2014年3月16日:テーマを変更いたしました。
「60歳からの手作りの旅 パリ」→「ゆったりと
手作りの旅 パリ」
「足」のお話の次は「宿」です。その頃の「宿」、つ
まり当時のホテルの探し方には大体三通りありました。
①現地に到着してから探す
②1泊だけを日本で決めておいて、翌日 からの
分を現地で探す
③日本で滞在中の全てを決めてしまう
①の方法はバックパッカーと呼ばれる、なるべく低予
算で長期の旅をする人々に好まれていました。当時絶大
的な人気があった旅の本「地球の歩き方」をバイブルの
ように片手にしながら探すのが一般的だったようです。
到着してから探すので、一発で見つかる時もあればなか
なか決まらない時もあるでしょう。ホテルを探す目的が
“低予算”であることに限られているので、時間は幾ら
掛かっても良いのです。探す地域さえ間違わなければ、
決めるのは容易だったと思います。
②は①よりもやや慎重な人が選択する方法でした。着
いて早々にホテルを探すのは疲れる。確かに12時間以上
も飛行機に縛り付けられた後です。一休みしてから、気
に入ったホテルを探そうと思うのは人情でしょう。この
場合1泊だけ普通のホテルにし、後は“低予算”で、も
しくはより自分に合った快適さを求めてと言う場合もあ
ると思います。
③は休暇に制限がある人が選択する方法です。ホテル
探しに1日でも使ってしまうのが勿体ない。もしくは探す
ことに意義を感じないということです。仕事を持つ人が
旅をする時にごく普通に選ぶ方法ですが、当時は旅行社
に任せてしまうのが常識でした。
私と友人の文子さんは③に該当していました。休暇は
1年に20日まで。繰上げても40日。だからと言って全部
を旅に使うわけにもいきません。でも旅行社に任せる気
は全くありませんでした。割高感があったこともありま
すが、ちょっとした理由があって自分の手で選んでみた
かったのです。
パリに連泊している途中に遠方への宿泊を2回予定し
ていました。その際に大きい荷物はホテルに置き、1泊
分だけの荷物を持って身軽な小さい旅をセットする。そ
んな旅のスタイルを 計画していたのです。その場合、
ホテルに不在の2泊分 のお金が宙に浮きます。だから、
あまりお財布が痛まないで済むような料金で、でもある
程度の条件はクリアしているホテルを選びたかったので
した。
また私たちはバックパッカーではなく、現地に詳しい
知人や親せきもいない一般的な旅人です。そういう人が
ホテルを選ぶ時。一体どのような方法がベストなのか?
それを実験してみたいという事もありました。
前にも書きましたが、当時はネットの環境がほとんど
整備されていない状態でした。そこで出版されていた旅
の本、数冊の中から宿情報を探しました。それから手紙
で予約を入れたのです。選んだのはパリ5区にある「Jar
din des Plantes」(ジャルダン・デ・プラント)。1泊500フ
ラン。これは一人料金ではなく、一部屋料金です。二人
で泊まったので、一人分は約5,000円でした。
2回の外泊(?)の内のロワール河のお城のホテル
「Chateau-de-Pray」(シャトー・ドウ・プレイ)の
パンフレット。当時は1泊、650フラン。 約13,000円
でした。現在も評判は上々。ネットで検索すれば出て
ます。
レスランも美味しいとの口コミが沢山あり
ました。思い出のカルトです。
ディナーに出た前菜。羊のチーズムース。目は
松の実、耳はアーモンドスライス。レモンバター
のソースで頂きます。
私が「宿」を決める時の大事なポイントも3つありま
す。まず第一に現地での「足」との連携。歩いて5分以
内にメトロの入り口があれば文句なしですが、遠くても
10分以内に留めたい。ホテルの場所自体が多少パリ中心
から遠くても、メトロが近ければハンディをあまり感じ
なで済みます。それほどメトロは便利な存在です。
若い時のように一度ホテルを出たら夜中まで歩き回る
スタイルは、正直もう止めようと思っています。疲れた
らホテルに戻って、休んでリフレッシュ。そして夕方に
は美味しいビストロを目指して出直す。それをストレス
無くスムーズにやるには、ホテルがメトロに近い。これ
がますます大事な条件となることでしょう。
二番目に大事なのは、ホテルの場所が自分にとって歩
きやすい地域であること。パリは20の区に分かれている
ため、とても東京に似ています。そこで、自分なりにパ
リと東京を比較してみました。
*パリ1区、8区、9区(凱旋門、シャンゼリゼ大通り、
ルーブル美術館、オペラ座等があります)
→銀座や表参道
*パリ3区、4区(ポンピドゥ-・センター、老舗
デパートBHV、ノートルダム寺院等の他、 雑貨
屋さんやブティックが多くがあります)
→代官山、六本木
*パリ5区、6区、7区(パンテオン、ムフタール
市場、オルセー美術館、パリ最古の教会や カフェ
等があります)
→自由ヶ丘、吉祥寺
*パリ12区(バスティーユ広場、新オペラ座等が
あります)
→下北沢
*パリ18区(サクレクー 寺院、ピカソやモディリアニ
などが近くにアトリエを持ったテルトル広場などがあり
ます)
→浅草、秋葉原
私の頭の中で、パリはこのようにイメージ分けされて
います。実情とは違っていると思われるかもしれません
ね。あれから20年も経っているのですから、当然でしょ
う。この中で一番良く知っているのは、パリ1区、8
区、 9区。初めてのパリではルーブル美術館見学が
入っていました。自由行動で最初に買い物をしたのは
「FAUCHON」(フォション)。マロングラッセを買いました
ね。栗、大好きなんです。冬だったので、屋台の焼栗屋
さんも出てました。この時は買う勇気が無かったのです
が、3回目にしてやっと買うチャンスに恵まれた記憶があ
ります。屋台のクレープもありました。今でも冬には見掛
けたりするんでしょうか。 その後ルーブルへは何度も行
きましたし、凱旋門にも昇りました。マドレーヌ寺院の周
囲にはフォションだけでなく 「HEDIARD」(エディアール)
やマカロンで有名な「LADUREE」(ラデュレ)があり、そ
こでお茶をしたこともあります。
ですが、私が一番親しみを感じるのはパリ5区、6区、
7区あたりなのです。何故でしょうか?多分、日本で日常
的にお買い物に行く街に似通ってるからなんでしょうね。
自由ヶ丘や吉祥寺へは普段着で出掛けてしまいます。ど
こを歩くにしても「つうつうの場所」。それと同じ感覚がサ
ンジェルマン大通りの辺りに漂っているのです。土地勘が
あるとでも言ったら、少し大げさでしょうか。だからと言って
、流石に日本のように気を許して歩いているわけではあり
ません。
自分の身は自分で守るのが「手作りの旅」の原則です。
どこにホテルを取ろうと、まず一般的に言われているような
点については注意しなければいけないと思います。 例え
ば、いかにも高そうな衣服で街中を歩いていたり、財布か
ら無造作に高額紙幣を出してみたり、カメラを首から下げ
ていたり、地下鉄の中で鞄をだらりと肩から下げていたり、
等々。特にカメラを首から下げて歩いて、ジプシーの集団
から二度も襲われたツアーの仲間を直近で見たことがあり
ます。場所はローマでしたが、驚きましたねぇ。同じ人が二
度もですよ!!片方の人が柔道の心得があったため、何
事もなく事件は終わりましたが。カメラを首にという行動は、
まるでマーキングされているようなものなんですね。
最後に、「Jardin des Plantes」(ジャルダン・デ・プラ
ント)を選んだのは第三の要因「快適であるかどうか」を満
たしていたからでした。人によって、ホテルに求める快
適さは違うことでしょう。快適さと部屋の料金が見合って
いるかどうかも人によって様々です。
私が求めていたものは、二人で同じ部屋に泊まるのだ
から、まずツインであること。幾ら女同志でもダブルのベッ
ドで長期間(13泊)は無謀と言うに等しいと思います。
次に部屋代が安い割に、室内にバス・トイレ付き。パリ
の安いホテルはシャワーだけとか、トイレは共用等
と言うのも珍しくない時代でした。自分たちの足だけが頼り
の旅は、添乗員付きのツアーよりも神経を使います。翌日
まで疲れを残さないためにもバスは必須と思いました。
そして出来れば、朝食だけでも取れる設備があること。
まだ疲れがとり切れていない日があるかも知れない。そん
な時にはゆっくりと朝食を取ってから出掛けたいと考えた
からでした。これ等の条件を満たしていた「Jardin
des Plantes」。詳しくは次回にいたしましょう。
もう1か所はノルマンディーのホテル。
「Hostellerie Lechat」が「Les Maions de
la Lea」レ メゾン デリーと名前を
変えていますが、健在。
ここのディナーもとても美味しいものでした。