顔がピクピク動く? 片側顔面痙攣とは? | ある脳外科医のぼやき

ある脳外科医のぼやき

脳や脳外科にまつわる話や、内側から見た日本の医療の現状をぼやきます。独断と偏見に満ちているかもしれませんが、病院に通っている人、これから医療の世界に入る人、ここに書いてある知識が多少なりと参考になればと思います。
*旧題「ある脳外科医のダークなぼやき」

今回のテーマは顔面痙攣の治療について、です。


皆さんも、疲れたときなどに瞼の上がピクピクっと痙攣するように動くことがありませんか?


僕自信もたまにあります。


たまにある痙攣自体は特に病的なものではないのですが、もしこの痙攣が目の周りだけではなく、

片側の顔全体、口周りにまで広がってきたら注意が必要です。


顔面の半分だけ、目の周りがぴくぴく動くと同時に口周りが動く。


もし、このような症状があったら、

片側顔面痙攣、hemifacial spasmと呼ばれる病気の可能性があります。


目の周りだけでなく、

口周りまで同時にピクピクっと動くようになると、


やはり表情が崩れてしまい、外見上もかなり目立ってしまうため、

どうしても人前に出るのがためらわれるようになります。


そうするとストレスになりますし、


そしてこの痙攣自体がストレスとなって、

さらに症状が悪化するという悪循環を起こします。


精神的に滅入ってしまって、うつ病になってしまう方もいるくらいです。


この病気の特徴はなんといっても、


顔面の半分にだけ起きるということと、目と口周りが連動して動くということ、

そして、強く目をギュッと閉じることで誘発されるということです。


なにが原因で起きるかというと、

これは非常に古典的な、神経への物理的な干渉によって起こります。


何かたちの悪い脳の病気なのでは??


と勘違いする人もいるのですが、

実際は、


脳から出る脳神経のうちの顔面神経という1本の神経が圧迫されることでおきます。


どこで圧迫されるのか?というと、

顔面神経は脳幹から出て、その後、内耳道という穴を通じて頭蓋骨内に入り、

それから耳の下あたりで骨を出て前に上がり顔面の筋肉を支配するのですが、


この「脳幹から出る部分」で圧迫されてしまいます。


圧迫の原因となるのは血管です。


頭蓋内で小脳を栄養する前下小脳動脈(AICA),後下小脳動脈(PICA)、もしくは、椎骨動脈(VA)の3本がそれぞれこの神経の傍を通って、圧迫の原因となります。


動脈硬化が進むにつれて人間の血管は蛇行が強くなりますから、

それが原因で顔面神経の圧迫、顔面の痙攣が起きるのです。


動脈硬化の原因は高血圧や高脂血症などのいわゆる生活習慣病ですから、

不摂生をしている人に起こりやすい病気ともいえます。


蛇行した血管は心臓の拍動のたびに、ドクンドクンと揺れますから、

これが拍動するたびに神経を脳幹からの出口の部分で痺れさせているのです。


神経も血管も元から頭蓋内にある正常な構造物で、

それ自体にはなんの病的な要因はないのですが、


この二つの位置関係だけが問題でこの片側顔面痙攣は起こるのです。


さて、片側顔面痙攣の原因がわかったところで、

診断と治療は次に続きます。




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