跳び安座…3
長年に緩みきった体と精神に『喝!』で、密かに仕舞・殺生石を考えている。だが、素人の還暦近い身体で曲本来の間合いで動けるのか。
とにかく、速く動ける出足とキレが欲しい。あと、稽古で数回は連続して舞える持久力だ。
そこで…身体トレーニングの文献を少し漁ってみた。
まず、筋トレ自体では脂肪は燃えない。 使う筋肉とエネルギーの素が違うらしい。
筋トレは速筋を使い、持久力となる有酸素運動は遅筋を用いる…などの記述が各文献やテキストに見られた。
速筋の素は筋グリコーゲンという筋肉内糖分を使うが、脂肪は不要。一方、遅筋は肺から酸素を取り入れて中性脂肪を燃焼、エネルギーとする。
そこで、思い当たるのは能で使う筋肉は主に遅筋・速筋のいずれなのか…という事だ。
能の動きは緩い・ほとんど動かない…『能のような動き』と、テレビバラエティのタレントが揶揄するごとく、一般的誤解の向きはあるが、実際は『能の動かない』所作が、演者が一番に肉体的辛苦を味わう時間である。
動かないのではなく、この瞬間に動こうとする肉体や思考を懸命に動作の起点とすべく押さえ込む…
下手に動けば、面は表情を変え、物語の時間と集約性を失わせる。舞台上の肉体は演技の起点であると同時に終点であり、次の瞬間に転換して起点となる。
浅学な素人意見で言えば、むしろ『舞いや所作で動いた時は楽』なのである。
しかし、今回は能を演じる訳ではない。
『殺生石』仕舞なのだから、型の動きなどを考えれば『速筋』を鍛えれば良い違いない…はずだ。
しかし、やはり物事は簡単には行かない…続く。


