電話してから3日後。今度は母から電話が来た。「やっぱりやめようか
と思う。」と言う。聞けば、階段を踏み外してしまったとのこと。一番下
だと思っていたのが、もう一段あった。それで小指をかなり痛めたのだっ
た。すっかり自信を無くしてしまっている母の声は消え入りそうだった。
私も作り始めた試案が無駄になるのが惜しいなとは思ったけれど「そっ
かー、仕方ないね。来年ね、行く気になったらチャンスはあるかもよ。」
と伝えて電話を切る。
数日後、また電話が来た。母が言う。「もう少しで、お盆でしょ。」そ
うだった。北海道は8月がお盆だった。「お坊さんが思ったより早く来る
って。だから仏壇に供えるお花屋やら果物やらお団子やら、今日買って
来た。」「えっ、一人で?」「だって、ヘルパーさんに頼んでいる暇が無
いから。」「重いでしょ?」「リュックを背負って行きはバス、帰りは他
にも荷物が増えたのでタクシーにした。」で、またまたパリへ行く元気が
出たような気がするんだそうな。
「小指はどうよ?」「うん、少し痛い。でも家の中を歩くだけだったら、
痛くない。」私も自分でひどい骨折を経験しているので分かるのだが、数
日で痛みが引いた場合は最悪でも捻挫程度。骨折はしていないなと判断し
た。
「それじゃあ、9月出発では気が急くから、10月でスケジュールを立てて
みようか?」と提案してみる。パリがどんどん寒くなるが仕方ない。何を
言っても‟今年行く”と譲らない母だ。おかげで多少の変更はありでも、
作り始めたスケジュールは結果的に無駄にならない。ちょっと嬉しい。
帰国後の整理画像③
『Fromagerie Laurent Dubois』
(フロマジュリー・ロラン・デュボア)で買った‟ブリー”
包みを広げると・・・トロリ
断面図
クラッカーの上に、ブリー、トマト、バジルでオードブルに
本気で行くのなら、まずパスポートが必要になる。これが無いのに外国
へ行く話は一歩も進める事は出来ない。しかも、実家の近くには何事にも
慎重な姉が住んでいる。パスポートを取る前に彼女に話をしたら、即中止
になるだろう。
「10月にパリへ行くつもりだったら、そろそろパスポートを取らなきゃ
ね。」と言うと、「じゃあ、天気の良い日に行って来る。」と言う返事だ
った。サッサと行ってくれれば良いが、そんなに早く行かないような気が
する。病気をする前と違い、口で言うほど実行力が伴わない。伴わなくて
も、ヘラヘラしている。変に肝が据わってしまっているのだ。あまりしつ
こく言いたくはないが、数日中にまた電話した方が良いだろう。本気で母
が行く気ならば。
**********これからのスケジュール**********
①母がパスポートを取得する
②それを確認したら、直前までキャンセルが効くホテルを
早めに確保
③飛行機の料金を時々チェックして、高くなり過ぎないうちに
出発日を決める。決めたら航空券を買う
④その後、大まかな現地でのスケジュールを詳しい段階にまで
詰める(特に母と一緒でも行動し易い方法を色々探す)