インテリジェンスの技法 『新・帝国時代を生き抜くインテリジェンス勉強法』(佐藤優×荒井和夫) | BLOG

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昨日、『偏差値30でもケンブリッジ卒の人生​を変える勉強』という書籍について書きましたが、最近読んで強烈だった「勉強本」をもう一冊紹介します。(勉強本を探し求めているわけではないのですが…)

それが、佐藤優さんと荒井和夫さんの共著『新・帝国時代を生き抜くインテリジェンス勉強法』(講談社)。(佐藤さんの言説、著書が好きなので)





実はこの本、もはや勉強本ではありません。というのも、全3章のうち、1、2章は安倍政権や外交問題、原発、イスラム…と、お二人の対談形式での議論が繰り広げられているからです。

お二人とも、”超”がつくほどの博識ですが、それは3章にあるようなインプットの方法と、情報の使い方を駆使しているからでしょう。

そしてここでは敢えて、その3章『「今」を生き抜く情報戦略』から、5つのトピックを抜き出していきたいと思います。


▶新聞は少なくとも二紙読む

「新聞に始まり新聞に終わる」と佐藤さんは言います。少なくとも二紙、舐めるようにして読むそうです。二紙以上を比較するように読むことで、各紙の編集方針や、どの記事をどのように取り扱うのか、どんな独自性があるのかが掴める。

しかしながら、新聞をまともに読んでいたら4~5時間かかるという指摘も出てきます。私自身もある新聞を読んでいますが、まともに読んでいたら他の媒体(ネットや書籍)にまで目を通すことは難しいでしょう。

「新聞だけでなく、ネット情報、雑誌、そういったニュースのインプットにかける時間が2時間を超えたら駄目」、と佐藤さん。仕事の専門領域の情報を収集したり、学生ならレポートのための文献を読み込んだりする時間を圧迫するようなら本末顛倒。

ぼく自身は、「世界と日本、それぞれの大きな流れを把握すること」、「点々と散らばるニュースの繋がりを見いだすこと」を目的に新聞を読んでいます。


▶受験サプリを活用する

2012年からリクルート社が展開している『受験サプリ』。これは、1ヶ月980円(2014年8月現在)で、各教科の質の高い講義が、PCやスマートフォン、タブレット端末で見放題、というものです。

佐藤さんの感覚では、この受験サプリだけで、早慶上智の文系までは合格できるそうです。それには、自己管理を徹底しておこなえるだけの姿勢をもっている人でないといけない、とは思いますが。

それにしても、本書によると、受験生は塾や予備校で月に平均44,744円のお金がかかるそうですが、その一部でも月980円の受験サプリで代替できるとすると…経済的に厳しい家庭だとしても、大学入学までにかかる勉強の費用はかなり圧縮できる可能性があります。

まずは一度使ってみるといいかもしれません。ぼくも早速試しに使ってみるつもりです。


▶ TOEIC から IELTS へ

英語を勉強するぞ!というとき、「TOEIC600点以上」や「TOEIC750以上」というように、TOEICを目指して勉強する人は、まだまだ多いと思います。

その背景としては、就職や転職の際に、「TOEIC●●●点以上」といった条件を提示する企業もあるということもその一つでしょう。

また、TOEICがあまりにも認知されているため、英語力を評価する側の人も、なんとなくTOEICを英語の評価軸の中心に据えている、ということもあるかもしれません。

私自身もTOEICは文法の習得のための勉強と割り切り、何度か受けてきました。

しかしながら、TOEICは世界では通じないということを薄らと感じていました。本書でも、「TOEICは日本と韓国でしか通用しない」と名言されています。

そこで出てくるのが、IELTSです。

IELTSは、まだまだ日本では耳にすることが少ないですが、間違いなく世界で通用する試験の一つです。イギリス留学の際には、実際にある一定のスコアが必要になります。IELTSには、リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングという項目があり、総合的な能力が求められます。

昨日ご紹介した『偏差値30でもケンブリッジ卒の人生​を変える勉強』の著者・塚本亮さんは、IELTSのスコアを満たしてケンブリッジ大学大学院に入学・卒業。今では、京都でIELTSの得点アップのために指導している、IELTSのプロです。

日本国内での評価のためではなく、世界に通用する、本物の英語力を磨いていきたいという方は、IELTSにチャレンジしてみるのも一つの手かもしれません。


▶高校までの国語と数学をしっかり勉強する

複合的にものを見るために必要なこととして、まず高校までの国語と数学をしっかりと勉強することが挙げられています。

佐藤さん曰く、国語力も、数学力も、形は違うけれども「論理力」だと。

その上で、型破りな人間になるには、その前提として”型”をおぼえなければならない、と話を展開していきます。

数学的な思考と、国語力を駆使した文脈の読解と、明瞭な発言に立ち返る。大学生であれ、ビジネスパーソンであれ、今一度高校までの数学と国語を見直してみると、新たな発見があるのかもしれません。また、それが仕事や論文に小さなイノベーションを運んでくる可能性も否定できないのでは、と思います。


▶身体と精神の健康

本書の最後のトピックとして出てきたのは、意外にも、健康に関することでした。これには、驚きました。

「カネを稼ぎ、出世するための最大の秘訣は、健康です。身体と精神の健康なんです。」と佐藤さんは言います。

健康でなければ、新聞も読めない。
健康でなければ、受験サプリも使えない。
健康でなければ、国語、数学、英語の勉強もできない。
健康でなければ…

このブログを書くことすらもできません。

勉強法は、あくまでも「心身の健康」を土台として、身につけるものです。

”知の巨人”と呼ばれる佐藤優さんと、”情報のプロフェッショナル”と呼ばれる荒井和夫さんの著書が「健康」で締めくくられていることに、驚きとともに、どこか安堵した気持ちもします。


日々、時代が止まることなく進んで行くなかで、また再読したいと思える一冊でした。



『新・帝国時代を生き抜くインテリジェンス勉強法』佐藤優×荒井和夫(講談社)