絵本で、安心して気持ちが話せる「場づくり」の担い手を育む -152ページ目

絵本で、安心して気持ちが話せる「場づくり」の担い手を育む

~絵本で、安心して気持ちが話せる場づくりの担い手を育む~
NSプロジェクト代表
絵本道®マイスター
更家 なおこ

東北に通いはじめてすぐに、もっとたくさんの方に

絵本を囲む場づくりの良さを知ってもらいたい

少しでも楽になれるきっかけを伝えたいと思いながら

自分一人が出来ることの限界を感じました。

絵本を創ろう! その1冊で、一人でも二人でも

みんなで絵本を眺めるだけで、こころがほっとしたり

一緒に眺めているみんなとつながりを感じるような絵本。

 

気持ちを言葉にすることは、大人になるほど難しい。

だから、絵を指さすだけで言いたいことが伝わるような絵本。

ただ黙って同じページを眺めているだけで、傍らにいる人が

「ああ、泣きたいんだな」と寄り添える絵本。

 

構想はあるし、言葉も作れるけれど、絵はどうしよう。

私は絵本作家を養成する専門学校で

10年間講師をしていました。

その時の最後の卒業生

にきまゆさんに声をかけました。

 

 

「絵本を創りたいから、絵を描いてほしい」

 

一緒に被災地に行ってもらい、

土地を歩き、仮設の絵本ワークを見て

全身で色んなことを受け止めてもらいました。

数か月かけて、原画が完成すると、

仲間に声をかけてカラーコピーで簡易絵本を製本しました。

絵本のタイトルは「道しるべ」

英訳で「小さな希望の灯り」

 

誰のこころの中にも、小さな灯りは必ずあるから

そのことを思い出してほしい・・・

主人公「くま」と、くまのこころの中にいるもう一人の自分

「ラインくん」のお話。

福島の里美さんに見てもらうと

彼女はぽろぽろ涙しながら言ってくれました。

「福島のみんなに見せて欲しい」

その日から、絵本「道しるべ」ワークがはじまりました。

 

手に取れるように工夫して、原画を持っていきました。

活動のシンボルとして、どんなイベントの時も

原画を展示するようになりました。

すると、何度も奇跡のような出来事が・・・。

道しるべを眺めていたおじいさんが、突然堰を切ったように

がれきから家族を見つけた話をはじめたのですが、

その方は震災後誰とも話さず、部屋に籠っていることが

多かったとか。

同じ仮設に通う度に笑顔を取り戻し、絵本の読み語りを

楽しみに待ってくださるようになりました。

 

関西では、病気で昔の記憶が薄れてしまった友人が

道しるべワークの直後に、ありありと思い出して

驚いたこともありました。

そうやって、カラーコピーの絵本で各地をまわっている

うちに、たまたま知り合った出版社の方に、絵本を

出してもらえることになって・・・。

あの時は本当にうれしかった。

いよいよ絵本が完成すると、東京で出版記念会を

開くことになりました。

福島の里美さんをゲストに招いてトークイベントと

絵本ワーク、道しるべの原画を観ていただきました。

そして、絵本のことを河北新報さんが

取材して、東北クラスの誕生につながりました。

その後、ようやく大阪でも道しるべの原画展を

開催することができました。

ここでも、原画展をベースに、トークイベントと

絵本ワークをお届けしました。

このイベントも、記事になりました。

今また、にきまゆさんと一緒に次の絵本を制作中ですが

これまでの活動で多くの方からいただいた

大切なことを表現したいと思っています。