アマゾンで近刊の予約注文を開始しました。
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4902462338
本文【第六章】の「リストラからの始まり」前半部分をご紹介いたします。
私は会社をリストラされたことで、一九九三年一二月九日に有限会社ヌース出版を設立しま した。資本金は三百万円で、社員は私一人だけです。弊社を設立した年はバブルが弾けてリス トラが頻繁に行なわれた時期でした。リストラされた会社は、バブル期には儲かっていた編集プロダクションでした。3Kと言われていた出版業界の編集制作会社ではありますが、それ程、給料は悪くなかった。主な仕事は月刊誌と季刊誌の編集で、その他に予備校の機関誌や書籍の編集などがありました。私がリストラされる半年くらい前に、主な仕事だった月刊誌と季刊誌の休刊が立て続けに発表され、社員同士でこの会社も危ないという憶測が飛び交いました。憶測通り、その秋口には四名のリストラが言い渡され、私もその中に入ってしまったのです。私にとっては、雑誌の編集という仕事がとても面白くなっていた時期でした。特に、月刊誌の取材で学者や評論家や芸能人などの著名人に会って話を聞くことが好きでした。仕事にやり甲斐というものが感じられ、この道でやっていけるという自信も出始めていました。
そんなころ、仕事の途中にサボって立ち寄った書店で手に取った本が、鷲田小彌太先生の書かれた『哲学がわかる事典』(日本実業出版社)でした。その書店は、後に『ロゴスドン』を直で販売してくれることになる芳林堂書店・高田馬場店です。私の心の片隅に潜んでいた「哲学」というものに、その時の私の感情が敏感に反応して、鷲田先生の本のタイトルに目がとまったのだと思います。しばらく立ち読みしていましたが、「これは買わなければならない!」という衝動にかられて購入しました。その衝動を導いた主な文章は、「記憶魔という秀才たちの時代の終焉」と、「幾何学を知らざるものは入るべからず」でした。この本を読み終えて、何となく哲学が少し分かったような気分になりました。そして、哲学に関わって生きていきたいという思いが芽生えてきました。そして、リストラで会社を退職する二カ月くらい前までには、ヌース出版を設立する意思が固まっていました。この社名に決めたのは正兼のオイサンの魂に導かれたのか、私の哲学への思いが高じたためです。鷲田先生の本を読み終えた後に購入した、『哲学入門 哲学基本事典』(富士書店)に出ていた「ヌース」という用語の解説が最も私の心をとらえました。社名を決めた後は、『初めての人でもすぐわかる有限会社のつくり方』という本を購入し、その本に書かれてある通りに作業を進めていきました。するとリストラされて無職になるはずの私が、一転して出版社の社長になることができたのです。(以下、省略)



