偏差値30からケンブリッジへ。『偏差値30でもケンブリッジ卒の人生を変える勉強』(塚本亮) | BLOG

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お知り合いの塚本亮さん渾身の著書『偏差値30でもケンブリッジ卒の人生​を変える勉強』(あさ出版)を読みました。中高生や学生さんにぜひ読んでほしい。そう思えるような本です。

塚本さんは、”退学寸前の問題児”から、関西の私立トップ校の一つ・同志社大学を卒業、その後心理学の勉強のために留学。イギリスの名門・ケンブリッジ大学大学院を卒業したという、異色の経歴をお持ちの方です。

今回の著書の装丁でも披露されていますが、荒れていた時代の塚本さんの眼光にはかなりヤバイものを感じます…(笑)が、今の塚本さんは温厚で、特に英語の勉強と教育のことに関しては熱い方。

そんな塚本さんのこれまでの著書には、IELTSという英語の試験のライティング対策本があります。今回は、ご自身の半生のストーリーを軸にして、自分が何のために、どうやって勉強してきたのか?を、自身の心の動きも交えながら語っていきます。

自分の半生を綴り世に出していくということは、自分の身を削ってそれを紡ぎ出していくようなものです。ぼくが、塚本さんの”渾身の”著書だと感じている理由がここにあります。

さて、具体的な勉強法は本書を読んでいただくとして、ぼくからは、塚本さんの勉強に対する心構えを中心に、いくつか紹介していきたいと思います。



▶ゴールで待っている自分と対話する

人は、自分に甘くなってしまうことがあります。特に、自分を追い込む環境にいるとき、少しでも楽になれる選択肢が頭に浮かぶと思います。自分のこととなると、冷静に判断できなくなるのです。

そこで実践されていたのが、「ゴールで待っている自分と対話する」こと。目標地点(ゴール)にいる自分に問いかけることで、冷静で客観的な選択ができるようになるといいます。


▶”must” か”have to”か

勉強を通じてある目標達成を目指すときに、「しなければならないと思っていることが、実は意外と必要ではない」ということがあると思います。仕事でも同じことが起こり得ます。

本書で提案しているのは、「しなければならない」を英語に変換すること。「must」は自分に主導権があり、「have to」は自分以外に主導権があるといったニュアンスだそうです。

スケジュールのなかで、「have to」のものは自分ではどうしようもできませんが、「must」のものは、本当に必要かどうかを見直す余地がありそうです。


▶目標を達成した自分にいつ会うかを決めること

友達と会う約束をしているときには、何時に起きて、何時の電車に乗れば間に合うかを逆算して計画を立てているはず。勉強もこれと同じように計画を立てていく。目標を達成した自分にいつ会うかを決め、そのためには何をするべきか、さかのぼって考えていくことが大切だということです。

塚本さんの言う次の言葉が印象的で、好きです。

”待ち合わせの相手は、目標を達成した自分”


▶友達との約束を守るように、自分との約束を守ること

自分との約束は、すぐに実害がわかりにくい分、簡単に破ることができます。ただ、自分への信頼というのは、確実に減っていき、自信を失っていくことになるのです。

目標達成した自分と待ち合わせた後は、「友達との約束を守るように、自分との約束を守ること」が大切だと言います。


▶勉強習慣がないときにこそ、計画を

塚本さんは、勉強習慣がなかった高校時代の受験勉強が、かなりきつかったとおっしゃっています。勉強習慣がないときにこそ計画を立てて、仕組みで自分を動かしていき、ペースをつかむことが大切だと。

これは、教育者や親も十分に理解しておくべきだと感じます。なぜなら、「がんばれ!」や「計画を立てて勉強しなさい」と言って勉強を自分で進めていける子どもは、初めからやっているはずだから。

ぼく自身も教育に携わる者として、具体的なアドバイスをできるように心がけたいと思いました。もしくは初めのうちは計画を一緒に立ててあげるというぐらいでもいいのかもしれません。


▶小学生の勉強からでもいい

目標を高く持てば持つほど、レベルの高い勉強をしようと頑張ります。しかしながら、そのレベルの勉強をする準備ができていないと、身に付くものも身に付きません。

基礎ができていないなら、基礎を復習する。塚本さんが、小学生が読む歴史の本から取り組み始めたというストーリーが印象的です。


▶勉強に没頭していた理由

塚本さんは、大学受験中のある時期から、勉強を楽しんでいる自分に気付いたそうです。しかしながら、それは勉強が好きで没頭していたわけではなく、「人生を変えることができるかもしれないという期待感を抱くこと」で没頭できたといいます。

勉強をする気のない生徒に対して教育者が伝えるべきなのは、実は、こういうことなのではないかと思います。勉強をする意義を感じられないという生徒には、その生徒にあわせて、将来の可能性が広がるヴィジョンをイメージさせてあげるべきなんだと感じています。



本書を通じて感じたのは、塚本さんが「目標地点(ゴール)にいる自分自身と対話してきた」ことです。

ひたすらその対話を繰り返し、「今の行動は、ゴールにいる自分ならどう思うか?」、「今テレビを見ていて、約束通りのタイミングで彼に会えるだろうか?」といった思考と行動を続けたこと。

その結果が、周りからは絶対に無理だと言われるほどの大きな目標達成に繋がったのだと思います。

自分自身のなかに答えがあるのだ、ということを改めて感じた、素晴らしい一冊。ぜひ、中高生や大学生にも手にとってほしいと強く感じています。

『偏差値30でもケンブリッジ卒の人生​を変える勉強』(あさ出版)