禁煙セラピーのアレンカー氏死亡
N.Hさんがコメントで紹介してくれましたが、私も、禁煙セラピーの生みの親、アレン・カー氏が亡くなったというニュースを見ました。
http://www.nikkansports.com/general/f-gn-tp0-20061130-123560.html
禁煙セラピーは、タバコの精神依存に着目し、そこを取り除く精神療法の元祖(厳密には他にもさきがけがあったかもしれません)として、世界中で禁煙(私的には卒煙)の手助けをしてきました。
私たちも禁煙セラピーの本を持っています。いくつかの別冊も購入しました。初めて読んだときには、タバコを吸わない私にとっても面白く、感銘を受けたのを覚えています。
ヒデキ感激という帯封も印象的でした(後に、西条秀樹はJTのスモーカーズスタイルに買収されました(http://www.jti.co.jp/sstyle/my/cafe/79/index.html )。脳梗塞の原因はタバコじゃないんでしょうか?)。
報道によると、2500万人を卒煙に導いたそうです。これはすばらしいことだと思います。一部には卒煙をビジネスにしているという否定的な意見もあるようですが、タバコをやめた人からすれば、やめなかった場合のタバコ代だけを考えても、はるかに安くついたはずです。
それ以上に、卒煙した人は、お金には代えがたい健康を手にすることができました。損をしたのはタバコ会社だけです。
アレン・カー氏は、この夏に肺がんが発覚し、そして半年程度で亡くなられてしまいました。肺がんは治らないといいますが、氏の死をもって証明をされてしまったようで残念ですが、教訓を残してくれたと考え、卒煙の活動もして行きたいです。
ご冥福をお祈りしています。
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喫煙率26.3%
ニュースで見ましたが、喫煙率、下がってますね。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061122-00000135-mai-soci
これまでの調査方法と違うそうなので、なんともいえませんが、いい傾向だと思います。さらに嬉しいのが
> 20代が13.6%と最も低い。
という記事です。最近は若い女性がタバコを吸うと言われていますが、それを上回る男性がタバコを吸わなくなったのか、若い人が吸わなくなってきているらしいのです。
これも、やはり健康増進法の効果が高いのだと思います。その結果、禁煙の箇所が増えました。
例えば、路上禁煙区域で吸っている喫煙者を見ると、若い人達は「格好良くない」と思うのではないでしょうか?
多くの方々のおかげで、無煙世代が育っているのでは、と喜んでいます。
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タクシーの全面禁煙化に関する質問主意書
タクシー全面禁煙をめざす会は、禁煙推進議員連盟の小宮山洋子事務局長(民主党衆院議員)を介して質問主意書を衆院議長に提出し内閣より回答を得ましたので、質問と回答を合体して記します。
タクシーの全面禁煙化に関する質問主意書
わが国も批准している「たばこ規制枠組条約」において、政府は、受動喫煙から人々を保護するため、公共的な場所における積極的な取り組みを義務付けられている。また、健康増進法第二十五条によれば、多数の者が利用する施設の管理者は、受動喫煙の防止に努めなければならないとされており、厚生労働省はタクシーもそれに当たるとの見解を示している。
しかしながら、タクシーは、他の交通機関と比べて禁煙化が進んでおらず、平成十八年三月末の時点で、全国の禁煙車両率はわずか三パーセントに過ぎない。この原因は、タクシー事業者の自主性に任されているためと見られるが、国は前記の条約及び健康増進法の趣旨に則り、タクシーの全面禁煙化に向けた対策を速やかに講ずる必要があるものと考える。
そこで、次の事項について質問する。
一 タクシー以外の公共交通機関はすべて禁煙化されている。国土交通省はタクシーを「公共交通機関」と位置付けているが、タクシーが禁煙化の流れから取り残されている現状を是認するのか。見解を問う。
衆議院議員小宮山洋子君提出タクシーの全面禁煙化に関する質問に対する答弁書
タクシーについては、全タクシーに占める禁煙化されたタクシーの割合は低い水準にあるものと承知している。タクシーの禁煙化については、各事業者において自主的に取り組むべきものと考えているが、国土交通省においては、一般旅客自動車運送事業標準運送約款(昭和48年運輸省告示第372号)を改正し、タクシー内の禁煙に関する規定を設けることにより、タクシー事業者が禁煙化されたタクシーを導入しやすくするための措置を講じてきているところである。
なお、鉄道や乗り合いバス等の禁煙化についても、タクシーと同様に、法令による義務付けではなく、各事業者がその経営判断によって自主的に取り組んでいるものであると承知している。
二 乗務員と利用者の受動喫煙防止を図ること及び安全運転確保の観点から、「乗客の車内喫煙禁止」を旅客自動車運送事業運輸規則の改正により命じることは違法か。見解を問う。
タクシーの禁煙化については、喫煙者を含む利用者のニーズや乗務員に対する安全配慮義務を勘案し、タクシー事業者がその経営判断によって自主的に取り組むべきものであると考えており、旅客運送事業者の適正な運営を確保することにより、輸送の安全及び旅客の利便を図ることを目的とする旅客自動車運送事業規則(昭和31年運輸省令第44号)により一律に義務付けることは適当でないと考えている。
三 乗客が現在する車内において乗務員が喫煙することを、旅客自動車運送事業運輸規則第四十九条第二項第三号で禁じているが、この条文の趣旨に受動喫煙の防止が含まれているのか。見解を問う。
旅客自動車運送事業運輸規則49条第2項第3号の規定は、輸送の安全及び旅客の利便を図る観点から規定しているものであると考えている。
四 禁煙タクシーと喫煙可能タクシーを一定割合で併存させるという施策では、喫煙車両乗務員を受動喫煙から守ることは不可能である。この施策についての見解を問う。
タクシー乗務員の受動喫煙の防止については、健康増進法(平成14年法律第103号)第25条の規定等を踏まえ、タクシー事業者において自主的に取り組むべきものであると考えている。
五 タクシー禁煙化訴訟の判決(平成十七年十二月二十日東京地裁)は、「タクシー車内における乗客の喫煙による乗務員の健康への影響は看過しがたい」「タクシー事業者の自主性に任せず、国による適切な対応が期待される」「利用者の立場からも全面禁煙化が望ましい」と指摘している。この指摘及び対応について見解を問う。
ご指摘の判決においては、国には原告らの主張するようなタクシー内の喫煙を全面禁止する等の規制権限は存在しないことに加え、タクシー内での喫煙を禁止しないことは、第1次的にはタクシー事業者と労働契約に基づく安全配慮義務との関係で問題とされるべきものであることとして、原告らの請求は棄却されていると承知している。
なお、1についてで述べたとおり、国土交通省においては、一般乗用旅客自動車運送事業標準運送約款を改正し、タクシー内の禁煙に関する規定を設けることにより、タクシー事業者が禁煙化されたタクシーを導入しやすくするための措置を講じてきているところである。
六 海外では、例えばイギリス、アメリカ、フランス、カナダ、オーストラリア、イタリ中国、台湾、韓国、タイなど多くの国はタクシー車内での喫煙を禁じている。これらの国々は、政府主導で対応してきたと見られるが、わが国もこれを見習うべきではないか。見解を問う。
国土交通省においては、ご指摘の海外の事例については承知していないが、わが国においては、タクシーの禁煙化については、各事業者において自主的に取り組むべきものであると考えている。
七 タクシー業界の指導機関である旧東京タクシー近代化センター(現東京タクシーセンター)は、タクシーはバスなど旅客の大量輸送機関と異なり、唯一のドア・ツー・ドアの個別輸送機関であるから、乗客の意思が絶対的に優先するとしている。そのため、車内で乗客が窓を開けることなく喫煙を開始しても、喫煙を断ったり、勝手に窓を開けてはならず、それに違反する行為は「接客態度違反」であると断定して、事業者及び乗務員を指導してきた事実がある。また旧運輸省自動車局旅客課もそれを支持する見解を新聞等で述べている。そうした見解・指導がいまでも法的にまったく問題がないと考えているのか。見解を問う。
旧財団法人東京タクシーセンター(現在の財団法人東京タクシーセンター)は、タクシー業務適正化特別措置法(昭和45年法律第75号)第34条第1項の規定に基づき、国土交通大臣の指定を受けてタクシー事業の利用者からの苦情を処理するとともに、タクシーの運転手に対して指導等を行っている。
具体的にどのような行為に対してどのような指導がなされるべきかについては、同センターによって個別具体的に判断されるものであると考えており、御指摘の事案については、具体的に承知していないため、お尋ねについてお答えをすることは困難である。
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タクシーの禁煙化について
全国個人タクシー協会(加入率約96%)調査
平成18年9月末 個タク43,407台中 禁煙車3,151台 7.26%
過去の調査では、平成17年9月末 4.91% 16年9月末 3.60%
この増加傾向を多いとみるか、少ないとみるか意見が分かれるところでしょうが、私は後者と思います。都道府県別では、大分の100%は特別で、以下、多い順に埼玉・千葉・神奈川・京都と19~12%です。因みに、東京は、18,146台中の禁煙車1,442台で7.95%です。
一人一人が事業者の個人タクシーは、禁煙車導入が自分の意思で自由に出来るのに、おそらく禁煙者率にも満たない7.2%の禁煙車導入率の低さは残念です。
私が聞いた範囲ですが、自分の受動喫煙防止のために禁煙車を導入している方は少ないようです。ですから、乗客の受動喫煙防止まで考えている方はさらに少ないと思われます。単に、たばこの臭いが嫌いで導入している方や、車内を焦がされたり汚されたりしないために導入している方も多いようです。ですから、喫煙者が禁煙車を導入している場合も意外とあります。
本来、禁煙車の導入は、運転者である自分と乗客の受動喫煙防止を目的に導入することが理想です。これは、法人タクシーにもいえることです。でも目的を理解して事業者主導で全面導入するには時間が掛かりそうです。
乗務員の立場からも、一番被害を受けている乗務員主導が望まれるところですが、その気配すらありません。
むしろ、利用者主導の方が実現が早いでしょう。なんといっても行政主導が一番近道です。そのためには、あらゆる方面から行政への働きかけが必要と思っています。
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話題騒然の「週刊ポスト」の記事
今、タバコ問題に取り組む人々の間で話題騒然となっているのは、「週刊ポスト(小学館)」2006年11月17日号の記事
「受動喫煙は子供の発がん率を低下させる!」
です。表紙にでかでかと書かれ、電車の吊り広告でも目立つとか。
なにー\(*`∧´)/、と思うのは当然のことです。
でも、この見出しもよく見てみると、小さい字が書いてあります。それも反映すると、
「両親がヘビースモーカー受動喫煙は子供の肺がん発がん率を低下させる!」
なのです。何かの制限なのでしょうか?
また、記事の中にこのような表があります。
<表1>国際がん研究機関による疫学研究の調査結果
喫煙者と同居する非喫煙者 1.16 (0.93~1.44)
職場での受動喫煙 1.17 (0.94~1.45)
職場と家庭の両方で受動喫煙 1.14 (0.88~1.47)
子供のときの受動喫煙 0.78 (0.64~0.96)
どうも、このカッコの数値が1をはさんでいれば影響はないと判断できるそうです。サンプル数を増やしていくと、1に近づくということらしいです。逆に、「子供のときの受動喫煙」は1より小さいので、がんの危険性は少ないと、記事では言っています。
私は疫学者ではないので、この結果は間違っている、ということはできません。
でも、素人目に見ると、4つのパターンのうち、上3つはかなりプラス側(がんのリスクがある)になっているけど、問題はないのでしょうか?
また、対象の人数が650人の肺がん患者と1542人の健常者、との事ですが、その数は十分なのでしょうか?
それに、害があるという報告のほうが遥かに多く発表されていて、今回の記事だけでは、タバコの害を覆せるとは思えません。
それを証明するように、記事の最後には「非喫煙者の前でたばこを吸ってもいい、と主張するつもりはありません」とのことです。ただ、「(害がないという)研究結果だけでも、議論の対象にしてほしいと思います」とのことでした。
もし、受動喫煙に害がないと発言するのであれば、その発言に責任を持ってほしいです。
他の方が、「もしこれが事実ならばタバコ会社はこの根拠を元に、タバコの箱の警告表示削除するはずだ」とおっしゃっていました。タバコ会社でさえ、タバコの害は覆せない、ということだと私は思っています。
ですので、この記事を信じることはできません。
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フィリップモリスの独自「警告?」カード
まず、フィリップモリスのホームページ(こちら )には、よくあるご質問(こちら )というのがあり、
「紙巻たばこをより安全なものにするために、どのようなことをしていますか?」
という質問に、まず、
「「安全な」紙巻たばこというものはありません。 喫煙による健康への影響が心配な方には、禁煙することをお奨めします。」
と回答しています。その後は、より安全なタバコを開発中、みたいな文言が続きますが、正直、ここまで言うか、と思います。
そんなフィリップモリスが販売するタバコに、独自の警告表示といいますか、タバコの危険性を啓蒙するためのミニカードを添付しているというニュースを見ました。
記事はこちら
いったい、どんなものがついているのか、タバコを買って確認したいと思います。後日レポートします。
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路上喫煙禁止の箇所増加
Yahoo!のたばこに関するニュース(http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/smoking/ )を確認したところ、路上喫煙禁止を検討している自治体が多くあることがわかりました。
那覇市
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061028-00000012-ryu-oki
京都市
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061101-00000004-kyt-l26
宮崎市
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061101-00000270-mailo-l45
川口市
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061102-00000182-mailo-l11
道路は市町村レベルの自治体が管理するものなのか、市町村での検討ばかりです。県や国が取り組んでくれればよいのに、と思っている自治体もあると思います。
ところで、日本はよく喫煙対策が遅れていると言われますが、この路上禁煙というのは、進んでいると思います(その分屋内がだめなのでしょうが)。
また、自動販売機での購入ににカードが必要というのも日本だけのようです(2008年からの話ですが)。こちらのカードは効果が疑問視する人もいますが、私はかなりの効果があると思っています。
このカードができれば、将来は対面販売でもカードの提示が必要になるかも、と淡い期待を抱いています。そうなれば、日本は世界にまれに見る「喫煙が許可制」の国になるかもしれません。
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運転中に喫煙した運転士の処分
Yahoo!ニュースで下記記事を見つけました。
名古屋市交通局:運転中に喫煙、運転士を停職処分 /愛知
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061028-00000075-mailo-l23
要は、3ヶ月の休職のようです。子供を運転席に入れて懲戒免職になってしまった運転手もいたと思いましたが、それに比べれば、処分は軽いようです。
下記は当時のブログです。
http://ameblo.jp/nstaxi/day-20060726.html
ところで、なぜ、地下鉄の運転中は禁煙なのでしょう?
運転がおろそかになるから?
煙が運転に危険だから?
火事の危険があるから?
勤務中にみっともないから?
お客には「禁煙」を要請しているから?
乗客の受動喫煙?(これは少ないと思いますが)
その他?
上記複合?
地下鉄会社がどう考えているのか、知りたいところです。「みっともないから」程度の発想では、別の運転手が吸いだすかもしれません。
東京の地下鉄では地下の事務所で平気で吸っていて、煙が換気扇を通して一般の人が通る通路へ流れています。運転中じゃなければいいのでしょうか?
ところで、処分発表が2006年10月27日なのですね!?遅すぎやしませんか?
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神奈中ハイヤー控訴審判決
「争点に対する判断」の主要部を補正に従って記します。
原告は、被告に雇用され、タクシーの乗務員として勤務していたのであるから、被告は、その従業員である原告に対し、労働契約に基づき、施設若しくは器具等の設置管理、又は、原告が被告若しくは上司の指示の下に業務を遂行するに当たり、原告の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務を負うものと解される。
そして、厚生労働省健康局長平成15年4月30日付健発第0430003号「受動喫煙防止対策について」は、受動喫煙による健康への悪影響については流涙、鼻閉、頭痛等の諸症状や呼吸抑制、心拍増加、血管収縮等生理学的反応等に関する知見が示されるとともに、慢性影響として、肺がんや循環器疾患等のリスク上昇を示す疫学的研究があり、IARC(国際がん研究機関)は、証拠の強さによる発がん性分類において、たばこを、グループ1(グループ1~4のうち、グループ1は最も強い分類。)と分類していること、厚生労働省策定の新ガイドラインにおいても、労働者の健康確保と快適な職場環境の形成を図る観点から、一層の受動喫煙防止対策の充実を図ることを求めていることに照らせば、被控訴人は、遅くとも控訴人をタクシー乗務員として採用した平成15年6月以降においては、タクシー車両を含む被控訴人の営業施設について、その状況に応じ、従業員の受動喫煙による健康への悪影響を排除するために、受動喫煙を防止する措置を採るように努力する義務があったことは明らかであり、職場の分煙化や禁煙車両の増加など「施設の態様や利用者のニーズに応じた適切な受動喫煙防止対策を進める」(前記厚生労働省健康局長通達)と共に、非喫煙車両に乗務する従業員に対しては、その業務の遂行に伴う受動喫煙による健康への悪影響が生じないか、個々の従業員の健康状態を定期的に診断するなどして、当該従業員が受動喫煙によりその健康を害することのないように配慮し対応すべき義務があるというべきである。
もっとも、前記1(6)~(8)に認定の事実によれば、被控訴人の営業においては、非禁煙車両の一乗務当たりの営業回数16.78回~24.62回に対し、一乗務当たりの乗客の喫煙件数は0.35件~0.55件であり、また、タクシー車内における乗客の喫煙による乗務員の受動喫煙の暴露時間や暴露濃度も、種々の条件によって異なることが明らかであるから、被控訴人においては、個々の従業員から受動喫煙による体調の変化を訴えられなければ、当該従業員の受動喫煙による健康への悪影響がどの程度のものであるかを具体的に知ることは困難であることを否定することができない。
そうすると、非禁煙車両に乗務するものであることを前提に被控訴人に採用された控訴人の受動喫煙を理由とする本件損害賠償請求訴訟において、被控訴人が安全配慮義務の不履行又は不法行為に基づく損害賠償義務を負うというためには、控訴人において、被控訴人に対しその業務の遂行における受動喫煙による体調の変化を具体的に訴え、被控訴人が、その健康診断により、控訴人に受動喫煙による健康への悪影響が生じていることを認識し得たのにもかかわらず、これを漫然と放置したために、控訴人に受動喫煙による健康被害の結果が生じたものと認めることができる場合であることを要するものと解するのが適当である。
3 そこで、本件について、これを検討すると、前記争いのない事実等、前記認定事実のとおり、原告は、前記のように、一般のタクシー乗務員として被告の募集に応じて応募し、採用され、当初の職員教育においても、従業員である原告は、タクシー車内では喫煙をしてはいけないことを言われたものの、タクシー車内では、乗客が喫煙をすることは、禁煙タクシーでない限り許されることを知りながら、タクシー乗務員として勤務していたものであること、そして、被告に受動喫煙について要望を初めて行ったのは、平成16年6月の班長会議への提案が最初であり、乗務開始からほぼ1年が経過した平成16年7月1日付の手紙(乙6)でも「最近は逆受動喫煙の悩みや、お客様から受けた障害事件等で勤労意欲がなくなりつつあります。」、「禁煙タクシー導入」の提案のみであって、原告が受動喫煙により、深刻な被害を受けていることについての具体的な提案はなく、同月27日付けの手紙(乙7)の中でも禁煙車両を求めることと、事務所内の全面禁煙の希望であり、具体的な健康被害についての指摘は泣く、被告は、原告の健康診断の結果が、特に異常なしとされていたことから、本件訴訟の訴状に添付されていた診断書(甲1)が送付されるまで、知り得ない状況にあったことが認められる。
そして、被告は、上記診断書の送付を受けてからは、原告の乗務に際し、原告の体調に配慮し、平成16年8月21日からは、原告を非喫煙車両の乗務から外し、被告において、禁煙タクシーへの乗務の準備が調った同年10月2日からは、禁煙タクシーへの乗務をさせ、今日に至っているのである。
尚、控訴人の陳述書(5)の記載やその供述中には、平成15年7月6日の初乗務以降、受動喫煙による健康被害を自覚するようになり、同年末ころ体の異常が酷くなったところ、同年7月から1年間、受動喫煙で悩んでいると菊池班長にことあるごとに相談していた旨述べる部分がある。上記陳述書の記載や控訴人の供述部分は、前記1(3)イに認定のとおり、控訴人が平成15年8月13日及び16年2月18日に健康診断を受けた際異常所見なしと判定されていることや、控訴人が体の異常の原因がタクシー車内でのたばこであると思ったのは平成16年4月ころである旨供述していること(本人尋問調書11頁)、また、控訴人の同年7月1日付け書簡(乙6)において、その終わりの方に「尊敬している戸塚営業所長1班の菊池班長にはいつも相談していますが」などと殊更に「相談」の内容についてあいまいな書き方をしていることに照らし、到底信用することができない。
そうすると、被告は、原告が、非禁煙車両に乗務することにつき、原告が特に異議を唱えることなく乗務し、その体調の不良を被告に明確に訴えることはなく、健康診断の結果にも特に異常がなかったのであるから、安全配慮義務に違反していたとすることは出来ず、原告が、甲1の診断書により、自ら受動喫煙の被害を訴えてからは、事務所においては、必要な期間をおいて禁煙とし、タクシーの乗務については、その健康状態に配慮して勤務をさせ、非禁煙車両に乗務させているのであり、原告が被害を訴えてから、禁煙タクシーを導入するまでの期間等を考慮すれば、被告において、直ちに、原告を禁煙タクシーに乗務させなかったことが安全配慮義務に違反するとはいえず、上記本件の経緯に照らせば、被告において、安全配慮義務を尽くしたとすることが相当であり、被告において、安全配慮義務違反はない。
以上によれば、被控訴人に控訴人に対する債務不履行及び不法行為責任があるということはできない。
2 以上によれば、控訴人の本件請求は理由がないから棄却すべきであり、これと同旨の原判決は相当である。
よって、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第22民事部 裁判長裁判官 石川善則・裁判官 倉吉敬・徳増誠一
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タクシー全面禁煙 東京で20%導入の方針
バス・タクシー専門情報紙のトラモンドのホームページに、下記記事が掲載されていました。
全面禁煙:東京で20%導入の方針 タク業界でも活発化
http://www.tramondo.net/index.htm
以前から、東京でも禁煙車を大幅に増加するというニュースは見ていましたが、トラモンド社が記事にしていたので、紹介しました。
早く決定・実施されることを望みます。
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