
先日、ジブリアニメの紅の豚が放映されていました。
イタリア空軍のポルコや、戦友のフェラーリがかっこよく書かれていましたが、実際のイタリア軍は中々そうではなかったようで。
ブラックユーモアとしてイタリア軍は時折ネタにされております。
そんな中でも、良ーく考えるとゾッとするようなブラックユーモアが一つ。
歴史的背景を知らないとなんのこっちゃわからないので、まずは背景から書きますので、よろしければお付き合いください。
第一次世界大戦期、ドイツはオーストリア=ハンガリー帝国とイタリアと共に3国同盟を結び、イギリスをはじめとする三国協商と戦争を始めます。
ところがイタリア、途中で寝返っちゃうんですね。
紅の豚でも、途中でポルコが戦争の話をするとき、イタリア空軍がドイツの鉄十字のマークの戦闘機と戦っていましたね。
三国同盟の一員であったイタリアが、なぜか同じ同盟のドイツ空軍と戦っている描写が劇中であるのはこういう理由で、いつのまにやらイタリアは第一次世界大戦の戦勝国になっているんです。

時は変わって第二次世界大戦。
今度は日独伊三国同盟が結ばれ、またしてもイタリアはドイツと同盟国。
日本も仲間入りしてしまいました。
ドイツが緒戦でポーランド、そしてフランスを破ると、イタリアのムッソリーニは乗り遅れるなとばかりにドイツに敗れて崩壊中のフランスに攻め込みますが、苦戦をします。
続いてムッソリーニは矛先を変えて、軍事的には格下にも見えるギリシャに攻め込みますが、こちらでも苦戦。
逆に押し返されます。
更にはイタリア領であった北アフリカ戦線でもイギリス軍に苦戦し、ヒトラーはイタリアを助けるために、後に砂漠の狐と言われるロンメルを派遣し、貴重な軍事力をイタリアのために割くのでした。
こうして味方になっても足を引っ張ってばかりのイタリアは、元首ムッソリーニが失脚すると、またしても同盟から脱退し、連合国側にたって参戦。
日本に対しても、わずか終戦1か月前に宣戦布告をしてちゃっかり戦勝国の仲間入り。
戦後はなんとイタリア、日本に対しても賠償金の請求をし、日本は賠償金を払っています。

さてここまでが時代背景で、ここからがブラックユーモア。
いないほうがマシ、ともいえるイタリア。
緒戦の枢軸がまだ一部有利だった時ですら一人負け続けたイタリア。
足を引っ張り続けたイタリア。
なのに戦後は、なぜか戦勝国の顔して足蹴にしてくるイタリア。
戦後の日独の元兵隊たちの間ではしばらく
「次はイタリア抜きでやろうぜ」
というジョークが交わされた、という話。
まあこれは創作だと思うのですが、その話を聞いた日本の若者。
ある時ドイツへ旅行に行った際に、酒場で老人に
「次はイタリア抜きでやりましょう」
と言ってみますが・・・老人のほうはキョトンとして聞いています。
若者は、ああこれはやはり創作だったんだな、と思うのでした。
しかし・・・
しばらくすると先ほどの老人が、酒場の裏に若者を誘います。
人気のない場所で、その老人。
「さっきのあの話、人に聞かれる場所ではするな」
と忠告するのでした。
つまり、若者はジョークのつもりで言ったこの話。
老人にとっては、ジョークではなく、真剣に考えていることだったのでした。
ここまで含めて全て実話というよりブラックユーモアなのですが、ただ、意味が分かるとちょっとゾッとしませんか?
このお話はお話として、同じことを話している人たちがどこかに、本当にいてもおかしくないですよね。
実際にサッカー日韓ワールドカップの際に「イタリア抜きでやろうぜ」Tシャツを着て一緒に写真撮ってる日本人とドイツ人がいました。
ネタを知ってる人にとってはニヤッとしてしまいます。
恐らくドイツでも、ネタを知ってる人はニヤッとしながら見ているのでしょうね。
Tシャツまだ売ってますね↓

