ビール大手各社の企画する飲食店が今年、大阪市内に相次ぎ登場し、行列ができるほどの人気となっている。各社の厳しい基準を満たす「最高にうまいビールやアルコール飲料」(関係者)が味わえるのが一番の魅力だ。市場縮小にあえぐ酒類各社にとって“救世主”となるか-。
「冷たくて、おいしい~」
大阪・ミナミの繁華街・心斎橋に、アサヒビールの直営店「エクストラコールドBAR」が登場したのは今年6月。主力ビール「スーパードライ」を氷点下の温度(マイナス2~0度)で飲めるのがセールスポイントで、節電による暑さを和らげようと連日行列ができる人気だ。
店内は立食形式で40人も入ればほぼ満員となる。専用のビールサーバーでは、現在のビールの温度を「マイナス2・2度」などとデジタル表示して、徹底的な温度管理と清涼感を目に見える形で演出した。
当初は8月末までの期間限定店舗だったが、好評のため今月19日まで延長。これに合わせて2万人から3万人に上方修正した来店客の目標も3日に突破した。
アサヒビールは「通常のビールより苦みを感じにくくなり、ビール離れが進む若者や女性に支持されている」(近畿圏統括本部)と自信を見せる。
一方、大阪・キタの地下街「ホワイティうめだ」にサッポロビールが今年2月、出店した「YEBISU BAR(ヱビスバー)」は、高級ビール「樽生ヱビス」をメーンに、ヱビスに合う料理も充実させた。約50席の店に一日平均250人が来店し、7月の売上高は計画を約3割も上回った。
高級ビール市場でヱビスは、サントリー酒類の「ザ・プレミアムモルツ」とデッドヒートを繰り広げており、サントリーのおひざ元である大阪でファン開拓を狙う。
対するサントリー酒類は8月下旬、大阪・キタの家電量販店、ヨドバシカメラマルチメディア梅田の北側に、新業態店「HIGHBALL BAR(ハイボールバー)梅田1923」をオープンした。ウイスキーを炭酸水で割るハイボール専門のバーで、角ハイボールなど15種類が楽しめる。開業1週間の売上高は目標の1・5倍に上った。
各社が直営店や企画店を増やす背景には、ビールやウイスキー市場の長期低迷がある。
平成21年のビール出荷量は約300万キロリットルとピーク時(6年)の4割程度に落ち込み、価格の安い第3のビールなどに押され気味だ。一方のウイスキー市場も、サントリーのハイボール戦略で盛り返しつつあるものの、ピークだった昭和58年の4分の1程度にすぎないという現状がある。
メーカーが、自社商品のベストな味わいを、来店客に直接発信できる直営店や企画店は、市場回復の呼び水となりうる。残暑が今月中旬まで続くとみられる大阪で、各社の“熱戦”はしばらく続きそうだ。
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