣けます。

 

ミミ役の鈴木 玲奈さんは、今回がミミのデビューということでデビューおめでとうございました!!10年前くらいでしょうか日生劇場でブロンデをやられたくらいから応援していることもあって今回そのミミのデビューを見届けようとチケットを購入しました。忖度なしに言いますが、最高でした。もうほんと素晴らしかった。わたしゃぼろっぼろ泣いたよね。ミミってお針子だったり、プッチーニが全カットした幻の中庭のシーンからも分かるように、やはりちょっと狙ってきてるというか、いつか親元へ戻ってそれなりの地位に就く若い男と今のうちに良い仲になっておくことで、ファッション貧乏でないガチの貧困層のミミはそこから抜け出す糸口にしたいという裏側の気持ちがあって、ろうそくも全部芝居みたいな作り方をするのが結構あるんですけど、今回は僕が観て聴いた感じだとそれとはまったく違っていて、プッチーニが好んだ純粋な女性としてミミが描かれていました。で、それは演出的なところよりもむしろ、玲奈さんの持つ声と雰囲気から感じました。また、玲奈さんと河原さんのピアノがむちゃくちゃ合っていて、優しいのよお互い。だめだ。思い出しても泣ける。マリア様というか天使のようでした。1幕の「私の名はミミ」では息を呑んで聴き惚れました。ずっと「すごいすごいすごい」って思ってました。ミミやる人って少しばかり声が重くなってきてみたいな感じがあるんですけど、玲奈さんはムゼッタでも全然違和感ない感じで、なおかつ、上の音が丸みを帯びて決して缶切り声を上げるような歌い方をされないので、そういう響きが純粋さの音色となって会場に降り注いだのではないかと感じます。既出してますがほんとに天使のような歌声でずっと聴けました。後半の盛り上がっていくとこはピアノとプロジェクションマッピングとも相まって得も言えぬ美しさを放っていました。声も全くブレない。ミミのデビューだという気合も感じました。で、あまりに素晴らしくてしっとりと聴き入ったので、Bravaaaaa‼‼‼とかそういう気分にもならず、「良かったねぇ」という田舎の家族みたいな感覚になりました。会場のお客さんもみんな感動したんだと思います。歌終わりで拍手の起きそうなタイミングより少し経ってから拍手が起きました。個人的にはもっとあっていいという気はしましたが、会場の方々はそこまでBravoとかいう感じの方々ではなかったので(ここに限らず、「冷たい手を」や1幕の終わり、2幕の終わり、3幕のミミのアリアなんかももっと拍手あってええやんでした)ちょっとリアクションが薄かった感じはありますが、それと評価は全然イコールにはならないと思います。あくまで私の主観ですが。あt、別にね、お客さんのリアクション悪いんだよもっと盛り上げろよって言いたいわけじゃなくね。そういう感じのノリの人が多かったんだなぁってことで。

あとは、2幕の"Io vedo ben.ell'è invaghita di Marcello!"の所では逆にミミも今ロドルフォを愛しているからそう思えるんだなという気がしたし、そういう風に玲奈さんが表現していたように思います。結末を知っているのでこういう所はさらっといくとこでしょうが、グッときてしまいます。3幕のミミのアリアの序盤"Addio, senza rancor."に入る前の前奏のピアノが何と優しいのか。そのあとのアリアもずっとミミの気持ちと完全に呼応していた。歌い手の邪魔にならないように、でもしっかり河原さんの思い描くミミの気持ちに寄り添った音をオケのようにずっと集中して表現し続けていて、もう完全ノックアウト。ずっと泣いてました。凄いわやっぱ河原さん。

4幕のミミが担ぎ込まれてからはもう多くは言いませんが、もうね、素晴らしかった。語彙がないよ。で、今回のブログ全然ふざけてないやん自分みたいな。いや、だってさ凄かったもん。この時のメイクも良かったなぁ。髪型も含めてめちゃ弱ってる感じした。もう今にも死にそうみたいな。ミミが気付いて"Buon giorno, Marcello,Schaunard, Colline… buon giorno.Tutti qui, tutti qui.sorridenti a Mimì."の所は多分私「うう」とか言ってたかもしれない。すっごく言い方うまかったし、優しかった。まわりのみんさんもすごくいい顔してて、あの瞬間の舞台上って善しかないというか、人が人を思いやる気持ちだけが優しく舞台全体を包んでいるような感じがしました。これ書きながらまた泣いてるんですけど。搔い摘んだつもりがどんどん長くなっちゃうのでとりあえずこの辺で。玲奈さんのミミ最高でした。感動をありあがとうございました。

 

ムゼッタ役の七澤 結さんは、前回は藤沢のパパゲーナを聴いたのが最後かと思います。ムゼッタは、となると2幕の「ムゼッタのワルツ」となるわけですが、高音も伸びやかで申し分なかったです。端正かつパワフルに歌っていた印象。3幕で4重唱の時にマルチェッロと喧嘩して舞台から降りて客席を通って去っていったのですが、その時に隣を通ったので分かりました。気の強そうなムゼッタですが、別れたこと自体なのか喧嘩したことなのか、原因ははっきりとはわかりませんが泣きながら退場していました。怒りながら退場させなかったのは、人間的な厚みを持たせたかったのかな。人間外で見せる顔と本当の顔って違ったりしますもんね。ムゼッタだって本当は弱いのかもしれません。4幕であそこまでいい人で終わるのはやはりベースとして人の痛みが分かるような弱い人間だからなんだと思います。強い人間にはわからなんです。弱いからこそ寄り添えると僕は思っているので、そういう部分も表現していたのかもしれないなと思ったら、本当に魅力ある人間だなと感じましたね。

 

コッリーネ役の松中 哲平さんは、新国研修生の頃に聴いて以来だったと思いますが、とても成長されていたと思います。明るめのバスで下も良く鳴るし、アリアの「古い外套よ」も哲学者らしく真面目に歌われてました。声が明るいので暗い曲に聴こえなくてとても良かったです。冒頭に三戸さんとの「お前は近いんだよ」っていうやり取りが個人的に好きでした(笑)

 

べノア/アルチンドロ役の三戸 大久さんは、とにかく最初の冒頭の寸劇が最高。暖炉の火を担当してやってくれって言われてからの流れ良かったです(笑)人の良い兄貴っぽい感じが前面に出ていて見ていて後輩に頼まれて出たのかなとか色々考えながら観ていました。だとしたら、なんかとても素敵です。

 

ピアノの河原さんについては既にたくさん触れていますので簡単に。いつもはオケの音色をよくピアノ一つでこうも出せるもんだと感心するのですが、今回はそれよりも登場人物の気持ちとピアノの音色がリンクしているという方を特に感じて聴いていました。それは同時並行でもそうだし、ピアノが先行する場合もあるしまたその逆も然りという具合で。河原さんのピアノだったからここまで感動することが出来たと思います。感謝感謝です。

 

長くなってしまったのでほぼ強制終了気味にブログを終わりますが、こんなに素敵で素晴らしいボエームは初めてでした。どのボエームが良い?と言われたら、ゼフィレッリか塙さんのものだねって答えたいくらい。

あ!!!あと、衣装も良かった!!!ニット素材の衣装が完全に映えてました。カラーもそれぞれに合っていましたし、柔らかい印象がなんとも目に心地よかったです。ここにも触れておかないとでした!!

最後に、出演者のみなさま一人一人に感謝したいです。また、こういう公演は多くの裏方様のお力添えで成り立ちますよね。そういったすべての方に感謝を致します。本当に素敵な経験をさせていただきました。ありがとうございました。

 




カーテンコール撮影可 以下↓

























 


今日はね、マジでいい日になったわよ。ぜーんぶロッシーニだけで構成されたコンサートに行ってきたんです。いわゆる、オール ロッシーニ プロってやつ。ぐふふ。ロッシーニが好きな人にとっては盆暮れ正月一緒に来たぜってなもんでして、このコンサートをむちゃくちゃ楽しみに、私は今日まで生きてきました、どうも吉田拓郎ですというわけで(どういうわけやねん)
でね、でね、ちょっとこのプログラム見なさいよ。


なんやねんこのメインディッシュだらけのコースは。前菜とかさ、スープみたいなやつないやん。いきなりどーもー、牛フィレとフォアグラとトリュフのやつでーす、ロッシーニだけにー、みたいな感じなんよ。で、その次も、どーもー、牛フィレとフォアグラとトリュフのやつでーす、ロッシーニだけにー。で、その次もどーもー、牛(やかましいわ、もうわかったから)
…っていう感じでして、これはもう否が応でもワクワクさんです。

ムジカーザというホールは内装を見たことは有りましたがお客さんとしては初めてでした。120人収容のサロン的なホールで個人的にはとても好きな感じ。2階席やバルコニー席もあって素敵でした。なんかいいなーって思いましたね、都会は。私なんて静岡は焼津ですからね。なんもないのよそんなホールは。しかも今全国的なホールの改修もあって、結構公演したくても場所が取れなくて出来ないみたいなことも起きてるんですよね。都会はうらやますぃぜ!!僕自身は東海にはいるんだけど!!ちぇっ!!(全部オヤジギャクやん)

ちなみにですね、今回の公演はなんと無料公演だったんですよ。しかも抽選に当たれば聴けたというね。あの内容で無料だった…なんてこった。たっかいお金を払ってもなんなんこれみたいなものもたくさんあるけど、無料でこんなすごいコンサートに出会えてしまった。これも全ては、主催の公益財団法人 光山文化財団様のおかげです。ありがたや〜ありがたや〜。本当に当選してよかった〜。地球に生まれて良かった〜。

ではではプログラムを見ていきましょう。
まずは、『セヴィリアの理髪師』から3曲。最初は阿部泰洋さんのソロでフィガロのアリア「私は街の何でも屋」でした。多田さんの前奏が品よくまとまりそうな雰囲気だったのですが、弾き始めたら結構オラオラ情熱系でうりゃーといきなりテンションマックスな感じ。阿部さんは「ララララーラ」と2階から登場して階段を降りてきて、ピアノの前で歌いました。ロッシーニ歌いのテノールは日本にもたくさんいると思うんですが、正直バリトンってあまりイメージがないんですよね。そりゃフィガロを上手く歌える人はいるんですよ、いるんですけど、様式に合ったロッシーニの国産バリトンというとなんとなーくあまりピンとこないというか。じゃあ阿部さんはどうなんだと言われると、ベルカント歌いという感じ印象で、ロッシーニ歌いというかはちょっと分かりませんが、(勝手に)想像していたより声に張りと厚みがあって若々しくて艷やかな声。だからといって朗々と歌い上げることはなく、しっかりとベルカント。しかも結構特徴的な声で歌の節々に色気も感じさせてくれる。なんだろ、ヘルマン・プライ感がちょっとあるというか。まぁそうなると好きな部類の声なわけで。ベルカント系だと、ベルコーレとかエンリーコとかそれこそアルジェのタッデーオなんかはとても合いそう。僕はなかなか面白く成長してくれそうだなと思いましたね。ペーザロのアカデミーにも行かれるということなので、本場の感じを入れ込んだら凄いロッシーニ歌いになるのではないだろうか。

2曲目は、石田滉さんが歌うロジーナのアリア「今の歌声は」でした。はい、絶品。もうね、それは素晴らしかったですよ。前奏が流れると彼女の醸し出すロジーナの雰囲気が会場中に蔓延するんですよ。なんでしょう、歌唱は言うことないくらい良いんですよ。素晴らしいいんです。アジリタも粒が立っててしかも流れるようだし、高音もめちゃくちゃに良いポジションで鳴ってるから美しいし、言葉も明瞭で爽やか。テンポ感とかそこはこれくらい伸ばしてくれるのかなとか、期待してるポイントも漏れなくそれそれって思わせてくるように歌い上げていく。ドスの効いたメゾはそんなに趣味ではないだけにそうでないから余計に良い。まぁこれはあくまで自分の好き嫌いですが。で、そこにロジーナの雰囲気とかロジーナの人間性とかがしっかり乗ってくるので、凄く楽しいんですよね。思わずこちらもにこにこしてしまうというか。まさに歌う女優です。満足。

3曲目はフィガロとロジーナの2重唱「それじゃ、私ね。私を騙したりしない」でした。ここで特筆すべきだったのは終盤の2人の声が重なり合ってる所で、多分普通はフィガロの"Donne, donne, eterni Dei,
chi vi arriva a indovinar?"がよく聴こえてくるんですけど、今回はロジーナの"Ah, tu solo, amor, tu sei
che mi devi consolar!"がよく聴こえてきました。で、それは明確な理由があって、言い方汚くてすみませんね、あの、クッソうまかったんよ。転がりまくってて。思わずそっちを耳が拾っちゃうというか。私だとまぁほんとに下の下の下の鬼太郎かお前はというくらいゲゲゲのバリトンの私は、フィガロの方に耳が集中するはずなんですけどそうではなかった。阿部さんがどうこじゃなくてね。阿部さんもヴァリエーション変えて歌われてたのでさすがやとは思ったけども、ロジーナに耳が結構いってましたね。うーんこれは脇園さん依頼かもしれない。

ここでトークが入りましたが結構グダグダでおいおい大丈夫か!!と思ったのですが、その後のトークも含めしっかり者のおねえさんとなんとかなるっしょの弟みたいなコンビの感じが、果たして噛み合っているのか?という感じもして、見てるこっちとしてはそれが喜劇的で面白かったですね。最後の方は結構爆笑してました(笑)

さ、話を戻しますと、次はロッシーニの書いた歌曲でした。同じ詩で違う曲を何曲も書いたロッシーニの「何も言わずに嘆こう=

 Mi lagnero' tacendo」を2曲。前半は「憎しみ」(何も言わずに嘆こう)で石田滉さん、後半は『老いの過ち』第13集より第6曲の「何も言わずに嘆こう」で阿部泰洋さんによる歌唱。同じ歌詞なのに曲によってこうも印象が変わるのかという面白さと、ある意味ではロッシーニの真骨頂というか、逆ロッシーニ?という感じ。同じ旋律なのに表現によって状況や心境が変わるようになるみたいなね。それの逆バージョン。多分前半の方は聴いたことがあると思うんですけど、後半の方はあまりピンとこなかったので初かも。バリトン版が初なのかな。うーん。まぁいいや。にしても、ロッシーニの書簡なんか見てると結構ひねくれてる俺様みたいな感じがあるので、一つの歌詞でこんなに作れるんだぜ凄いんだよ俺はってのを密かにその曲をプレゼントしながらほくそ笑んでいたのではいだろうかなんて思ったり。すべては歴史のなかに埋もれて分からない…とおもふ。

この曲での石田滉さんの一切ブッフォ要素なくなった声や息の使い方が心を打ちました。阿部泰洋さんの方はこの曲は多分テノールの方がイメージ的には合いそうだけど、かわいくまた美しく歌っておられたので色んな引き出しがありますなと拍手でしたね。

ここで休憩。

後半1曲目は『試金石』からマクロービオのアリア「近づくあの女性は誰?」でした。阿部さんこれ歌うんだって思って曲目が公開された時にテンション上がったんですよね。今回のコンサートで楽しみにしていた曲の1つでした。『試金石』自体は時々聴くので好きですけど生は初でした。で、めっっっっっっっっちゃ良かった!!!!阿部さんにとても合ってました。活き活きしていて曲全体を活力で覆われていて、スターマイン的な花火がバンバン上がってるような感じ。本人も言ってましたけど、試金石は阿部、これは全く問題ないですね(笑)フィガロより全然解放されていて無敵な感じでした。マリオならスター取ってる感じ。どこかで阿部さんマクロービオで『試金石』やんないかなぁ。

次の曲は『セミラーミデ』よりセミラーミデのアリア「麗しい光が」でした。石田滉さんによる歌唱でした。いやぁーこれもすんごく良かったです。この曲はソプラノのイメージが強いんですけど、今日を期に一変したかもわかりません。セミラーミデってなかなかな女性なわけで、ソプラノだとなんか凄く天使とお友達みたいな純粋さの塊みたいな感じがするんですけど、メゾの方が彼女の中にある何か狂気な部分も少し感じるというか。なんかそういう意味においては合ってるかもしれないと初めて思いました。滉さん技術的にもものすごく高度なテクニック持ってて、それこそ後半のコロラトゥーラ的な部分とか1音1音潰れることなくしかも滑らかなフレージングでとても耳が幸福で気持ちいいのよ。で、さらにセミラーミデはセミラーミデに声が変わるんですよ。声色と言ったらいいのかな。とにかく変わるんですよね。意識的にそうするんでしょうけど、もう意識的じゃなさそうに見えて、あたしは滉が怖いわよ。もしかして何人かいます?サンリオのキャラクターみたいに。あ、あれはキキとララだったわ(そろそろ怒られようか)

さ、後半3曲目と4曲目は『チェネレントラ』から。まずはダンディーニのアリア「4月の蜂のように」を阿部泰洋さんが歌いました。この曲は低かったり高かったりしてなかなか難しいと思うんですけど、さっきのマクロービオでブーストしている阿部さんはまだまだスターを手にしていました。こちらもとても良かった。無敵やわ。非常にロッシーニ的なダンディーニが聴けました。ここにきて、ちょっと待てよと思い始めましたよね。さっきのマクロービオといい、あれ、様式的にもしっかりロッシーニやんと。そらアカデミーいくよなって。失礼しました(笑)アジリタもめちゃくちゃ良かったし、歌いまわしも全然日本人って感じがしなくてこれぞロッシーニのブッフォという感じがしましたし、めちゃイタリアでした。生で聴いたダンディーニでは過去1良かった。ピアノも素晴らしかったのですが、もうちょっとなんだろ、阿部さん、いや、阿部ちゃん、ラブです(にげてー、阿部さんにげてー)

お次は、アンジェリーナのロンド「悲しみと涙のうちに生まれ」でした。もおね、これもね、最高でしたわ。他のものに比べると前半部分技術的な部分に固執して滉さんにしては気持ちというのか表現の幅が若干狭かったように少し感じましたが、後半の畳み掛けてきたアジリタの嵐とそこに乗せてきた表現で私しゃ大満足でした。燃えました。うおーすごいすごいって。お客さんも1番沸いてたんじゃないかな。何で新国は黙ってんだ。早くこの人で『チェネレントラ』を再演しなさいよって思いましたね。外国から呼んでこなくていいから。いるんや、日本にもしっかりやれる人が。で、今回初めてこの曲下ろすって言ってたような気がしますが、初であんなに歌えるなんて驚き。当たり前だけどやっぱプロだわねぇ。尊敬するわ普通に。アンジェリーナのこのロンドをここまで歌える人が日本にいる時代なんだなぁとしみじみ。早くどこかのプロダクションでアンジェリーナ聴きたいです。アンジェリーナお願いします。トゥームレイダー(ジョリーの方じゃねぇよ)

プログラム最後は、『アルジェのイタリア女』からイザベッラとタッデーオの2重唱「運命の気まぐれに」でした。てかさ、何でこのオペラ全然やんないのかね。ずっと待ってるんだけど。新国でもうやるかもうやるかと待ってたら次のシーズン『イタリアのトルコ人』やるんですよね。なんでやねん。まずはその逆バージョンやりなさいよ。ゼエゼエ。そんなことは置いといて、この2重唱も2人でよく構成を練られたのかなと思う演出も込みでとても楽しめました。イザベッラって結構低めなんですな。滉さんの声だと軽めなのでイメージするイザベッラではなかったけど、逆に若々しくてキャピキャピなイザベッラという感じがしたので、そりゃタッデーオも好きになっちゃうよねって妙に納得。なんか結構ドスの効いた系がやってたりするから、イザベッラっておばさんっぽい感じを纏うんですよね。なんとなく。今回は気の強いギャル(ただし、所々の演技でじつはそんなに気が強くもなくて優しそう)と気弱な陰キャ的な雰囲気で見れました(笑)

アンコールは「踊り」を2人で披露。いや、待て待て。違うんですよ。分かってますよね?2人でダンスしてアンコールて意味分からんやん?ちゃいますよ?ロッシーニ作曲のね、「踊り」。要はDanzaね。これをアンコールで歌ってくれたということね。輪を描いて踊る様が見えるかのように、また、それが徐々に小さくなって早く回る様が見えるかのように、アンコールでしたが手を抜かずにしっかりと歌ってくれました。最後のアクートも結構伸ばして盛り上がりました。

もうね、ほんと最高のコンサートでした。
マジで早速今年1のコンサートに出会ってしまったような気がしてますよ。2人の今後が気になりすぎて夜しか眠れないですよ(普通じゃねぇか)というのは冗談で、若い2人のこれからが本当に楽しみになりました。凄い歌手になってくれそうです!!もうなってるのかな。
そんなわけで、演者の御三方ご苦労さまでした。ありがとうございました。また、光山文化財団の方々に厚く御礼申し上げます。素敵な機会をありがとうございました。






昨日はびわ湖ホールへ行ってきました。目的はモーツアルト作曲『劇場支配人』とレオンカヴァッロ作曲の『道化師』のダブルビル公演を聴く為です。あれれおかしいな。『男はつらいよ』だったら『釣りバカ日誌』、『となりのトトロ』だったら『火垂るの墓』なわけで、『道化師』の相方と言えばやはりマスカーニ作曲の『カヴァレリア・ルスティカーナ』とこうくるわけですが、今回は違いました。なんと激レア、いや、歌劇レアなモーツアルトの『劇場支配人』とのダブルビル公演でした。正直このオペラ生はもちろん、音源もカナワとグルベローヴァの歌ってるDECCAから出てたと思うCDを何度か聴いたことがあるくらいでほとんど知らないものでした。同じような題材ということであれば、チマローザの『悩める劇場支配人』やドニゼッティの『劇場的都合・不都合』は一時期良く聴いていたのですが、何故かモーツアルトのこのオペラはほとんど手付かず。恐らくこの作品の構成に原因があって、半分以上が台詞なんですね。音楽聴く為にオペラ流してもずっと喋りを聴くみたいになっちゃう。映像ありなら良いけど耳からだけだと結構きつい。ドイツ語だし。もうええてみたいな。笑点見てたら前半の良くわからない奇術師が長くてなかなか大喜利にいかないみたいな感じ。はよ大喜利いけやと。そうそう、最近笑点見たら小遊三さんと好楽さんくらいしか古い人は残ってないのね(おい、笑点膨らめるな)

そういうわけでほぼ初見で観賞することになりました。

 

幕が上がる前にまず、演出家の中村敬一先生の挨拶とそれぞれの作品についての時代背景を織り交ぜながらの解説がありました。これがめちゃめちゃ面白くて、あと1時間でも2時間でも聴いていたいと思える内容でした。で、かっこいいのが、演出の内容ではなく、作品の内容に話を留めていたところです。時々全部喋っちゃう人がいるんですよね。まぁ確かに例えば舞台のセットが象徴的に使われていたり、何かのメタファだった場合に、それを事前に説明することは分かりやすいですし観賞の助けにはなるかもしれませんが、僕は自分でそれを感じたいと思って観て聴いているので、嫌なんです。単なる観客の一人ですが客席では毎回勝負なんです。自分の感性との。先生のお話の中で、プッチーニはヴェリズモではないであるとか、ボエームの象徴的な小道具の話、プッチーニとマスカーニとレオンカヴァッロが同時期にライバル、有名なソンツォーニョのコンクールの話の中で、第1回目のコンクールでプッチーニの『妖精ヴィッリ』が落選したが、ボーイトが素晴らしい作品だと言ってヴェルメ劇場で上演してくれた際、オケピにコントラバスでマスカーニが入っていた。自分の友人がデビューしていくのを見て嫉妬したのかもしれない。そして、第2回のコンクールに出して賞を取った作品が『カヴァレリア・ルスティカーナ』だったというあたりはとても興味深く拝聴致しました。

 

さ、実際のオペラについてですが、まずは順番通り『劇場支配人』から。

『後宮からの逃走』+『ドン・ジョヴァンニ』的な序曲が終わって開幕。

舞台のセットは中央に階段3段程度の高さで正方形の広いスペース、上手に支配人のテーブルと本棚、下手にも本棚があり、大小様々な額縁が吊られていました。全体的に茶色を基調とした色味。品のがあり温かみのある雰囲気が素敵。

物語は劇場支配人フランクの「みなさん今年の4月からびわ湖ホールは改修で休館…」というような投げかけから始まりました。このフランク役の有ケ谷 友輝君は高校の(かなり下の)後輩。卒業以来初めて彼の舞台を観た瞬間でした。ブッファの役をやっているイメージが全くなかったからなのか、こういう役もやれるのか、成長したなとニンマリしてしまいました。ちなみにいつ歌うのかなって楽しみにしてたら、まさかの最後のフィナーレをみんなで歌うだけでちょっとがっかり。それはさておき、その最初のシーンでは宙吊りの額縁に色々な映像が映るのですが、びわ湖ホールが最初に映っていて全然知名度の少ないであろうこのオペラの掴みとして大成功していたように思います。結構しっかりびわ湖ホールの良さみたいなものも語られてて、この作品がぐっと身近に感じましたもの。

そしてシーンとしてはその更に小林 由佳さん演じるプファイル夫人の演技力で売り込もうとするシーンでは、「女中から女王、オフィーリア、マクベス夫人...」とやれる役を羅列していき、最後に「ディズニープリンセス」で落としたところが面白かったのと、「Zurück!」と恫喝してからの劇中劇で演じ始めた夜の女王と佐貫 遥斗さん演じるアイラ―のパミーナは滑稽で、プファイル夫人が出てくる前にアイラ―が「台本を覚えてリビングで相手役をやらないとならない」と若干嘆くところがあったのですがそれがしっかりとフリになって、「この魔笛もリビングでやらされたんだろうな」という部分が見えて面白かったです。早めに助けてやってくれよみたいな(笑)

ヘルツを演じた五島 真澄さんはキャラがめちゃ濃くてクセ強でリアクション大きくて終始楽しそう。

フォーゲルザングを演じた奥本凱哉さんの第一声目のアクートのウ母音が小堀勇介さんに似ていて「え?小堀さん?」と一瞬驚きましたが似てたのはそこだけでした。びっくりした。で、この奥本さんもすごくいい声。気になっちゃいました。女心の歌の最後を一瞬だけ上げた所で爆笑してしまいました。やられたぜ。

さあ、ここまで何となく流れに沿っておもろかった部分をピックアップしてきましたが、ついに歌声が聴ける瞬間がやってきます。クセ強の旦那ヘルツの奥様、ヘルツ夫人を演じた藤村江李奈さんの歌うアリアです。調べたところ内容は別れの歌のようですが、前半の別れが辛いという感じはたっぷり聴かせ、後半の希望を見出してくる部分は技術的な部分も安定していて申し分なく聴くことが出来ました。曲自終わりにもうちょっと後奏がある方が締まる気もしましたがそれはモーツアルト先生に対して不敬でしょうからやめておきましょう。ちなみに歌い終わってからフランクに褒められて、ヘルツと夫人で言った「あ・り・が・た・し」は笑いました。急激なコメディ(笑)

その次に歌が聴けたのは、『後宮からの逃走』のブロンデのアリアを鼻歌交じりに歌って登場したジルバーグラング嬢のロンドでした。演じたのは熊谷 綾乃さん。こちらはヘルツ夫人の曲よりは軽やかな様相で分かりやすい旋律。熊谷さんの声にはとても合っていました。最後コロラトゥーラを駆使して締めくくる感じでしたが、早く転がりすぎて粒が少しベタっとした感じがしたので粒が立ってくると良いななんて思いました。ただ、いきなりこのアリアでしかもあの速さだともうルチアーナ・セッラくらいの感じじゃないと難しいのかなとも思い。そう考えるとむちゃくちゃ健闘されていたようにも思います。声は好きな感じでモーツアルトも合ってますので今後も研鑽を積んで頑張ってほしいです。

次は3重唱でした。ヘルツ夫人とジルバーグラング嬢、それからフォーゲルザングの3人による歌唱。音楽家達の喧嘩がよく表現されていたと思います。ヘルツ夫人とジルバーグラング嬢が負けじとアクートで張り合う所なんかは興奮しました。す、すげえぜと素直に思いましたね。ジルバーグラング嬢の熊谷さんもこちらの方はめちゃくちゃ良くて文句なしの素晴らしい歌唱でした。藤村さんも熊谷さんもむちゃくちゃ上手かったなぁ。奥本さんはこの曲では『後宮からの逃走』のベルモンテの音楽にやや似ていて声にもぴったりでした。で、やっぱりここでもちょっと私の大好きな小堀さんがよぎりましたね。なんだろ、声自体は違うんだけど響きの感じかな。だから要は好きになっちゃったあたし(女子か)。歌詞にもあったと思いますがピアニッシモが綺麗だったわぁ。最後には芸術の為に女性2人がお互いの主張を下げて一応落ち着くのですが、こんなに面白い3重唱があったんだなと思って嬉しくなりました。色々知ってくると聴いたことないものが段々無くなってくるのでね。
そして、今回中村先生が新たに作ったバレリーナのマドモアゼル・ルイーズが出てきて場が大混乱になって、「新しいカンパニーなんか作らんぞ!!」とフランクがブチ切れて、みんな仲直りで最後は全員での大団円でフィナーレは全員参加で終了となるのですが、いかのもモーツアルトというような音楽で分かりやすくてとても良かった。

今回初めて生で聴いた『劇場支配人』ですが、この作品を中村先生の演出でかつ今回のソリストで聴けたのはとても良かったと思います。もしかすると見せ方を間違えると退屈なものになりそうな気もします。基本に忠実で少しだけ中村先生の色が入る感じで奇をてらわない演出、品の良い舞台装置、服が色分けされて分かりやすくなっている登場人物達、どれをとっても素晴らしいものでした。楽しめました。

 

さ、次は休憩を挟んでレオンカヴァッロの『道化師』を聴いたわけですが、こちらも基本的な舞台の構図構成は同じで上手にカニオ一座の手押し車が幕開き後に配置され、下手にメイクをするいわゆる楽屋の一室が置かれ、真ん中と吊りはほぼ同じという感じでした。さきほどの『劇場支配人』でもあったように、額の中には映像が色々と映ります。この作品の舞台が19世紀イタリアのカラブリア地方の村、8月15日の聖母被昇天祭に起きた事件。イタリアの田舎の教会が舞台の真ん中大きな額にドーンと映っていて、それがだんだんと夕日色に染まり、太洋も赤くなりそしてそれが月へと代わりという時間の移り変わりをみごとに表現されていてさすがでした。とにかく美しかったし、暑い日中から少し涼しくなる夕方から夜にかけてみたいなものも感じることが出来ました。ビジュアルが素晴らしかった。ディンドンの合唱では鐘が映し出されたり、ネッダの「鳥の歌」では巣はもぬけの殻で鳥が飛び交う様子が映り、カニオの「衣装を着けろ」そして最後の「もうパリアッチではない」では様々なイタリアの仮面が登場しました。結構映像からくるイメージも強くて、それが歌い手やオケとも呼応していたように思っていてさすがだなと思って観ていました。

 

ではここからはそれぞれソリストを思い出してみましょう。

カニオは谷口 耕平さんが演じました。以前藤沢市民オペラの『魔笛』を丁寧にやり過ぎずに歌われていてそれがめちゃくちゃ好印象だったのですが、今回どういうカニオを見せてくれるのか楽しみにしていました。声自体はモーツアルトとかベルカントなのかなと思っていたのですが、カニオも良かった。で、多分役としては合ってる。ただ、若干時期尚早なのかもしれない。もう数年後くらいの方がもっと脂の乗ったカニオを演じていそうな感じというのか。でも今の谷口さんの若いパワー120%で体当たりして演じて歌われてる姿は感動しました。大拍手でした。まずは最初出てきての「今夜23時、素晴らしい芝居をお見せするぞ!」では勢いよろしく表情や身振り手振り一杯で華やかに始まり、‟A ventitre ore"でのアクートはカチッとハマっていました。ここでなんとなくその後の歌の展開が読めるので、今日は良さそうだぜと感じました。「衣装を着けろ」では集中力が凄まじく、ここはこういう風に歌ってほしいなと思うものを全て表現してくれていました。この人絶対オペラ好きだし、お客さんがどういうものを求めてるかもわかってるなと思いました。また、後奏での泣きではイタリア歌劇団の公演ででデル・モナコが日本でどうやって泣くのかを好事家が楽しみにしてたら全て拍手がかき消したなんてことがあったそうですが、今回それもなく泣きも含めてしっかりと堪能できました。泣き崩れて倒れていたのでそれだけネッダを愛していたんだなと。また、舞台の上に載っていたカニオがパリアッチになる為の衣装を見て佇む姿は何とも言えない苦しい気持ちになりました。舞台美術や照明も含めてここの印象がとても残っています。それと、最後ですよね。まずは"Coraggio"の言い方はグッと覚悟を決めた言い方で舞台に入っていき、おどけて見せるんですがそれがすぐに壊れていく。このあたりは声も鳴りまくっていて実に素晴らしかった。そして「もうパリアッチではない」からはオケも煽りまくって最高でしたし、心がどんどんもっていかれました。自分の体が前のめりになって興奮していく感じ。俺も合唱と一緒にBravo‼って言いたくなったもんな。テーブルの物をぶちまけてからも鬼気迫るという感じで迫真の演技と歌唱。マスカーニも音楽作るの上手いよなぁって。刺した後の"La comedia e finita"はどっちが言うのか、どんな風に言うのかと思っていたら、結構ためて、カニオが言いました。人って感情が行き過ぎると笑っちゃうんですよね。なんかもうどうしようもなくなって笑ってしまうみたいな。カニオはそんな感じで笑いながら泣いていました。私も泣いてしまいました。このシーンは結構涙が出るか身震いするかって感じなんですけど、今回はカニオに気持ちが寄り添ったので後者でした。ここはこだわられたと思います。白眉でした。最後オケの音が無くなって緞帳の中に帰っていく際に客席を見て実に悲しそうな表情を見せていましたが、これは客席もその瞬間あの事件のあったあの場所にいたというような、要は合唱と同じように喜劇を見に来た客としてトニオの目に映っていたのではないかという感じがしました。これは深読みし過ぎかもですが。ということで谷口さんのカニオ、非常に丁寧に作られていて所作や演技も含めてとても良かったです。声の感じから想像するとあと3年後くらいに聴くとより良さそうな感じもしました。絶賛進化中という感じでこれからも楽しみです。

 

トニオを演じた市川 敏雅さんも素晴らしかった。"Si puo"ではしっかりと背むし男で足を引きずり、まるで見た目はリゴレット。で、これをずっと意識して歌い演じられていました。歌唱も堂々とまた朗々と歌われていて良かったです。いきなり出てきてこの曲歌うのもとても大変かと思いますが水準以上の素晴らしい歌唱でした。また、この歌を聴いただけで分かる、トニオの持っている大いなるフラストレーションを抱えて生きている様。ビシビシ感じました。市川さんのトニオを聴きながら最終的にイヤーゴに見えてきましたもの。また、時々背中が痛むのか痒いのか、変な癖を出すような芝居も含め、マジでめちゃ丁寧に丁寧に作られていて、なんなんだこの人はすごいなと感心していました。2回ほどあるアクートもカッチリきまっていました。両方を上げてくる人最近あまりいないのでちょっと嬉しかったり。ちなみに、一瞬歌が終わったかのようになる終盤でお客さんが拍手をしたのですが、それをサッと静止して、また歌い始めた時に拍手したのはサクラかと思うくらい綺麗に拍手も止まって歌いきっていました。お客さんの集中力も素晴らしかった(笑)びわ湖ホール来る方比較的観賞マナーが良いイメージがあります。トニオですが、冒頭でカニオに頬をぶたれて上手の前に倒れこむシーンがありましたが、そこも素晴らしかった。「覚えていやがれ」みたいなことを言うんですけど、日常的にそういう扱いを受けていて、いつかこいつに復讐してやると思っていたのだろうと初めて思えました。これまではトニオに関してはネッダへの復讐1方向のみと思っていたのですが、いや、これはカニオも含む2方向への復讐なのかもしれないと。そのネッダとのシーンですが、ここも素晴らしかった。追いかけまわしているところも息をのんだし、挙句鞭でやられたところでは実演劇性に富んだ「叫び声」で倒れたんですね。まだ出番あるけど大丈夫かなと心配になるくらい。そこから恨み節を言う所ではオケと相まってどす黒いトニオのオーラが舞台ににじみ出たかのようでした。それがあったから、そのあとのシルヴィオとの2重唱があまりにも爽やかに聴こえたんですけどね。「衣装を着けろ」の前の所なんかはもう復讐の鬼になっているトニオは既に書きましたがイヤーゴのようでした。怖かったもの。で、最後のシーンだけ、ここだけいただけなかったことがあって。頭からずっと背むし男で腰まげて足引きずって歌ってたのに、最後の劇中劇ではめっちゃ背中ピーンとなってたんですよね。セイバンのランドセルでも着用してんのかと思うくらい背中ピーン。ネクタイもピーン(かつみ&さゆりのかつみやめとけ)。ということで何だろテンション上がっちゃったのかな。そういう指示だったのかかな。それともたまたま自分が観た瞬間がそういう瞬間が多かったのか。う~んかわらない。ま、それ以外全部良かっただけにそこだけ気になってしまった。今後も期待してます。私も少しだけ富田林で学んだので親近感も沸きました。

 

ネッダを演じられた山岸 裕梨さんは、ネッダは当たり役だと思いました。気の強い奔放な彼女を体からは想像できないスケールの大きな歌唱で表現されていました。また伸びやかなで明るい声は決して年の取った女性ではない、若さと情熱を感じさせてくれたので、浮気をする若い男女にリアルな感じを与えていたと思います。芳賀 拓郎さん演じるシルヴィオとの相性も抜群。彼もまた非常に透明度の高いクリアで純粋な声は非常に若い男性像を打ち出してきており、彼にとってはあまりにも魅力的だった一座の華であるネッダを真剣に愛してしまったんだろうなと思わせられました。いつもなんかおじさんが出てくるのでちょっと何とも言えなくなるんですよね(笑)結構マッチョな感じの声で朗々と攻めるというか。まぁ、そんなこと言ったら全部そうか。と元もないことを言う。彼は訥々と寄り添って歌っていたのでとても美しかったです。ネッダに戻ると、「鳥の歌」では映像で鳥が飛んでいる様とオケの弦のピッチカートと歌が相まって、自由を謳歌するように飛んでいるような感覚に。この曲は生で聴くとやっぱいいなって思えます。なんだろ、立体的に聴く方が良いというのか。非常に安定した歌唱でした。最後の劇中劇のシーンではかわいく喜劇を演じていてペッペ(アルレッキーノ)と足を動かしながら歌う様は愛嬌たっぷり。このどうしようもない筋書きのオペラの中で唯一笑顔になれたような。そんな時間でした。そうそう、ペッペを演じた島影 聖人さん、癖のない爽やかな声のテノールで実にイタリア向きな声。この役は声に合ってますね。アルレッキーノの小さなアリアも良かった。で、ネッダですが、カニオが出てきてからは結構そこに気持ちが全振りして集中しちゃってたので、どういうリアクションしてたのかをあまりしっかり見ておらずでしたが、話を喜劇に持っていかなきゃということで引き戻そうとするけど、カニオに煽られて"Nooooo"と叫んでからはネッダ、カニオ、トニオ、ペッペ、合唱、オケの全てが一体となって最大級の盛り上がりを見せてくれました。凄まじかったです。山岸さんも今後に期待です。

 

ということで、今回もとっても楽しめました。びわ湖ホール良い公演やってますなぁ。

このところずっと鼻づまりと喉の調子が悪く、咳も出ていて、医者から処方された薬を服用しているんですね。で、咳がひどくなったら迷惑になるので行くの止めようと思っていたのですが、なんとかご迷惑にはならない状態ににはなったので、観賞出来て本当に良かったです。ただし、おかけでBravoが全然言えず。ただ、なんとか言いたいなと思い、最後に1回だけ演出家もそろったところでBraviをフルボイスで叫びました。良かったらやっぱ伝えたくなるし、俺なら言われたらテンション上がるしね。で、お客さんとして貢献することがそれくらいしかできないしね。もちろん、問題になったフライングBravoとかね、空気読めない系はあかんよ。

 

最後に。舞台に出ていた方々お疲れ様でした。そして裏方の皆様も大変お疲れ様でした。たくさんの関係者の方のご尽力があってこそ公演が運営できます。私はただのお客さんですが、カーテンコールの時はそういうことも思って拍手を送っています。これからもこういう素晴らしい公演を多くの方にお届けできるように頑張ってください。私も可能な限り足を運べるように頑張ります。










12月14日は赤穂浪士討ち入りの日。そんな忠臣蔵な日に、なんとまぁ全然それとはまったく何も関係のない、沼津で上演された『ヘンゼルとグレーテル』を聴きに行きました(笑)とってもちなみに父親の誕生日でもあります。

何せこちら、今をきらめくロッシーニの星石田 滉さんがヘンゼル、このところいろんな公演に引っ張りだこの宮地江奈さんがグレーテル、魔女が破壊力満点な伊藤達人さん、先日の日生劇場『サンドリヨン』で妖精を演じられて好評だった鈴木玲奈さんがまたまた妖精系キャスティング、眠りの精と露の精で出演するということで、情報が出てからとても楽しみにしておりました。いやー豪華な面々ですよねぇ。しかも旬な人たち!!更には東京じゃなくて沼津公演というのが

静岡県民としてはありがたや〜でした。

 

今回演出の田尾下さんは、このオペラの纏うクリスマス感を前面に押し出して、クリスマスプレゼントを待つ子供たちの物語として独自の世界観を作ることに成功していました。例えばお菓子の家はクリスマスツリー、魔女は悪いサンタクロース、お菓子にされる子供たちはプレゼントと読替えており、眠りの精/露の精はサンタクロースの手下(歩く時の動きからするともしかしたら魔法で操られていただけかもしれませんが)として設定されていた...と思います。違ったらすみません。また、通常であれば魔女は最後に窯に押し込まれてお菓子になるところが、今回は悪いサンタクロースが良いサンタクロースになって大団円を迎えるという作り。片方の押し付けられた正義や価値観ではなく、全ての人が一つになって平和を祈るように描いた最後のシーンは、そもそも音楽の持つ純粋さや崇高さ、それらの美しさと高揚感で、毎回聴くたびに感動するのですが、今回はそこにまた違ったメッセージも込められていたので、より胸にくるものがありましたし、ウルっと目頭が熱くなるのを感じました。とても素敵な読み替えだったと思います。

また、歌詞も田尾下さんのクリスマスバージョンの書き下ろしで、これを覚えるだけでも演者の方は大変そうだし、結構歌いづらそうな言葉のはめ方だなぁなと個人的には思いましたが、小島よしおです。そんなの関係ねぇと(ただ古いよね)。しっかりと言葉を噛んで発しておられました。更に演者の皆さんは更に舞台をところ狭しと動き回るし、こんなにやるのかと思うくらい踊るし、かなりハードだっただろうと思います。しかしそんなことをものとも感じさせないブレない歌唱。これはやっぱすごかったですね。さすがという感じ。私だったらぜえぜえしてもう歌どころじゃない。持久走の後みたいになっちゃうと思います。もしくはシャトルラン(マジどうでもいいわそこ)。兎にも角にも、オペラ歌手万歳という感じで、尊敬の眼差しで観賞致しました。

 

ヘンゼルもグレーテルも、本当の子供がやらない限り、大人が頑張って子供を演じてるみたいな感じになっちゃうのがとってもたくさんあるわけですが、今回ヘンゼルの石田 滉さんもグレーテルの宮地 江奈さんも、そういった印象は皆無。踊りやメタファ的なポーズがたくさん出てきたのもあって、既述したように舞台上をたくさん動き回っていましたが、どこも俊敏で所作が子供っぽかった。声も若々しくてどこを取っても瑞々しい。朝露のような透き通った声が実に役とマッチしていました。

 

ヘングレの好きなシーンは、まず、幕開き冒頭から「踊りましょうよ」までのシーンなのですが、今回日本語の言葉数が結構多かったので情報量が多かったのもあり結構集中して聴きました。これまで聴いていた日本語がまぁ観賞の邪魔をするする。で、言葉数が多かったのが功を奏したのか、結果的にのんびりした2人というよりは、やんちゃでおてんばな兄弟像がくっきりと見えました。

それと、実は私よく考えたら宮地江奈さん初めて聴きました。こんなに有名になられてるのに!聴いてみて思ったのは、オールマイティになんでもやれそうな声質でしたね。グレーテルにおいては、透き通っていて純粋さが感じられてぴったり。なんでもない時は お兄ちゃんの前では主導権握っちゃうんだけど、いざという時にはお兄ちゃんを頼っちゃうかわいい妹みたいな感じがしていてかわいかったですね。YAMAHAで有名になった?ソーファミソファミレのとこもめちゃくちゃ良かった。子供が一人で歌ってるみたいでした。なんかそういう時あるじゃないですか。子供が何かに集中していて、歌メインじゃないけど独り言のように歌ってるとき。あと起こされた後の「ディリリリリ~ン」のとこも明るくてとても良かったですね。宮地さんのヘンゼルはトトロのメイみたいなかわいさがありました。「お父さん、お花屋さんね」的な(どういうことやねん)。

滉さんは頼りないヘンゼルというよりは声がずっと男前な感じでかっこ良かった。序盤の最初に出した声がいきなり明瞭で、日本語が美しかったなぁ。凛としてる。日本語だけどベルカント。2人で歌う祈りの2重唱はもう絶品で素晴らしいのなんの。美しかったわぁ。立ち位置が前後になって「静」だけではく思ったより「動」がある中で歌っていましたが、わたしゃ歌唱で涙が出ましたよ。歌詞が、神様へ祈るというものではなく、サンタさんへのプレゼントを願うというものにはなっていましたが、ヘンゼルとグレーテル(さらには子供たち)にとってはもしかするとサンタクロースは神様と言っても過言ではないのかなと。願いを叶えてくれる存在ですものね。そういう意味ではまさにあのシーンで願う子供の気持ちとしてはマッチしていたと思いました。今回2人が主役だったのは大正解。推進力があって、グイグイ世界へ引き込まれていきました。

 

眠りの精・露の精を演じた鈴木 玲奈さんですが、「あれ、玲奈さんどこにいるの?」って思ってたら、いやあんたなんかーい!!という感じでミセスクロース?として舞台に乗ってました(笑)マジで気づかなかった。眠りの精も露の精も、悪サンタの手下的に思っていたのですが、明らかに人の好さが声に出ちゃってました。というか母なる安心感というか、特に眠りの精はお母さんが寝かしつけているかのような印象で、優しく優しく歌っていたので感動しました。もしかすると、妖精ってそもそも人間に悪戯したりするのが常なので、そういうレベルにおいて楽しんでいただけなのかもしれません。悪サンタに操られててあそこまで優しい歌にはならなそう。眠りの精に対して露の精は、視界がぶわ~と開けていくような爽快感。朝露にお日様の光が照らされてキラキラとダイヤのような輝きを見せるようなそんな瑞々しくも爽やかな歌唱。さすが腕がありますねぇ。全然違う2曲をしっかりと印象付けて歌ってくれました。

 

魔女の伊藤 達人さんは、席が遠かったのでしっかりと確認できませんでしたが、グリンチみたいな緑色の顔色で登場していた

…と思います。グリンチはクリスマスを盗むし、キャラクター設定は若干これも込みなのかななんて。但し、近くで見ていた後輩はジョーカーと言っていたので、そっちかもしれません。ツリーに押し込めた後の歌詞が確か「サンタの顔したジョーカー」って言ってたと思うので、ストレートにとジョーカーの設定(バットマンのリアルなジョーカーではなくこの場合悪役という比喩表現としての意味)かもです。ちょこっとしらべたところ、クリスマスツリーというものは古代のゲルマン民族が崇拝していた永遠の象徴で、更にキリスト教にとっては神が与える生命の象徴でもあるそうなんですね。なので、その中に入ることで魂が浄化されたのかもしれません。そしてまた外に出ることで生まれ変わったのかもしれません。肉体の死、そしてまた生まれるというその生命の神秘。そして善人としてのサンタクロースをまた生んだ、もしくは、「魔法が解けてサンタになった」と歌っていたので、元々の善良なサンタに戻った、そんな感じでしょうか。

伊藤さんの魔女...というか悪サンタは、否が応でもお客さんを楽しませちゃいましたね(笑)なんか常にロックでエンターテイナーでした。「イッツショータイム」って言ってましたもん。ずっとダイナミックで圧倒されました。サンタのクセと圧が凄いんじゃ、でした(笑)ヘンゼルに七面鳥を食べさせる理由が大きな箱にする為で、アリアで分かったのはこの悪サンタは世界征服が一番の目的だったんだなとわかったわけですが、なかなか面白い設定。最後はクリスマスツリーの中に入ることで浄化されて良いサンタになって出てきたのですが、このあたりのメッセージ性は優しくて、クリスマスに子供たちと観るには良いなと思えましたし、現代向きだなとも思えました。『魔笛』の夜の女王の扱い方みたいなものにも通じる。また、ずっとツリーが上下2本舞台に立っていて終盤にドーンと真ん中に大きなツリーが建立するのですが、ヘングレと森というのは切っても切れないもので、やはりドイツの森という要素が作品全体的に覆いかぶさっているように思うのですが、その象徴としてのツリーということも考えられるなと思い、だからこそあえてツリーを最初から据えておいてあったのかなと思いました。

 

そしてそして、最後のお父さんが出てきてからの音楽と流れが死ぬほど好きなのですが、ペーター役の野村さんと子供たちの合唱とても素敵でした!記述しましたが、ここでサンタとミセスクロースも出てきてみんなで「平和を祈る」と歌いましたが、感動しますね。音楽と子供たちの奇跡です。涙です。

 

全体的にとても良かったので、幕終わりと、マエストロ揃ってから特大のBraviを献上致しました。

こういう音楽的な活動を1950回もやってくれているトヨタはさすがですね。よ!日本の基幹産業!!です。

トヨタにも大きな声でBravoと言いたいです!!(多分それより車買ってくれって言う)

マエストロの初谷さんは初めましてでしたが、テンポ的にしんどいとこは無く、沼響を手堅くまとめておられたと思います。

こういう企画があると静岡県民としてはとても嬉しくなるのでぜひまたお願いします。

すべての関係者の方に敬意をこめて。

 

 

《出演者等の情報》
管弦楽:沼津交響楽団 
指揮:初谷 敬史 
演出家 田尾下 哲
音楽監督・お話 三枝成彰
コンサートミストレス:吉貝 多佳子 
児童合唱:タンザワミュージックスクール 

ヘンゼル:石田 滉(メゾ・ソプラノ)
グレーテル:宮地 江奈(ソプラノ)
父ペーター:野村 光洋(バリトン)
母ゲルトルート:鳥谷 尚子(メゾ・ソプラノ)
魔女:伊藤 達人(テノール)
眠りの精・露の精:鈴木 玲奈(ソプラノ)