
2026年8月3日、総合商社最大手の三菱商事が2026年4─6月期(第1四半期)決算を発表しました。
連結純利益は前年同期比で47%増の2,985億円と、非常に力強いロケットスタートを切っています。
1. 【1Q決算ファクト】前年同期比47%増!市場予想を上回る好スタート
まずは、ロイター報道等で発表された決算の主要トピックを整理します。
- 1Q純利益: 2,985億円(前年同期比 +47%)
- 市場予想(IBESコンセンサス): 2,643億円に対し、実績は大幅超過
- 通期予想(1兆1,000億円): 今回は「据え置き」
好調の主な要因は、豪州の原料炭事業や銅事業の市況上昇、そしてカナダのLNG(液化天然ガス)事業の順調な立ち上がりです。市場の事前予想(コンセンサス)をきっちり上回る、文句なしの好決算と言えます

2. 【疑問①】原油高・資源高は決算に「織り込み済み」か?この先乗ってくるか?
商社の資源ビジネス(原油やLNGなど)は、「現在の市場価格が、約3ヶ月〜半年遅れて決算の数字(利益)に反映される」という契約構造になっています。
つまり、時系列で整理すると以下のようになります。
- 今回の決算(4〜6月期)に乗っている数字:
実は、今期の4〜6月の市況ではなく、主に「1〜3月期(前四半期)の市況」をベースにした利益です。直近の資源高の恩恵は、まだ一部しか反映されていません。
- 直近(4〜6月期)の資源高の数字:
これが本格的に業績に乗ってくるのは、次の「第2四半期(7〜9月期)以降」の決算になります。
だからこそ「上方修正の余地」が残っている
三菱商事がこれだけ好調なスタートを切ったにもかかわらず、通期予想(1兆1,000億円)をあえて据え置きました。
4〜6月期に上昇した資源価格の恩恵(本番分)は、この先の秋以降の決算に「後からドンと乗ってくる」ことが確定している状態です。会社側が「次の四半期に向けて上方修正余地を探る」と自信を見せているのは 、このタイムラグによる「未還元の貯金」がまだ裏に控えているからと言えそうです。

3. 【疑問②】円高に向かっている為替の影響は?
足元の為替市場は政府の介入等もあり「円高方向」へ振れていますが、結論から言うと「現時点では全く問題なく、むしろ業績の押し上げ要因」です。
想定為替レート「150円」の安心感
三菱商事が今期の期初に設定した想定為替レートは「1ドル=150円」です。
一時は160円台まで円安が進み、現在は150円台半ばまで円高に戻していますが、依然として会社側の想定(150円)よりも「円安」の水準にあります。
商社は1円円安に振れるだけで数十億円規模で利益が吹き上がる構造のため、想定の150円を上回っている限り、為替差益がプラスに働き続けます。嶋津CFOも「基本的にはドル高・円安基調が続くと予想している」と述べており、為替面でも上方修正の含み(貯金)を抱えている状態です。

4. 【株価予測】この好決算で株価はどうなる?
「47%増益」「コンセンサス超過」「為替と資源の貯金あり」という好条件が揃ったことで、株価への影響は以下のように予測できます。
短期的:ポジティブな反応(堅調な推移)が期待できる
市場予想を大きく上回る利益を叩き出したため、明日の株式市場ではポジティブに評価されやすく、株価の上昇または下支えの要因になります。
中長期的:「資源価格のピークアウト」への警戒に注意
ただし、一本調子で株価が上がり続けるかは慎重に見極める必要があります。なぜなら、伊藤忠の解説でも触れた通り、直近では原油価格が80ドルを切るなど資源価格の調整(下落)が始まっているからです。
先述の通り、商社の決算には数ヶ月のタイムラグがあります。
- 今(1Q・2Q): 過去の資源高の恩恵で爆益
- 先(3Q・4Q以降): 足元の原油80ドル割れの影響が遅れてやってくる
市場(投資家)は常に先々の未来を織り込みにいくため、足元の決算がいくら良くても、原油安トレンドが長引けば「下期以降は失速するのでは?」という警戒感から、上値が重くなる可能性があります。

まとめ:三菱商事の今後のシナリオと「本当の買い時」
今回の三菱商事の1Q決算は、前年同期比47%増という強い数字の裏に、「まだ資源高と円安の恩恵をすべて出し切っていない(貯金が残っている)」という大きな伸びしろを隠し持った内容でした 。
今後の投資戦略としての最注目ポイントは、一言で言えば「上期の貯金vs下期の向かい風」のスピード勝負です。
- 勝負の分かれ目:
足元では原油価格が80ドルを切るなど資源安の兆候が出ています。これが遅れて響いてくる下期(3Q・4Q)のマイナス影響を相殺できるほどの莫大な貯金を、この1Q・2Q(上期)の間にどれだけ稼ぎ出せるかが、通期上方修正への絶対条件となります 。

💡 伊藤忠と三菱商事
先ほどの伊藤忠商事の決算と比較すると、両社のキャラクターの違いがより鮮明になります。
- 守りの伊藤忠: 資源安の環境下でも「非資源」の強みで大崩れせず、2.3%台の利回りでも手堅い安心感がある。
- 攻めの三菱商事: 上期の資源高・円安の貯金(タイムラグ効果)を原資に、ドカンと大きな上方修正や「サプライズ増配・追加の自社株買い」を狙いに行く爆発力がある 。
「市況の先行きに警戒しつつも、上期中の上方修正期待を狙って三菱商事の波に乗るか」、それとも「原油安を見越して非資源の伊藤忠でディフェンシブに構えるか」。
この上期の貯金の貯まり具合(次回2Q決算など)をじっくり監視しながら、自分の投資スタイルに合わせて商社株を選別していくのが、今期最も賢い立ち回りと言えそうです。

ただ両社とも、長期にわたって業績は右肩上がりで近年ではバフェットの保有でブーストがかかっています。
どちらか一方という事ではなく、長期で見れば両方所持でも全然良さそうな気はしますね。
バフェットさんは50年売らないという話ですからね。
万年割安放置だった商社株が上がったきっかけが、バフェットの率いるバークシャーハザウェイが買ったことでした。
市場がバークシャーに引きずられるなら、後50年売らないというのは、買い目線で間違いないという事ですよね。




