穏やかでやさしそうな笑顔と
控えめな雰囲気・・・
絵本道®絵本教室:東北クラスで
こむろっちさんと初めて出会ったときは
そんな印象でした
ワーク中は、考えながらゆっくりとお話して
くれます
こころの奥の深いところにアクセスして
それを整理しながら伝えようとしてくれるので
とても分かりやすくて、誰でも自然に受け取れるような
素敵な言葉表現をたくさん持っています
絵本道の場では、一人ひとりがどんなタイミングで
何をお話したいのか、したくないのか
そこをとても大切にし合っています
けれど、少しスピードアップした会話や
強めの表現に対しては
驚いたように言葉を飲み込んでしまい
こころを固く閉ざしてしまって
話さなくなってしまいます
傷つかないように壁をこしらえてしまうのか
分かり合うことや、伝え続けることを
すぐにあきらめてしまうように思いました
こむろっちさんが絵本教室の初級クラス
ベーシックコースに来てくれた理由は
河北新報で私の記事を見たから、と
いうことでした
「先生がやさしそうに見えたから・・・」
こむろっちさんにとって一番大切なのは
「場が和やかであること」なのが
よくわかります
通っているうちに少しずつ慣れてきて
笑顔が増えていきました
けれど、教室のみんなに毎回お土産を持ってくる
ことだけはかかしません
「そんなに気を遣わなくていいから」
「もう十分だよ」
仲間がいくら言っても、こむろっちさんはやめようと
しませんでした
教室に入ってすぐ、お土産を配ることで
自分の居場所を作ろうとしていたのかなと
思います
絵は苦手だと言ってましたが
あたたかみのある、しっかりとした表現は
誰が見てもほほえましく感じました
こむろっちさんがぼちぼちと
話してくれることをつないでいくと
震災後、お母さまが他界されたこと
その後、自分を可愛がってくれた方々を
見送ることがなぜか続いてしまい
自分の足元がぐらぐらと不安定な感じになり
とてもつらくなっていたようです
作品「石ころ」は、構想だけでなかなか進まず
とうとう絵本教室最後の日になってしまいました
最終日は「合評」といって
参加者みんなの作品を順番に原画とともに見ながら
製本した絵本作品を読み語りし合います
ところがこむろっちさんは教室の玄関にじっと
うずくまっています
朝早くから来ている様子で
あまり寝ていないようでした
「できなかったんです。一言お詫びしたくて・・・」
どこまで出来ているのか見たら、
スケッチブックのあちらこちらに
様々な絵を描いているだけ
生徒さん達は仲間として何とかしたいけれど
どうしたらいいのかわからない様子です
「今から作りましょう」
こむろっちさんには、スケッチブックに絵本の言葉を
書いてもらいました
他のメンバーは、指示された箇所を
カラーコピーしに行ったり
カットして、貼り付けたり・・・
一瞬にして、教室は絵本工房のようになりました
大急ぎで作業するうちに、何とか完成し
遅まきながら全員が合評して
ほっとしたのを今でもよく覚えています
絵本「石ころ」はその後
イベントや作品展などで読み語りされたり
ラジオで紹介されたり
多くの方に喜んでもらえる、
こむろっちさんの代表作となりました
きっと、
自分が自分でないような、頼りない不安定な
感覚を、少し引いた目で見れることと
そんなぐらぐらな自分なのに
「そのままで素敵だよ」と認めてもらえる瞬間の
安心感が味わえるからかな

