絵本で、安心して気持ちが話せる「場づくり」の担い手を育む -153ページ目

絵本で、安心して気持ちが話せる「場づくり」の担い手を育む

~絵本で、安心して気持ちが話せる場づくりの担い手を育む~
NSプロジェクト代表
絵本道®マイスター
更家 なおこ

3.11の1月後から始まった絵本の活動は

2013年には、「天使プロジェクト」というイベントにつながりました。

全国から集まった絵本を仕分けしては、被災地に届けて

仮設集会所で絵本ワークを続ける日々・・・

絵本を囲む場で、みなさんが「語られなかった物語」を

静かに語ってくださる奇跡の瞬間が何度も起こりました。

その大切な「場」をしっかり守りたい。

時に涙しながらようやく言葉にされた、貴重な瞬間を

誰も傷つけることなく、寄り添いたい。

 

ビジネス研修中心のスキルしかなかった私は

参加された方だけでなく、一緒に活動している

仲間のこころも守るために、心理学の学びに加えて

アートセラピーを学び始めました。

 

そこで出会ったのが南相馬出身の里美さん

彼女の案内で海岸沿いや町を歩きました。

つい昨日まで日常があったはずの土地に

ナニモナイ空間が広がっている・・・

言葉なんて出てこなくて、ただ風が吹き抜ける音だけが聞こえました。

 

何度か通っている間に、藤沢の知り合いから北海道につながり

ある日、自宅に天使が届きました。

それを見た瞬間、「全国から天使を集めよう」

「南相馬のおばあちゃんにも天使を作ってもらって

交換できたら。」と思いました。

 

仮設集会所では、毎日のようにおばあちゃんが集まって

せっせと縫物をしている姿を見ていました。

ボランティアに来た方に向けて、お礼の贈り物として

ピンクッションを作っていたのです。

 

早速呼び掛けると、続々と天使が集まってきました。

中には「天使キット」を作ってくれる方も。

そうして、たくさんの天使が作られる中

私は東京の仲間と一緒に「人形劇」の準備をしていました。

「天使プロジェクト」は

「天使がボクを見る時」という私の創作童話をシナリオにして

南相馬で上演し、そこに集まった方々と天使交換会をする企画でした。

 

私は主役の「おっさん」

いつの日か作家になることを夢見て、夜な夜な

作品を書き続けています。

さえないおっさんの頭の上には、

キラキラと金色の粉が舞い、そこには小さな天使の姿が・・・

どんな人でも、夢を持ち続けてると

その瞬間、頭の上の方で天使が笑っているんだよ

というストーリー

 

全国から集まってくれた仲間とともに

夢中で上演した人形劇は笑顔でいっぱいの時間になりました。

コロナ禍の今、また新たな仲間と人形劇の活動を再開しています。

 

「あたり前の日常は奇跡だった」というテーマは

被災地でいただいた最も大きな気づき。

そのことを伝えたいと昨年はじめに人形劇を作り始めた

瞬間に、コロナが蔓延しはじめました。

 

10年続けてきた意味を、改めて感じています。

 

こうして、かつてのイベントを一つずつたどっていくと

苦しんだり、うれしかったり、ひどく後悔したり、深く感謝したり・・・

思い出すことばかりで、とても書ききれないことに

もどかしくなります。

 

また別の機会で、お話できることがあれば。

 

次回は、いよいよ絵本「道しるべ」の誕生物語です。