けいちゃんは
目が合うと、やわらかく微笑みを返してくれます
きっと誰もがほっとする、そんな存在です
話しやすくて壁を感じないのですが
こころの深いところで、とても強くて固い殻のような
触れられない何かが見える時があります
きっと、大切なものをしっかりと守っているのでしょう
誰でも自分のこころの奥にあるものは
見えない引き出しにしまっています
時に本人にもそれが何なのか
わからないこともたくさんあって
ある日、向き合わないと前に進めないような事が起こったり
ぼんやりとしていたものが次第にはっきりしてきて
落ち着かなくなったり
東北の教室に来た頃
けいちゃんは決して自分から何か伝えることなく
静かにみんなの様子を眺めていました
直接声をかけたときだけ
小さな声で自分の言葉をさぐるように
考え考えしながら話してくれます
家族のことで
言えなかった苦しみを抱え続けていたことを
ようやく「絵本」という形にする決心が
ついたのだと
しばらくしてから打ち明けてくれました
あらすじから絵コンテに進めていく間は
けいちゃんにとってつらいものでした
ずっと向き合えなかったことに
正面から関わるための時間・・・
涙をこらえながら、どうにか作品に表現しようと
真摯に向き合っている姿
私には、けいちゃんが時々半透明になって
透けていくように感じました
今、ここに、引き戻すことができたのは
みんなと一緒に創作できたからだと思います
クラスのみんなはその後ろ姿を見たことで
どれほどの勇気をもらったことでしょう
やがて
自分自身の世界にそれぞれが向き合っていきました
同じ空間にいるのですが
誰もがもう一人の自分と対自しているので
それぞれの世界が融合しているような
深くて穏やかな「場」
「気持ちが話せる安全な場」があれば
人は立ち上がるきっかけをつかめます
自分を肯定する涙を流せます
仲間とこころの奥だけでつながれます
私はそれを震災の活動で学びました
ありそうで、どこにも無い「場」
多くの方がもっとも欲しているのに
安全に保ち続けるのが難しい
「場」の守り方がわからないから
自分達だけでは作れない
けいちゃんは、やがて
作品を創りあげ
次の絵本を生み出しました
それが
絵本作品「何に見える?」
「ものの見方はそれぞれ・・・
もし自分が思っているのと違った景色が見えていたら
見方を少し変えればいい」
苦しんだ経験を乗り越えてきたから
伝えられる言葉
絵本「何に見える?」はその後イベントなどで
大人気の作品になりました
読み語りをすると、年齢や経験に関係なく
みんなが何かしらのお土産を持って帰れる
そんな素敵な贈り物のような絵本です
いつもあったかい微笑みをかえしてくれる
けいちゃんそのもののようです
絵本作品「何に見える?」読み語り
ご覧ください
↓
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