テクニカル指標の中で、最も基本的で良く使われるのが移動平均線です。
ろうそく足の上とか下に線が引かれているのがそれですが、これはどんな意味があるかというと
例えば25日移動平均線(25MA)であれば、過去25日間の平均株価を表します。
50日移動平均線(50MA)なら過去50日間の平均株価、75日線(75MA)なら過去75日間の平均株価です。
短期的にな株価チャートで良く使われるのはこの25,50,75日線と、他に5日線や長期では200日線なども良く使われます。
最も簡単な使い方は、例えば25日線よりも上に株価が位置しているなら、過去25日間にその株を買った人の買付単価よりも今の株価のほうが高く、株を購入した人で損をしている人はいないとみることが出来ます。
含み益が出ている間、株主はあまり売ろうとはせずに強気なことが想像できます。

こういった考え方をもう少し形式建てて株価の予測に使うことがありますので、ひとつづつ見ていきましょう。
このチャートはセンコーグループホールディングスの日足チャートです。
ろうそく足の他に、移動平均線を3本表示させていて、黄緑の線が25日線、紫が50日線、赤が75日線です。

上昇(下落)トレンド
センコーグループの株価は見ての通り、8月初めから右肩上がりに上昇をしていますが、注目してほしいのは、移動平均線が数字の小さい25日線を一番上にして、50日線、75日線と、数字の大きな線が下に、しかもすべての線が右肩上がりになっています。
移動平均線から見た場合、ただ単純に株価が上がっているだけではなく、このように移動平均線が並ぶ状態を状態を上昇トレンドのパーフェクトオーダーと言います。
この逆の形状、つまり右肩下がりでこれらの移動平均線が上から75日、50日、25日と並べば、下落トレンドということが出来ます。

ゴールデンクロス(デッドクロス)
さてこのチャートで上昇トレンドが発生する直前、8月上旬から8月中旬ごろにかけて、3本の移動平均線が交差しているのがわかると思います。
最初に緑の25日線が、紫の50日線を下から上に交差し、次に25日線は赤の75日線を下から上に交差、最後に50日線が下から上に75日線を交差しました。
この、数字の少ない線が数字の大きな線を下から上に交差する現象をゴールデンクロス(GC)と言い、株価上昇につながりやすいサインとされています。
ただ実際には、GCが一つくらい起きただけで株価が上昇するかどうかの信用度は低く、これらが連続して起きてくるにしたがって信用度が高くなる、程度に思っていたほうがいいでしょう。
今回のケースでは、GCが連続して起こり、その後全ての線が右肩上がりに上から順番に25,50,75日線と並びました。
ここまで来て初めて信用度は上がり、実際にその後、数カ月に渡り株価は上がり続けています。
またこの逆の形状、短期線が上から下に長期線を交差する現象をデッドクロス(DC)といい、これは逆に下落のサインとされます。

サポート(レジスタンス)
移動平均線は時折、株価下落時に反発する下値として意識されることがありこれをサポートラインと言います。
下は三菱UFJのチャートです。
このチャートを見ると、10月以降ゴールデンクロスが連続してはいり、移動平均線が順序良く右肩上がりにそろい始めて、上昇トレンドを築きそうなチャート形状になって来ています。
11/28までに数日間続落する場面がありましたが、右肩上がりに上がってきている緑の25日線にぶつかって反発したのがわかります。
これがサポートライン(支持線)です。
移動平均線が右肩上がりの場合、下落時にこの移動平均線にぶつかって反発、その後続伸することで移動平均線も右肩上がりを継続しますから、このラインにぶつかっては反発していくうちに徐々に株価は上がっていきます。
これが右肩下がりの移動平均線だと、株価が一時的に反発したとしても、次に下がってきたときには移動平均線はもっと安い位置にあるので、株価はむしろ反発しながら下がっていくことになります。
同じように、移動平均線が株価よりも上にある場合、株価が上昇しても移動平均線にぶつかって頭を押さえられて反落することがあります。
この場合の移動平均線をレジスタンスライン(抵抗線)と呼びます。

常に株価を予測出来る指標ではない
簡単で利用しやすい移動平均線ですが、移動平均線だけで株価を常に予測出来るわけではありません。
下は積水ハウスのチャートです。
移動平均線がゴールデンクロスやデッドクロスを繰り返していますが、株価は数カ月かけて行って来いになっているだけでトレンドが出てはいません。
細かく見てみると、デッドクロスしたタイミングで上昇しているときもあれば、ゴールデンクロス後に下落しているタイミングもあるのがわかると思います。
このようにトレンドが出ていない時に、移動平均線のゴールデンクロス、デッドクロスだけに頼ったトレードをしても中々成績は上がらないと思います。
実際のトレードには、移動平均線だけでなく、他のテクニカル指標、ボリンジャーバンドやMACD、RSIまたはPER等のファンダメンタル等を組み合わせ、買いサインが多くあらわれたのを見計らって買う(もしくは売る)というのが大事になってきますので、
この点はご注意ください。
