宿の値段を考える | 私的パリ案内

私的パリ案内

大好きなパリ!美術館も音楽もいいけれど
美味しいものもチョコッと食べてみたい
そんなおばさんの旅レポートです

 Jardin des Plantes」に到着したその日、私はがっ

かりしました。とにかく狭いのです。ベッドとベッドの間はほと

んど隙間無し。小さなテーブルはティカップを二つ置けば、も

う終わりでした。荷物の整理もベッドの上でなくては、他にス

ペースがありません。当時はブログという手段が無く、

真をネットに掲載することも出来ない時代でした。だ

ら無理にでも記録用の写真を撮る必要性を感じません

した。実際の写真が残っていないのが、本当に残念。是

非、お見せしたかったのですが・・・。


 確かにホテルはメトロ「Place Monge」(プラス・モンジュ)

からも「Jussieu」(ジュシュー)駅からも歩いて数分。国

鉄の駅「Gare d'Austerlitz」(オステルリッツ)も徒歩圏内

にあります。環境的には5区。馴染みがあるし近くには

植物園、観光客にも有名な市場、Mouffetard(ムフター

ル) 。立地は全てOK、そしてトイレ・バス付き。食用

のダイニングもありす。でも、この狭さ。予想ももし

ませんでした。



Jardin des Plantes」のパンフレット1986年の

FIGARO」で紹介された他、数々の雑誌で取り

上げられたようです。ホテルとしての星は二つ

ですが、ミシュランの評価ではありません。


ジャルダン ホテル パンフ



 フランス有数の雑誌「FIGARO」の記事は1986年の12

月に書かれたものです。新しい二つ星ホテルとしての紹

介記事が載っていたパンフレットの裏側には日本語もあ

あり、このように書かれていました。

 「パリ植物園のすぐ近くにあり、1階から5階までフロ

アごとに飾る花が決まっている。そしてランプやスタン

ドで統一された小さなカフェがあり、朝食や軽いランチ

、午後の紅茶が楽しめる愛らしいホテル」

その他、アメリカのNYで紹介されていたページもあ

ります。また、当時参考にした「World Accomodation 5

Gide Book Paris」(双葉社)には、「エコノミー料金で

居心地の良い部屋」とありました。私の期待がどんなも

のだったか、分かって頂けるでしょうか。

 フランスのホテルは政府の基準で5つの星に(星なし

を加えると6段階)ランク分けされています。二つ星の

場合を簡単に説明すると、最低でも7つ以上の部屋があ

り、全室の40%にバス又はシャワーが付いていること。

各フロアには電話、そして4階以上の建物にはエレベ

ターが必要、従業員は外国語(この場合はフランス語以

外の英語等)を一つ話せることとなっています。

 実際、このホテルの部屋は全部で33あり、猫の額ほど

の狭いエレベーターも付いていました。部屋の値段は4

つの段階に分かれていて、私たちが選んだのは「Rooms

Double bed or twin beds (bathshowertoilets)」と

いうタイプ。そして二人で泊まった場合の料金は500

ランでした。

 

 本の最後の方で「ホテルの事情」を詳しく書きました

が、私たちは結局最後までこのホテルに世話になりまし

た。その理由の一つは、毎日増えてゆく荷物を見ると引

っ越す気持ちがどんどん無くなっていったこと。でもそ

れ以上に、ここに宿泊している他のお客さん達の雰囲気

がとても良かったからなんです。物静かなイギリスから

来た老夫婦、陽気で明るいアメリカの家族、フランスの

田舎からパリ見物に来たお嬢さん。それぞれの普段の暮

らしが垣間見える人々とのホテル生活は、私たちの身の

丈にぴったりと合っていました。そうそう、毎晩変わる

レセプションのアルバイトの男の子たちも陽気でフレン

ドリーでしたね。

 1560フラン~640フランを出せば、エキストラベッ

ドを追加出来るLarger Rooms もありました。何度かフ

ントで聞いてみましたが、13泊した間で空きがあった

はたった1日だけ。朝食の時に偶然お会いした福岡か

ら来たと言うご夫婦も、空きが無いからと翌日は他のホ

テルへと移って行きました。とにかく宣伝が効いている

のか、これまた予想外に人気のあるホテルでした。


 「Jardin des Plantes」にがっかりした私は、翌日から

出先で見つけたホテルの料金と星の関係を調べてみました。

分かったことは、(1993年の時点でですが)550フラン以上を

せば二つ星でも悪くない。一方、それだけ出すのならば三

つ星のホテルもアリと言うことです。数人での長期滞在の場

合は(家族だったら別ですが)、300フラン程度のシングルを

取る方法も考えに入れるべきだったと思いました。日中は一緒

に行動するのですから、夜ぐらいは一人で気儘に。私たちが

ホテル代として払った500フランは、やや安めのランク。それ

部屋の狭さに現れていたのでした。

 

  ミシュランではレストランだけでなく、独自にホテルのラン

付けもしています。お城のマークで分けている評価は5段

階。フランス政府の基準と同じですが、中は微妙に違いま

す。19955区のホテル欄にJardin des Plantes」

はありませんでした。本を出版した後、私はパリから出てフラ

ンスの旅に何度か出かけています。その時は主にミシュラン

のガイドブックを参考にしました。日本のホテル紹介本は種

類が少なかったと言うことと、バックパッカーの旅をするわけ

ではないので、「地球の歩き方 フランス」は使わなかったの

です


パリからフランス第二の都市「Lyon」(リヨン)を経て、「Le

Puy」(ル・ピュイ)-「Avignon」(アビニョン)-「Arles」(アルル)

「Marseille」(マルセイユ)-「Hyeres」(イエール島)-

「Antibes」(アンティーブ)-「Nice」(ニース)のフランス縦断の

の時もほとんどミシュランで決めました。その時のホテル代

は最低で195フラン、最高で695フランでした。一番安かった

のはLe Puy(ル・ピュイ)、高い方はArles(アルル)です。

Lu Puyは巡礼の地への出発点として中世に

栄えた町。世界遺産の「ノートルダム大聖堂」

があることで有名です。


ル・ピュイ


 ほとんどの毎日が移動を控えていましたが、ホテルは

なるべく目的に合わせて選択するようにしました。Le

Puy(ル・ピュイ)はフランスのかなり田舎にあります。ミシ

ランには二つ星のホテルしか載っていなかったため、

嫌でも安いホテルを選ぶことになりました。ところが実際

に泊まってみると、部屋は広々としていて地元の美味し

いレストランを兼ねた良いホテルだったのです。そこで

知り合った女性から名産の「レンズ豆」を一袋頂いた思

い出は今でも忘れられません。

1995年版ミシュランお城マーク2つからの

から選んだ「Hotel Bristol」のパンフレット


ブリストル

 

  一番高かったArles(アルル)のホテルは、お城のマ

が3つの「D'Arlatan」。施設内にローマ時代の遺跡がある

と言うので、選んでみました。実際にはガラス張りの足元か

ら見るだけで、中に入って見ることが出来ませんでしたし、部

屋の広さは良いもののクローゼットの一部が壊れていて設備

のメンテナンスがいまいちだった記憶があります。結局、ミシ

ュランを使っても全て納得の行くホテルを探せたわけではあ

りませんでした。



D'Arlatan」の室内。ベットカバーと

カーテンがお揃いの可愛い部屋でした。

     

サニタリールームにホテルのマーク入りの

アメニティが用意してあるところは流石

3つ星です。



  当時の私は40代でしたが、大人の旅に二つ星ホテルは

キビシイものがありました。年齢を重ねれば妥協出来る場合

と出来ない場合がはっきりして来ます。では快適な旅のため

に、ホテルはどう選べば良いのでしょうか。

  今の世の中はネット社会。苦手な方もいるかもしれません

が、これを利用しない手は無いと思います。ホテル全体の画

像から、室内の設備、サニタリールームのアメニティまで知る

事が出来るのです。スマホやパソコンを持っているけれど、

話とメールにしか使っていないのは勿体ない!検索でどれ

どの情報が探せるのか、分かってくると驚くほどです。

私も今回予定しているパリ行きでは、ネットで色々納得が行

くまで調べてみることにしています。そして選んだホテルがど

のようなものだったかをお伝えしようと思っています。また新た

な課題を胸に私の旅への期待は大きくなっています。



 追記:Jardin des Plantes」のその後をネットで調

べてみました。「Timhotel」(ティモテル)と言うチェーンに入っ

て、今は三ツ星のようです。(二つ星と言う表記もあり)2006

年に改装。全室にエアコン、衛星TV,無線LANを設置。より

便利になったようですが、宿泊者の口コミを読むと立地と環

境は良いけれど、部屋が「狭い」と言う声が散見されました。

宿泊料は15,000前後。(シーズンにより多少違うと思いま

す)20年の間に5,000円のアップは良心的かも知れません。

一部屋の値段ですから、二人で泊まれば一人分は7,500

程度です。