新型コロナウイルス ファクターX? | ある脳外科医のぼやき

ある脳外科医のぼやき

脳や脳外科にまつわる話や、内側から見た日本の医療の現状をぼやきます。独断と偏見に満ちているかもしれませんが、病院に通っている人、これから医療の世界に入る人、ここに書いてある知識が多少なりと参考になればと思います。
*旧題「ある脳外科医のダークなぼやき」

日本で新型コロナウイルスによる死者は現在下記の通りとなっております。

死亡者数は連日数人の上乗せがあり1025人。

重症者は少し増えて全国で115人です。

 

上記の数字は、決して少なくはないものの、全国規模であることを考えると、

季節性の感冒ウイルスやインフルエンザなどと比較しても特別に大きな数字でないことは確かです。

 

下図はコロナ制圧タスクフォースより抜粋させていただいた図ですが、

日本の死者数が欧米諸国と比べて非常に少ないことは一目で分かります。

 

なぜ日本で死亡者数が少ないのか?

この理由は未だに明らかになっておらず、理由がわからないのでファクターXと呼ばれています。

 

よく言われているファクターXの要素を挙げます。

 

1.日本人の衛生観念が高い

2.医療水準が高い

3.遺伝的な東アジア人の特性(HLAなど)

4.ウイルス型の違い

5.BCG接種

6.集団免疫

などなど、です。

 

1.2.についてはある程度関与があるかもしれませんが、それだけで大差が出るかというと、

私はそれだけとは思いません。

3,4,5, 6についてはいずれも現時点では仮説のレベルを出ませんが、

どれも可能性があるものだと思っています。

ただ、BCGについては一時期よりはあまり言われなくなってきているようですね。

 

今回はこのうち、4,6に関連する一つの仮説を紹介します。

京大の上久保教授と吉備国際大学の高橋教授いう方が発表し、新聞や雑誌にも掲載されていたものです。

 

概要としては、

新型コロナウイルスの型とその流入タイミングによって日本国内で既にある程度集団免疫ができていたという説です。

 

この研究によると新型コロナウイルスには3つのタイプがあり、下記に分かれます。

S型:先祖型、G型の致死率をあげる

K型:弱毒型、G型への免疫を誘導する

G型:重症の肺炎を起こし得る。武漢型と武漢型を元に変異した欧米型がある

 

このS型は昨年10-12月ころに欧米など世界中に拡散したウイルスで、

一方同じく軽症の多いK型については今年の1月頃から日本に侵入したとされる型です。

その後、やや遅れて重症化リスクの高いG型が武漢から世界に拡散。

一部のG型はさらに変異して欧米に広がったと考えられています。

 

この、ウイルス型に関する情報はGISAIDのサイトで確認できるようです。

 

要点は、

S型が広がっていた国ではG型が入った際に重症化し死亡率が上がる。

一方、K型が広がっていた国ではG型に対する免疫ができる、ということです。

 

日本は習近平国家主席の国賓来日を検討していたことによる忖度からか、

中国政府の圧力を受け忖度した影響か、欧米と比べて国境封鎖が遅れました。

 

その間にK型が国内で広がったため、リスクの高いG型が入ってきた際にはある程度集団免疫が出来ていたのではないか?

という仮説です。

 

つまり、日本では国境封鎖が遅れてしまったことが、運よく、たまたま災い転じて福となしたんじゃないか?

ということですね。

 

一方、早期に入国制限を行った欧州ではそれ以前に入ったS型は広がっていたものの、

入国制限のタイミング的にK型があまり広がらず、そのままG型が紛れ込んだので大変なことになった、という説です。

 

またインフルエンザが日本で今年はほとんど流行らなかったのは、

このS型、K型の新型コロナが昨年10月から1月ころまでに広がっていたからであるとしています。

この現象は「ウイルス干渉」と呼ばれ、1種のウイルスに感染している人は他のウイルスからの感染を防ぐというものです。

 

ロジックとしては確かにあり得る話だと思いました。

 

この仮説と矛盾するデータとして、

日本で行われた抗体検査では抗体を持つ人が極めて少なかったという報道がありました。

しかし、抗体検査の検査キットは抗体値のカットオフ値が有症状者にあわせて高く設定されているため、

抗体を持っている人でも陰性と出ることが多いとも言われています。

 

このK型による集団免疫説が正しければ、

日本では今後も同じG型が問題である限りは劇的な重傷者や死亡者の増加は起きにくいということになります。

特に昨年末に風邪をひいた方については、すでに免疫がある程度ある可能性があることになります。

 

ただ、あくまで現段階では仮説の一つにすぎません。

 

 

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