
時期を見ずに買う方が、暴落を待つよりも儲かる
なんて言うと、何言ってるんだ?
高い時期に売って、暴落したら買い直すほうが儲かるじゃないか。
と言われます。
確かに数字上ではそうですよね。
しかしニック・マジューリ著『Just Keep Buying(ジャスト・キープ・バイイング)』では、「ほとんどの市場は、ほとんどの期間、上昇している」というデータに基づいた主張が明確に述べられています。
確かに、日本のバブル崩壊後などの特殊な時期を除けば、下げている期間というのはほんの一瞬で、殆どの時期、市場は上昇しています。
例えばDOWを年足で見るとこうなります↓
ですから仮に、1000円で買った株を1500円で売り、1500円を割ったら安く買い戻そうとすると、逆に値段は上がっていき、2000円になってしまう。
そんな可能性すら出てきます。
そして仮に2000円から待望の暴落が来て20%安く買えたとしてもその値は1600円ですから、冷静に見れば1500円で売らずにホールドしていたほうが儲かっていることになります。
なので、1600円になったとしても、もう少し、前回売った1500円を割ってから買いたいというバイアスが働いてしまいます。
それで結局1500円到達前に反転してしまうと、買うことが出来無く。
さらに次の暴落までには株価が2500円に到達してしまい、そこで今度こそ30%の暴落が来ても1750円。
これだともう、一生買うことが出来なくなります。

原田泰造・・・じゃなくて杉村太蔵さんが
売った値段より高くなっていても、売った自分の判断が間違いでしたと、ごめんなさいしてまた買える投資家は強いみたいなことを言っていた気がしますが、まさにそうだと思います。
多くの場合、そのごめんなさいが出来ずに買い直すことが出来ないんですよね。
だからこそ、目先のキャピタルにこだわらず、長期での企業の成長、ひいては株価の成長を見る投資は大事なのだと思います。
もちろん、暴落は将来必ず来ます。
ただその暴落によって、今の株価よりも安くなるとは限りません。
市場が右肩上がりなのであれば、将来の暴落後の価格より、今の価格のほうが安い可能性は十分にあります。
自分の肌感覚では、価格を見ずに今買った結果、その後下落によってナンピンする銘柄よりも、今の価格から買いあがっていかざるを得ない銘柄のほうが多いです。

これは、デフレ期の市場ではまた別だったと思いますけどね。
デフレ期は今買ってもさらに将来は下落する可能性は確かに高かっと思います。
しかしインフレが定着していくと、通貨の下落とともにEPSは自然に上昇しますし、資産価値が上がればBPSも上昇しますから、自然と株価は上昇します。
ですから、今よりも将来のほうが高いというのも根拠のある話だと思っています。
自分の場合、これは前にも書いていることですが、欲しい株が出てきた場合、目標株数を一度に買わず、少数のみすぐに買い付けます。
100株しか買えない場合でも、端株を利用して例えば10株とか買い付けます。
その後、時間をずらして少しずつ枚数を増やして目標株数にします。

これをやるとパターンは3つ。
1、当初買った分の価格よりも株価は上がっていき、追いかけながら追加購入をする。
2、当初買った分の価格よりも株価は高騰しすぎて、買い増しが出来なくなる。
3、当初買った分の価格よりも株価が下落し、ナンピンしながら買い下がる。
このどれかになりますが、現状1と2で8割というイメージ。
残りの2割が買わずに下落を待っていたほうがよかった場合となります。
この2割の含み損の銘柄を嫌うのであれば、下落を待つことになりますが、その結果残りの8割の銘柄の購入機会を逃すことにもなり、決して理にかなった選択ではないですよね。

先ほどの3つのパターン。
僕が買い付けた実際の例で見てみると
1のパターン
例えば下は三菱UFJの週足。
僕はここを、シリコンバレーバンク破綻後の、金融銘柄の下落が落ち着き、株価は反転上昇し始めた2023年の夏に買い始めました。
暴落で買うというのなら、タイミングとしてはもうちょっと遅いタイミングでした。
価格的には1000円を超えていて、当時の三菱UFJは三桁で買えるのが当たりまえの時代でしたから、1000円は高いなと思いつつそれでも打診で一部買い、その後の値上げで買いあがっていきました。
結果平均単価は1234円、当時は高値掴みのように見えましたが、結局のこ値段を割るのは、2024年8月の暴落時たった1日だけでした。

次に2のパターン
住友林業。
コロナ明け、現在の3分割後の値段で700円程度(当時の分割前価格で2100円ほど)で打診買いをしました。
当時はコロナショック前よりも既に高い値段でしたので、コロナの二番底を気ににして安く買おうとするなら、決して安くない値段。
なので僕自身ビビっていて、コロナのワクチン開発のニュースを見ながら、5株ずつ買っていた記憶があります。
しかしその後あれよあれよと上がっていき、30株しか持っていないまま株価はトリプルバガー。
高くてもう買えない水準になってしまいました。
その後株価は調整局面になったので三分割が発表されたのを機に、単元まで引き上げましたが、それでも平均買付単価は現在1033円。
結局は調整後の安値の1200円よりも安いところで買えていたことになります。

3のパターン
山田コンサルティンググループ
去年の春過ぎに2000円くらいで打診買い。
一時は上昇しましたが、その後の下落で含み損になりました。
今年1600円を付けたところからナンピンを開始して平均買付単価を1780円に。
これで若干ではありますが含み益に。
1600円を待って買えばいいのですが、去年の夏の時点で1年後の株価を予想するなんてできません。
結局上記の三菱UFJや住友林業同様に、思いついた時に打診買いでしたが、適宜買い下がることで含み益を作れています。

と、全て暴落後の安値で買っていません。
結果3のように損することもあるのですが、持ち株全体で見ればむしろ、早く買い始めていたことで平均買付単価を安く出来ています。
長期で見たとき、多くの期間で市場が上昇しているのであれば、これは偶然ではなく当然の結果だと信じています。
これは市場を見極める力がない人(はい!僕です)こそ、役に立つ戦略だと思っていますので、必ずしも皆さんに勧められるわけではないですけどね。
方向性に迷った方なんかは、迷って何もしないくらいだったら、試してみるといい事(数年後にね)あるかもしれませんよ。


