⑮「Les Deux Palrais」(レ・デュー・パレ) | 私的パリ案内

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大好きなパリ!美術館も音楽もいいけれど
美味しいものもチョコッと食べてみたい
そんなおばさんの旅レポートです

 娘と頭を突き合わせて、カルトをじっくり見てみる。日本のレストランみたいに

母に「何か食べたいものある?」と聞けないのが少し辛い。迷っているとギャル

ソンがやって来て「本日のお勧めはいかがですか?」と言う。お勧めは「子羊の

ソテー」と「×××のサラダ」。せっかくメニューが日本語でもギャルソンはフラン

ス語か英語なので、私はしっかりと分からないままに〝それ”を頼んだ。

 前菜には母が気に入っていたキッシュ。そして「一度食べてみたい。」

と言う娘のためにエスカルゴ。そうだっけ?彼女は前に一度も食べたこと

なかったろうか。もう、忘れかけている私。飲み物はミネラルウオーター

頼むと「Vittel」(ヴィッテル)を持って来た。飲んでみて、慣れてし

ったのかエビアンと変わらないように思う。前は硬水がきつくて好きじ

なったはずだが。

このミネラルウオーター、1本で4.80€(約670円)。

どこもこんなものだが、高い

ミネラル

 まず、エスカルゴ。大丈夫だった。普通に美味しい。3人で12個を頼ん

だから、母にも「食べて、食べて。」と勧める。ところが母はニヤニヤし

て「やめとく。」と言う。「えっ、なんで?美味しいよ。」と言っても頑

として食べようとしない。「とりあえず、1個食べてみなよ。」と言った

ら、おずおずとフォークを出した。そして食べてから、もう絶対いらない

と首を振る。「へんだねぇ、一番最初にパリに来た時にも食べたはずだけ

ど。」と私が言っても、また苦笑。「えっ、カタツムリだから?まさか、

そう?」と聞くとかすかに頷いた。ありゃー、そうですか。「食用のカタ

ツムリだから、庭にいる小さいのと違うんだよ。」と言っても無駄だろう

と、思った。

ニンニク・パセリバターのエスカルゴ

12個で17€(約2,380円)

エスカルゴ

もう一つの前菜、キッシュ・ロレーヌ。

野菜たっぷりが母のお気に入り

キッシュ

 食べ終わった頃に出てきたメインを見て、私は勝手に“これは子羊のセ

ットに付いて来たサラダ”と勘違いする。だからいつまで待っても、子羊

が来ない。ギャルソンを呼んで、今度は英語オンリーで会話。そしてやっ

と分かった。出て来て、既にほとんど食べてしまっているこの料理名は「brandade」(ブランダード)だった。

 南フランス、ランドック地方の名物。マッシュしたポテトの中に「何だ

ろうね、これ。」「そうだね、何か入っているよね。」「お母さん、分か

る?」「蟹じゃないし、もしかして帆立?」と口々に言っていたが。入っ

ていたものは料理の名前を聞けば、即分かる。鱈だ。北海道名物の鱈。ど

うりでただのポテトじゃない旨さだった。「お母さん、鱈の味が分からな

かったの?」と聞きたいところを我慢する。間違ったのは私だ。これにも

野菜がたっぷりなので、ただのサラダかと勘違いしてしまった。ブランダ

ードねぇ、久しく食べてなかったから名前も忘れかけていた。子羊はギャ

ルソンが「フィニッシュ。」と言うのだから、もう終わりらしい。人気が

あるのだろうか。食べてみたかった。

疑心暗鬼で食べなきゃ、もっと美味しく感じたかも

ブランダード

 肉類を食べていないので、なんとなく満ち足りた気分から遠い。そこで、

またカルトを持ってきてもらった。そしてガッツリと行くことにする。牛

のフィレ肉を注文。その際に「一つで。」「小さいから二つがお勧め。」

と私とギャルソンで意見が食い違う。かなり強引。まぁ、3人だからなん

とかなるだろうと2皿を頼んだ。出てきたお皿は予想した通りに、多過ぎ

た。フィレだからいいだろうと思ったが、1つにした方がみんなの満腹度

が丁度良かったのにと悔やむ。しかも日本のフィレのように超柔らかいわ

けでもない。母にナイフで小さく切って渡しながら、肉を呑み込めるか心

配だった。なんとか食べ切って、会計に。ギャルソンが「デザートは?」

と聞くからお腹がいっぱいのジェスチャーをする。もう!デザートも楽し

みにしていたのに、って気持ち分かります?と言いたかった。

これは一皿分。あまりにも多いのでポテトは堂々と、

ナプキンに包んでお持ち帰りにした

フィレ肉

 アルコールを飲めない私達は(母は飲めるが要らないと言うので)、途

中で飲み物を追加した。これがまた、すごく素敵だった。しかもミントは

とっても元気の良い葉を使っている。名前も面白い。全体的に、ブラッセ

-の料理としては100点満点の70点を付けたいと思う。肉が固いのはフラ

ンスだからと割り切れば、どの料理も外していない。星付きのフレンチの

ようにはいかないが、ごく普通に美味しい。

レモンとミントを使った「Aqua Lemon」(アクア・レモン)

本当にフレッシュ!

レモンソーダ

こちらのネーミングは「Vitamine C」(ビタミンC

ちょっとふざけている?

ビタミンC