『ロゴスドン』Webの連載「哲学カフェ」を更新しました。
「パラレルワールド」とは、見えぬけれどもあるもの
前川幸士(京都府京都市)
パラレルワールドは、通常は目にすることはできないが、実在するものである。SFやファンタジー、オカルトの話ではない。数学には、虚数(imaginary number)という2乗するとマイナスになる数があるが、これは実数の世界とは、対称のように存在するものであり、実数に(i)のついた形で表されるパラレルワールドであると考えられる。しかも、実数と虚数は対立するような形で別々に存在するのではなく、両者は互いに交流し、その和は複素数(complex number)という新しい概念の数として考えることができる。
実数であっても、数という概念は、通常では実際に目にすることはできない。しかし、実数は、数直線上に点として表現することができ、それによって、その概念がビジュアルに示され、その性質をより深く考察することもできるようになる。複素数もまたガウス平面(複素数平面)によってビジュアルに表現することができる。これは、横軸に実数の軸(実軸)をとり、縦軸に虚数の軸(虚軸)をとる平面であるが、すなわちこれは原点Oを通る横軸の上に広がる世界と平行に無数の世界が存在することを表している。実軸を実数の世界と考えれば、この平面上には実数の世界と平行な世界が無数に表現されていることになる。通常は目にすることができない並行宇宙、パラレルワールドも、ガウス平面によって具体的に実体化させることができるのである。
そして、これらのパラレルワールドは、それぞれが独立して存在しているものの、複素数によって、それぞれを関連させることも可能である。ガウス平面上には、複素数の数値をプロットすることが可能である。また、複素数の加減法の計算は、このガウス平面を用いることでベクトルのように表現・計算することができる。さらに、乗法の計算も実軸との間の角度の和として表現・計算することができる。このガウス平面を用いることによって、複素数の計算という概念も目に見える具体的なものとして考察、分析することができるのである。
観念論的なもの、あるいは形而上のものを、実在しないからという理由によって一概に排除してしまうわけにはいかないことが、虚数、複素数の考察からも実感できる。また、虚数の概念を持ち出すまでもなく、負の数(negative number)もまた0を挟んで正の数と対称なパラレルワールドであると考えることもできる。人類は長い間、負の数の存在に気付いてはいたが、その実態を把握することはできなかった。一般的には、13世紀初頭の数学者であるフィボナッチが『算盤の書』(1202年)において負の数を負債と解釈し、貨幣経済に負の解を認めたのが、西欧社会における嚆矢とされている。負の数は、金融、経済の問題として実在が確認され、金銭、貨幣によって具体化されビジュアル化されたのである。
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