これから起こる円高で企業業績が悪化するか? | グデーリアンの投資ブログ

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日本は利上げ、米国は利下げ。

 

これが今年後半の既定路線になっています。

 

これよって何が起きているかというと、ドル円の為替レートに変動が起きています。

 

日本の金利が低く、米国の金利が高いと、日本で日本円で定期預金を組むよりも、日本国債を買うよりも、米国でドル建てで預金するなり、米国債を買うほうが金利が付きます。

 

ですから、金利の低い通貨を売り金利の高い通貨を買って運用する流れが起きます。

 

これが今年まで起きていた円安ドル高の原因でした。

 

政策金利の高い通貨は高くなり、低い通貨は安くなるんですね。

 

それがいまから、日本が利上げして米国が利下げすることでこの差が縮まりますので、為替にも逆転現象が起こり、円高ドル安になっていくと想定されています。

 

 

 

実際に、一時160円を超えていたドル円は、先月の日銀の利上げによって、145円程度までスピード調整されてきました。

 

消費者目線では、円が高くなれば輸入物価が下がり、支出が抑えられるはずなのでこれはいい傾向です。

ガソリン価格なんかも下がってくるでしょう。

 

しかし、投資家目線でいうと、円が高くなりドルが安くなるということは、企業が海外でドル建てて売り上げた現金を国内に戻すときに安いドルを高い円に換金する必要が出てきますので、為替差損が生まれて企業業績が悪化しますから株価には悪影響が出る可能性があります。

 

具体的には現在、企業の想定為替レートの平均が1ドル=145円とのことですから、145円を超えて円高になってくると、今期企業業績の下方修正が起こりやすくなるはずです。

 

ではこの円高が、仮に長期にわたって続いた場合、日本企業の業績は低迷し続けるのでしょうか?というのを考えてみたいと思います。

 

 

 

 

 

 

■ENEOSの決算説明資料

ENEOSの決算説明資料には毎回このように「在庫影響」という記載が出てきます。

今販売しているガソリン価格は、現在の原油相場に連動しているが、原油を輸入してストックしてある時期にはタイムラグがあるので、もし原油価格が安かったり、円高の時に輸入した分については、現在の相場よりも安いために利益が大きくなり、逆の場合には損失が出ます。

 

これを在庫影響と言っており、この影響を踏まえた利益と除いた利益を両方、決算説明資料に記載しています。

 

このように販売価格がどうであれ、その原材料をいくらで仕入れているかによって、企業の業績は変わってきます。

 

ENEOSのガソリンの販売については、海外から仕入れたものを国内で売る想定です。

 

 

これが、外需企業ならどうなるでしょうか?

輸出メインの外需企業は、前述のように円が高くなると業績には不利に働きます。

 

外需企業の多くは、ENEOSのように海外から原材料を仕入れて、国内で加工して海外に販売をしています。

なので、円安の時に仕入れてしまって在庫になっている原材料を加工して、円高になってから海外に販売すると、為替差損が発生します。

ただし、この在庫を吐き出してしまうと、次の仕入れは円高で安く海外から仕入れた在庫になりますから、必ずしも円高によって外需企業が継続的に業績悪化をし続けるということは無いと思います。

 

 

 

 

 

■日本製鉄の決算資料

日本製鉄の決算資料でもそれを表すように、円安による影響は全てにおいてプラスに働いていないのがわかります。

円安でマイナス影響が出ている部分については、円高で逆にプラスになると想定できます。

 

資料内の表現を使うなら「円高影響はニュートラル~若干のマイナス」程度に収まるはずです。

 

また、為替の影響が長く続いたとしても、優良な企業は、企業努力によって経営を改善していきますから、一時的な業績悪化があったとしても、それによって株価が下落すれば、その時は買いのチャンスと言えると思います。

 

勿論、優良な企業は、ですよ。

 

 

 

 

 

為替の影響って、例えば長期では固定相場制だった1971まで1ドル360円だったものが円高で80円になり、ここ最近の160円と動いてきたわけですが、その間の高低の差って4.5倍程度です。

 

同期間の株価がどうだったかと言えば、1ドル360円だった1971年のダウは800ドルで、今現在は4万ドルです。

為替が4倍程度の上げ下げをしている最中に、株は50倍に膨らんでいます。

ちなみに日経平均もこの間、2500円から4万円まで上がっていますから、16倍程度に膨らんでいます。

1990年頃にバブルで不必要に上がってしまったため、あまり上昇しているイメージがないですが、バブル以前から見れば、日本株もしっかり成長しているんです。

 

つまり、ドル建てのダウ、円建ての日経、どちらを持っていても株は為替相場の変動以上に上がっているというわけですから、円高になろうが円安になろうが、長期では為替の影響はそれほど大きくないと言えます。

 

今月の大きな下落もあり、一部では今後の先行き不安を煽るような記事も見受けられその原因として為替影響が挙げられていることもあります。

このような記事には過度に反応しないようにしてJast keep Buyingを心掛けていきたいものです。