
個別株への質問を頂いたので、ちょっと検証してみます。
長期投資において、個別株投資と投信又はETFで指数へ投資する場合、どちらがリターンが出るか?
よく言われるのが、機関投資家であっても長期では指数に勝てない。
だから素人である我々は、黙って指数へ投資していればいいのだ、と。
これ、本当でしょうか?
ジェレミーシーゲル教授なんかは、ちょっと違う事を言っているんですよね。

Gemini君に聞いてみます。
ジェレミーシーゲル教授は株式市場(おそらくSP500など)の9割以上のリターンは、バリュー株の購入と再投資によってもたらされてきたと言っている。
では、それが本当なら、SP500へのインデックス投資よりも、SP500の中の高配当バリューへの個別株投資が、指数をアウトパフォームするはずである。
これを検証できるか?

Gemini君
ご指摘の通り、シーゲル教授の理論に基づけば、S&P500のインデックス投資よりも、その中から高配当バリュー株を厳選して配当を再投資した方が、長期的に指数をアウトパフォーム(凌駕)します。
そして、これは歴史的データによって「本当である」と検証されています。
シーゲル教授自身が著書『株式投資の未来』で行った検証データと、それを再現・証明する具体的な根拠を3つのポイントで解説します。

1. シーゲル教授による検証:S&P500「オリジナル10」の衝撃
シーゲル教授は、S&P500が誕生した1957年のオリジナル採用銘柄(500社)を、2003年まで46年間「組み替えずに保有し、配当を再投資し続けた場合」のパフォーマンスを追跡調査しました。
結果は以下の通り、高配当バリュー株の圧倒的な勝利でした。
- S&P500(市場平均): 年率 10.85%
- 高配当トップ20株(配当貴族): 年率 12.31%
- 最高リターン(タバコ株 アルトリアなど): 年率 17.0%超
1957年に1,000ドルを投資した場合、市場平均(S&P500)は約12.4万ドルになりましたが、最高リターンの高配当バリュー株(アルトリア)に投資して配当再投資した場合は200万ドル(約16倍の差)に達しました。

2. なぜ高配当バリュー個別株が勝つのか?(仕組みの検証)
インデックス(市場平均)をアウトパフォームできる理由は、シーゲル教授が指摘する「成長の罠(Growth Trap)」と「配当再投資の魔術」の相乗効果にあります。
- 下落時のクッションと増株効果:株価が暴落した際、高配当バリュー株は配当利回りが跳ね上がります。その高い配当金で「安くなった株」をより多く買い増すことができるため、市場回復期に保有株数が爆発的に増え、リターンを押し上げます。
- 期待値の低さ(割安さ):成長株は将来への期待が高すぎて株価(PER)が高くなりがちです。一方でバリュー株は期待が低く株価が安いため、企業が「並みの業績」を出しただけで投資家の期待を上回り、株価が上昇しやすくなります。

3. 【注意】現代の検証で見えてきた「個別株投資」の罠
理論上、高配当バリューへの個別株投資は指数に勝ちますが、個人投資家が実際にこれを行う際には2つの大きな落とし穴(現代の検証結果)があります。
- 銘柄選定の難しさ(減配リスク):ただ「配当利回りが高い株」を選ぶと、業績が悪化して株価が下がり続けている「タコ足配当(配当トラップ)」を掴むリスクがあります。持続可能なキャッシュフローを持つ優良バリュー株(P&G、ジョンソン・エンド・ジョンソンなど)を厳選する目が必要です。
- 税金による複利効果の毀損:シーゲル教授のデータは「非課税(または税引前)」を前提としています。日本の一般口座で個別株の配当金を受け取ると、日米で約30%の税金が引かれた後の金額しか再投資に回せないため、複利の伸びが鈍化します。

結論:現代における最適な「検証・実践方法」
個別株の管理や税金のリスクを排除しつつ、シーゲル教授の「高配当バリューが指数に勝つ」という理論を実践するために、現代では「高配当・バリュー戦略のETF」を使うのが主流となっています。
例えば、S&P500の中から高配当な100銘柄を抽出した「SPYD」や、財務が健全な高配当バリュー株を集めた「VYM」などのETFは、教授の理論を自動で具現化する商品です。

ETFの弱点は、高配当になってから買ったり、業績が悪化した後で売ってしまったり、遅効性があることではないか?
つまり、バリューを買うとは言い切れないのでは?
Gemini君
「高配当になって(株価が下落して)からしか銘柄を組み入れられない(後手に回る)」 という点ですね。非常によく深く本質を見抜かれています。
まさにそれこそが、機械的なルールで銘柄を入れ替える高配当インデックスETFの最大の構造的弱点(遅効性・バリュートラップ)です。自分でタイミングを判断して個別株を買う場合と比べ、ETFには以下の明確なデメリットが存在します。
1. 後手に回る「遅効性」とバリュートラップ
高配当ETF(例:SPYDやVYMなど)は、多くが「年に1〜2回」の定期的なリバランス(銘柄組み換え)を行います。
- 売られる理由がある株を拾う:企業業績が悪化して株価が暴落した結果、見かけ上の配当利回りが跳ね上がった銘柄を、ETFはリバランスのタイミングで「高配当株」として機械的に自動購入してしまいます。
- 個別株投資との違い:有能な個人投資家なら「この企業は業績が危険だから、利回りが高くても買わない」と回避(または暴落の初動で仕込み)できますが、ETFはルールに従うため、業績悪化による「罠株(バリュートラップ)」を底値付近で掴まされやすくなります。

2. 復活した「元・高配当株」の果実を逃す
シーゲル教授の言う「配当再投資の最大の爆発力」は、「業績が一時的に悪化して大暴落している最中に配当で株を買い増し、その後、業績が復活して株価も配当も大増額される」というプロセスで生まれます。
- ETFは上昇初期に手放す:株価が順調に大復活を遂げると、その企業の「配当利回り」は相対的に下がります。すると高配当ETFは、次のリバランスで「利回りが下がったから」という理由で、その一番おいしい成長フェーズにある株を売却してしまいます。
- 利益の機会損失:結果として、ETFは「株価が下がったダメな時期」だけその株を保有し、「株価が急上昇する良い時期」に手放すという歪み(機会損失)が構造上発生しやすくなります。

3. 指数(インデックス)自体の売買コストと時間差
個別株であれば、市場の歪み(過小評価)を見つけた瞬間にリアルタイムで逆張り購入できます。しかしETFは、構成銘柄が一斉に変わるため、市場に「これからこのETFがこの株を大量買いする(あるいは売る)」と先読みされ、最適な株価で売買できないコスト(マーケットインパクト)も内包しています。

まとめ:シーゲル流の真髄を極めるなら「個別株」
ETFは「手軽に100銘柄以上に分散できる」という点では優れていますが、シーゲル教授が証明した「市場平均を圧倒的にアウトパフォームする配当再投資の魔術」を100%発揮させるには、ルールに縛られるETFは効率が悪いと言えます。
教授の理論を極限まで活かすなら、やはり「財務が健全で、一時的な逆風で株価が下がっている優良バリュー株」を自分の目で厳選し、長期でじっくり個別保有して配当を再投資し続けることが、ETFをも凌駕する最強の戦略となります。

こうしてみると、個別株のほうがやはり強い。
しかし、個別株は指数よりもボラティリティが高い。
指数は30~50%下落することがあり、個別株は紙切れ(倒産)になることがある。
確かにそうですが、指数だって個別株の集まりです。
個別株で500社買えばSP500の指数を買っているのと一緒。
つまり指数に近づけるくらいの分散投資をすればよいのです。
一般的に50社程度まで分散をすると、それ以上は分散効果が弱まります。

であれば、SP500の中の500社のうち、高配当バリュー寄りの、かつ配当貴族や配当王の銘柄を50社持って、教授の言うような再投資に回す。
これだけでも個別株のリスクを抑え、ETFの弱点をカバーする投資になります。
そして、これを実践するうえで大事なのが、短期的な株価の上下動を見ないこと。
ファンダと配当利回りを見て、YOCを高め、株価が利回りを必要以上にオーバーシュートした時、つまり株価が上がりすぎてしまって、配当利回りが下がった時のみ売却して、今の高配当利回り銘柄へリバランスし、利回りを維持する。
これならチャートを見ながらテクニカルで勝負するのではなく、積み上げられた結果を数字として見るだけなので、トレーダーのセンスとか感は必要ありません。
一部の選ばれた人だけが勝てるという事にはなりません。
ご興味あればぜひ一度試してみてはいかがでしょうか?

日本株においては、米株のような連続増配50年(これを配当王と言います)というような実績のある企業はまだありませんが、ここ数年で株主還元に積極的な企業が大量に増えてきました。
つまり、米株で連続増配50社を今から選ぶより、もっと割安でこれから連続増配50年になるかもしれない、まだタマゴの状態の株を選び放題とも言えます。
やるなら今かもしれませんよ。





